第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。
アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。
不法侵入は罰金?逮捕の流れや時効は?逮捕・罰金対策は?徹底解説
- 不法侵入で逮捕されたら罰金?いくら?
- 不法侵入の逮捕の流れは?時効は?
- 不法侵入の逮捕・罰金を回避するには?
他人が管理している建物に正当な理由なく立ち入ると、不法侵入(住居侵入罪・建造物侵入罪)で逮捕・処罰されてしまう可能性があります。
不法侵入の法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。ただし、盗撮や窃盗などと併せて行われた場合は、さらに重い刑罰を科される可能性があります。
不法侵入を行ってしまったときに罰金を回避するためには、早めに弁護士に相談して示談交渉などの活動を行っていくことが重要です。
この記事では、どのような時に不法侵入で逮捕されてしまうのか、罰金刑や懲役刑が科されるのか、罰金・懲役を回避するために弁護士は何ができるのかについて解説します。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
不法侵入をしてしまったら罰金?
不法侵入(住居侵入罪・建造物侵入罪)とは?
不法侵入というのは、正当な理由なく、他人の住居などに立ち入る犯罪です。
もっとも、「不法侵入罪」というのは一般的な名称で、不法侵入罪という名前の犯罪は存在しません。
実際には、刑法の「住居侵入罪」または「建造物侵入罪」で逮捕・処罰されることになります。
住居侵入罪・建造物侵入罪の刑罰は、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。
(住居侵入等)第百三十条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
刑法130条
住居侵入罪と建造物侵入罪の違いは「侵入した場所」にありますが、法定刑は同じです。
住居権者の承諾がないのに「住居」に違法に立ち入った場合は、住居侵入罪になります。
管理権者の承諾がないのに「住居以外」一定の建物に違法に立ち入った場合は、建造物侵入罪となります。
住居侵入罪や建造物侵入罪は、他の犯罪と一緒に行われることが多いです。例を挙げると、窃盗や盗撮などがあり、不法侵入に加えて窃盗や盗撮をした場合は、もっと重い刑罰になる可能性があります。
住居侵入罪と建造物侵入罪
住居侵入罪 | 建造物侵入罪 | |
---|---|---|
意味 | 住居権者の承諾なく「不法侵入」をする | 管理権者の承諾なく「不法侵入」をする |
場所 | 他人の住居(人の起臥寝食*に使用されている場所) | 倉庫、事務所、ビルなど |
刑罰 | 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
* 起臥寝食(きがしんしょく)とは、寝起きや食事などの日常の生活のことです。
不法侵入の罰金は10万円以下?懲役の可能性は?
不法侵入(住居侵入罪または建造物侵入罪)の場合、刑事裁判で有罪になると、懲役刑や罰金刑をうける可能性があります。
罰金の場合は、原則、「1万円~10万円」の範囲から刑罰が言い渡されることになります。
住居侵入の初犯の場合、犯行の態様が悪質でなければ罰金刑になることが多いです。
懲役の場合は、原則、「1ヶ月~3年」の範囲から刑罰が言い渡されます。
前科がある場合や、被害者が複数の場合などは、刑罰が重くなる傾向にあります。
また、起こしてしまったことが牽連犯(けんれんぱん)にあたる場合は、刑を科す上で一罪と扱うため、数個の罪のうち最も重い刑で処罰されることになります。
牽連犯(けんれんぱん)とは?
牽連犯とは、複数の罪が密接に関連している場合をいいます。
不法侵入(住居侵入罪や建造物侵入)と同時に複数の罪が成立する場合は、その中で一番重い刑が科される可能性があるということです。
たとえば、住居侵入罪+窃盗罪の場合は、窃盗罪の刑罰10年以下の懲役または50万円以下の罰金の範囲から刑罰が言い渡されます。
関連記事
違法な侵入とはどのようなもの?不法侵入の構成要件
不法侵入(住居侵入罪・建造物侵入罪)の構成要件は、おもに以下の3点です。
- 正当な理由がないこと
- 侵入の対象が人の管理下にある建造物などであること
- 意思に反して侵入すること
1.正当な理由
建物に入ることが不法侵入にあたらない「正当な理由」としては、警察官の捜査(刑事訴訟法にもとづく捜索、押収、検証)のための立ち入り、正当な争議行為等などが挙げられます。
2.建造物
住居侵入罪の対象となる「住居」とは、人の起臥寝食(寝泊りや食事などの日常生活)に使用されている住居のことをいい、庭なども含まれます。
建造物侵入罪の対象となる「建造物」は、商業施設やビル、船舶などのように、住居以外の建造物で人の管理下にあるものをいいます。
3.意思に反して侵入する
「意思に反して」には、居住者や管理権者による明示的な拒否がなくても、状況から判断して容認されていないと考えられる場合も含まれます。
なお、住居侵入罪・建造物侵入罪は、未遂でも処罰の対象となります。
不法侵入で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れは?
不法侵入は逮捕される?逮捕の流れやきっかけは?
不法侵入をしてしまった場合、現行犯逮捕される可能性が高いですが、後日逮捕もあり得ます。
現行犯逮捕とは、事件直後や犯行中に逮捕状なしで逮捕されることをいいます。一方、後日逮捕(通常逮捕)とは、事件発生から時間をおいて、逮捕状を持った捜査関係者に逮捕されることをいいます。
不法侵入に現行犯逮捕が多いのは、居住者や管理者に犯行現場を目撃されやすく、すぐに110番通報されることが多いからでしょう。また、警察官だけでなく一般人でも現行犯逮捕を行うことができるため、発見した居住者や近隣住民によって直接取り押さえられることもあります。
とはいえ、不法侵入で後日逮捕される可能性が全くないわけではなく、現行犯逮捕されなかったとしても、防犯カメラの映像などから後日逮捕される可能性が考えられます。
不法侵入で逮捕されるまでの期間は何日?
不法侵入で後日逮捕される可能性があるといっても、逮捕のタイミングは捜査の進展しだい、証拠しだいです。
2~3日で警察が来ることもあれば、逮捕まで数か月以上かかることもあるでしょう。
このように、不法侵入は〇日以内に逮捕される、〇か月以内に逮捕されると断言することはできません。
ただし、刑事事件には捜査の期限、起訴される期限があります。その期限のことを「公訴時効」といいます。
不法侵入の時効は?
公訴時効をむかえた犯罪については、検察官の公訴する権限が消滅させられるので、逮捕される可能性はなくなります。
不法侵入のみの公訴時効
不法侵入(住居侵入罪・建造物侵入罪)の公訴時効は3年なので、不法侵入から3年が経過すると検察官は不法侵入を起訴することができないということになります。
不法侵入のほかに犯罪がある場合
不法侵入のほかに犯罪がある場合は、公訴時効が3年になるとは限りません。
不法侵入は窃盗・強盗・傷害・殺人など、他の犯罪とセットで行われる場合が多い犯罪です。
牽連犯の場合、公訴時効期間の基準となる法定刑は、実務上もっとも重い刑罰とされています。
たとえば、窃盗をする目的で不法侵入をした場合、窃盗の公訴時効が適用されて、公訴時効は7年になります。
補足
住居侵入罪+窃盗罪が成立している場合の公訴時効は、窃盗罪の法定刑「10年以下の懲役」が採用されます。
そのため、刑事訴訟法250条を参照すると、住居侵入罪と窃盗罪に問われている場合は、公訴時効が7年になることが分かります。
公訴時効は、犯罪行為が終わった時から進行します。
刑事事件の公訴時効について、もっと詳しく知りたい方は関連記事もご覧ください。
関連記事
・刑事事件の公訴時効とは?犯罪ごとに何年で時効が完成するのか解説
不法侵入で逮捕された後の流れは?
現行犯逮捕でも後日逮捕でも、逮捕後は警察署へ連行されて取り調べを受けます。
そして、そのまま留置場に収容される可能性があります。
被疑者が留置場に収容されたあと、事件は以下のように進行します。
ご覧の通り、逮捕後事件はスピーディーに段階が変わります。
特に、逮捕直後の72時間で勾留の判断が行われるため、すばやく身柄解放のための対処を取らなければなりません。勾留が認められてしまうと、原則10日間、最大で20日間も身柄が拘束される可能性があります。
その後、起訴されて刑事裁判で有罪判決が言い渡されると、刑罰(罰金刑や懲役刑)を受けることになり、前科がついてしまいます。
もしもご家族が不法侵入で逮捕されてしまったら、早期の身柄解放を実現したり、罰金や前科を回避するために、速やかに弁護士にご相談されることをお勧めします。
関連記事
・家族が逮捕されたら警察から連絡はくる?逮捕後に会社に連絡される?
・逮捕の流れはどうなる?逮捕後の拘束期間は?早期釈放を実現するには?
不法侵入で逮捕されたら弁護士に相談!示談で罰金回避も
不法侵入で逮捕される前に示談?逮捕された後でも有効?
不法侵入を犯してしまったときに、被害者側と示談をすることは非常に有効です。
示談とは、事件を当事者間の話し合いで民事的な問題を解決することです。
示談では、刑事事件の被害をどうやって回復するのか、どのくらい賠償するのかといった話し合いがされます。
示談の際に話し合われる内容は、おもに次のような事項です。
不法侵入の示談交渉
- 事件の慰謝料
- 事件の損害賠償金
- 被害者が加害者を許すかどうか
示談をすれば、事件のお金に関する争いが解決しますので、被害者は加害者に対し、示談で取り決めた額以上の賠償金を請求することはできなくなります。
また、示談が成立したことは、刑事事件の手続きのなかでも考慮してもらえます(示談が成立したら、示談書を作成して、捜査機関に提出することも多いでしょう)。
住居侵入は、前科がなく、態様が悪質でなければ示談が成立すると不起訴となることも多いです。
かりに起訴された場合であっても、刑罰が決められるときに示談したことを考慮してもらえます。
逮捕された後であっても遅くはありません。できる限り早期に、示談交渉を開始することに意味があるでしょう。
不法侵入の示談の効果
- 不法侵入事件に関するお金の賠償問題が解決する
- 不起訴になる可能性があがる
- 加害者の刑事処分が軽くなる可能性があがる(懲役>懲役刑の執行猶予>罰金)
不法侵入に特有の示談条件がある?
なお、示談では、お金以外の条件についても話し合うことも多いです。
たとえば、接触禁止などについても話し合う場合があります。
住居侵入(不法侵入)では、加害者が被害者の住所を知ってしまっています。
よって、被害者の関心は今後の加害者との接触回避にあることが多いです。
そのため、不法侵入での示談では、加害者の住居周辺への接近禁止(接触回避)を条件に、示談が成立することが多いでしょう。
不法侵入の示談金額は?相場は?
不法侵入の示談金の金額は、事件ごとに異なります。
不法侵入の示談金の場合は、次のような要素を考慮しながら、当事者間で話し合って示談金の金額を決めます。
不法侵入の示談金の要素
- 住居侵入行為の内容
- 被害者の処罰感情
不法侵入(住居侵入)で発生する主な損害は、被害者の精神的苦痛です。
よって、不法侵入の示談金額は、基本的に被害者の精神的苦痛に対する対価の性質を有します。
つまり、不法侵入の示談金の内訳の多くを慰謝料が占めることになります。
示談金 | 示談の際に支払われるお金の全体。 慰謝料やその他の金銭を包括する大きな概念。 慰謝料以外の損害をも加えた金額になる。 |
慰謝料 | 示談金に含まれる「精神的苦痛」に関して支払われるお金。 |
不法侵入の示談金額の実例
慰謝料ということになると、被害者の気持ち・精神的苦痛の大きさが重視される傾向はあるでしょう。
また、不法行為の態様についても、不法侵入だけのものや、それ以外に窃盗をしたり、盗撮をしたり、不法侵入の際に器物損壊をしていたり等の様々なケースがあるでしょう。
そのため、不法侵入の示談金額は、事件によって大きく異なり、ケースバイケースといえそうです。
ここでは、実際の不法侵入の示談金額(一例)を掲載します。
ご参考までにご覧ください。
内容 | |
---|---|
事件内容 | ナンパ目的で女性の跡をつけ、女性の自宅マンションに侵入した住居侵入事件。 |
示談金 | 5万円 |
刑事処分 | 不起訴 |
内容 | |
---|---|
事件内容 | 下着を盗む目的で、女性が住むハイツの踊り場に侵入した住居侵入事件。 |
示談金 | 20万円 |
刑事処分 | 不起訴 |
内容 | |
---|---|
事件内容 | 女性の居室内をのぞく目的で、マンション6階ベランダから侵入し、浴室をのぞいた住居侵入事件。 |
示談金 | 70万円 |
刑事処分 | 送致なし |
内容 | |
---|---|
事件内容 | わいせつ目的で女性の跡をつけ、「下の部屋の者です。水漏れしてるんですけど確認して下さい。」と女性居室を訪問し、無理矢理玄関に侵入した住居侵入事件。 |
示談金 | 200万円 |
刑事処分 | 不起訴 |
被害者側の気持ちもあるので、自分で示談金額や示談条件を交渉しても、限界を感じることもあるでしょう。
また、多くの場合、捜査機関から「弁護士だけに被害者の連絡先を教える。」という条件つきで、被害者の連絡先を教えてもらえたり、連絡がとれたりということが多いです。
示談交渉の土台をととのえるためにも、早めに弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
不法侵入の逮捕や罰金刑が不安なら弁護士相談?
【無料相談】不法侵入で頼れる弁護士に相談したい…窓口は?
アトム法律事務所では、刑事事件の加害者側の方を対象に一定の事案において弁護士の無料相談を実施しています。
不法侵入の弁護士相談(無料)
- 事務所で弁護士相談(警察介入事件につき初回30分無料)
不法侵入(住居侵入罪・建造物侵入罪)で逮捕されると、事件はスピーディーに進行します。
できる限り早く弁護士に相談し、弁護活動に着手してもらうことをお勧めします。
以下の窓口から、不法侵入の逮捕のお悩みや、罰金・懲役などのご不安について相談することが可能です。
不法侵入をしてしまったご本人でも、不法侵入で逮捕中の方のご家族でも、24時間予約可能な電話窓口となっています。
ご自身やご家族が刑事事件の加害者になってしまった場合、迅速な対応が大切です。
お一人で悩まずにお気軽に弁護士にご相談ください。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了