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傷害事件で被害届・告訴状を出されたら?取り下げで不起訴?時効も解説

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
- 傷害事件で被害届を出されたら逮捕?
- 被害届は取り下げてもらえる?
- 告訴されたら警察から呼び出し?
傷害事件を起こし、被害者から「被害届を出した」「これから告訴する」などと言われたら、今後どうなるのでしょうか。警察が傷害事件を認知すると、捜査が行われる可能性があります。
傷害事件は主に傷害罪に問われますが、傷害罪の公訴時効は10年です。この間、加害者は、警察から呼び出しを受けたり、検察に起訴されたりするリスクが続きます。
この記事では、傷害事件を起こしてしまい、被害届を出されそうな方や、すでに被害届を出された方に向けて、今後の流れ、不起訴を目指すための対策を詳しく解説します。
目次
傷害事件で被害届・告訴状を出されたら捜査される?
被害届|受理されたら捜査される可能性あり
被害届とは、加害者から受けた被害の申告をするものです。
傷害事件で被害届が出された場合でも、必ず警察の捜査が始まるとは限りません。
被害届は、加害者による被害を警察に知らせる手段のひとつであり、警察が事件を認知するきっかけにはなりますが、それだけで捜査を開始する義務は生じません。
警察は、被害届を受け取った後に、事件として取り扱うべきかどうかを判断します。その結果、事件性があると判断された場合にのみ捜査が始まるため、捜査開始の有無やそのタイミングは、警察の判断に委ねられているのが実情です。
告訴|受理されたら必ず捜査される
告訴が受理されると、警察は必ず捜査を行います。告訴とは、単なる被害の申告にとどまらず、加害者の処罰を求める明確な意思表示です。
告訴がなされた事件については、警察は速やかに捜査を進める必要があり、その後は検察に事件を引き継ぐ義務があります。
これは、犯罪捜査規範や刑事訴訟法によって定められているもので、告訴が被害届と異なり、警察に対して具体的な対応を求める強い効力を持つことを意味します。
被害届と告訴の違い
| 被害届 | 告訴 | |
|---|---|---|
| 被害の申告 | 〇 | 〇 |
| 加害者の処罰を求める | ✕ | 〇 |
| 捜査義務 | ✕ | 〇 |
被害届・告訴によって捜査された割合は?
こちらは、2023年、検察官が処分(例:起訴、不起訴など)を決めた傷害事件について、捜査のきっかけをまとめたものです。
2023年 傷害事件の捜査の端緒(傷害罪)*
| 件数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 認知 | 36,860件 | 98.6% |
| 告訴 | 384件 | 1.0% |
| 告発 | 25件 | 0.07% |
| 自首 | 155件 | 0.33% |
| 総数 | 37,384件 |
* 2023年検察統計「37 罪名別 既済となった被疑事件の捜査の端緒別人員」を参照し、整理しました。
「被害届」の割合について統計はありませんが、被害届は「認知」に含まれます。
捜査機関の「認知」によって、傷害罪の捜査が開始された案件は36,860件(98.6%)です。
実際のところ、被害者から被害の届出がなければ、傷害事件を認知することは難しいでしょうから、被害届によって捜査が開始されたケースは相当数にのぼると推察されます。
また、被害者が被害を訴える方法には、被害届のほかに「告訴」があります。「告訴」がきっかけで捜査が開始されたのは、全体の1.0%でした。
傷害事件は親告罪?
傷害事件は非親告罪
傷害事件は「非親告罪」に分類されます。非親告罪は、被害者が告訴しなくても、警察や検察が独自に捜査・起訴できる犯罪であることを意味します。
親告罪では被害者の告訴がなければ刑事手続きが進まないのに対し、非親告罪である傷害事件では、被害届や第三者からの通報、または警察自身の判断によって捜査が開始される可能性があります。
たとえ被害者が告訴しなくても、事件性があると判断されれば、加害者が刑事責任を問われることがあります。
告訴なしで捜査が開始されるケースとは?
警察や検察が犯罪の証拠を掴めば、被害者の意思とは関係なく、傷害罪で捜査や起訴される可能性があります。
たとえば、以下のようなケースが挙げられます。
- 防犯カメラの映像に暴力行為が記録されている。
- 目撃者の証言や第三者からの通報がある。
- 医師の診断書により傷害が確認される。
上記のような証拠があると、告訴がなくても、警察や検察が独自に捜査を続けることが可能であり、結果的に起訴されてしまうこともあります。
傷害事件が警察に認知されたら呼び出し・逮捕・起訴される?
傷害の被害届・告訴状を出されたら警察から呼び出し?
傷害事件で被害届を出されたら、警察から呼び出しを受ける可能性があります。
警察からの呼び出しは、傷害の容疑が疑われている場合に、任意で警察署への出頭を求めるものです。
出頭後の取り調べの流れは以下のように進むため、事前に把握しておきましょう。

警察からの呼び出しには逮捕のような強制力はないため、拒否することもできます。
しかし、呼び出しを拒否し続けると逮捕のリスクが高まるため、できる限り呼び出しには応じたほうがいいでしょう。
任意の取り調べで作成される供述調書は、本人の供述として事件の証拠になります。調書に一度署名をしてしまうと、あとから訂正することは難しく、のちの刑事処分において不利になってしまう可能性があります。
そのため、取り調べを受ける前に、話すべき内容や注意点などを弁護士に相談しておくことが望ましいでしょう。
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・取り調べの対応はどうする?逮捕される可能性は?携帯で録音は違法?
傷害の被害届・告訴状を出されたら逮捕?
傷害事件で被害届が出されても、必ず逮捕されるわけではありません。

そもそも逮捕とは、被疑者として疑われる十分な証拠があり、かつ「逃亡のおそれ」または「証拠隠滅のおそれ」が認められる場合に行われる手続きです。これらの要件が揃っていなければ逮捕はされません。
傷害事件で逮捕される可能性が高いのは、たとえば怪我を負わせた相手が顔見知りの場合や、後日被害者を恐喝して口裏合わせをする可能性などが疑われる場合などです。
一方で被害届が出されても、被害者の怪我が軽微で事件を認めている場合などは、逮捕されずに在宅で捜査が進められることも多いです。
傷害事件で逮捕された後の流れについては、『刑事事件で逮捕される場合とは?逮捕の種類、逮捕後の手続きを解説』もご覧ください。
傷害の被害届・告訴状を出されたら起訴?
傷害事件で被害届を出されても、必ず起訴されるとは限りません。
起訴とは、捜査を行った事件について検察官が裁判を開くよう請求することです。仮に被害届を出されて捜査が行われても、不起訴処分という形で事件が終了することもあります。
もしも傷害事件で起訴された場合は、通常の刑事裁判もしくは略式裁判で裁かれることとなります。
日本では起訴された事件のうち約99%が有罪判決となっているため、傷害罪の前科がついてしまうのを避けたいならば、まずは不起訴処分の獲得を目指すことになるでしょう。
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・刑事事件の起訴とは何か?起訴を防いで前科を回避する方法を弁護士が解説
傷害事件で被害届を取り下げてもらうことは可能?不起訴になる?

示談とは、事件の加害者が、被害者に対して謝罪をし、被害者の許しを得て、和解の合意をすることです。
傷害事件においては、被害者と示談することが非常に重要です。
ここでは、示談によって期待できる効果を解説します。
示談の内容次第で被害届を取り下げてもらえる
示談したからといって被害届を必ず取り下げてもらえるわけではありませんが、示談の内容によっては被害届を取り下げてもらえる可能性があります。
刑事事件の示談とは、加害者と被害者の間で事件に関する民事上の問題を解決する和解契約のことを指します。加害者が弁護士を通して被害者に示談を申し入れ、示談金を支払って和解するのが一般的な示談の流れです。
示談交渉で「被害者は被害届を取り下げる」という条件を盛り込むことができれば、被害届を取り下げてもらえる可能性が高いでしょう。
関連記事
・刑事事件の示談とはどういうもの?示談の方法や流れ、タイミングを解説
被害届を取り下げてもらえたら不起訴になる?
被害者との示談により被害届を取り下げてもらうことで、不起訴処分の可能性を高めることができます。
起訴・不起訴の判断をする検察官は、処分を決める際に被害者の処罰感情を考慮します。
示談によって当事者間の問題が解決していることを示すことができれば、刑事罰を与える必要性が低いと判断される事由になるのです。
もっとも、被害届を取り下げてもらったからといって必ず捜査が終わったり、不起訴になったりするわけではない点には注意が必要です。
事案によっては被害届を取り下げてもらえなかったり、取り下げても起訴を回避できない場合もあります。しかし、そのようなケースでも、示談の成立は、刑を軽くするための要素になり得ます。
関連記事
・不起訴処分とは?刑事事件で不起訴を目指す方法と弁護士の役割を徹底解説
示談すれば傷害事件の刑事事件化を防げる?
被害届を出される前に示談が成立すれば、傷害事件が刑事事件化するのを防げる可能性があります。
刑事事件化とは、警察が事件として正式に捜査を開始することを指します。
示談の際に、被害者が同意すれば「被害届を提出しない」という取り決めをすることが可能です。被害届が提出されなければ、傷害の事実が警察に発覚して刑事事件化してしまうリスクが下がります。
示談によって刑事事件化を避けるためには、被害者の感情に寄り添いながら、適切な条項を取り決めなければいけません。具体的にどのような条件で示談すれば刑事事件化を防げるかについては、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
傷害罪の刑罰は?時効は何年?
傷害罪の刑罰は?
傷害罪の刑罰は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
傷害罪の量刑は、被害者に負わせたけがの程度や、事件の悪質性、示談の有無などが考慮されます。
凶器などを用いた悪質な傷害事件の場合は、量刑が引き上げられる事由になります。
傷害罪にあたる行為はどんなもの?
傷害罪とは、故意に人の身体を傷害することによって成立する犯罪です。
骨折のような目に見える怪我はもちろんですが、うつ病やPTSD、ノイローゼなどの精神疾患を発症させた場合などにも傷害罪が成立する可能性があります。
傷害罪が成立しうる行為の例
- 殴って骨折させる
- 刃物で切り付けて怪我を負わせる
- 病気に感染させる
- 嫌がらせによってPTSD・ノイローゼなどを発症させる
傷害事件の時効は?
傷害罪の「公訴時効」は10年
傷害事件の公訴時効は10年です。公訴時効とは、犯罪が発生してから一定期間が経過すると、その事件については起訴できなくなる制度を指します。
この期間内であれば、加害者が誰であっても、逮捕や起訴される可能性があります。逆に言えば、事件発生から10年が経過すると、たとえ加害者が特定されても起訴はできず、刑事責任を問うことはできません。
つまり、傷害事件を起こした場合、10年間は捜査や刑事手続きの対象となる可能性があるということにです。
刑罰の違いで時効の長さが変わる場合も
傷害事件でも、被害者が死亡した場合は「傷害致死罪」としてより重く扱われ、公訴時効も延長されます。
通常の傷害罪の公訴時効は10年ですが、傷害致死罪は「3年以上20年以下の有期拘禁刑」が科される重罪に該当するため、公訴時効は20年となります(刑事訴訟法250条1項2号)。
つまり、被害者が死亡するなどして罪が重くなる場合には、それに応じて公訴時効も長くなり、加害者がより長い期間、刑事責任を問われる可能性があるということです。
傷害罪と傷害致死罪の時効
| 傷害罪 | 傷害致死罪 | |
|---|---|---|
| 公訴時効 | 10年 | 20年 |
| 内容 | 一般的な傷害行為 | 傷害の結果、被害者が死亡した場合 |
傷害事件の被害届・告訴に関するよくある質問
Q.傷害罪の告訴状を出されたらどうなる?
被害届と似たものに、告訴状があります。告訴状は、単に犯罪の被害を申告する被害届と異なり、「加害者の処罰を求める」旨の意思表示を含む書面です。
告訴状を受理した捜査機関は、必ず捜査を行わなければなりません。そのため、傷害事件の被害者が告訴状を提出し、告訴状が正式に受理された場合は、必ず捜査を受けることになります。
もっとも、捜査機関は告訴状の受理にはかなり慎重であると言われています。
Q.傷害は被害届がないと起訴できない?
被害届は、刑事事件を起訴する条件ではありません。
そのため、被害者から被害届が提出されていなくても、傷害罪の起訴は可能です。
Q.初犯の傷害事件は不起訴になる?
傷害事件は初犯であっても、事件態様が悪質な場合などは起訴される可能性があります。
ただし被害者のけがが軽微で示談が成立している、反省の態度を示している場合などは不起訴になる可能性が高いです。
いずれにせよ、不起訴の可能性を高めるためには被害者との示談が鍵になるでしょう。
アトムの解決事例(傷害事件)
こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った傷害事件について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。
駅での傷害事件、被害届提出前に受任し、不送致となった事例
電車内及び駅ホーム上において、被害者に対し肩を殴る、引っ掻くなどの暴行を加えたとされたケース。被害者は全治2週間のケガを負った。傷害の事案。
弁護活動の成果
被害者が被害届を提出する前の段階で示談を締結。検察に送致されることなく事件終了となった。
元交際相手に傷害の被害届を出されたが、不起訴を獲得した事例
交際していた被害者女性と寝ていたところ、寝返りをうった際に手が被害者の目にあたり、ケガを負わせたとされるケース。交際解消後に診断書とともに警察に被害届が出された。傷害の事案。
弁護活動の成果
故意による暴行でないことを主張し、不起訴処分を獲得した。
より多くの事案をご確認されたい方は『刑事事件データベース』をご覧ください。
アトムのご依頼者様からのお手紙
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
不起訴への活動の経過、内容を細かく報告してくれました。

子供が傷害事件をおこしてしまい、家族が落ちこんでしまい相談するところがなく、途方に暮れていたところ、アトム法律事務所を知ることになりました。最初のご相談から、日々解決(不起訴処分)に向けて対応され、ありがとうございました。ご担当されました、射場先生におきましては、ご対応期間も経過・対応内容を細かく報告していただき、大変感謝しております。最後に信頼できる法律事務所、先生でよかったです。今後のご活躍をお祈りしまして、お礼の言葉にかえさせていただきます。
迅速かつ丁寧な対応のおかげで、事件が解決できました。

射場先生お世話になりました。今回泥酔のうえ傷害事件を犯してしまい非常に困惑していた所こちらの法律事務所にご相談させて頂き迅速かつ丁寧に対応頂けたおかげで、無事に事なきを得る事ができました。今後この様な事が無い様に致します。最後になりましたが、射場先生助けて頂き誠に有難うございました。
弁護士へのご相談が早ければ早いほど、多くの時間を弁護活動にあてることが可能です。
傷害事件でお悩みの方は、お早目にアトム法律事務所までご相談ください。
傷害事件の被害届を出されたら弁護士に相談!
傷害事件の示談には弁護士が必須!
被害者と示談を行うためには、弁護士への依頼が事実上必須になります。

被害者が加害者本人と直接のやり取りを嫌がるケースや、口裏合わせを防ぐために加害者との直接のやり取りを制限するように捜査機関から言われているケースも多いです。
捜査機関が加害者本人に被害者の連絡先を教えてくれないことも多いですが、弁護士であれば、加害者に代わって被害者の連絡先を捜査機関から受け取り、示談交渉に臨むことができるでしょう。
また、不起訴処分の獲得につながる条項を盛り込んだ示談書を作成するには、弁護士の専門知識が欠かせません。示談書を自作してしまうと後にトラブル化するケースもあるため、傷害事件の示談は弁護士にご相談ください。
傷害事件に強い弁護士の相談窓口:24時間相談ご予約受付中
傷害罪は親告罪ではありませんが、被害届や告訴状を提出されたら、捜査が開始し、起訴される可能性があります。
起訴されて、裁判で有罪が確定したら、刑罰を受けたり、前科が付いたりします。
傷害事件で前科を付けたくない方は、刑事事件に強い弁護士に相談しましょう。
被害者が加害者の氏名や住所を知っている場合は、被害届が提出された時点での逮捕も考えられます。
逮捕後、長期間身柄を拘束されて会社を解雇されてしまうなど、取り返しのつかない事態を防ぐためにも、可能な限り早めに弁護士に相談することが必要です。
アトム法律事務所は刑事事件だけを扱う法律事務所として開業した沿革があり、傷害事件に関しても豊富な解決実績があります。
お悩みの方は、まず弁護士に相談してみてください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

