離婚調停で勝つには?調停を有利に進めたい女性のための完全ガイド
離婚調停は、離婚問題に関する夫婦の話し合いについて、調停委員会が間に入って双方が合意に達するための手続きです。
離婚調停で自分の主張に沿った内容で合意するには、いくつかのポイントがあります。
この記事では、離婚調停で勝つためのポイントについてわかりやすく解説します。
目次
【総論】離婚調停で勝つためのポイント
自分の主張を調停委員に明確に伝える
離婚調停の基本は、離婚したい理由と離婚条件について、調停委員にわかりやすく伝えることです。
当たり前のことですが、実際に調停の席につくと、自分の主張を明確に伝えるのは想像以上に難しいものです。
例えば、離婚を望んでいるなら、婚姻関係が破綻した決定的な事実について説明する必要があります。
しかし、中には、交際中から婚姻に至るまでの事情や、婚姻中の日常の細かな事情の説明に終始してしまうケースも少なくありません。
離婚調停では、自分が実現したいゴールを意識しながら、そのために最も必要な主張を行うのが重要です。
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自分の主張を裏付ける証拠を提出する
離婚調停は話し合いの場ですが、自分の主張を裏付ける証拠があった方が有利になる点は裁判と同じです。
例えば、相手の不貞行為(不倫、浮気)を主張する場合は、メールやLINEのやりとり、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真、不貞行為を認める発言の録音データなどがあると有利です。
注意しなければならないのは、証拠を出すタイミングです。
最初から手持ちの証拠をすべて提出してしまうと、相手に反論の機会を与えてしまうことになります。
そうなると、調停不成立後に離婚裁判になった場合、不利になるおそれがあります。
必要な証拠の内容や、証拠を提出するタイミングについては、弁護士に相談しておくのがおすすめです。
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調停委員を味方につける
離婚調停では、男女各1名ずつの調停委員が、こちらの主張を聞いた上で相手方に伝えてくれます。
調停委員は中立公正な立場なので、どちらか一方だけが有利になるような進め方はしません。
しかし、調停委員も1人の人間である以上、当事者が冷静で協力的であるほど、相手方を説得してくれやすくなります。
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相手を非難しない
調停委員に「この方は冷静な当事者だな」という印象をもってもらうには、相手方のことを非難しないことが大切です。
相手方から受けた苦しみについて、調停委員にわかってほしいがゆえに相手方のことを非難したくなる気持ちは当然のものです。
しかし、そこは一呼吸ついて落ち着き、自分が経験した事実についてのみ説明するようにすると有利な結果につながりやすくなります。
もし調停中に相手方から不合理な主張をされても、無視して冷静でいましょう。
こちらが冷静であるほど、相手方の態度との差が明確になり、調停が有利に運ぶ可能性が高まります。
譲歩の姿勢
もう一つ大切な協力的な態度とは、譲歩の姿勢を意味します。
調停委員は、調停をまとめるために当事者双方の主張の中間をとった調停案を提案してくるケースが多いです。
そのとき、当事者としては、自分の主張が否定されたように感じ、「なぜ自分だけ譲歩しなければならないのか」と不満に思う方が少なくありません。
しかも、その不満を調停委員に直接ぶつけてしまう方もおられます。そのような態度は、調停委員への印象を悪くするだけなので避けるべきです。
調停委員の調停案は、相手方にも譲歩を求めていることが多いので、「自分だけが不利な案を強制されている」と思い込まずに、提案の理由や相手方の譲歩内容を冷静に理解することが重要です。
そうすれば、自分の対応も落ち着いて考えられるはずです。
その上で、お互いに譲歩して合意できれば理想的です。
ある離婚条件で譲歩すれば、協力的な当事者として調停委員の印象が良くなり、どうしても譲れない離婚条件の話し合いの場面で、あなたの主張が通るよう相手方を説得してくれやすくなるでしょう。
裁判官も意識した法的な主張ができればベスト
離婚調停は調停委員が間に入る話し合いだと知っている方は多いですが、実は裁判官も関与するとご存じでしょうか。
裁判官が調停の場に同席することはほとんどありません。
しかし、調停委員は調停の進行内容について必ず裁判官に説明をしています。
そして、どちらの当事者の主張が法的に見て正当かを最終的に判断しているのは裁判官です。
したがって、離婚調停では、裁判官を意識した法的な主張をした方が有利になります。
例えば、財産分与の話し合いで「預貯金は特有財産に当たるので財産分与の対象外だ」という主張が認められると、その預貯金はすべてあなたの財産として確保されます。
このように法的な主張が認められるには、具体的な事実やそれを裏付ける証拠、場合によっては過去の裁判例や審判例の引用が必要です。
法的な主張をすべてご本人で行うのは負担が大きいため、不安な方は事前に弁護士に相談しておくと安心です。
離婚調停は女性が有利なの?
離婚調停は、必ずしも女性が有利というわけではありません。
調停は中立の立場で行われ、当事者双方の意見や状況を考慮して公正な解決を図るよう進められます。
例えば、親権について、母親の方が有利とよく聞くと思いますが、これは女性だから有利という意味ではありません。
親権者が母親になることが多い理由は、母親が主に子の監護養育を担ってきたケースが多いためです。
実際の調停では、子どもの意思や、適切な養育環境を提供できるのはどちらかという事情も考慮され公平に判断されます。
その他の離婚条件についても、女性だから有利になるということはありません。
双方の主張、証拠の提出の機会は平等に与えられ、性別に関係なく判断されます。
【争点別】離婚調停で勝つためのポイント
離婚
こちらが離婚を求めているのに対し、相手方が離婚したくないと主張している場合は、離婚裁判を見越した主張をするのがポイントです。
具体的には、法定離婚事由(民法770条1項)に当てはまる事実を主張し、証拠を提出します。
法定離婚事由とは、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、婚姻を継続し難い重大な事由の5つです。
法定離婚事由に該当すれば、たとえ相手方が離婚を拒否していても離婚を認める判決が出され、強制的に離婚できます。
したがって、離婚調停で法定離婚事由を主張すれば、裁判を避けたい相手方は離婚調停に応じるようになる可能性が高まるのです。
また、調停委員は離婚裁判を見越して離婚調停を進めるため、法定離婚事由が存在するケースでは調停段階で離婚するよう相手方を説得してくれやすくなります。
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財産分与
財産分与は、婚姻関係中に夫婦が協力して築いた共有財産を原則として2分の1ずつ分ける制度です。
財産分与で有利になるには、大前提として相手方名義の財産をすべて把握しておくことが重要です。
自分で探しきれない相手方の財産がある場合は、弁護士に早めに相談して調査してもらいましょう。
また、相手方の退職がかなり先でも退職金の分与を求めるのもポイントです。
実務では、支給時期が相当先(10年以上)であっても、勤務期間に応じて財産分与の対象とします。
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慰謝料
慰謝料請求は、相手方の有責行為により精神的苦痛を受けた場合に請求できます。
典型的には、相手方が不貞行為やDVをした場合です。
慰謝料請求が認められるためには、具体的事実の主張と証拠がポイントです。
例えば、「相手方は隠れてスマホを触っていることが多いので、浮気をしているに決まっている」というあいまいな主張では慰謝料請求は認められません。
いつ、どこで、誰と、どのような行為をしたかということをできるだけ具体的に主張できるように、LINEやメール、写真などの証拠を用意しておきましょう。
慰謝料の金額については、裁判になった場合に認められる可能性が高い額をあらかじめ知った上で調停に臨むとよいでしょう。
離婚に伴う慰謝料の相場は100万円〜300万円です。100万円以下の場合も少なくありません。
ご自身の被った精神的苦痛の大きさを考えると、もっと高額の慰謝料を請求したい方もおられると思います。
しかし、相場を大きく超えた慰謝料を請求してしまうと、相手の態度を硬化させ、離婚や離婚条件の交渉がストップしてしまうリスクも知っておく必要があります。
特に自分が離婚を求めている場合、慰謝料にこだわり過ぎず、譲歩する代替案を最初から用意しておくと、調停全体がスムーズに進むでしょう。
もっとも、相手が早期の離婚を希望している場合は、相場より高めの慰謝料請求をすることは一つの戦略としてあり得ます。
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親権者
親権者を決める場合、裁判所は、これまで主として子どもの世話をしてきた方の親に継続的に監護させることを重視しています。
自分が主として子どもの監護養育を担ってきたことを証明するため、これまでの監護状況に関する陳述書や、子どもの陳述書、母子手帳、幼稚園や保育園の連絡帳、通知表などを提出しましょう。
その他にも、子どもの意思や面会交流について寛容な態度なども重要な判断要素です。
子どもの意思を尊重すべき年齢については、個人差はあるものの10歳前後とされています。
離婚調停になった場合、家庭裁判所調査官が子どもと直接面会して、子どもの気持ちを聴き取るケースが多いです。
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養育費・婚姻費用
調停・審判、離婚裁判では、養育費・婚姻費用について、算定表(裁判所HP)を基準にして決める方法が定着しています。
算定表は、夫婦それぞれの年収、自営業者か給与所得者か、子どもの人数・年齢をあてはめれば、養育費・婚姻費用の金額が算出できるように作成されています。
したがって、夫婦の話し合いで、相手が養育費・婚姻費用を支払わないと言ったり、算定表より低額な金額を主張する場合は、早めに調停を申し立てて、算定表の範囲で適切な金額を粛々と主張するのがおすすめです。
相手が上記のような主張をする場合でも、調停では、算定表の範囲内で支払うよう説得してくれるのが一般的です。
もし算定表の相場より高額な養育費が必要になる可能性が高い場合は、具体的な理由をつけて、相場より高い金額を主張することもあり得ます。
例えば、私立大学への進学が見込まれる場合です。
高めの金額を主張する以外にも、支払終期を通常より長くする方法もあります。
通常、養育費の支払終期は子どもが満20歳になる月とされますが、両親とも大学を卒業している場合などは、終期を大学卒業までとするケースも多いです。
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離婚調停で勝つには弁護士に相談
離婚調停は話し合いの場である以上、100%自分の主張を通すことは難しいです。
しかし、有利になるポイントを知った上で交渉すれば、自分の主張をできる限り実現する形で合意に至ることは可能です。
離婚調停で有利になるポイントを押さえて交渉するには、弁護士に相談するのが最もおすすめな方法です。
離婚調停を弁護士に依頼すれば、以下のメリットがあります。
弁護士に依頼するメリット
- 弁護士は離婚調停に同席するので、自分の主張を調停委員に明確に伝えられる
- 弁護士から精神的なサポートも受けられるので、感情的な対応を防止できる
- 法的観点に基づいた説得力のある主張ができる
- 離婚調停を有利に進めるための証拠についてアドバイスを受けられる
- 陳述書など有利になる書面を作成してもらえる
弁護士は以上のメリットを生かして、ご相談者様を全力でサポートします。
少しでもご不安な点があれば、いつでもお気軽にアトム法律事務所にお問合せください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了