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青少年健全育成条例とは?違反すると逮捕?不起訴を目指す方法を解説
青少年健全育成条例とは、18歳未満の子供(青少年)が健全に成長できるよう、各自治体ごとに定められている条例のことです。
青少年健全育成条例では、深夜における外出制限、カラオケボックス、ネットカフェ、映画館などへの立ち入り制限などが定められています。
その中でも、刑事事件において最も問題となるのが淫行です。
淫行とは「青少年とのみだらな性行為や性交類似行為、わいせつ行為」のことです。未成年との性行為は多くのケースで淫行と判断されます。
この記事では青少年健全育成条例の概要と、条例に違反するとどうなるのか解説します。
未成年と性行為をして、淫行として条例違反になった場合の刑罰について不安な方は、最後までお読みください。
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目次
青少年健全育成条例とは
青少年健全育成条例で禁止される主な行為
青少年健全育成条例は各自治体ごとによって、名称や内容が異なる場合もありますが、一般的には以下のような青少年に対する行為が禁止されています。
- 青少年に対する淫行・わいせつ行為
- 青少年を特殊接客営業の従事に勧誘すること
- 青少年に対し、同人のポルノ画像・動画を要求すること
- 青少年から着用済下着を買い受けること
- 青少年の深夜連れ出し
他にも、青少年健全育成条例では、青少年の深夜外出や、カラオケボックスやゲームセンターなどへの深夜立ち入りの禁止などが定められています。
なお、条例において青少年とは、18歳未満の者のことで、深夜とは午後11時から翌日の午前4時までの間をいいます。
青少年健全育成条例の罰則
青少年健全育成条例は、各自治体ごとに規制行為や罰則が異なっている場合があります。
ここでは東京都の青少年健全育成条例における、上記の行為に対する罰則をご紹介します。
- 淫行:2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 特殊接客営業の勧誘:30万円以下の罰金
- ポルノ要求:30万円以下の罰金
- 着用済み下着の購入:30万円以下の罰金
- 深夜連れ出し:30万円以下の罰金
※2024年7月現在
淫行は47都道府県、全ての自治体で懲役刑まで定められている犯罪です。
未成年者の年齢が18歳に近く、互いに好意を持っていて同意のうえでの性行為であれば、青少年健全育成条例違反にならないケースもありえます。
しかし、被害者の年齢によっては逮捕・起訴される可能性もありますので、未成年者と性行為をしてしまった場合には、適切な事後対応が重要となります。
淫行が条例の中でも最も重い犯罪
青少年健全育成条例の中でも、淫行は最も重く処罰される行為です。そのため、青少年健全育成条例は淫行条例と呼ばれることもあります。
淫行の構成要件
各自治体によって表記が異なる場合はありますが、淫行の構成要件は同じ内容となります。
ここでは、東京都の条例を引用します。
(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
東京都青少年の健全な育成に関する条例
淫行の構成要件
- 被害者が青少年(18歳未満)
- 被害者が青少年であることを認識していた
- みだらな性行為をすること
相手を18歳未満であると認識したうえで性行為をすると淫行になります。
一方、18歳未満だと認識せずに性行為をしたとしても淫行にはなりませんが、ただ年齢を知らないだけでは「18歳未満と認識していなかった」とはみなされないので注意が必要です。
「相手を18歳未満と認識していなかった」というためには、相手のことを18歳以上であると認識しても仕方ない状況だったと判断されなければなりません。
未成年者の年齢を知らなかったことに過失がなければ処罰されない?
多くの自治体の青少年健全育成条例には「青少年の年齢を知らないだけでは処罰を免れない」という旨の規定が存在します。
単純に相手の年齢を確認していなかったような場合、18歳未満だと認識できた可能性があるため、処罰対象となる可能性があるのです。
しかし、「相手の年齢を18歳未満だと認識できなかった」もしくは「相手の年齢を18歳以上であると認識した」ことに過失がなければ、処罰対象とならない自治体が多いです。
未成年者の年齢認識で過失なしとみなされやすいケース
- 顔写真付きの身分証で年齢確認を行った
- 言動や発言から18歳以上にしか見えない
上記のケースとは反対に、「口頭だけで年齢を確認した」「明らかに相手が18歳以上には見えない」などの状況であれば、そのまま性行為をすると過失ありとみなされ、淫行として処罰される可能性があるでしょう。
なお、東京都の青少年健全育成条例の場合、淫行については相手の年齢を知らなければ処罰対象とはなりません。
もっとも、捜査機関の取り調べにおいて、「18歳未満だと気づかなかった、知らなかった」と必死に主張しても、18歳未満だと気づかないわけがないと判断されれば、淫行条例違反として起訴される可能性があるので注意が必要です。
淫行に関連するその他の罪
淫行は18歳未満の者に対するみだらな性行為ですが、16歳未満の者との性行為は同意があっても不同意性交等罪に問われ、18歳未満の者に金品を渡して性行為をすると児童買春の罪に問われます。
青少年健全育成条例における淫行の罪の対象となるのは、16歳以上18歳未満の者との性行為になるでしょう。
被害者の年齢が16歳未満の場合、同意の上で性行為をした場合でも不同意性交等罪が原則として成立するため、条例違反や児童買春の罪など、複数の犯罪が成立するケースが多いです。
この場合、同時に成立する犯罪の中で、最も量刑の重い罪が適用されることとなります。
16歳未満 | 16歳~18歳 | |
---|---|---|
同意あり | 不同意性交等罪 | 淫行条例違反 |
同意なし | 不同意性交等罪 | 不同意性交等罪 |
金品の授受あり | 不同意性交等罪 | 児童買春 |
未成年との性行為で適用される犯罪の法定刑
- 不同意性交等罪:5年~20年の有期拘禁刑
- 淫行条例違反:2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
- 児童買春:5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
青少年健全育成条例違反で逮捕されることはある?
相手の保護者が警察に相談すると逮捕される可能性が高い
未成年の保護者が警察に相談すると、ほとんどのケースで事件が発覚します。
保護者が警察に相談するきっかけとしては、「長時間子供と連絡がとれないでいて不安になって警察に相談する」「スマホのGPSを確認してラブホテルにいることがわかったので警察に連絡する」などといった状況が考えられるでしょう。
特に年齢が幼い場合、GPSがつけられているケースが多いです。
子供の年齢が18歳に近ければ、警察に発覚しても事情聴取を受けるだけで、在宅事件として捜査が継続することが多いです。一方、年齢が幼いと逮捕される可能性が高くなります。
未成年淫行がバレて逮捕されるきっかけや未成年淫行の証拠について詳しく知りたい方は『未成年淫行はバレる?逮捕されたら刑罰は?弁護士相談窓口は?』をご覧ください。
青少年健全育成条例違反で逮捕された後の流れ
青少年健全育成条例違反で警察に逮捕されたら、その後、留置場に入ることになります。
警察に逮捕されたあと、勾留もされれば最長23日間、身体拘束される可能性があります。
逮捕後の流れの詳細は以下の図をご覧ください。
青少年健全育成条例違反で逮捕されたらどうすればいい?
青少年健全育成条例違反で警察に逮捕された場合、取り調べ対応に注意する必要があります。
相手の年齢を18歳以上だと思って性行為をした場合でも、警察は18歳未満と認識してた前提で取り調べをしてきます。
「本当は何歳だと思っていたのか」「18歳以上だと思った根拠や理由は何か」など、答え方を間違えると、淫行事件は最終的に重い処分となる可能性があります。
淫行で逮捕される前に、弁護士から取り調べ対応のアドバイスを受けることをおすすめします。
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・未成年淫行はバレる?逮捕されたら刑罰は?弁護士相談窓口は?
いきなり逮捕されたら弁護士に接見依頼
未成年と性行為中に警察に突撃されたり、家や会社にいきなり来られて急に逮捕されたりすると、事前に弁護士に相談する時間の余裕はありません。
この場合、逮捕された本人であれば当番弁護士を呼ぶことが可能です。
当番弁護士は、弁護士会に登録されている弁護士がランダムで選出され、逮捕された場合に一度だけ無料で留置先まで来てくれる制度です。
家族が逮捕された場合には、当番弁護士だけでなく、通常の弁護士を選んで接見依頼をすることができます。
当番弁護士は無料で利用できますが、刑事事件の経験がある弁護士が必ず選ばれるわけではありません。一方、自分で弁護士を選ぶ場合は、接見費用が発生する事務所がほとんどです。
しかし、刑事事件の解決実績や所在地などを確認したうえで、逮捕される本人にアドバイスを送ることができます。
取り扱い分野や連絡頻度や速度など、評判をチェックすることもできるでしょう。
青少年健全育成条例違反は起訴される?不起訴になる方法は?
青少年健全育成条例違反は略式起訴が一般的
淫行をして、青少年健全育成条例違反で起訴される場合、略式起訴となるケースが多いです。
略式起訴とは、法廷での裁判を行うことなく、書類上のやりとりのみで刑罰を確定させる裁判の方式です。
略式起訴された場合、どんな事件であっても「100万円以下の罰金」が科されます。
淫行は、心身が未成熟な未成年を性欲のはけ口として利用する犯罪と考えられていますが、実際の処分においては相手の未成年も同意している点が考慮されることが多いです。
保護者との示談交渉がうまくいかなくても、余罪や前科がなく、未成年の方も積極的に性行為に応じている等の事情があれば、正式起訴される可能性は低いです。
なお、未成年が嫌がったり拒否したりしているのに、無理やり性行為をすると、条例違反ではなく不同意性交等罪に問われます。相手が16歳未満であれば、同意があっても不同意性交等罪です。
青少年健全育成条例違反は示談で不起訴になる可能性が高い
淫行をして青少年健全育成条例に違反しても、未成年の保護者と示談が成立していれば、起訴されることなく事件が終了するケースが多いです。
すでに説明した通り、淫行は未成年の方も行為に同意しているという特徴があるため、悪質性が極めて高いとは評価されません。
相手方との示談が成立し、適切な捜査機関対応をしておくことで、不起訴処分を獲得できる可能性が高まるでしょう。
しかし保護者の多くは、いくら娘や息子が性行為に同意していたとはいえ、自分の子供に手を出した加害者と直接顔を合わせて示談交渉に応じることを嫌がります。
そのため、淫行の示談を申し入れたい場合には、弁護士に代行を依頼する方がほとんどです。
青少年健全育成条例違反の相談はアトム法律事務所へ
アトム法律事務所では警察の介入した刑事事件について、30分間の無料対面相談を実施しています。
「淫行をして警察から連絡がきた」「青少年健全育成条例違反で逮捕されてしまった」など、淫行事件についての相談は、アトムの刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
事件直後から弁護士が動き出すことで、示談の成立、不起訴の獲得、身柄の早期釈放などの可能性が高まります。
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