離婚の切り出し方と理由別の例文を弁護士が解説

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離婚の切り出し方

離婚を切り出す際は、感情的な言動を避け、理由と条件を事前に整理したうえで冷静に伝えることが、スムーズな協議離婚への近道です。

法務省の「協議離婚に関する実態調査(令和2年度)」によると、別居前に相手と話し合いをした人のうち「離婚すること」に合意できた割合は58.6%でした。一方、別居前に話し合いをしなかった人が理由として最も多く挙げたのは「話をすることがいやだったから」(37.9%)でした。

本記事では、離婚を切り出すベストなタイミング・状況別の伝え方・そのまま使える例文を弁護士監修のもとで解説します。

離婚を切り出す前に整理すべき準備と心構え

離婚を切り出す前に、以下のポイントを整理しておきましょう。整理しておかないと、冷静に話し合いができなかったり、反論された際に適切な対応ができなくなってしまいます。

離婚したい理由と原因を具体的に整理する

なぜ離婚したいのか、どんなことが原因なのかをはっきりさせておきましょう。

「あなたが嫌だから離婚したい」と伝えただけでは、なかなか納得してもらえないでしょう。「嫌」という気持ちの裏には、その原因となったこと、例えばモラハラや意見のすれ違いなどがあるはずです。

気持ちを紙に書き出したり、他の人に話を聞いてもらって整理するのも有効です。別居や関係修復の可能性も検討したうえで、それでも離婚が必要だと整理しておくと説得力が増します。

状況に適した伝え方を選ぶ

離婚の伝え方は、面と向かって話すだけでなく、メールやLINE、電話、手紙など様々な形があります。

すでに別居している場合は、内容証明郵便もよく使われています。内容証明郵便とは、どんな内容の文書が、いつ、誰から誰に差し出されたかを証明してくれる郵便局のサービスです。

しかし、文章でのコミュニケーションは、直接話すよりも相手に冷たい印象を与えてしまいがちです。冷静に意見を伝えられるというメリットはありますが、使う場面は考えた方が良いかもしれません。

また、弁護士に依頼して、弁護士を通して離婚の意思を伝えることもできます。弁護士から連絡が届くと、こちらが本気で離婚を望んでいることが相手に伝わりやすくなります。

感情的にならず冷静かつ相手を尊重して伝える

話し合いには、冷静な態度で臨むべきです。また、相手の方が明らかに悪かったとしても、相手の気持ちに配慮した言葉選びを心がけましょう。

こちらから一方的に責め立てると、相手の態度が硬化してスムーズに話し合いが進まない可能性があるためです。

感情的になりそうな場合は、親や友人に同席してもらう、または第三者の目がある場所で話すと安心です。

離婚を切り出すベストなタイミングはいつ?

話し合いを切り出しやすい時間帯と場所

時間帯は、お互いに気持ちに余裕があって疲れていないときを選ぶのがよいでしょう。

場所は、相手が冷静に話せるなら自宅で問題ありませんが、逆上の恐れがある場合は第三者の目がある場所を選ぶか、親や友人に同席してもらうことも一つの方法です。

暴力やモラハラがある場合は、当事者間での話し合い自体が困難なケースも多く、弁護士や自治体の相談窓口への相談を先に検討することが推奨されます。

子どもがいる場合に配慮すべきタイミング

子どもがいる場合、離婚の話し合いには同席させないようにしましょう。

法務省の「協議離婚に関する実態調査(令和2年度)」によると、離婚前に子どもに「離婚すること」を説明した親は53.0%、「離婚理由」を説明した親は33.2%にとどまっています。また、別居する際に子どもに説明をしなかった親は40.7%おり、その理由の77.7%が「子どもが幼かったから」でした。

離婚の際には、養育費・面会交流・財産分与など子どもや財産に関する条件も決める必要があります。離婚について子どもに説明するのは、両親が落ち着いて話せるようになってからが適切です。

理由別の離婚の切り出し方とそのまま使える例文

離婚を切り出すとき、何をどのように伝えるべきかは離婚したい理由によって大きく変わります。まずは次の表を見て、状況に合った切り出し方の方向性を確認してください。

離婚理由伝え方重要ポイント
性格の不一致穏やか具体例で説得
相手の不倫冷静証拠で言い逃れ防止
モラハラ・DVきっぱり第三者を挟む
金銭問題淡々と数字で影響を示す
好きな人ができた前向き新しい相手は伏せる
別居を前提明確離婚前提と明言

以下、それぞれの理由別に具体的な例文と注意点を解説します。離婚の切り出し方に正解はありませんので、それぞれの夫婦の状況に合わせた言葉を選んでください。

性格の不一致ですれ違いが続いている場合

「この数年間、すれ違いばかりだったよね。このまま2人で過ごしていても、お互い幸せになれないと思うの。お互いに新しい人生を歩むために、離婚を考えてくれませんか」

性格の不一致が原因の場合は、協議や調停で離婚を目指すか、ある程度の別居期間を作ってから裁判で争うことになります。したがって、相手に同意してもらえなければ離婚は難しいと考えてください。

しかし、性格の不一致に悩んでいても、相手がその問題に気づいていないケースは少なくありません。そのため、当事者同士だけで離婚の話し合いを進めるのが難しくなることもあります。

性格の不一致による離婚の場合はとくに、切り出し方が重要となります。

相手に離婚に応じてもらうには、相手方配偶者のどのような言動について、自分がどのように思っているのか、寄り添おうと思ってもできない理由は何かなど、具体的なエピソードを伝えて説得してみるなど離婚の切り出し方を工夫してみましょう。

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相手の不倫や浮気が発覚した場合

「あなたは、二度としないと誓ったのにまた不倫をしました。もう信頼関係を取り戻すことは難しいので、離婚した方が良いと思います」

不倫や浮気が原因であれば、事実に基づいて冷静に伝えることが重要です。相手が否認する可能性もあるため、あらかじめ証拠をそろえておくと、話し合いを進めやすくなります。

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相手のモラハラや暴力に悩んでいる場合

「あなたの言動(暴力)にはもう我慢できません。このままでは私の心が壊れてしまいます。離婚してください」

モラハラやDVがある場合、話し合いの場でさらに傷つくおそれがあります。離婚の意思ははっきり伝えたうえで、できるだけ早く距離を置くことを優先しましょう。

このような相手との話し合いは、非常に難航することが予想されます。第三者を挟んでの話し合いも検討してください。

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借金や浪費など金銭問題がある場合

「何度も歩み寄ったつもりだったけど、あなたのお金遣いは治らなかった。これ以上家のお金を使い込まれたら、子どもの学費も払えなくなってしまいます。離婚してほしいです」

金銭問題が原因の場合は、事実に基づいて離婚を決意した理由を伝えることが大切です。相手の行動によって家計がどれほど苦しくなったのかや、これまで自分がどのように努力してきたのかを具体的に説明すれば、離婚への理解を得やすくなります。

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自分に好きな人ができてしまった場合

「私たち、もう愛情が冷めてしまったと思うんだ。このまま一緒にいるより、お互いに自由になった方が幸せになれると思うので、離婚してください」

自分に好きな人ができた場合、その事実は離婚協議をこじらせる原因になりやすいため、あえて伝えないほうが無難です。相手を不必要に責めず、穏やかな話し合いを心がけることが円満な解決につながります。

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離婚を前提に別居を切り出す場合

「最近、意見が合わないことが増えて、あなたに冷たい態度を取ってしまっていると思うの。お互いの気持ちを整理するために別居をして、離婚に向けて話し合いたいと思っています」

関係修復ではなく離婚を前提とした別居であることは、あらかじめはっきり伝えておくとよいでしょう。

何も告げずに家を出ると「悪意の遺棄」と判断され、有責配偶者とみなされるおそれがあります。その結果、離婚請求が認められにくくなったり、慰謝料を請求される可能性も生じます。別居を始める前には、意向を伝えておくことが望ましいです。

なお、暴力やモラハラで身の危険がある場合は、安全の確保を最優先に行動してください。

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離婚を切り出した後の流れ

夫婦間での話し合い

離婚の意思を伝えたら、夫婦間での話し合いを始めます。既に別居している場合は、日程を調整し、どこかで会って話す必要があります。または、メールやメッセージ、電話で話し合うことも可能です。

弁護士に依頼している場合は、弁護士に交渉を任せることができ、相手と顔を合わせずに話し合いを進めることもできます。

話し合いで決める内容は、離婚をするか否かだけではありません。未成年の子どもがいる場合は必ず親権者を決めなければいけませんし、養育費、慰謝料、財産分与など、夫婦で決めることはたくさんあります。

なお、2026年4月1日に施行される民法等の改正により、離婚後の親権について、父母双方を親権者と定める「共同親権」を選択できるようになります。

再構築

夫婦で話し合った結果、離婚ではなく再構築を選ぶこともあります。再構築とは、破綻してしまった夫婦関係を一から作り直して、夫婦としてリスタートすることです。

再構築を目指す場合は、離婚カウンセラーなど第三者の助言を取り入れるのも有効です。

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協議離婚

当事者同士で離婚に合意した場合は、離婚届を役所に提出すれば離婚は成立します。

手続き自体は提出のみで完了しますが、養育費や財産分与などの取り決めは、離婚協議書や公正証書として必ず書面に残しておくべきです。

話し合いで合意に至らない場合には、離婚調停や裁判へと進みます。

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離婚調停

離婚調停(夫婦関係調整調停)とは、夫婦間の話し合いで離婚に関して合意ができなかったときに、裁判所の調停委員会のもとで解決を図る離婚の方法です。

調停では、夫婦がそれぞれ調停委員と面談をして、意見の調整を行います。面談は1人ずつ行われますので、相手と顔を合わせることはほとんどありません。調停を繰り返す中で夫婦が合意に至れば、離婚が成立します。

離婚調停は必ずしも離婚を目指すものではないため、調停で話し合った結果、もう一度夫婦としてやり直すということも可能です。

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離婚裁判

調停もうまく行かなかった場合は、離婚裁判を起こして離婚を争うことができます。離婚裁判では、裁判官が双方の主張を聞いて、離婚させるべきか、どのような条件で離婚させるかを決定します。協議離婚や調停離婚と大きく異なるのは、双方の合意がなくても結果が確定する点です。

また、裁判中に裁判官から和解を勧められることがあります。そこで双方が和解に応じれば、離婚は成立します。

なお、日本は調停前置主義を取っているため、調停を経ずに裁判を起こすことはできません。

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離婚を切り出す際に注意すること

その場で離婚届を書かない

離婚をする際には、話し合って決めることがたくさんあります。例えば親権や養育費、慰謝料、財産分与などです。それらを決める前に、勢いで離婚届を書いてしまうことは避けましょう

また、養育費、慰謝料、財産分与などのお金のことについても、可能な限り離婚を成立させる前に決めておくことをおすすめします。きちんと話し合っておかないと、不利な条件で離婚してしまうおそれがあります。

証拠を用意する

離婚を認めさせたり、慰謝料を請求するために、不貞行為やDV、モラハラなどの証拠が必要になる場合があります。

不倫相手とホテルに入っていく様子を写した写真や、暴力によって負った傷の診断書などが代表例です。

また、適切な額の財産分与を受け取るためにも、相手が保有している財産の証拠が必要になります。例えば、銀行の通帳や不動産登記簿などです。

相手に離婚の意思を伝えた後に証拠を確保しようとしても、証拠を消されてしまう恐れがあります。したがって、離婚を切り出す前に証拠集めをしておきましょう。

離婚後の生活について考えておく

離婚を切り出す前から、離婚後の生活の基盤を整えておきましょう

経済面の備えとして、貯金を作っておくことや、仕事を探すこと、副業を始めることなどがあります。また、離婚時には配偶者から慰謝料や財産分与などの形でお金を受け取れる可能性があります。こういったお金は離婚後の生活の支えになりますが、最大限受け取るためには、離婚を切り出す前の準備が必要不可欠です。

生活面では、離婚後の住居についても、早めに準備を始めましょう。実家や友人の家に身を寄せたり、新しく物件を借りるなどの選択肢が考えられます。いずれにしても、あらかじめ目途をつけておく必要があります。

離婚後の具体的な計画を持っていると、「離婚したら生活していけないだろう」という反論を防ぐこともできるでしょう。

離婚の切り出し方についてよくある質問

Q. 離婚を切り出すタイミングはいつがベスト?

感情的な対立やトラブルを避けるため、精神的に余裕があるときや、仕事などで疲労が少ないときがおすすめです。繁忙期や飲酒後は避けましょう。落ち着いて話し合える環境選びが重要です。

Q. 相手が離婚に応じない場合、どうすればいい?

協議で合意できない場合は、離婚調停を申し立てることができます。調停でも合意に至らなければ、離婚裁判で争うことになります。早めに弁護士に相談することをおすすめします。

Q. 離婚を切り出す前に証拠を集めるべき理由は?

慰謝料請求や財産分与を有利に進めるため、また相手に言い逃れをさせないためです。切り出した後では証拠を隠滅される恐れがあるため、事前の準備が不可欠です。

最後にひとこと

離婚の流れ・切り出し方で悩んだら弁護士などの専門家に相談!

離婚の流れや手続き、証拠集め、離婚後の生活などに疑問点があれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。

弁護士には、離婚が可能か、どのくらいの慰謝料を受け取れるかなど、具体的な見通しを相談することができます。また、弁護士は依頼者の代理人となって相手との交渉ができるので、相手との話し合いに不安がある場合は依頼を検討してみてください。

また、離婚に向けて気持ちを整理したい、悩みを聞いてほしいといった場合は、離婚カウンセラーなどを利用することができます。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了