離婚前にやってはいけないこと|離婚後に後悔しないためのガイド
離婚前にやってはいけないことを知らずに離婚届を出すと、後になって大変な思いをすることになります。
特に注意が必要なのは次の3つです。
- 養育費や財産分与を口約束だけで済ませること
- 別居中の生活費である婚姻費用を請求しないこと
- 公正証書や離婚協議書などの書面を作らないこと
厚生労働省の調査では、母子世帯の51.2%が養育費の取り決めをしておらず、協議離婚経験者の41.6%が婚姻費用という制度自体を知らないことがわかっています。
この記事では、離婚を考え始めた女性が後悔しないために「離婚前にやってはいけないこと」を解説します。法的知識を身に付けて冷静に行動すれば、ご自分と家族の将来を守ることにつながります。
離婚前にやってはいけないことのチェックリスト
以下のいずれかに該当する方は、離婚後に損をしてしまう可能性があります。
離婚前にやってはいけないこと
- 養育費の金額や支払方法を決めずに離婚届を出そうとしている
- 別居中だが、婚姻費用を相手に請求していない
- 財産分与の対象財産(預金・不動産・退職金等)を把握していない
- 離婚条件を口約束だけで決め、書面を作成していない
- 離婚前に異性と親密な関係になっている、またはその疑いをかけられている
- 年金分割について何も準備していない
- 離婚後の生活費の見通しが立っていない
1つでも該当する方は、この記事で正しい対処法を確認してください。
子どもの将来を守るために避けるべき行動と対策
悪口や喧嘩など子どもを離婚問題に巻き込むのは避ける
子どもには年齢に応じた説明をし、両親の悪口は避けることが大切です。
絶対にやってはいけないのが感情的になって子どもを離婚問題に巻き込むことです。
例えば、子どもに両親の争いを見せたり、一方の親の悪口を言ったりすれば、子どもの心身に大きな負担を与えてしまいます。
離婚は相当にストレスのかかる問題であるため、どうしても感情的になってしまいがちです。
しかし、特に親権者や養育費、面会交流など子どもの問題に関しては、お互いに冷静になり、子どもの利益を最優先して話し合いをしてみましょう。
その上で、今後の生活がどうなるか子どもにもわかりやすい言葉で伝えると、子どもの気持ちが安定するでしょう。
子どもがいる場合の離婚の進め方については、裁判所ホームページのビデオ「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」が参考になります。
養育費の取り決めをせずに離婚すると未払いのリスクが高まる
離婚前に養育費算定表で適正額を確認し、公正証書で取り決めておきましょう。
養育費は、離婚後の子どもの生活や教育にとって非常に大切なお金です。
離れて暮らす親は、養育費のうち自分の負担部分を支払う義務があります。
ところが、「相手と関わるのが嫌だから」と養育費について何ら取り決めをせず離婚をしてしまう方も少なくありません。
実際、母子世帯の51.2%が養育費の取り決めをしていません(厚生労働省 令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告)。
離婚後も養育費をしっかりと受け取れるようにするため、離婚前に養育費の額や支払方法などについて具体的に決めておく必要があります。
養育費の適正な金額の目安については、アトム法律事務所の婚姻費用・養育費計算機にお互いの収入を入力すればで簡単に算出できます。
養育費について合意できたら、不払いの事態に備えて強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくことをおすすめします。
相手との話し合いが難航した場合は、家庭裁判所に早めに調停を申し立てましょう。
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面会交流の条件を決めないと親子の断絶やトラブルを招く
面会交流の頻度、場所、連絡方法を具体的に決め、書面として残しておきましょう。
養育費同様、「相手と関わりたくないから」という理由で面会交流についての取り決めをせずに離婚するケースが多いのが現状です。
しかし、面会交流は子どもが両親から共に愛されていると実感しながら成長するために欠かせないものです。
子どもが相手からDVを受けているなど例外的な場合を除き、面会交流ができる限り実現するよう父母双方が協力することが大切です。
離婚前に、面会交流の頻度や受け渡し場所、父母の連絡方法などを具体的に決めておきましょう。
夫婦のみで話し合いが難しい場合は、家庭裁判所の調停を利用すると良いでしょう。
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経済面での損失を防ぐために避けるべき行動と対策
離婚後の生活設計や収支計画を立てずに家を出てはいけない
離婚後の生活費を試算し、児童扶養手当などの公的支援も確認しておくことが重要です。
離婚への気持ちが強くなると感情的に離婚を切り出してしまいがちですが、離婚後の生活について何も準備せずに離婚するのは非常に危険です。
離婚後は、相手方の収入が得られなくなるだけでなく、家賃など新たな負担も生じます。そのため、無計画に離婚してしまうと途端に生活が立ち行かなくなる可能性があるのです。
離婚後の生活をスムーズに始めるためには、離婚後の生活設計をしっかりと立てておく必要があります。
離婚後の生活費、離婚後の収入源、公的支援などの情報を十分に収集し、離婚後に必要なお金はいくらで、そのために今自分はどのような行動をとるべきか、一歩ずつ計画を立てましょう。
特に、専業主婦の方や熟年離婚を検討中の方は、離婚後の生活について不安が大きいでしょう。
そのような方にとって有益な情報を関連記事にまとめてありますので、ぜひそちらもご覧ください。
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・専業主婦の離婚で知っておくべきこと|専業主婦の離婚準備を解説
別居中の生活費である婚姻費用を請求しないのは大きな損失
別居したらすぐに婚姻費用を請求しましょう。過去に遡って請求することはできません。
婚姻費用とは、結婚生活に必要な生活費や養育費です。
夫婦には扶養があるため、扶養を必要とする方の配偶者は、別居中の婚姻費用を相手に請求できます。
このことを知らず、離婚を決意して別居した方が、別居中に相手方から何ら金銭を受け取っていないケースが非常に多いのです。
実際、協議離婚経験者の41.6%にも上る方が婚姻費用について知らなかったと答えています(法務省 協議離婚に関する実態についての調査研究業務報告書(令和3年))。
婚姻費用の適正な金額の目安はアトム法律事務所の婚姻費用・養育費計算機にお互いの収入を入力すれば簡単に算出できます。
通常、婚姻費用は請求したとき以降の分しか認められませんので、適正額がわかり次第、できる限り早期に請求することをおすすめします。
相手が支払を拒否する場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てましょう。
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・離婚と婚姻費用|別居中の生活費・相場は?離婚前提でも請求できる?
財産分与の証拠確保や財産調査をせずに別居してはいけない
別居する前に、相手の給与明細、通帳、不動産の権利証や評価額がわかる資料、保険証券などをコピーしておきましょう。
財産分与は、離婚時の最も重要な取り決めの一つです。
特に熟年離婚の場合は、対象財産の金額が大きくなるため、財産分与をいかにしっかりと行うかが老後の生活に大きく影響します。
婚姻期間中に築いた夫婦共有財産を公平に分けるため、離婚前から十分に準備しておくことが不可欠です。
しかし、財産分与に必要な証拠を十分集める前に別居してしまうケースが少なくありません。
別居する前に、相手方の給与明細、銀行口座、不動産、株式、退職金などに関する資料をできるだけ多く集めコピーしておきましょう。
相手方の財産隠しが疑われる場合、時間が経つと手遅れになってしまうおそれがあります。
そのような場合は、早めに弁護士に相談してください。
弁護士は、弁護士会照会制度など一般の方には利用できない手続きを活用し、相手方の財産を調査できます。
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・離婚の財産分与とは?割合はどうなる?夫婦の財産の分け方を解説
証拠不十分で慰謝料を請求することや感情的な過大請求は避ける
DVやモラハラ、不貞行為があった場合は証拠を集めた上で、弁護士に相談して相場に基づいた適正な金額を請求することが大切です。
慰謝料請求は、被害者の正当な権利です。
もしあなたが相手方からの被害に苦しんできたのなら、正当な権利の行使をためらう必要はありません。
自分で請求するのが不安であれば、弁護士に相談してみてください。
弁護士は、被害者であるあなたの話を丁寧に聴き取り、証拠も十分確認した上で、適正な慰謝料額をアドバイスしてくれるでしょう。
一方、慰謝料を請求できる事案だからと言って、相場を大幅に超える過大な請求をするのは避けた方が良いでしょう。
なぜなら、感情に任せて過剰な慰謝料請求をすると、相手方の態度が硬化し、離婚問題全体の解決が遠のくおそれがあるからです。
慰謝料を請求できる事案か、請求できるとして適正な金額はいくらか知るには、専門家である弁護士に直接相談するのがおすすめです。
無料法律相談を実施している事務所も多いので、少しでも気になる方は、一度相談してみてください。
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年金分割の試算や情報通知書の取得を忘れてはいけない
離婚前に年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得しておきましょう。
年金分割は、離婚に際し、婚姻期間中に納付した厚生年金の保険料納付記録を分割する制度です。
相手方が厚生年金に加入していれば、年金分割を請求できます。
「手続きが面倒」という理由で年金分割について準備をしない方がおられるかもしれませんが、それは避けるべきです。
年金分割をきちんと行えば、老後に受け取れる年金額が増えるケースが多いからです。
離婚前から年金見込額の調査をしておくことが必要です。
具体的には、「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出し、「年金分割のための情報通知書」を取得します。
50歳以上の方で老齢年金の受給資格期間を満たしている方は、「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」も取得できます。
また、年金分割を受けるには、原則として離婚成立日の翌日から2年以内に、年金事務所に改訂請求を行う必要があります。
離婚成立日は、協議離婚なら離婚届の届出日、調停離婚なら調停離婚成立日、裁判離婚なら判決離婚確定日です。
離婚成立後に、忘れずに手続きを行うようにしましょう。
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・離婚時の年金分割手続きとは?必要書類は?共働き・拒否した場合も解説
法的トラブルや不利な立場を避けるための禁止事項
婚姻関係が破綻する前に不貞行為をすると有責配偶者になる
夫婦関係が破綻していても、離婚が成立するまでは異性関係を避けるべきです。
離婚前に不貞行為や不貞行為を疑われる言動をするのはやめましょう。
不貞行為を行った配偶者は「有責配偶者」に当たり、様々なペナルティを受ける可能性があるからです。
具体的には、婚姻費用の請求について、有責配偶者本人の生活費分は請求できなくなります(子どもの生活費分については請求できます)。
また、有責配偶者からの離婚請求が離婚裁判で認められるには相当高いハードルがあります。
離婚調停の場合、不貞行為をすると調停委員に与える印象は悪化してしまいます。そうなると、調停委員が有責配偶者の言い分が通るよう相手方を積極的に説得してくれる可能性は低くなります。
有責配偶者は、他方配偶者から慰謝料請求される可能性も高いです。
なお、夫婦関係が破綻した後に異性関係をもっても不貞行為には該当しません。しかし、その証明は困難な場合が少なくないのです。
メールやSNSなどで不貞行為を疑われる言動を安易にしないよう十分注意してください。
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・離婚調停中にやってはいけないこと&不利な発言は?対処法も解説!
離婚条件を口約束だけで済ませず公正証書を作成すべき
養育費や財産分与といった離婚条件を口約束だけで済ませ、書面を作らない人は多くいます。
しかし、これは非常に危険です。最低でも離婚協議書、できれば公正証書を必ず作成しましょう。
特に、養育費や財産分与などお金に関する合意は、口約束だけではトラブルになる可能性がかなり高いと思っておいた方が良いでしょう。
離婚条件については離婚前に合意し、公正証書か、少なくとも離婚協議書を作成しておくことを強くおすすめします。
これらの書面を作成しておけば、強制執行や裁判の際に役立ちます。
法的な書面の作成は、弁護士のサポートを受けると安心です。
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問題が複雑化してから弁護士へ相談するのは解決を遅らせる
多くの人は夫婦の対立が激しくなり離婚問題が複雑化してから弁護士に相談しますが、実は離婚を考え始めた早い段階で無料相談を利用するのがおすすめです。
離婚問題について少しでもお悩みがある場合は、できる限り早いタイミングで弁護士に相談にいくのがポイントです。
「こんなことで相談に行っていいの?」と迷う必要はありません。
弁護士の関与が早いほど、離婚条件に関する法的な見落としや、不利な取り決めをしてしまうリスクが低くなります。
ご自分の権利を守り、スムーズな離婚を実現するために、早期に弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
