離婚を納得させる言葉・方法は?拒否し続ける相手と離婚するには?
「相手に離婚を納得させる言葉や方法を知りたい」
「相手が離婚を拒否し続けている。説得する方法はないか」
協議離婚や調停離婚をするには、双方の同意が必要です。しかし、こちら側が離婚を望んでいても、相手が「絶対に離婚しない」と、離婚に納得しないケースが多くあります。
相手に離婚を拒否されているという方のなかには、「相手に離婚を納得させるような言葉や方法を知りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、相手に離婚を納得させる言葉や方法、相手が離婚を拒否し続けるときの対処法について解説します。
夫が離婚を拒否する理由
夫が離婚を拒否する理由として、以下のようなものが挙げられます。
夫が離婚を拒否する理由
- 妻に愛情がある
- 妻を見下している
- 親権を取られたくない
- 離婚してお金を払いたくない
- 世話してくれる人がいなくなる
- 世間体が気になる など
離婚の理由に納得していなかったり、こちらが本気で離婚を望んでいることに気づいていなかったりして、離婚を拒否するということがあります。
離婚を納得させたいときは、相手の気持ちに配慮した言葉選びを心がけながら、離婚を決意するに至った具体的な理由や、関係修復が不可能な理由を伝えるとよいでしょう。
離婚してくれない夫の心理についてくわしく知りたい方は、『離婚してくれない夫の心理とは?離婚に応じない夫と離婚する方法』をご覧ください。
相手に離婚を納得させる言葉は?
「実際に相手に離婚を納得させるような言葉にはどんなものがあるのか」と気になる方も多いと思います。
ここでは、相手に離婚を納得させるうえで重要となるポイントと、そのポイントを押さえた言葉の例について解説します。
相手に離婚を納得させるうえで重要となるポイントには、以下のようなものがあります。
相手に離婚を納得させるポイント
- 離婚理由を明確に突きつける
- 離婚しか選択肢がないことを話す
- 離婚後の生活が整っていると示す
- 世間体がより悪くなると示す
- 本気で離婚を考えていると示す
離婚理由を明確に突きつける|「浮気、モラハラで離婚したい」
相手に離婚を納得してもらうには、離婚理由を明確に突きつけるような言葉が重要になります。
単に「あなたのことが嫌になったから離婚したい」というだけでは、相手も素直に離婚には応じないおそれが大きいです。
「あなたのモラハラに耐えられないから離婚したい」「あなたの浮気で愛想が尽きたから離婚したい」など、なぜ離婚したいのか、どんなことが原因なのかが相手に伝わるような言葉で離婚を切り出すことをおすすめします。
離婚しか選択肢がないことを話す|「もう夫婦としてやっていけない」
相手に離婚を納得してもらうには、関係の修復が不可能で、離婚しか選択肢がないことを示すような言葉も重要になります。
たとえば、「もう夫婦としてはやっていけません」「もう一緒にはいれない」と、原因も含めて離婚の意思が固いことをアピールすることが大切です。
離婚後の生活が整っていると示す|「お金や子どもの心配はいらない」
妻を見下しているタイプの夫のなかには、「離婚しても経済的に苦しくなるだろうから、離婚をしないほうがいい」と決めつけて、離婚を拒否するという夫もいます。
具体的な金額を提示したり、離婚後に働く場所などを示したりして、「離婚後も生活はできるから問題ない」「子どもについての心配はいらない」といった言葉をかければ、相手が離婚に納得する可能性はあります。
離婚後の生活について準備しておけば、実際に離婚したときにスムーズに新生活を進めることができます。離婚前に準備しておくべきことについてくわしく知りたい方は、『離婚活動でやるべきこと!やることリストを弁護士が解説』をご覧ください。
世間体がより悪くなると示す|「調停や裁判をすると記録が戸籍に残るよ」
離婚を拒否する夫のなかには、「同僚や親類などの視線が気になる」といったような、世間体を気にしている夫もいます。
離婚調停や離婚裁判で離婚した場合は、戸籍上は「離婚の調停成立日」「離婚の裁判確定日」と記載されることになります。そのため、世間体を気にする夫にとっては「調停や裁判と戸籍に書かれるくらいなら離婚する」と、離婚に納得する場合もあるでしょう。
ただし、「離婚しなければどうなるかわからない」と、脅迫にあたるような発言をしてサインさせた場合、離婚が取り消されるおそれもあるので、絶対にやめましょう。
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本気で離婚を考えていると示す|「離婚届にサインして」など
相手が離婚に納得しないときは、こちらが本気で離婚について考えていることを示すことが重要となります。
たとえば、自分の欄をすべて記入してある離婚届を用意して、「これにサインして」と相手に発言することも有用でしょう。口で言うだけではなく、実際に行動に移しているということを相手が知れば、相手の気持ちも変わるかもしれません。
また、「養育費は〇〇円、財産分与は〇〇円……」などと実際に離婚条件についての計算結果を相手に伝えてみたり、「離婚を考えて弁護士に連絡した」と、弁護士に相談したことを明らかにしてみたりするのも有効でしょう。
相手に離婚を納得させるときのポイント
感情的になって相手を罵倒するのはNG
相手が離婚に納得しないからといって、感情的になったり、相手に対して攻撃的な言葉を使ったりすることはやめましょう。
相手の態度が硬化してしまい、かえって離婚を納得してもらうことが難しくなってしまうおそれがあります。
最悪の場合は、こちらの発言がモラハラと認定されてしまい、有責配偶者(離婚原因を生じさせた責任がある配偶者)とみなされてしまうかもしれません。
有責配偶者からの離婚請求は、通常の離婚請求に比べ、認められるハードルが非常に高いので、相手を罵倒することはやめておきましょう。
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・離婚が不利になる言葉|話し合い中に言ってはいけないことは?
・有責配偶者でも離婚できる?有責配偶者と離婚する場合どうする?
離婚条件について譲歩する姿勢を見せる
どうしても相手が離婚に納得しないというときは、財産分与や養育費など、離婚条件に付いて譲歩する姿勢を見せてみることも重要でしょう。
相手が望むように子どもとの面会交流を設定してあげるなど、相手の希望も極力受け入れることで、かたくなに離婚を拒否していた相手の気持ちも変わるかもしれません。
今までの相手への態度と逆の態度をとってみる
相手が離婚に納得しないということであれば、今までの相手への態度と逆の態度をとってみる。
たとえば、今まで夫の発言に対してとくに言い返したり口ごたえをしたりすることがなかった場合は、逆に強い口調や態度をとることで、「真剣に離婚したいと思っている」ということを伝えることができるかもしれません。
相手が離婚を拒否し続けるときは?
離婚を納得してもらうためにさまざまな言葉をかけたり、アピールをしたりしても、「何をされても絶対に離婚しない」と配偶者に言われて困っているという方もいらっしゃると思います。
ここでは、相手が離婚を拒否し続けるときの次のステップについて解説します。
第三者を挟む
相手が感情的に離婚を拒否してきたり、逆上して暴力を振るおうとしてきたりした場合には、第三者を挟んで離婚の話をしてみることをおすすめします。
第三者を挟むことで冷静な話ができる可能性もありますし、中立的な意見ももらえるでしょう。
ただし、どちらかの親に相談するというのはリスクがあります。余計に話がこじれてしまったり、問題解決までに時間がかかってしまったりといった事態に発展するおそれがありますので、慎重に検討するようにしましょう。
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話し合いの場所を工夫する
話し合いの場所を工夫することで、相手の態度が軟化するということもあります。
たとえば、ファミレスやカフェなどで話をすれば、まわりの目があるため、相手が暴力や暴言といった行為に及ぶおそれも小さいでしょう。
別居してみる
相手が離婚を拒否しているときは、別居を提案するというのも一つの手です。
相手と話して暮らすことで冷静になることができるほか、相手に「別居するほど離婚を本気で考えているのか」とアピールすることができるでしょう。
また、一般的に別居期間が3~5年に及べば、裁判で離婚が認められる理由になります。
ただし、別居をする際に黙って出ていくことは避けましょう。正当な理由なく突然家出をして帰ってこないというのは「悪意の遺棄」という不法行為にあたり、むしろ相手から離婚慰謝料を請求されてしまう原因になるほか、こちらからの離婚請求が認められづらくなる可能性があります。
置き手紙やメールなどでも良いので、離婚を前提に別居したい旨を伝えておきましょう。
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・別居何年で離婚できる?離婚成立に必要な別居期間は?1年未満も多い?
離婚調停を起こす
夫婦間の話し合いで離婚に関して合意ができなかったときには、裁判所の調停委員会のもとで話し合いをおこなって離婚をする、離婚調停に進むことになります。
調停委員は、中立的な立場で双方の話を聞いてくれるのが前提です。ただし、しっかりと準備をして調停委員をうまく味方につけることで、有利に調停を進めることができるでしょう。
「離婚調停の流れを知りたい」「離婚調停を有利に進める方法を知りたい」と考えている方は、『離婚調停の流れは?有利に進める方法を解説!』をご覧ください。
弁護士に相談する
「相手が離婚を拒否し続けていてらちが明かない」という場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、自分の代理として話し合いをしてもらうことができます。直接会っての交渉だけでなく、相手との連絡も代わりにおこなってくれるため、自分が相手と関わる必要もなくなります。
財産分与や慰謝料、親権・養育費といった離婚条件についても心強い味方になって相手と交渉してくれるはずです。
また、こちらが弁護士を立てたことを相手が知れば、別居という行為以上に「こちらが本気で離婚したいと思っている」ということが相手に伝わるでしょう。
相手が離婚を拒否する場合は弁護士に相談!
離婚を拒否する相手を納得させて離婚するには、離婚理由を明確に突きつけたり、離婚しか選択肢がないことをアピールしたりするような言葉が重要になります。
離婚条件について譲歩する姿勢を見せることもポイントです。いくら相手が離婚に納得してくれないからといって、感情的になって相手を罵倒するようなことは絶対にやめましょう。
相手が離婚を拒否し続けていて、離婚に納得してくれないという場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、自分の代理として相手と話し合いをしてくれるというメリットがあります。
話がもつれて離婚調停や離婚裁判に発展した場合でも、心強い味方になってくれるはずです。
無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了