離婚成立の別居期間は何年?1年2年で認められる条件と裁判の目安

配偶者が離婚に応じない場合、別居期間を置くことで裁判離婚できる可能性が開けます。
実務上、離婚が認められる別居期間の目安は3年~5年以上とされていますが、これは法律で定められた明確な基準ではなく、夫婦の個別事情を総合的に考慮した結果です。
同居期間と別居期間の長短、夫婦関係の修復の余地、未成熟子の有無、婚姻費用の支払状況などを裁判所が総合判断し、離婚の可否が決まります。不貞行為やDVなど別の離婚原因がある場合は、別居年数にかかわらず離婚が認められることもあります。
まずは目安となる期間ごとの裁判離婚の可能性を確認しましょう。
| 別居期間 | 裁判離婚の可能性 |
|---|---|
| 半年や1年 | 原則として困難 |
| 2年 | 状況による |
| 3年 | 可能性が高い |
| 5年以上 | ほぼ認められる |
※期間はあくまで一般的な目安であり、個別の事情により判断は異なります。
なぜ2年だと判断が分かれるのか、短い期間でも認められる例外とは何か、裁判離婚に必要な別居年数、注意点等を実例や裁判の傾向にもとづいて分かりやすく解説します。
現在、別居中の方、離婚をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
別居何年で裁判離婚できる?3年以上?
ここでは、裁判離婚に必要な別居期間に関する実務や判例の考え方について、詳しく解説します。
離婚裁判で別居期間が重要となる法的根拠
協議離婚や調停離婚で合意に至らなかった場合、離婚訴訟を提起して、裁判離婚を目指すことになります。
離婚訴訟で離婚できる条件は、法定離婚事由が存在することです。
法定離婚事由とは、不貞行為をはじめとする、次の1~5までに該当する事由です(民法770条1項)。
法定離婚事由
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復見込みのない強度の精神病
- 婚姻を継続し難い重大な事由
→夫婦関係の破綻
※2026年4月1日の民法改正で、回復の見込みのない強度の精神病は法定離婚事由から削除されます。
法定離婚事由について、詳しくは『離婚できる理由とは?法定離婚事由と要件を弁護士が解説』という関連記事をご覧ください。
別居と法定離婚事由の関係
実務上、別居は法定離婚事由のなかでも「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められるケースが最も多いといわれています。
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、夫婦関係が破綻し修復の見込みがないことを指します。
そして、長期間の別居期間があることも、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するケースがあります。
「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められる別居期間は、夫婦の有責性が同程度の場合、一般的に3〜5年程度が目安となります。
ただし、別居年数が3年~5年であれば必ず離婚事由に該当するという形式的な判断はされません。
裁判離婚が認められる法律要件はあくまで「婚姻を継続し難い重大な事由」であって、「3年~5年の別居期間を経ること」ではないからです。
過去の判例や裁判例は、同居期間と対比した場合の別居期間の長さ、未成熟子の存否、別居後の婚姻費用の分担状況などを総合的に考慮したうえで、「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無を判断しています。

弁護士
夫婦の事情はそれぞれで、裁判所の判断もケースによって分かれます。
離婚成立を目指す場合は、まずは離婚を扱う弁護士に、どのような対策が必要なのか相談してみるのもよいでしょう。
別居2年~3年がひとつの境界線
協議や調停で合意に至らなかった場合、離婚訴訟を提起して裁判離婚を目指すことになります。
このとき重要になるのが別居期間の長さです。
離婚裁判において別居期間が2年を超えてくると、実務上の判断傾向が少し変わり始めます。
2年という期間は、単なる夫婦喧嘩や一時的な冷却期間とは異なり、婚姻関係の破綻が現実味を帯びてくると評価されやすくなるからです。
ただし、2年の別居期間でも「関係修復の余地がある」として離婚が認められなかった裁判例もあります。
別居期間3年になると、離婚が認められる可能性は高まります。
夫婦としての交流がなく、生計も完全に別々である状態が3年も続いていれば、もはや婚姻関係は破綻しており、夫婦としての実態がないと判断されやすいためです。
別居期間2年で判断が分かれる理由
別居期間2年という期間は、裁判所が夫婦関係の破綻を判断する際の一つの参考事情とされています。これは法律上の明確な基準ではなく、最終的な判断は個別の事情を踏まえて総合的に行われます。
実務では、相手に大きな落ち度がない場合、かつては「別居5年程度」が一つの目安とされていました。近年は、別居3年前後でも婚姻関係の破綻が認められる例が増えています。
もっとも、別居期間が2年前後の段階では結論が分かれやすく、同居期間とのバランスや離婚意思の継続性、関係修復に向けた働きかけの有無などが総合的に検討されます。
一方で、別居が長期間に及んでいても、婚姻関係を維持しようとする姿勢が認められる場合には、離婚が認められないこともあります。
別居期間2年前後で判断が分かれる主な要因を整理すると、以下のようになります。
| 離婚が認められやすい | 離婚が認められにくい |
|---|---|
| 別居後、一切連絡を取っていない | 別居後も定期的に連絡を取り合っている |
| 婚姻費用の支払いが滞っている | 婚姻費用が適切に支払われている |
| 子どもの行事にも別々に参加 | 子どもの行事に一緒に参加している |
| DVや不貞など明白な離婚原因がある | 離婚原因が性格の不一致など抽象的 |
| 修復に向けた話し合いを拒否している | 修復に向けた話し合いに応じている |
| 婚姻期間が短い | 同居期間が長い |
このように、別居期間2年という期間は、修復可能性を検討する上での一つの期間的な目安にはなり得ますが、それだけで直ちに離婚の可否が決まるわけではありません。
同居期間の長さや、別居に至る経緯、誠実な対応の有無などを含めた総合判断となります。
離婚で問題となる別居の起点
離婚裁判では、「別居期間をいつから数えるか」が争点となることがあります。
実務上、財産分与などの基準となる時期は、夫婦の協力関係が終了したと認められる時点です。原則として別居開始日がこれにあたります。
単身赴任や子どもの進学に伴う転居、病気療養や里帰り出産などは、経済的協力関係が続いているとみなされるため、別居の基準時には含まれません。
一般的には、夫婦が物理的に同じ住居で生活しなくなった時点が起算点となります。別居期間が重視されるのは、婚姻の本質である同居・協力・扶助関係の終了を示す、客観的で明確な指標となるためです。
同じ住居に暮らしていても、生活や家計が完全に分離され、夫婦としての実態が失われた「家庭内別居」が長期間続く場合には、実質的な別居として扱われることがあります。
実務では、完全な別居に至る前のこうした状態も、その後の物理的な別居期間とあわせて総合的に評価し、全体として「回復の見込みがない」と判断される例が見られます。
別居半年や1年で離婚できるケース
別居期間が半年や1年でも、裁判で離婚が認められるのは以下のようなケースです。
必要な別居期間が短くなる事情
- 相手からのDVやモラハラがあり身の危険がある
- 相手が不貞行為、いわゆる浮気をしている明白な証拠がある
- 相手が生活費を渡さない
- 婚姻期間が短い
家庭裁判所の実務では、婚姻関係の破綻が明白であり、修復の可能性がない場合は、別居期間の長さにかかわらず離婚が認められる傾向があります。
家庭裁判所の実務では、婚姻関係の破綻が明らかで、関係修復の見込みがないと判断される場合には、別居期間の長さにかかわらず離婚が認められる傾向があります。
例えば、DVについて警察や配偶者暴力相談支援センターへ相談した記録が残っている場合や、不貞行為を裏付けるホテルの領収書や探偵の調査報告書などの証拠がある場合がこれに当たります。
また、婚姻期間自体が1年から2年程度と短いケースでは、別居期間がおおむね1年であっても離婚が認められやすいとされています。これは、裁判所が同居していた期間と別居期間の長さを比較し、夫婦関係の実態を判断するためです。
たとえば、婚姻期間1年のうち半分を別居している場合には、実質的な夫婦共同生活が十分に形成されていなかったと評価されやすくなります。
離婚までの別居期間が長くなるケース
以下の事情があると、離婚が認められる別居期間が長くなる傾向があります。
必要な別居期間が長くなる事情
- 婚姻期間が長い
- 離婚を請求する配偶者の有責性が比較的高い
- 未成熟子がいる
など
離婚を請求する配偶者の有責性が比較的高いというのは、不貞行為をした側からの離婚請求、DVをした側からの離婚請求などのケースが考えられます。
このような有責配偶者からの離婚請求が裁判で認められるには、そうでない場合と比べて、より長期間の別居が求められる傾向があります。
統計から見る離婚成立までの別居期間の実態
別居期間1年未満で離婚する割合が最多
まず始めに、別居開始してから離婚に至るまでに、何年かかったかを調査した統計をご紹介します。
下の円グラフをご覧ください。

厚生労働省「離婚に関する統計の概況」P18の情報を円グラフにまとめました。
令和2年度、別居の後に離婚した夫婦の別居期間について、最も多いのは1年未満で、全体の82.8%を占めています。
次いで、別居年数1年以上5年未満で離婚した夫婦が11.7%、5年以上が5.5%と続きますので、離婚までの別居年数としては1年未満が圧倒的に多いことが分かります。
次に離婚の方法による別居期間の違いも確認してみましょう。
協議離婚の別居年数も1年未満が断トツ
協議離婚した夫婦の別居期間についても、最も多い別居年数は1年未満で86.2%に上ります。

厚生労働省「離婚に関する統計の概況」P18の情報を円グラフにまとめました。
こちらの数字から、協議離婚の場合、別居を開始すると多くの夫婦がそれほど時間をかけずに離婚の合意に至っていることがわかります。
協議離婚の半数以上は別居せずに離婚成立
協議離婚では、別居をせずに離婚に至るケースも少なくありません。
法務省が令和3年に実施した調査では、協議離婚を経験した30代・40代の男女1,000人のうち、離婚前に別居をしていた人は43.0%にとどまり、57.0%は別居をしないまま離婚しています。
この結果から、当事者同士の話し合いによって成立する協議離婚では、半数以上が同居を続けたまま離婚に至っている実態がうかがえます。
つまり、離婚の成立に別居は必須ではなく、双方が合意すれば別居期間がなくても離婚は可能です。
ただし、相手が離婚に応じない場合には、別居を継続することで婚姻関係の破綻を示しやすくなり、裁判による離婚につながる可能性があります。
裁判離婚も1年未満は多いが長期化の傾向も
裁判離婚した夫婦の別居期間についても実は、最多が1年未満で56.8%、次に多いのが1年以上5年未満で34.1%となっています。

厚生労働省「離婚に関する統計の概況」P18の情報を円グラフにまとめました。
※ここで言う「裁判離婚」には、調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚及び判決離婚の5種が含まれます。
裁判離婚では、別居期間が1年以上となるケースが、協議離婚の約3倍に増えます。
調停利用者の別居期間の実態
家庭裁判所で離婚調停等を利用した夫婦について、司法統計のデータをもとに別居期間の実態を見てみます。
令和6年の婚姻関係事件58,429件のうち、別居していた夫婦の別居期間は次のとおりです。
| 別居期間 | 件数(割合) |
|---|---|
| 2か月未満 | 12,022件(23.5%) |
| 2か月以上3か月未満 | 4,689件(9.2%) |
| 3か月以上6か月未満 | 8,141件(15.9%) |
| 6か月以上1年未満 | 8,060件(15.7%) |
| 1年以上2年未満 | 6,857件(13.4%) |
| 2年以上3年未満 | 3,070件(6.0%) |
| 3年以上 | 8,039件(15.7%) |
| 期間不詳 | 335件(0.7%) |
出典:令和6年 司法統計年報(家事編)第21表
※割合は別居していた夫婦51,213件(期間不詳含む)を母数として算出
このデータを見ると、調停などを利用している人のうち、別居期間が2か月未満のケースが最も多く、全体の23.5%を占めています。また、別居から2年未満の段階で調停を申し立てている人は全体の約77.8%に上ります。
一方で、3年以上の別居を経てから調停を申し立てているケースも15.7%みられます。
なお、総数58,429件のうち、同居中に調停が申し立てられたケースは6,334件(10.8%)、同居とも別居ともいえない状態のケースは882件(1.5%)でした。こうした点から、離婚調停は必ずしも別居を前提として申し立てられるものではないことが分かります。
調停が不成立となり、その後も別居が継続して最終的に裁判離婚に至る場合には、結果として別居期間が数年に及ぶこともあります。
裁判離婚の別居期間が長くなる2つの理由
裁判離婚をする夫婦の別居年数が長期化する理由は、二つ考えられます。
一つ目は、スムーズに円満離婚できず、裁判にもつれこむ程に話し合いがこじれたため、時間がかかり別居年数を重ねてしまったという理由です。
裁判所を利用する離婚方法では、少なくとも半年から1年程度、離婚するまでにかかるので、別居年数が長期化しやすいものです。
裁判所の『人事訴訟事件の概況』によると、離婚の平均審理期間は15.5か月という調査結果もあります。

弁護士
裁判所の審理期間を考えると、裁判離婚のほうが、離婚成立までの別居期間が長期化しやすいといえます。
また、別居そのものを裁判離婚の理由にするために、長期の別居期間をもうけたという理由も考えられます。

弁護士
別居による婚姻関係破綻を理由とする離婚の場合、ある程度、長期の別居期間をもうけることが必要となります。
別居年数と裁判離婚の成立
○別居期間1年で離婚成立の事例
別居期間約1年の夫婦について、80歳になる夫からの離婚請求が認められた裁判があります(大阪高判平成21・5・26)。
この事案では、妻が夫のアルバムを焼却するなど、関係修復が絶望的であることを示す事情があったため、短期間でも認められました。
▼裁判所の認定・判断
- 婚姻期間は約18年間
- 大きな波風は立たないが、結婚当初に比べて収入が減り、夫婦で口論も
- 平成15年、夫が手術を受けて退院後、妻が準備するのは夕飯のみに
- 平成19年、妻が、先妻の位牌を勝手に長男宅に送る、夫のアルバムを大護摩で焼却する等した
- 平成20年、長女の学校卒業式の後、口論になり、夫が家を出て別居開始
- 別居期間は約1年
通常、1年という別居期間は短いと判断されがちです。
しかし、この事案では、妻が夫の気持ちを理解できず、夫婦関係の修復についても真摯に語らないこと等から、裁判所は夫婦関係の修復困難と判断し、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められるとして、別居期間が1年余でも離婚成立となりました。
✕ 別居期間2年で離婚不成立の事例
別居期間約2年の夫婦について、妻からの離婚請求を認めなかった裁判があります(東京高判平成25・4・25)。
この事案では、直前まで表面的には平穏に暮らしており、別居が唐突だったため、まだ修復の余地があると判断されました。
▼裁判所の認定・判断
- 夫の女性問題や暴行等により、妻は離婚の意思を固めたが、表面的には穏やかな婚姻生活を継続していた
- 離婚の申し出が唐突で、「夫婦関係改善の努力をしたが別居に至った」などの経緯はない
- 離婚を強く望んでいるが、夫婦関係を回復する見込みが全くないとまではいえない
このように、別居に至るまでの経緯に修復の努力が見られない場合、2年の別居期間だけでは関係破綻とは認められないケースもあります。
○別居期間4年10か月で離婚成立の事例
同居期間約10年に対し、別居期間は4年10か月余りの事案で、妻からの離婚請求が認められた裁判があります(東京高判平28.5.25)。
この事案では、別居期間の長さに加え、夫が生活費(婚姻費用)を十分に支払わなかったことが決定打となりました。
▼裁判所の認定・判断
- 夫のモラルハラスメントにより、妻は、精神科に通院するようになった
- 妻が、長男を連れて別居を開始した
- 婚姻期間は約10年
- 別居期間は約4年10か月(第一審時点の別居期間は約3年5か月)
- 妻の離婚意思は強固(第一審では離婚不成立のため控訴)
- 夫は調停で命じられた婚姻費用を十分に支払わない
妻の離婚請求は第一審で棄却されましたが、第二審の高等裁判所では、妻の強い離婚意思に対し、夫が関係修復に向けた具体的な行動を取っていなかったことや、婚姻費用の支払いも十分ではなかったことなどが考慮され、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められました。
これにより、約4年10か月の別居期間で裁判離婚が成立しました。
なお、第一審で請求が棄却された理由としては、妻の精神疾患が妻自身の思考パターンに起因する面が大きいとされたこと、子どもと夫の関係が良好であったこと、同居期間約10年に比べ別居期間が約3年5か月と短いと判断されたことなどが挙げられます。
一度離婚が認められなくても、別居を継続する、その別居期間中に夫婦関係の修復に努めないなどの事情がある場合、結論が変わり、離婚判決をだしてもらえることもあります。
有責配偶者は別居何年で離婚できる?
有責配偶者とは?自分からの離婚請求は可能?
有責配偶者とは、法定離婚事由(民法770条1項各号)にあたる行為をして、離婚の原因をつくった側の配偶者のことを指します。
有責配偶者の典型例は、不貞行為(浮気、不倫)をした配偶者などです。
有責配偶者の例
- 不倫した夫
- 悪意の遺棄
・理由もなく、一方的に家出
・生活費・婚姻費用を入れない - DVやモラハラをする旦那
など
実務では、不貞相手と再婚したいなどの理由から、有責配偶者が離婚裁判を提起するケースも一定数見られます。
有責配偶者からの離婚請求は基本的に認められませんが、別居期間が長期に及び、婚姻関係がすでに破綻していると評価される場合には、例外的に認められることがあります。

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簡単にお伝えすると、①長期間の別居期間、②夫婦間に未成熟の子どもがいないこと、③離婚請求された側が苛酷な状況におちいらないことの3つの要件が満たされた場合に、有責配偶者からの離婚請求が認められます。
関連記事
・有責配偶者でも離婚できる?有責配偶者と離婚する場合どうする?
離婚成立のためには別居期間10年が必要?
実務では、有責配偶者からの離婚請求であっても、別居期間が10年を超える場合には、離婚が認められる可能性が高まるとされています。
もっとも、判断は別居期間のみで決まるものではありません。夫婦それぞれの経済状況や別居後の婚姻費用の分担状況、離婚による他方配偶者の生活への影響などを踏まえ、最終的には個別事情を総合的に考慮して判断されます。
有責配偶者の別居期間と離婚裁判例
有責配偶者からの離婚請求が認められた事案と、認められなかった事案をそれぞれご紹介します。

弁護士
なお、こちらでご紹介するのは裁判の一例にすぎません。
ご自身のケースで離婚成立の可能性があるかどうかについては、弁護士の個別相談などを活用してご確認ください。
○別居期間約6年で離婚成立
別居期間6年で有責配偶者である夫からの離婚請求が認められた事案があります(東京高判平14.6.26)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- もともと会話の少ない夫婦であり、妻が不貞を疑わせるような行動をしたことにより夫婦間の溝が大きく広がった
- 妻が相当な収入を得ている
- 夫が妻に対する離婚給付として、夫名義の自宅建物を分与し、住宅ローンの残りも完済するまで支払続ける意向を示している
など
✕ 別居期間9年以上で離婚不成立
同居期間約14年、別居期間9年以上で有責配偶者である夫からの離婚請求が認められなかった事案です(東京高判平19.2.27)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚不成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 夫婦間の子は、重い障害を有するため、日常生活全般にわたり介護を必要する状況にある
- 子の世話をする相手方配偶者(妻)は、54歳であり就業して収入を得ることが困難な状態である
- 離婚すると、妻は現住居から退去しなければならなくなる可能性があり、経済的に困窮することが十分予想される
など
✕ 同居約18年、別居期間約9年4か月で離婚不成立
同居期間約18年、別居期間約9年4か月で、有責配偶者である夫からの離婚請求が認められなかった事案もあります(仙台高判平25.12.26)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚不成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 夫は不貞行為をした有責配偶者
- 妻は離婚を望んでいない
- 夫婦の子はまだ大学生(未成熟子)
- 夫の不貞・別居後、妻はうつ病になり思うように働けず、離婚をすると、妻は精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれる
など
○同居約10か月、別居期間約10年3か月で離婚成立
同居期間約10か月、別居期間約10年3か月で、有責配偶者である妻の離婚請求が認められた事案があります(最一小判昭和63・3・25)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 夫婦双方の年齢
- 同居期間と比べ、別居期間が長期間におよぶ
- 夫婦には子がない
- 妻との離婚で、夫が精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれる等の事情がない
など
○家庭内別居約11年、完全別居約5年で離婚成立
家庭内別居約11年、完全別居約5年で、不貞行為をした夫からの離婚請求が認められた事例があります(名古屋高判平成17・5・19)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 同居期間(家庭内別居を含む)は約40年間
- 夫婦双方の年齢が高齢
- 住まいを完全に分けた別居期間は約5年間
- 子どもは成人した
- 夫に対する信頼や愛情が感じられる妻の言動がない
- 夫婦ともに関係回復の努力をほとんどしていない
- 妻は株などで利益を得ている
→離婚によって、妻が精神的・社会的・経済的に極めて困難な状態におかれるとまでは言えない
離婚と別居期間に関するよくある質問
Q.別居2年で離婚できる?
別居期間が2年程度の場合、離婚が認められるかどうかは事案によって判断が分かれます。DVや不貞行為といった明確な離婚原因がある場合や、婚姻期間自体が短い場合、別居後に交流が途絶え関係修復の見込みがないといえる場合には、別居2年でも離婚が認められる可能性があります。
一方、別居中も定期的に連絡を取り合っている、子どもの行事に共同で参加しているなど、夫婦としての関係が一定程度維持されている場合には、2年ではなお期間が短いと評価される傾向があります。
Q.家庭内別居は別居期間に含まれる?
家庭内別居は原則として別居期間にカウントされませんが、実務上、完全に生活が分離され夫婦としての実態がない状態が長期間続いている場合、裁判所が一定程度評価することがあります。家庭内別居の期間だけで離婚が認められることはほとんどありません。
Q.別居期間1年未満でも離婚できる?
協議離婚であれば、双方が合意すれば別居期間にかかわらず離婚できます。統計では離婚の約83%が別居1年未満で成立しており、協議離婚した夫婦の約57%は別居せずに離婚しています。
裁判離婚の場合でも、DVや不貞行為など明白な離婚原因があれば、別居期間が短くても離婚が認められる可能性があります。ただし、離婚原因が性格の不一致など抽象的な場合、1年未満での裁判離婚は困難です。
離婚に向けた別居期間の注意点
別居前に証拠収集を完了する
相手が離婚に応じない場合には、離婚原因が存在することを裏付ける証拠をどれだけ確保できるかが重要になります。
自分の主張を裏付ける資料が十分にそろっていれば、離婚調停において調停委員会の理解を得やすくなり、相手方に対する説得も進みやすくなります。
離婚訴訟でも証拠の重要性は変わりません。裁判で離婚を認めてもらうためには、法律で定められた離婚原因が必要となるため、不貞行為やDV、モラハラなどの事実を客観的に示す証拠が不可欠です。
証拠が充実しているほど、離婚が認められる可能性が高まり、慰謝料の判断でも有利に働く傾向があります。
このため、別居を検討している場合には、可能な限り別居前に証拠を収集しておくことが望ましいといえます。例えば、不貞行為の立証にはメールやLINEのやり取りなどが有効です。
DVやモラハラについては、録音や録画のほか、被害状況を記録した日記も重要な資料になります。別居に至った経緯についても、日付を明記したうえで相手の言動や状況を具体的に記録しておくと、後の手続で役立ちます。
別居前に準備すべき資料
別居を開始する前に、次の資料や準備を整えておくと、その後の手続きを円滑に進めやすくなります。
収入関係資料
- 源泉徴収票
- 給与明細
- 確定申告書
婚姻費用を請求する際には双方の収入資料が必要になります。別居後は相手の資料を入手しにくくなるため、事前に確保しておくことが重要です。
別居理由書
- 別居に至った経緯
- 具体的な出来事や相手の言動
- 日付を付した時系列の記録
別居理由書は、調停や裁判において別居がやむを得ない事情によるものであることを説明する資料として用いられます。
財産関係資料
- 預金通帳のコピー
- 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 証券会社の取引残高報告書
- 車の登録事項等証明書
これらの資料は、財産分与の対象となる共有財産を把握するために必要となります。口座番号や金融機関名、支店名をメモしておくだけでも有用です。
子どもに関する資料
- 保育園や学校の連絡帳
- 医療記録
- 習い事の記録
子どもがいる場合、日常的な監護状況を示す資料は、親権や監護権の判断において重要な意味を持ちます。
生活設計に関する準備
- 別居後の住まいの確保
- 生活費の見通しの確認
- 利用可能な公的支援の確認
あわせて、別居後の生活を安定させるための準備も進めておくことが望まれます。
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相手に別居する旨と今後の方針を伝える
別居をする際、できれば事前に相手の同意を得ることが望ましいです。
なぜなら、何も言わず家を出てしまうと、夫婦の同居義務(民法752条)に反する「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に当たると主張され、慰謝料を請求されるおそれがあるからです。
もっとも、現実には事前の同意を得るのが難しいケースが大半でしょう。
その場合は、置き手紙が有効です。手紙には、別居を決めた理由や今後の方針を簡潔かつ冷静に書いておきます。
相手から「黙って出て行った」と主張されないために、置き手紙のコピーをとっておきましょう。
離婚を迷うなら別居半年~1年で協議を
離婚を明確に決意できない場合もあるでしょう。
そのような場合は、別居合意書を作成し、別居期間を明確に定め、一定の時期を迎えたら今後について協議する旨を約束しておくとよいでしょう。
長期の別居期間は、法定離婚原因に該当しやすくなるリスクがあります。
そのため、復縁を視野に入れる場合、別居開始から、長くても半年~1年以内には、夫婦の話し合いの機会をもうけるのが無難です。
離婚の話し合いが難航したら離婚調停の申立て
別居をして冷静に話し合いができる状態になれば、当事者で協議離婚に向けて話を進めましょう。
それが難しければ、弁護士に早めに相談して離婚調停を申し立てるのがおすすめです。
離婚調停では、離婚だけでなく、親権者、面会交流、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割などの離婚条件についても決められます。
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別居後は早期に婚姻費用を請求する
婚姻費用は、夫婦が婚姻している間の生活費です。
たとえ別居しても、収入の多い方の配偶者は婚姻費用の支払義務があります。
婚姻費用の支払義務は、基本的に請求時点から生じます。
したがって、別居後は、できる限り早く婚姻費用の支払を求めましょう。
相手が支払に応じなければ、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てます。離婚調停と一緒に申し立てる場合も多いです。
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別居期間中に離婚後の生活設計を立てる
別居して離婚の決意が固まった場合、離婚後の生活設計を具体的に立てることが大切です。
就職や、養育環境の整備、公的支援を調べるなど、別居期間を活用して再出発の準備を着々と整えましょう。
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離婚・別居期間のアドバイスは弁護士にお尋ねください
離婚成立に必要な別居期間まとめ
話し合いによる離婚では、別居が半年や1年程度でも、夫婦双方が合意すれば離婚は可能です。
一方、裁判での離婚では、一般的に離婚が認められる目安として別居期間は3年から5年程度とされます。ただし、この期間を満たせば必ず離婚できるわけではありません。同居期間との比較も判断の要素となります。
また、不貞など法定離婚事由を行った側が裁判離婚を請求する場合、別居期間は少なくとも10年程度必要とされるケースがあります。
離婚できる別居年数、離婚事由は、夫婦によって様々です。
弁護士は、あなたのお話しをお聴きし、裁判例に照らし合わせて、別居期間をはじめとする離婚問題の解決に向けたアドバイスをいたします。
配偶者の不倫に悩まされ、しまいには離婚を切り出されてしまったという方も、納得のいく解決を探るためにも、離婚をあつかう弁護士の無料相談を活用してみてください。
離婚をあつかう弁護士は、離婚に有利な別居期間だけでなく、慰謝料や財産分与など、離婚問題全般に関するご相談にも対応できます。
弁護士相談の内容(一例)
- 離婚成立のための別居期間の長さ
- 離婚までの婚姻費用の請求
- 離婚慰謝料の請求
- 離婚にともなう財産分与
- 年金分割
- 養育費
etc.
離婚に踏み切る決意ができていない方も、将来の選択肢を広げるために、早期に情報収集をしておくことに越したことはありません。いつでもお気軽にご相談ください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

弁護士
有責性とは、婚姻関係を破綻させた責任を意味します。