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万引き余罪の調べ方は?窃盗罪は初犯でも余罪ありだと疑われる?
- 万引きの余罪はどこまで調べられる?
- 万引きは初犯でも余罪を疑われる?
- 万引きは余罪があると刑が重い?
万引き(窃盗罪)で警察に捜査・逮捕された場合、余罪はどこまで調べられるのでしょうか。
万引きの余罪が発覚する経緯は、加害者自身が自白するケースと警察の捜査によって明らかになるケースの2つがあります。
この記事では、警察が万引きの余罪をどのように調べるのか、万引きの余罪を自白するべきなのかなど、万引きの余罪について解説します。
現在警察に万引きで捜査されていて余罪の発覚が不安な方や、これから逮捕されるかもしれないとお悩みの方は、最後までご覧ください。
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目次
万引き(窃盗罪)の余罪とは?
万引きの余罪とは?
余罪とは、まだ捜査対象となっていない別の犯罪事実のことです。起訴されて被告人となっていれば、起訴されていない他の犯罪が余罪となります。
万引きの余罪とは、警察や検察に知られていない過去の万引き行為を指します。
万引きは窃盗罪で調べられる!
万引きは、刑法235条の窃盗罪として捜査されます。
取り調べでは、どんな動機で、いつ、どこで、何を盗んだのかなどを聴かれます。被害届の内容や、取り調べの内容をもとに、警察・検察は裏付けとなる物的証拠がないか調べます。
取り調べでは、余罪も調べられることがあります。
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万引きの初犯でも余罪を調べられるのか
万引きで逮捕されるのが初めての場合でも、万引きは繰り返されることが多い犯罪のため、余罪は調べられやすいです。
万引きをする動機が、ストレス発散のはけ口、貧困、窃盗症(クレプトマニア)などである場合、1回きりでは終わらないと考えられ、余罪を疑われます。
また、組織的窃盗グループの万引き事件も、転売目的で犯行に及んでいるため、余罪が疑われます。
警察から呼び出し・逮捕されるのが初めて(初犯)であったとしても、それは氷山の一角であり、警察の取り調べ・捜査が進むうちに、多数の余罪が発覚するケースは少なくありません。
魔が差してしまい、本当に一度だけしか万引きしていないようなケースであれば、余罪はないと警察に真摯に訴える必要があります。
警察への取り調べ対応に不安がある場合には、刑事事件に強い弁護士への相談がおすすめです。
万引き(窃盗罪)の余罪の調べ方
万引きの余罪はどこまで調べられる?
万引き・窃盗の余罪の被害届が提出されていない場合、余罪があるかどうかを、警察が積極的に調べるケースは少ないでしょう。被害者が被害を申し出ていない限り、警察の捜査は限定的になる傾向があるからです。
万引き・窃盗の被害届が提出されやすいのは、盗んだ金品が多数ある場合、被害額が高額な場合などです。
また、本罪の取り調べの過程で、万引き犯が余罪を自白した場合には、余罪の調査が始まってしまう可能性があります。
万引きを裏付ける証拠としては、被害店舗の防犯カメラ、店員・万引きGメンの証言などがあります。
ここまでをまとめると、警察は、万引きの余罪を捜査する際、以下のような方法で調べるといえます。
万引きの余罪捜査の例
- 被疑者の供述(自白)
- 防犯カメラの映像
- 家宅捜索・被害品の押収
- 目撃者の証言(万引きGメン、店員など)
- 被疑者の指紋・DNA
なお、万引きの余罪が立件され、本罪と合わせて2つの万引きで刑罰が下される場合には、本罪と余罪は併合罪として処罰されます。
実際の刑罰については「万引きで余罪があると刑罰は重い?」でご説明します。
万引きの余罪の自白をもとに調べる!
万引きの余罪が発覚する主な要因は、取り調べ中の自白です。
捜査中の万引き事件(本罪)の取り調べで、警察に追及された加害者が自白し、余罪が発覚することも少なくありません。
被疑者が任意に供述するなら余罪を聴取できるので、「他にやっていないか」等と問われ、自白するケースはよくあります。
自白により余罪が発覚した後は、自白の内容と照らし合わせて、防犯カメラ映像を確認したり、被害届の有無を調べたりして、余罪を裏付ける客観的証拠が集められることになります。
自白が得られると、警察の捜査はスムーズに進展し、より多くの事実が明るみに出る可能性が高まります。
万引きの余罪を警察が独自に捜査する!
同一犯による窃盗事件は手口が類似し、同一店舗や近隣店舗で繰り返される万引きも少なくありません。
本罪と類似する万引きを何度も繰り返していた場合、店舗や警察に犯行パターンが気付かれることもあります。
これにより、同一犯による犯罪と疑われて捜査され、万引きの余罪が発覚することもあります。
たとえば、万引き被害に遭った店舗は、少なくとも棚卸のタイミングで商品がなくなったことに気づくので、その前の来客を防犯カメラでチェックします。
そして再来時、マークされることがあります。
再来時に万引きをした場合、店員に見つかり、店舗に留め置かれ、通報により駆けつけた警察に事件を引き継ぐ際、過去の余罪についても証拠提出される可能性があります。
万引きの余罪で逮捕される可能性
万引きの余罪が逮捕される条件
ある万引き事件で捜査・逮捕されているからといって、必ず余罪でも逮捕されるとは限りません。
逮捕の要件は、嫌疑の相当性(万引きの証拠)と、逮捕の必要性(逃亡や証拠隠滅のおそれ)です。逮捕の要件は、事件ごとに判断します。
そのため、仮にすでに捜査中の事件(本罪)で捜査・逮捕中でも、それだけを理由に余罪も逮捕ということにはなりません。
万引きの余罪が逮捕される可能性は、具体的には以下の要因によって異なります。
万引き余罪が逮捕されやすい例
- 万引きした商品の金額が大きいか
- 万引きの態様は悪質か
- 万引きした回数が多いか
- 万引きした店の数が多いか
- 万引きの頻度は高いか
逮捕の可能性が高いのは、多数の万引き事件の嫌疑がある場合、万引きの被害金額が高額の場合などです。重い刑罰を逃れるために、逃亡や証拠隠滅をするおそれがあると判断されやすいからです。
逮捕される具体的な被害件数や被害金額は、各事案の状況によって異なります。
万引き事件の解決実績が豊富な弁護士であれば、万引きの余罪で逮捕される可能性についてアドバイスが可能です。
万引きの余罪で逮捕された後の流れ
余罪で逮捕された場合の流れは、本罪の逮捕の場合と変わりません。
逮捕後48時間以内に検察に送致され、24時間以内にそのまま身柄拘束を継続する必要があるかどうか判断されます。
その後、身柄拘束が不要であれば在宅事件に切り替わります。
身柄拘束が必要だと判断されれば、最長で20日間の勾留期間に入ります。
最終的に検察が起訴するかどうかを判断し、起訴されれば刑事裁判へと進みます。
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万引きの余罪があると刑罰は重い?
万引き(窃盗罪)の刑罰
万引きは窃盗罪に該当します。
窃盗罪は人の財物を盗む犯罪で、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」が法定刑となります。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法235条
窃盗罪で有罪判決を受けると、罰金刑・執行猶予判決・実刑になる可能性があります。
過去に、アトム法律事務所であつかった万引き事件では、有罪になった事件のうち罰金刑が約44%前後、懲役刑が約56%前後でした(アトム「万引きの罰金/懲役率」より)。
罰金の金額相場は約20万円前後(アトム「万引きの罰金の相場」より)、懲役刑の刑期の相場は約1年3ヶ月前後(アトム「万引きの懲役期間の相場」より)でした。
初犯であれば不起訴・罰金刑になる可能性がある一方、常習的に窃盗を行ってしまっていると判断された場合は、長期間にわたり服役が必要になる可能性があります。
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窃盗罪は余罪ありの場合、刑罰は重い?
万引きで余罪がある場合には、余罪の起訴の有無などによって、刑罰の上限が変わります。
本罪の起訴あり・余罪の起訴なし
起訴されていない余罪について、刑罰は科されません。
万引き1件(ほかに起訴されていない余罪1件あり)の場合、刑罰は「1ヶ月以上10年以下の懲役」または「1万円以上50万円以下の罰金」です。
起訴されていない万引き余罪のリスク
なお、起訴されていない余罪も、被告人の性格、犯罪の動機などの情状を考えるための資料にはできます(情状推知類型)。
ただ、余罪が考慮されると、実質的にみて余罪も処罰されたといえるほど重たい刑罰になるリスクが生じます(実質処罰類型)。
刑事裁判には、起訴されていない罪の審理はできない(不告不理)という原則があります。
起訴されていない余罪を理由に重たい刑罰になるリスクを回避するためには、刑事事件に詳しい弁護士のサポートが必要です。
起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮することは許されないが、単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等の情状を推知するための資料としてこれを考慮することは、憲法第三一条、第三九条に違反しない。
最判昭和41年7月13日
本罪の起訴あり・余罪の起訴あり
本罪でも余罪でも起訴された場合には、2件の万引きは両者は併合罪という関係になります。
併合罪とは、確定裁判を経ていない2個以上の罪のことです(刑法45条)。
余罪も起訴されて2件の万引きが問題になる場合、刑罰は「1ヶ月以上15年以下の懲役」または「1万円以上100万円以下の罰金」です。
併合罪の有期懲役刑の上限は、最も重い刑期を1.5倍した期間になります。併合罪の罰金刑の上限は、全ての罰金額の上限の合計値になります。
窃盗罪の通常の刑罰は、懲役10年以下または罰金50万円以下なので、2件の万引き事件では懲役15年(10年×1.5倍)以下または罰金100万円(50万円+50万円)以下になるのです。
本罪の起訴 | 余罪の起訴 | 刑罰 | |
---|---|---|---|
1 | あり | ✕ | 懲役10年以下又は 罰金50万円以下 |
2 | あり | あり | 懲役15年以下又は 罰金100万円以下 |
万引きの余罪に関するアトムの解決実績
①万引き(余罪あり)
スーパーマーケット、薬局などにおいて食料品等を万引きしたとされる事案。依頼者には同種前科があった。余罪あり。
弁護活動の成果
検察官に意見書を提出し勾留請求を回避。早期釈放を実現した。カウンセリングの実施報告書、診断書等を提出。結果、執行猶予付き判決を獲得した。
示談の有無
なし
最終処分
懲役1年4か月執行猶予3年
②横領・万引き(余罪あり)
食料品や日用品を万引きし、落し物の磁気カードを拾って収得したとされた窃盗や横領のケース。同種余罪あり。
弁護活動の成果
横領については示談を締結し不起訴処分となった。検察官への説得等粘り強く弁護活動を継続し、逮捕後の勾留を回避し、執行猶予付き判決を得た。
示談の有無
あり
最終処分
懲役1年執行猶予3年
万引き(窃盗罪)の余罪でよくある質問
Q.万引き(窃盗罪)の余罪は自白すべき?
本罪となる万引き行為が発覚して警察の捜査を受けている場合に、余罪について自白する必要があるかどうかはケースバイケースです。
加害者側の刑事処分にとって有利になることも不利になることもあるので、余罪の自白は慎重に判断する必要があります。
取り調べの前に弁護士に相談できていない場合には、余罪を含め、黙秘するのが無難です。
万引きの余罪を自白するメリット
警察に捜査される前に自ら過去の万引きを申し出ることで、反省態度をアピールすることができます。
これにより、逮捕されずに在宅捜査になったり、起訴されずに事件が終了したりするメリットが考えられます。
万引きの余罪を自白するデメリット
万引きの余罪による被害が深刻な場合には、自白したとしても逮捕・勾留されて身柄拘束が長期化する可能性があります。
また、本罪と余罪で両方起訴されると、併合罪として量刑が重くなることも考えられます。
Q.万引き(窃盗罪)は余罪も示談すべき?
万引きで余罪が多数ある場合には、全ての事件で示談を締結し不起訴処分となるのが理想です。
万引き・窃盗罪の示談とは、加害者から被害者に謝罪し、刑事事件について和解することです。
示談の際には、加害者から被害者に対して、示談金をお渡しすることも少なくありません。
万引きの場合、万引きした商品を買い取り、被害弁償をするケースも多いです。
余罪の示談は、刑事事件にくわしい弁護士に確認しながら進めるべきでしょう。
万引きの示談については『万引き事件の慰謝料・示談金とは?示談金相場も解説』でも解説しているので、あわせてご覧ください。
示談交渉の費用については『万引き事件の弁護士費用は?示談は弁護士に相談すべき?示談できない場合の対処法は?』の記事で解説しています。
Q.万引きの示談の注意点と対策は?
万引きの被害店舗が大手チェーン店などの場合、企業の方針として示談を拒否されるケースがよくあります。
当事者自身での交渉は困難ですが、弁護士であれば粘り強く交渉して示談の可能性を少しでも高くすることができます。
どうしても示談が困難な場合には、加害者側の反省態度を捜査機関や裁判所に示すため、供託や贖罪寄付など状況に応じた最適な代替手段を提案できます。
起訴される万引き事件を可能な限り少なくするため、万引きの余罪がある場合には、弁護士にご相談ください。
万引き(窃盗罪)で余罪がある場合は弁護士にご相談を
最後にひとこと
万引きは窃盗罪で逮捕される可能性があり、余罪がある場合、通常の刑罰より重くなる可能性があります。
万引きが2件になれば、刑罰の上限が、懲役の場合は1.5倍、罰金刑なら100万円になるなど、刑罰は重たくなります。
ただし、余罪も含め、被害店舗との示談が成立すれば、不起訴となり、刑罰を回避できる可能性が出てきます。
とはいえ、万引き(窃盗罪)の場合、示談が難しい場合も少なくないので、多数の余罪がある方もそうでない方も不安のある方は、刑事事件に強い弁護士に早期相談しましょう。
アトムの弁護士相談:24時間受付中
アトム法律事務所は、創設当初から刑事事件をあつかってきました。万引き(窃盗罪)をはじめとして、多数の刑事弁護に努めた実績があります。
万引き事件の場合、余罪多数の方も多いですが、実直に弁護を尽くします。
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- 家族が万引きの初犯で逮捕された
- 万引きの初犯だが余罪を疑われている
- 万引きで逮捕されたが、余罪の捜査に不安がある
くわしくはお電話でオペレーターにおたずねください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了