離婚前にやってはいけないこと|離婚後に後悔しないためのガイド

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離婚前にやってはいけないことの代表例は、養育費・財産分与・婚姻費用を書面化せずに離婚届を出すことです。

国の調査では、母子世帯の約53.3%が養育費の取り決めをしておらず、別居を伴う協議離婚経験者の41.6%が婚姻費用を知らなかったと報告されています。

この記事では、子ども・経済・法的の3つのテーマに分けて、離婚後に後悔しないために避けるべき行動をチェックリスト形式で解説します。

目次

離婚前にやってはいけないことのチェックリスト

以下のいずれかに該当する方は、離婚後に損をしてしまう可能性があります。

離婚前にやってはいけないこと

  • 子どもを離婚問題に巻き込む
  • 養育費の取り決めをしないまま離婚する
  • 面会交流の条件を曖昧なまま離婚する
  • 離婚後の生活費や収支を考えずに別居・離婚する
  • 別居中の生活費(婚姻費用)を請求しない
  • 財産分与の対象となる財産を把握しないまま離婚する
  • 相場とかけ離れた慰謝料を請求する
  • 年金分割の準備をせずに離婚する
  • 離婚前に異性と親密な関係になる
  • 離婚条件を書面に残さず口約束で済ませる
  • SNSに相手の悪口や不用意な投稿をする
  • 問題が深刻化するまで弁護士に相談しない

1つでも該当する方は、この記事で正しい対処法を確認してください。

子どもの将来を守るために避けるべき行動と対策

悪口や喧嘩など子どもを離婚問題に巻き込むのは避ける

子どもには年齢に応じた説明をし、両親の悪口は避けることが大切です。絶対にやってはいけないのが感情的になって子どもを離婚問題に巻き込むことです。

法務省が実施した、父母の離婚や別居を経験した子どもへの調査では、離別の際に自分の意見を聞いてもらえなかったり、十分な説明を受けられなかったりしたことで、さまざまな心理的影響を受けたとする声が報告されています。

具体的には、「自分の意見を言えなくなった」「相手の顔色をうかがうようになった」といった性格面への影響を感じたり、「自分のせいで離婚したのではないか」と自分を責めてしまったりするケースもあるとされています。

離婚は大きな負担を伴うため、当事者が感情的になるのは無理もありません。しかし、子どもの問題については、お互いに冷静になり、子どもの利益を最優先にして話し合うことが大切です。

そのうえで、今後の生活がどう変わるのかを子どもにもわかりやすい言葉で伝えることで、不安を和らげ、気持ちの安定につながります。

子どもがいる場合の離婚の進め方については、裁判所ホームページのビデオ「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」が参考になります。

養育費の取り決めをせずに離婚すると未払いのリスクが高まる

離婚前に養育費算定表を参考に適正な金額を確認し、養育費の条件を決めておきましょう。

養育費は、離婚後の子どもの生活や教育を支える大切なお金であり、離れて暮らす親にはその一部を負担する義務があります。しかし、「相手と関わりたくない」といった理由から、養育費を決めないまま離婚してしまうケースも少なくありません。

実際、母子世帯の約53.3%が養育費の取り決めをしていません(厚生労働省 令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告)。

離婚後も養育費を確実に受け取るためには、離婚前に金額や支払方法などを具体的に決めておくことが重要です。養育費の目安は、アトム法律事務所の婚姻費用・養育費計算機に双方の収入を入力することで簡単に確認できます。

合意内容は、不払いに備えて強制執行認諾文言付きの公正証書として残しておくと安心です。養育費が支払われない場合は、裁判所に申し立てることで、給与や預貯金などを差し押さえる強制執行が可能です。

なお、2026年4月1日施行の民法改正により、養育費の回収に関するルールが見直されます。

養育費には「先取特権」が認められ、父母間で合意書があれば、公正証書などの債務名義がなくても差押えが可能になります。対象となるのは、施行後に発生する養育費です。

また、同日以降に離婚した場合は、取り決めがなくても、離婚時から一定額を請求できる「法定養育費」が新設されます。金額は子ども1人につき月額2万円とされています。

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面会交流の条件を決めないと親子の断絶やトラブルを招く

面会交流の頻度や場所、子どもの受け渡し方法、父母間の連絡手段などは、できるだけ具体的に決めて書面に残しておきましょう

「相手と関わりたくない」という理由から、面会交流を決めないまま離婚に至る例もみられます。しかし、面会交流は、子どもが両親から大切にされていると感じながら成長するうえで欠かせない機会です。

法務省の調査でも、交流が途絶えた子どもが「自分は捨てられたのではないか」「必要とされていないのではないか」と感じ、自己肯定感の低下につながることがあると報告されています。

もっとも、DVや虐待がある場合などは慎重な対応が必要です。

そのような事情がない場合には、面会交流が適切に行われるよう、父母双方が協力する姿勢が求められます。話し合いで解決が難しいときは、家庭裁判所の調停の利用を検討するとよいでしょう。

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経済面での損失を防ぐために避けるべき行動と対策

離婚後の生活設計や収支計画を立てずに家を出てはいけない

離婚後の生活費を試算し、児童扶養手当などの公的支援も確認しておくことが重要です。

離婚への気持ちが強くなると感情的に離婚を切り出してしまいがちですが、離婚後の生活について何も準備せずに離婚するのは非常に危険です。

離婚後は、相手方の収入が得られなくなるだけでなく、家賃など新たな負担も生じます。そのため、無計画に離婚してしまうと途端に生活が立ち行かなくなる可能性があるのです。

離婚後の生活をスムーズに始めるためには、離婚後の生活設計をしっかりと立てておく必要があります。

離婚後の生活費、離婚後の収入源、公的支援などの情報を十分に収集し、離婚後に必要なお金はいくらで、そのために今自分はどのような行動をとるべきか、一歩ずつ計画を立てましょう。

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別居中の生活費である婚姻費用を請求しないのは大きな損失

婚姻費用は、原則として請求した時点以降の分が対象となるため、早めの対応が重要です。婚姻費用とは、夫婦や子どもの生活に必要な一切の費用を指します。

夫婦には互いに扶養する義務があるため、収入が少ない側の配偶者は、別居中であっても相手に対して婚姻費用を求めることが可能です。

しかし、この制度を知らないまま別居に踏み切り、その間の生活費を一切受け取っていないケースも少なくありません。

法務省が令和3年に実施した協議離婚に関する実態調査によると、協議離婚経験者の41.6%にも上る方が婚姻費用について知らなかったと答えています

婚姻費用の適正な金額の目安はアトム法律事務所の婚姻費用・養育費計算機にお互いの収入を入力すれば簡単に算出できます。

通常、婚姻費用は請求したとき以降の分しか認められませんので、適正額がわかり次第、できる限り早期に請求することをおすすめします。

相手が支払いを拒否する場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てましょう。

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財産分与の証拠確保や財産調査をせずに別居してはいけない

別居する前に、相手の給与明細、通帳、不動産の権利証や評価額がわかる資料、保険証券などをコピーしておきましょう。

財産分与は、離婚時の最も重要な取り決めの一つです。

特に熟年離婚の場合は、対象財産の金額が大きくなるため、財産分与をいかにしっかりと行うかが老後の生活に大きく影響します。

婚姻期間中に築いた夫婦共有財産を公平に分けるため、離婚前から十分に準備しておくことが不可欠です。

しかし、財産分与に必要な証拠を十分集める前に別居してしまうケースが少なくありません。

別居する前に、相手方の給与明細、銀行口座、不動産、株式、退職金などに関する資料をできるだけ多く集めコピーしておきましょう。

相手方の財産隠しが疑われる場合、時間が経つと手遅れになってしまうおそれがあります。

そのような場合は、早めに弁護士に相談してください。弁護士は、弁護士会照会制度など一般の方には利用できない手続きを活用し、相手方の財産を調査できます。

なお、財産分与は離婚後2年以内に請求する必要があります(民法第768条)。

2026年4月1日施行の民法改正により、同日以降に離婚した場合は請求期間が5年に延長されます。また、同改正により財産に関する情報収集の手続が整備され、財産隠しへの対応もしやすくなります。

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証拠不十分で慰謝料を請求することや感情的な過大請求は避ける

DVやモラハラ、不貞行為があった場合は証拠を集めた上で、弁護士に相談して相場に基づいた適正な金額を請求することが大切です。

慰謝料請求は、被害者の正当な権利です。

もしあなたが相手方からの被害に苦しんできたのなら、正当な権利の行使をためらう必要はありません。

自分で請求するのが不安であれば、弁護士に相談してみてください。

弁護士は、被害者であるあなたの話を丁寧に聴き取り、証拠も十分確認した上で、適正な慰謝料額をアドバイスしてくれるでしょう。

一方、慰謝料を請求できる事案だからと言って、相場を大幅に超える過大な請求をするのは避けた方が良いでしょう。

なぜなら、感情に任せて過剰な慰謝料請求をすると、相手方の態度が硬化し、離婚問題全体の解決が遠のくおそれがあるからです。

慰謝料を請求できる事案か、請求できるとして適正な金額はいくらか知るには、専門家である弁護士に直接相談するのがおすすめです。

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年金分割の試算や情報通知書の取得を忘れてはいけない

離婚前に年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得しておきましょう。

年金分割は、離婚に際し、婚姻期間中に納付した厚生年金の保険料納付記録を分割する制度です。

相手方が厚生年金に加入していれば、年金分割を請求できます。

「手続きが面倒」という理由で年金分割について準備をしない方がおられるかもしれませんが、それは避けるべきです。

年金分割をきちんと行えば、老後に受け取れる年金額が増えるケースが多いからです。

離婚前から年金見込額の調査をしておくことが必要です。

具体的には、「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出し、「年金分割のための情報通知書」を取得します。

50歳以上の方で老齢年金の受給資格期間を満たしている方は、「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」も取得できます。

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法的トラブルや不利な立場を避けるための禁止事項

婚姻関係が破綻する前に不貞行為をすると有責配偶者になる

夫婦関係が破綻していても、離婚が成立するまでは異性関係を避けるべきです。

離婚前に不貞行為や不貞行為を疑われる言動をするのはやめましょう

不貞行為を行った配偶者は「有責配偶者」に当たり、様々なペナルティを受ける可能性があるからです。

具体的には、婚姻費用の請求について制限される可能性があります。

また、有責配偶者からの離婚請求が離婚裁判で認められるには相当高いハードルがあります。

離婚調停の場合、不貞行為をすると調停委員に与える印象は悪化してしまいます。そうなると、調停委員が有責配偶者の言い分が通るよう相手方を積極的に説得してくれる可能性は低くなります。

有責配偶者は、他方配偶者から慰謝料請求される可能性も高いです。

なお、夫婦関係が破綻した後に異性関係をもっても不貞行為には該当しません。

しかし、その証明は困難な場合が少なくないのです。不貞行為を疑われる言動を安易にしないよう十分注意してください。

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離婚条件を口約束だけで済ませず公正証書を作成すべき

養育費や財産分与といった離婚条件を口約束だけで済ませ、書面を作らない人は多くいます。

しかし、これは非常に危険です。最低でも離婚協議書、できれば公正証書を必ず作成しましょう。

特に、養育費や財産分与などお金に関する合意は、口約束だけではトラブルになる可能性がかなり高いと思っておいた方が良いでしょう。

離婚条件については離婚前に合意し、公正証書か、少なくとも離婚協議書を作成しておくことを強くおすすめします。

これらの書面を作成しておけば、強制執行や裁判の際に役立ちます。

法的な書面の作成は、弁護士のサポートを受けると安心です。

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SNSで相手の悪口や不用意な投稿をしてはいけない

離婚前にXやInstagramなどのSNSへ投稿する際は、内容に十分注意が必要です。不用意な投稿は、離婚調停や裁判で自分に不利な証拠として使われる可能性があります。

特に、次のような投稿は控えましょう。

  • 相手への悪口や批判
    名誉毀損・侮辱による法的責任や、有責配偶者と評価される可能性
  • 異性との交流や、独身のように遊んでいる様子の投稿
    不貞を疑われるおそれや、華やかな生活ぶりが婚姻費用・養育費に影響する可能性
  • 高額な買い物や旅行の写真
    浪費癖や財産隠しを疑われ、財産分与の話し合いに影響するおそれ

なお、非公開アカウントであっても、共通の知人などを通じて相手に内容が伝わることは珍しくありません。離婚問題が解決するまではSNSの投稿を控えるか、差し支えのない内容のみにとどめることが重要です。

問題が複雑化してから弁護士へ相談するのは解決を遅らせる

多くの人は夫婦の対立が激しくなり離婚問題が複雑化してから弁護士に相談しますが、実は離婚を考え始めた早い段階で無料相談を利用するのがおすすめです。

離婚問題について少しでもお悩みがある場合は、できる限り早いタイミングで弁護士に相談にいくのがポイントです。

「こんなことで相談に行っていいの?」と迷う必要はありません。

弁護士の関与が早いほど、離婚条件に関する法的な見落としや、不利な取り決めをしてしまうリスクが低くなります。

ご自身の権利を守り、スムーズな離婚を実現するために、早期に弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

離婚前にやってはいけないことに関するよくある質問

Q. 離婚前に勝手に家を出ても大丈夫?

正当な理由がないまま一方的に別居すると、「悪意の遺棄」と評価され、離婚や慰謝料の面で不利になる可能性があります。DVや虐待などの事情がある場合は、別居前に弁護士へ相談しておくと安心です。

Q. 離婚前に相手のスマホを勝手に見てもいい?

無断でスマートフォンの中身を見る行為は、プライバシー侵害と判断されるおそれがあります。また、パスワードを不正に入手してロックを解除すると、不正アクセス禁止法違反にあたる可能性もあります。証拠の集め方については、事前に弁護士へ確認するのが安全です。

Q. 離婚前に財産を勝手に処分するとどうなる?

夫婦で築いた財産を無断で処分すると、財産分与の際に不利に扱われることがあります。場合によっては、処分した財産も含めて分与の対象として計算されることがあります。

Q. 離婚調停中に気をつけることはある?

調停では、感情的な発言や無断欠席は避けた方が無難です。こうした対応が続くと、話し合いがまとまらず不成立になる可能性があります。また、調停中のSNS投稿や新たな交際の公表は、交渉に悪影響を及ぼすおそれがあります。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了