【記入例あり】離婚調停申し立ての流れ|必要書類・書き方を徹底解説

離婚調停の申し立ては、必要書類を揃えて管轄の家庭裁判所に提出することで開始できます。
最高裁判所の司法統計によると、令和6年(2024年)は3万8,281件の申し立てがあり、申し立てから終了まで平均6.8か月・平均3.6回の期日を重ねるのが一般的です。
書類の内容が調停の進行に影響するため、申立書の書き方は重要です。
離婚調停申し立てのポイント
- 必要書類を揃えて提出する
- 調停の申し立て費用は3,000円程度
- 申立書類の書き方によって、離婚調停は有利になりうる
この記事では、初めて調停を申し立てる方にも分かりやすいように、離婚調停の必要書類や手続きの流れのほか、申立書類の書き方を詳細な記入例も交えて解説します。
離婚調停の手続きに不安を抱えていらっしゃる方も、この記事を読めば自信を持って申し立ての手続きができるようになるはずです。
目次
離婚調停申し立ての必要書類
最高裁判所の司法統計によると、令和6年(2024年)の婚姻関係事件は58,429件で、うち調停成立は27,315件です。
申し立てた事件の約半数が合意による解決に至っており、弁護士が関与する事件の割合は6割を超えています。必要書類を正確に揃えて申し立てることが、調停を円滑に進める第一歩です。
離婚調停の申し立てに必要な書類
離婚調停を申し立てる際に必要となる基本の書類は、以下の1~9です。
必要書類など
- 離婚調停申立書・・・3通
- 連絡先等の届出書・・・1通
- 進行に関する照会回答書・・・1通
- 事情説明書・・・1通
- 夫婦の戸籍謄本・・・1通
- 子についての事情説明書(未成年の子がいる場合)・・・1通
- 年金分割のための情報通知書(年金分割調停を申し立てる場合)・・・原本1通・コピー2通
- 陳述書(任意)
- 証拠・資料(任意)
1~4および6の必要書類については、各地の家庭裁判所が指定する書式があります。これらの書式は、家庭裁判所の窓口やホームページで入手することができます。
離婚調停の申し立て費用
離婚調停の申し立てにかかる費用は3,000円程度で、申し立てた側が支払います。内訳は以下の通りです。
| 費目 | 費用 | 支払い方法 |
|---|---|---|
| 収入印紙代 | 1,200円 | 申立書に張り付ける |
| 戸籍謄本の取得費用 | 450円 | 戸籍謄本取得時に支払う |
| 切手代 | 1,000円程度(※) | 現物を提出する |
※調停を行う裁判所ごとに異なる
収入印紙は、離婚調停申立書に貼り付けます。収入印紙に割り印をしてはいけません。
また、戸籍謄本を1通提出する必要があるため、役所で戸籍謄本を取得するために450円の手数料がかかります。
切手代は、予納郵券や予納郵便切手とも呼ばれ、裁判所が当事者へ文書を郵送する際に使われます。お金を提出するのではなく、切手そのものを提出します。
提出時は、切手がばらばらになってしまわないよう、封筒などに入れて持っていくとよいでしょう。
必要な金額は裁判所によって異なるうえに、100円が2枚、84円が8枚などと、内訳まで詳細に決められています。切手代は事前に管轄の家庭裁判所のホームページ等で確認してください(「〇〇家庭裁判所 予納郵便切手」などで検索)。
なお、余った切手は事件の終了時に返還されます。
離婚調停の申し立て費用や弁護士費用について詳しく知りたい方は、『離婚調停の費用|弁護士に依頼したらいくらかかる?』もご覧ください。
離婚調停を申し立てる際の持ち物
家庭裁判所にて離婚調停を申し立てる際は、以下の物を持って行きましょう。
- 書類一式(調停申立書、添付書類、付属書類など)
- 収入印紙(申立書に貼り付ける)
- 郵便切手(裁判所が指定する額)
- 印鑑(書類に誤りがあった時のため)
離婚調停の必要書類の書き方・入手方法
1.離婚調停申立書の書き方
離婚調停申立書(正式には夫婦関係調整調停申立書)は、裁判所用、相手方用、申立人用の控えの計3通が必要です。書式は全国共通で、裁判所のホームページでダウンロードすることができます。
離婚調停申立書は相手方にも送付されるため、相手に見られることを前提に記入しなければいけません。(※住所を秘密にしている場合などは、後述の非開示の希望に関する申出書などで対応することが考えられます。)
離婚調停申立書は全部で2ページあります。基本的に、申立人が記入するのは太枠の中のみです。
▼離婚調停申立書 1ページ目

①事件名・印紙

まず、右上のかっこの中に「離婚」と記入します。夫婦関係調整調停には円満と離婚の2種類があり、区別する必要があるためです。

弁護士
円満調停とは、円満な夫婦関係を取り戻すために、調停委員会の仲介を受けて話し合いを行う手続きです。
その下の枠内に、1,200円分の収入印紙を貼り付けます(裁判所に提出する1通のみ)。
②裁判所・日付・申立人の記名押印

左側に、申立先の家庭裁判所の名前と、申立書の作成年月日を記入します。
右側に、申立人が記名・押印します。
③添付書類

戸籍謄本の提出は必須ですので、必ずチェックを入れます。年金分割について話し合う場合は、年金分割のための情報通知書も必ず用意し、チェックを入れてください。
④申立人・相手方

申立人(自分)と相手方(配偶者)の本籍・住所・氏名を記入します。
相手方に現在の居所を知られたくない場合は、ここに現住所を記入してはいけません。
実家や勤務先、夫と同居していた時の住所など、知られてもよい住所を記入してください。
⑤対象となる子

対象となる子の欄には、父親と母親で親権を争っている、面会交流、養育費に争いがある場合にのみ記入してください。
子どもが自分と一緒に住んでいる場合は「申立人と同居」に、相手と一緒に住んでいる場合は「相手方と同居」にチェックを入れます。
どちらとも同居していない場合(親の実家にいる場合など)は、「その他」にチェックを入れ、かっこの中に住所を記入します。
なお、2026年4月1日からの民法改正により、離婚後の親権について父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになります。これに伴い、離婚調停の場でも、親権を父母のどちらか一方にするのか、それとも共同親権にするのかを話し合って決めることが可能になります。
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⑥申立ての趣旨
▼離婚調停申立書 2ページ目

ここから、申立書の2ページ目になります。
申し立ての趣旨とは、調停で相手に求めたい条件のことです。
左側(円満調整)には何も記入しません。右側(関係解消)に申立人が希望する離婚条件を記入します。調停では、ここに記入された条件をもとに話し合いを行います。
まず、「1 申立人と相手方は離婚する」に〇をつけます。
次に、(1)~(7)のうち話し合いたい項目すべてに〇をつけ、希望条件を記入します。養育費や財産分与、慰謝料の額に見当がつかない場合は、「相当額」にチェックを入れておき、調停の中で決めていきます。
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⑦申立ての理由
同居・別居の日と申立ての動機を記入します。
同居と別居を繰り返している場合は、初めて同居した日と最後に別居した日を記入してください。
申立ての動機の欄では、離婚したいと思った理由に〇をつけ、そのうち最も重要なものには◎をつけます。
申立ての動機に何を選ぶかは、慰謝料請求などに関わってくるため重要です。
裁判と異なり、調停では離婚理由や慰謝料請求の理由はなんでも構いません。
しかし、法定離婚事由や不法行為にあたるような理由がある場合は、それを調停委員会に分かってもらったほうが、味方になってもらえる可能性が高くなると考えられます。例えば、「異性関係」「家庭をすててかえりみない」「暴力をふるう」などは法定離婚事由にあたる可能性が高いといえます。
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2.連絡先等の届出書の書き方
連絡先等の届出書には、裁判所が申立人と連絡を取るための住所・電話番号を記入します。
裁判所によっては「送達場所の届出書」など違う名称で呼ぶこともあります。記入事項も裁判所ごとに異なるため、まずは管轄の裁判所のホームページ等で書式や記入例を入手してみてください。
裁判所は、調停期日の通知等を郵便で送付します。その際には、この届出書に記載された住所が使用されます。離婚調停申立書に現住所を記入しなくてもよいのは、連絡先等の届出書に正しい住所を記入するからです。
調停中に住所や連絡先が変わった場合は、再度この届出書を提出する必要があります。
3.進行に関する照会回答書の書き方
進行に関する照会回答書は、調停の進め方に関わる事情を裁判所へ伝えるための書類です。
各家庭裁判所が用意している書式を使用しますが、記入項目や名称は裁判所によって異なることがあります。詳しくは、申立てを行う家庭裁判所の窓口やホームページで確認してください。
調停期日の開始時と終了時には、通常、夫婦双方が同席して手続きの説明を受ける運用になっています。DVや強い対立などの事情で相手と同席することが難しい場合は、その理由をこの書類に記載して裁判所へ伝えることができます。
また、裁判所内で相手と鉢合わせないよう配慮を求めたいときも、この書類を通じて希望を伝えることが可能です。
なお、記載した内容を相手方に見られたくない場合は、後述する非開示希望の申出を併せて利用する方法もあります。
4.事情説明書の書き方

千葉家庭裁判所ホームページより
事情説明書とは、裁判所に現在の夫婦の状況を知らせるために提出する書類です。収入や住居の状況や、調停を申し立てた理由などを記入します。
事情説明書は、家庭裁判所によって書式が異なります。それぞれの裁判所のホームページや窓口で入手することができます。以下は一例です。
調停を申し立てた理由やいきさつを書く欄は限られており、伝えたいことが十分に書けない可能性があります。そういった場合は「別紙のとおり」とだけ書き、後述の陳述書を添えることで補足できます。
5.夫婦の戸籍謄本
3か月以内に発行された夫婦の戸籍謄本が必要です。事前に役所へ行って取得しておきましょう。発行には450円の手数料がかかります。
6.子についての事情説明書の書き方
未成年の子どもがいる場合、子についての事情説明書を提出する必要があります。裁判所によって名称や記載事項が異なり、「子に関する事情説明書」などと呼ばれることもあります。書式は、各家庭裁判所の窓口またはホームページで入手することができます。
子についての事情説明書には、現在の子どもの監護状況や子どもに関して心配していることなどを記入します。
また、今後の面会交流の実施などについて要望があれば、この書類に記載することができます。
7.年金分割のための情報通知書の入手方法
年金分割についても調停で話し合いたい場合は、年金分割のための情報通知書を年金事務所から取り寄せておく必要があります。
年金分割のための情報通知書を入手するためには、「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出します。情報通知書が届くまでには1週間~1か月程度かかるため、早めに手続きを始める必要があります。なお、公務員の方は共済組合に請求するため、手続きが異なります。
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8.陳述書の書き方
陳述書とは、事情説明書に書ききれない内容を補足するようなもので、調停を申し立てた理由や不仲になったいきさつなどを書きます。陳述書は任意とはいえ、夫婦の事情や自身の主張を調停委員会に知ってもらうために重要です。
陳述書に特に決まった書式はありませんが、以下の事項は最低限記載します。
- 事件番号
- 表題(陳述書)
- 作成日
- 宛先(家庭裁判所名)
- 申立人の署名・捺印
離婚調停の申し込みの際に作成する陳述書の場合、本文には、以下のような事項を書くのが一般的です。
- 夫婦のプロフィール
- 結婚した経緯
- 夫婦の職業や収入、財産
- 子どもの年齢や学校、登校状況
- 離婚を決意するに至った経緯
- 離婚したい旨や希望する条件
なお、この陳述書は相手方にも見られるため、知られたくない情報(自分の住所や勤務先、子の学校名など)は記載しないでください。
9.証拠・資料
証拠や資料は、自身の主張を裏付けるために、任意で提出することができます。離婚調停を有利に進めるためには、提出を検討すべきでしょう。
また、場合によっては、裁判所から提出を求められることもあります。
例えば、DVを受けていた場合は、暴力によって負った怪我の写真や診断書を提出することがあります。離婚の原因が不貞行為(肉体関係をともなう浮気)である場合、不倫相手と配偶者のやりとり、ラブホテルに入っている様子が分かる写真などが、証拠となります。
また、財産分与を請求する場合は、相手の財産に関する資料、例えば預金通帳のコピーなどを提出することもあります。
証拠・資料(一例)
- 怪我の写真(DVの場合)
- 不倫相手とのやりとり
- 財産に関する資料
- 預金通帳のコピー
etc.
証拠は、申立時ではなく離婚調停中に提出することも可能です。
なお、マイナンバーの書かれた書類は、必ずマイナンバーを黒塗り(マスキング)した状態で提出してください。
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離婚調停で相手に住所などを知られたくない場合は?
調停で提出した書類は相手にも見られる可能性がある
裁判所に提出する書類は、相手方にも見られる前提で書かなければなりません。
離婚調停申立書は必ず相手方に送付されますし、その他の提出書類の多くは、相手方や利害関係を有する第三者の申請があって、裁判所がこれを許可すれば、閲覧やコピーができてしまいます。
| 相手方の閲覧可否 | |
|---|---|
| 離婚調停申立書 | ○(送付される) |
| 連絡先等の届出書 | 〇 |
| 進行に関する照会回答書 | 〇 |
| 事情説明書 | 〇 |
| 子についての事情説明書 | 〇 |
| 陳述書 | 〇 |
| 証拠・資料 | 〇 |
〇・・・相手方からの申請があり、裁判所が許可すれば閲覧やコピーが認められる
しかし、DVやストーカーから逃れて生活しているなどの状況で、現在の住所や連絡先が配偶者に知られると困ってしまう方もいます。
源泉徴収票や診断書などを資料として提出する際は、現住所などを特定できる情報には黒塗り(マスキング)をした状態で提出することが認められています。
もっとも、マスキングした部分は裁判所でも確認できなくなるため、手続き上支障が生じることがあります。
このような場合には、裁判所には必要な個人情報を伝えつつ、それが相手方に開示されないようにするための制度が用意されています。代表的なものとして、次の2つの制度があります。
①非開示希望申出
非開示希望の申出とは、提出した書類から住所などの情報が相手方に知られると、社会生活に著しい支障が生じるおそれがある場合に、その書類を相手に開示しないよう裁判所にあらかじめ申し出る手続きです。
申出を行う際は、裁判所で配布されている「非開示希望申出書」に必要事項を記入し、対象となる書類を添えて一体として提出します。文書の一部だけを知られたくない場合は、該当箇所をマスキング(黒塗り)したコピーを提出します。手数料はかかりません。
非開示の対象には、本人の住所や連絡先だけでなく、勤務先や子どもの学校名などの情報も含まれます。もっとも、非開示の希望が必ず認められるとは限りません。裁判官が、調停を円滑に進める必要性などを考慮したうえで、相手方への開示を認める場合もあります。
具体的な提出方法は裁判所によって異なることがあるため、事前に申立先の家庭裁判所の窓口で確認しておくと安心です。
②秘匿決定申立
当事者間秘匿制度とは、申立人の住所などの情報が相手方に知られると社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがある場合に、秘匿申立てを行い、裁判所の秘匿決定を得ることで、情報を秘匿することができる制度です。
この手続きで秘匿の対象となるのは、申立人本人の情報のみです。秘匿決定が認められると、住所の記入欄には正しい住所ではなく「代替住所A」などと記入することができるようになります。正しい情報については、秘匿事項届出書面として別途届け出ます。
申し立てを行うには、秘匿決定申立書、秘匿事項届出書面と疎明資料(相手に住所等が知られることにより社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがあることを疎明する資料)を提出します。この手続きには、500円分の収入印紙と郵便切手が必要です。
| 非開示希望申出 | 秘匿決定申立て | |
|---|---|---|
| 定義 | 非開示の希望をあらかじめ申し出る手続き | 申立てにより、裁判所が秘匿の決定を行う手続き |
| 対象 | 申立人を特定する事項(住所等)だけでなく、子どもの情報なども | 申立人を特定する事項(住所等)のみ |
| 手続き | 非開示希望申出書を文書と一緒に提出 | 秘匿決定申立書・秘匿事項届出書面の提出および疎明資料が必要 |
| 費用 | 無料 | 収入印紙500円郵便切手 |
| 効果 | 知られても問題のない住所を記載することができる。閲覧謄写申請があった場合、裁判官の判断で開示される可能性がある。 | 住所の欄には「代替住所A」などと記載される。相手からの閲覧謄写申請は許可されない。 |
非開示希望と秘匿決定にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合うものを選びましょう。

弁護士
なお、相手方に知られたくない情報がある場合は、申し立ての前に必ず家庭裁判所に相談し、指示を受けてください。
離婚調停申し立ての流れ
離婚調停申立ての流れ
- 管轄の裁判所を調べる
- 離婚調停の必要書類を作成する
- 申立書類を家庭裁判所に提出する
- 家庭裁判所から呼出状が届き、調停期日が開かれる
1.管轄の裁判所を調べる
離婚調停は、どの裁判所に申し立ててもいいわけではありません。それぞれの裁判所が管轄する(担当する)地域が決まっています。
離婚調停の申し立て先は、原則的に相手方の住所地を管轄する家庭裁判所ですが、当事者双方の合意があれば別の場所を選ぶことも可能です。
離婚調停を申し立てる裁判所
- 相手方の住所地を管轄する裁判所
- 合意管轄
離婚調停の合意管轄の具体例としては、たとえば、相手に自分の住んでいる地域まで来てもらいその地域の裁判所で離婚調停をおこなう、2人の住所地の中間にある裁判所を選ぶなどの方法があげられます。
なお、相手方の住所地以外の裁判所を選ぶ場合(合意管轄の場合)は、当事者で管轄合意書を作成して申立時に提出する必要があります。
自分や相手方の住所地を管轄する家庭裁判所は、裁判所ホームページ内の裁判所の管轄区域で調べることができます。
相手の住所がわからない場合、何らかの手段を使って特定しなければ離婚調停を申し立てることができません。一般的には、役所で住民票の除票や戸籍の附票を取得して、現在の住所を調べる方法が使われています。
2.離婚調停の必要書類を作成する
離婚調停申立書や戸籍謄本、その他の書類を作成します。
書類は、家庭裁判所で受け取るか、インターネットでもダウンロードすることができます。また、家庭裁判所から郵送で取り寄せることも可能です。
多くの書類は、管轄する家庭裁判所ごとに違った書式が定められています。そのため、必ず申し立て先の裁判所の書式を用意しましょう。
年金分割を求める場合は、年金分割のための情報通知書を年金事務所から受け取る必要があります。年金分割のための情報通知書は、請求してから届くまでに1か月程度かかります。
このように、取得までに時間がかかる書類もあるため、離婚調停の申し立ての準備は余裕をもって始めましょう。
また、書類だけでなく、申し立て時に提出する収入印紙や郵便切手も用意します。
必要書類や手続きに分からないことがあれば、家庭裁判所の家事手続案内という無料相談で質問することができます。家事手続案内の利用方法などは後ほど説明します。
3.申立書類を家庭裁判所へ提出する
用意した書類を管轄の家庭裁判所へ提出します。
書類は郵送で提出することもできます。離婚調停の申し立てに関する書類は、重要なものなので、簡易書留やレターパックで送ることも多いでしょう。
また、家庭裁判所の窓口で直接、申し込みを行う方法もあります。裁判所に直接持って行った方が、窓口ですぐ訂正ができるため、円滑に手続きを進めることができるでしょう。
書類の提出時に、費用も併せて支払います。
手数料の収入印紙は、申立書に貼り付けます。郵便切手は現物を提出します。
4.家庭裁判所から呼出状が届き、調停期日が開かれる
裁判所の中で担当する裁判官・調停委員や1回目の調停期日が決定したら、呼出状が双方に普通郵便にて届きます。
事前に相手に離婚調停のことを伝えていなかった場合、相手方は呼出状が届いたときにはじめて離婚調停を申し立てられたと知ることになるでしょう。
調停の第1回期日は、申し立てをしてから1〜2か月後になることが多いようです。
調停期日では、夫婦がそれぞれ男女2人の調停委員と面談し、双方の意見を聞きながら話し合いが進められます。期日は通常、1〜2か月に1回程度の間隔で開かれ、話し合いがまとまれば調停成立となります。
最高裁判所の司法統計(令和6年)によると、夫婦関係調整調停の平均審理期間は約6.8か月、平均期日回数は3.6回です。期日と期日の間隔は平均1.9か月とされており、申立てから終了までには半年以上かかるケースが多いと考えておくとよいでしょう。
なお、法改正により、映像と音声を利用したウェブ会議で調停を成立させることも可能になりました。最終期日に裁判所へ出頭せず、自宅などから参加したまま手続きが完了する場合もあります。ただし、合意を成立させる最終期日は電話での参加は認められていません。
手続きの不明点は家事手続案内で相談できる!
家庭裁判所が行っている家事手続案内では、裁判所の職員から離婚調停の申し立て方法や手続きの流れについての案内を受けることができます。
ただし、離婚できるかどうかや慰謝料の額など、具体的な見通しについて、職員は答えることができません。
予約不要で、受付時間内に家庭裁判所に行けば案内を受けることができます。
受付しているのは平日の日中のみで、裁判所によって受付時間が異なります。例えば、東京家庭裁判所の受付時間は、8時30分~12時、13時~17時となっています。
また、裁判所によっては電話での案内が利用できる場合もあります。
関連記事
・家庭裁判所で離婚相談はできる?利用できる家事手続案内について解説
離婚調停が有利になる書類の書き方
申立書に最低限の離婚条件を書かない!
離婚調停申立書には、希望する離婚条件を記入しますが、離婚調停を有利に進めるには、この際に最低限の条件は書かない方がよいでしょう。
たしかに、最終的な落としどころとして、離婚調停の申し込みの時点で、「最低限ここだけは譲れない」という条件を想定しておくことは重要です。
しかし、養育費や財産分与、慰謝料などの額について、実務では、相手方の交渉によって下がることはあれど、当初の希望金額より上がることはほぼないといえます。
したがって、離婚調停申立書では、最低限の条件にある程度の余裕を持たせて書いておき、実際の調停の中で多少譲歩した方が、希望の条件を実現しやすいでしょう。
陳述書には具体的・客観的な事実を書く!
離婚調停を有利に進めるためのコツとしては、陳述書を作成する際、感情論ではなく具体的な事実を書くことがポイントです。
例えば、「夫がいつも暴力を振るうので許せません」などと書いても、調停委員会には、どのような暴力行為がどのくらいの頻度で行われており、申立人がどの程度の苦痛を受けていたのかは伝わりません。
陳述書の書き方の例
夫は〇年〇月〇日の〇時頃、自宅にて、私が夫の不貞行為を指摘したのがきっかけで、私に対し殴る蹴るの暴力を加えました。その結果、私は肋骨を骨折する怪我を負いました。
こちらの主張を十分に理解してもらうためには、このように、日時、状況、結果について客観的な記載を心がけると良いでしょう。
申立書に相手を刺激する内容を書かない!
離婚調停申立書は、相手方にも送付されます。そのため、相手を過度に刺激する内容は、スムーズな進行の妨げになる可能性がありますので、書かないほうが無難です。
例えば、申立書にあまりに無茶な離婚条件や、嘘の申し立て理由を書くと、相手にとっても調停委員会にとっても印象が悪くなってしまいます。
離婚調停を有利に進めるためには、調停委員の印象をよくすることも大切です。身なりや話し方を工夫するほか、慎重に実のある主張を展開することが重要です。
その後の離婚調停の流れを有利にもっていくためにも、冷静な書き方を意識してください。
調停の書類作成を弁護士に任せる!
離婚調停は、裁判に比べると簡易で利用しやすい手続きですが、きちんと書類を作成するにはかなりの手間とノウハウが必要です。
弁護士に離婚調停を依頼すれば、調停での受け答えや離婚条件などについてアドバイスが受けられるだけでなく、書類の準備も任せることができます。
また、申立書類に申立人の情報として弁護士事務所の住所や連絡先を記載できる場合があるため、相手に住所等を知られたくないとき、弁護士は役立ちます。

弁護士
このように、離婚調停を弁護士に依頼すれば、ご自身の負担を減らしつつ調停を有利に進めることができるでしょう。
関連記事
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離婚調停の申し立て・申立書でよくある質問
Q. 離婚調停の申し立て費用はいくら?
離婚調停の申立てには、主に収入印紙1,200円、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の取得費用450円、郵便切手代約1,000円が必要です。合計すると、おおよそ3,000円前後になります。これらの費用は、原則として申立人が負担します。
Q. 離婚調停はどこに申し立てる?
原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます(家事事件手続法245条)。ただし、夫婦双方が同意していれば、別の家庭裁判所で手続きを進めることも可能です。
Q. 離婚調停の申し立てから終了までどのくらい?
最高裁判所の司法統計(令和6年)によると、夫婦関係調整調停の平均審理期間(申し立てから終了まで)は約6.8か月です。調停期日は平均3.6回行われ、各期日の間隔はおよそ1.9か月とされています。
Q. 離婚調停の申立書は自分で作成できる?
申立書は、裁判所のホームページにある定型書式を利用すれば自分で作成できます。ただし、記載内容によって調停の進み方に影響することもあります。不安がある場合は、弁護士に相談すると安心です。
まとめ|離婚調停の申し立て方法をおさらい
- 離婚調停を申し込むには、必要書類をそろえて家庭裁判所に提出する
- 離婚調停の申し立てにかかる費用は3,000円程度
- 調停申立書や陳述書の書き方によって、離婚調停は有利になりうる
離婚調停の申し立てはご自身でも可能ですが、お一人では心細いと感じる方もいるでしょう。
そのような方は、ぜひ離婚をあつかう弁護士にご相談ください。
信頼できる弁護士を見つけるためにも、まずは無料相談の申し込みをしてみてください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

弁護士
収入印紙や切手は、裁判所内では販売していないことが多いため、あらかじめ郵便局やコンビニなどで購入しておきましょう。