離婚調停で聞かれる事は?答えを考えておこう!
話し合いでの離婚が難しい場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停では、調停委員が中立的な立場で双方の話を聞いて、話し合いをサポートしてくれます。中立とはいえ、調停委員をうまく味方につけることで、有利に調停を進めることができるでしょう。
調停の際は、ある程度決まった質問がされます。自分の主張をうまく伝えるために、あらかじめ質問への答えを準備しておきましょう。
この記事では、よく聞かれる質問や、質問への対策などを弁護士の視点からわかりやすく解説します。
目次
離婚調停とはどんなもの?
離婚調停とは
離婚をしたいときはまず、当事者間での話し合いで解決する「協議離婚」を目指します。協議で決まらなかった場合には、家庭裁判所に対して「離婚調停」を申し立てることができます。
調停は裁判所で、裁判官と調停委員から構成される調停委員会が仲介して行う手続きです。しかし、裁判所が離婚の成立や離婚の条件を一方的に決めてくれるわけではありません。離婚調停は、あくまで当事者間での合意を目的とするものです。
とはいえ、調停委員会に自分の主張がいかに合理的かを理解してもらい、味方になってもらうことは、調停を有利に進めるために重要です。
調停期日では、夫婦がそれぞれ調停委員と面談をして、意見の調整を行います。
お互いの意見が激しく対立して話し合いが進まない場合は、調停委員と裁判官が評議を行って、調停委員会としての考えを提案することもあります。
その提案を受け、夫婦がお互いに譲歩できる点を探りながら、調停の成立を目指していきます。
離婚調停の流れ
家庭裁判所に夫婦関係調整申立書を提出すると、1〜2週間程度で1回目の調停期日を知らせる呼出状が届きます。
調停期日には、双方が家庭裁判所へ出向き、調停委員と話します。1人ずつ調停室に呼び出され、30分程度の事情聴取が2往復ほど行われます。それを繰り返して、意見の調整を行います。
その後は、調停成立に至るまでの間、1か月に1回程度の頻度で調停が開かれます。
離婚調停が成立するまで、約半年かかるケースが一般的です。しかし、対立が激しい場合は、調停成立まで数年を要することもあります。
調停の中で双方が合意に至った場合は、調停調書が作成され、調停が成立します。
離婚調停では何を話し合う?
離婚調停では、離婚の可否のほか、親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割など、離婚に関するあらゆる争いについて話し合うことができます。何について話し合いたいかは、離婚調停の申立書に記入することができます。
こちらは裁判所のホームページで公開されている申立書の記入例です。このように、希望の離婚条件を細かく記入します。
離婚調停でよく聞かれる質問
離婚調停、特に第1回目の期日では、ある程度決まった質問がされます。その他にも、相手方の主張に対して、どう思うかなどを聞かれます。
ここでは、申立人(離婚調停を申し立てた側)がよく聞かれる質問を紹介します。
離婚を決意した理由について
- 離婚したい理由
- 結婚した経緯
- それまでの婚姻生活の様子
- 相手のどこに不満があるのか
離婚を決意した理由は、申立書にも簡単に記入しますが、調停中にも聞かれます。
調停離婚では法定離婚事由は必要ないとはいえ、それなりに合理的な理由がなければ調停委員会は納得してくれません。たとえば「特に理由はないけれど、急に夫が嫌になったので離婚したいです」という主張は、認められづらいでしょう。
また、DVや不倫があったと主張するのであれば、具体的なエピソードや証拠を示しましょう。
現在の夫婦の状況について
- 夫婦が現在どういった生活をしているか
- 婚姻費用(別居中の生活費)はどうしているか
- 夫婦関係を修復できる可能性があるか
現在夫婦がどのような生活を送っているかについてよく聞かれます。また、夫婦の一方が婚姻の継続を望んでいる場合は、夫婦関係を修復できる可能性がないかを聞かれることがあります。
離婚の条件について
- 子供の親権や養育費、面会交流をどうしたいか
- 財産分与、慰謝料などをどうしたいか
- 相手が応じない場合は訴訟を提起したいか
慰謝料や財産分与などのお金に関する条件や、親権や養育費、面会交流などの子どもに関する条件をどうしたいか聞かれます。条件については、調停の中で意見のすり合わせが行われます。離婚調停では、離婚訴訟とは異なり、柔軟な取り決めをすることができます。
離婚後の生活について
- 離婚後の住居、経済面などはどうなるか
- 働いている間子どもの面倒を見てくれる人はいるか
離婚後の生活の具体的なイメージがついているかが確認されます。特に住む場所や収入のあてもないのに離婚調停を申し立てているとなると、本当に離婚する気があるのか疑わしくなってしまいます。
特に親権を争う場合は、離婚後の養育環境に問題がないことを証明する必要があります。
離婚調停前にしておくべき対策は?
離婚調停の前に考えをまとめておこう
調停で納得のいく結論を得るためには、調停委員会にこちらの主張をうまく汲み取ってもらう必要があります。
しかし、何も準備せずに調停に出向き、思うままに話してしまっては、調停委員会にうまく主張が伝わらないどころか、悪印象を抱かれてしまうでしょう。
離婚調停を有利に進めるためには、よくある質問への答えを用意しておくほか、離婚したい理由や希望する条件、これまでの経緯などについて、事実や主張をまとめたメモを作っておくことをおすすめします。メモは、調停に持ち込むことができます。
これは、自分の主張を漏らすことなく正確に伝えるために重要です。調停の中で、これまでの出来事を時系列順に聞かれることがよくありますが、その都度思い出しながら話そうとしても、正確性に欠けてしまいます。
また、一貫した主張をすることも重要です。自分の発言の中に矛盾があっては、調停委員に「この人の主張は信憑性が低いな」と判断されるおそれがあります。
こういった理由から、あらかじめ自分の中で考えをまとめて、メモを作成しておくと安心です。
不安なことは弁護士に相談!
うまく話せるか分からない、何と答えたらいいか知りたいという方は、弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士に依頼すると、打ち合わせで考えを整理したうえで調停に臨むことができます。また、弁護士に調停に同席してもらうことができますので、調停委員会に対して自分の考えを伝える手助けをしてもらえます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了