子どもが大きくなったら離婚のメリット・デメリット|離婚の最適な時期
離婚が与える子どもへの影響や離婚後の生活への不安を感じて、離婚したくても子どもが大きくなるまで我慢しようと考えている人も少なくありません。
子どもが大きくなってから離婚すれば、子どもに与える心理的な影響を軽減できたり、養育費の取り決めをする必要がないなどメリットも多くあります。
一方で、いまの夫婦関係を続けなければならず、離婚できないことのストレスから家庭内不和に陥り、自分だけでなく子どもに悪影響を与えてしまうこともあります。
今回は、子どもが大きくなったら離婚するメリットとデメリット、具体的にいつ離婚すればよいのか、最適な離婚のタイミングについて解説していきます。
子どもが大きくなってからの離婚のメリット
大きくなってからの離婚は子どもへの負担を軽減できる
子どもが大きくなるまで離婚を待つことによって、子どもに与える負担を軽減することができます。
離婚は、夫婦だけでなく子どもの人生にとっても大きな出来事です。
未成熟の子どもであれば、離婚の当事者の両親よりも離婚によって受ける影響は大きいでしょう。
子どもが幼い段階で離婚した場合でも、離婚について子どもと話し合えれば負担を軽減することもできるケースはあります。
しかし、子どもが「離婚」をまだ理解するのが難しい年齢であると、話し合って負担を軽くしてあげるようなこともできません。
子どもの成長や教育への影響を考えるのであれば、いますぐには離婚せず、いずれしかるべきタイミングで離婚するというのもひとつの手段です。
既に子どもが自立したため養育費の取り決めが不要
子どもが就職してから離婚すれば、離婚後の養育費について取り決めなくてもよいため、離婚の話し合いがスムーズに進むことが期待できます。
養育費の払い方や、金額、そして払い終わりの時期は、夫婦が合意すれば自由に決められます。
支払いの時期は実務上は20歳が目安となっていますが、子どもが経済的に自立できる時期によって支払いの時期も変わってきます。
18歳を超えても大学や専門学校に通っている場合、自分で働くことも難しいため養育費は子どもが就職するまで支払うと合意することも少なくありません。
しかし、子どもが就職して経済的に自立した段階で離婚すればもう養育費を払う必要がないため、養育費について取り決める必要はありません。
養育費は子どもの将来に関わる、最優先に話し合っておくべき離婚条件ではありますが、お金の問題でもあるので離婚の際にトラブルになるケースもみられます。
養育費について話し合いをする必要がなければ、話し合っておくべき離婚条件もひとつ減りますので、話し合いがスムーズに進むことが期待できます。
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経済的に安定した生活が送れるよう準備ができる
子どもが大きくなってから離婚すれば、離婚後も経済的に安定した生活が送れるよう離婚前にあらかじめ準備することができます。
子どもが大きくなるまで離婚せず今のまま生活すれば、夫の収入もあるので離婚するまで経済的に安定した生活を送ることができます。
その間に、離婚後も十分な生活が送れるよう、現在就いている仕事のキャリアアップや就活・転職、就職につながる資格取得に時間を割くことができます。
また、子どもが自立してから離婚すれば、離婚後の生活費を確保するうえで子どもの養育費や教育費を考慮する必要がなくなります。
子どもが大きくなってからの離婚であれば、ひとりでも生活していけるだけの金銭的な余裕を作ることだけに専念すればよいのです。
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財産分与・年金分割の増額が見込める
子どもが大きくなってから離婚すれば、財産分与や年金分割の増額が見込めます。
財産分与は、離婚するまでに夫婦が築いた共有財産を対象として原則として2分の1ずつ分けるよう請求できます。
離婚する時期を延ばせば延ばすほど、共有財産は増えるので、財産分与額もその分増額させることができます。
また、年金分割は、離婚した夫婦が婚姻期間中に納めた厚生年金・共済保険の保険料を分割して分け合う制度です。
離婚する時期を延ばせば延ばすほど、納めた保険料額も増えるので、年金として受給できる金額の増額が見込めます。
子どもが大きくなるまでは離婚しないデメリット
注意!慰謝料請求が一切できなくなるというのは間違い
子どもが大きくなってから離婚することのデメリットに、離婚慰謝料請求ができなくなるおそれを挙げられることがありますが、一切の請求ができなくなるわけではありません。
離婚慰謝料は、離婚そのものから生じる苦痛に対する「離婚自体慰謝料」と離婚の原因になった不倫やDVなどの行為から生じた苦痛に対する「離婚原因慰謝料」の2種類に分けられます。
このうち、離婚原因慰謝料は不倫やDVなどの不法行為を知った時から3年又は不法行為の時から20年経つと時効により消滅します(民法724条1号・2号)。
一見すると、婚姻中の夫の不倫から3年経ってから離婚した場合、慰謝料を請求できないようにみえます。
しかし、夫婦の一方が他の一方に対して有する権利は、離婚から6ヶ月を経過するまでは時効は完成せず、請求することが可能です(民法159条)。
夫の不倫の離婚慰謝料も妻が夫に対して有する権利なので、たとえ不倫から3年経っていても離婚から6ヶ月以内であれば請求することができます。
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離婚を子供が大きくなるまで待つので精神的につらい
子どもが大きくなったら離婚する場合、子どもが大きくなるまで離婚したいのにできない、精神的につらい状況に耐えなければいけません。
今すぐに離婚するわけではなく、子どもが大きくなった段階で離婚するのはひとえに子どものためを思っての決断です。
その判断は決して間違ったものではなく、すぐに離婚することと同じくらい勇気がいる行動です。
しかし、親としてその判断をしたことの責任をひとりで背負い続けることは精神的にもかなりつらいものがあります。
すぐに離婚でなく、ひとまず立ち止まって離婚を検討しつつ、それでもこんな状態がずっと続くのは耐えられないのであれば、すぐに離婚することも視野に入れてみてもいいかもしれません。
結婚生活に耐えられず、心に大きな傷を負って生活がままならない状況になるくらないなら、自分の気持ちを最優先に考えるのも自分と子どもの生活を守る手段のひとつです。
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DVや悪意の遺棄による被害が拡大するおそれ
DVやモラハラ、悪意の遺棄を受けている場合、子どもが大きくなってから離婚すると判断してしまうと、更なる被害を受け、場合によっては子どもにまで危険が及ぶおそれがあります。
身体的な暴力、精神的な嫌がらせであるモラハラはエスカレートしやすく、更に被害が拡大し、場合によっては生命・身体を害する結果に発展することもあります。
また、自分だけでなく子どもに対して暴力や暴言が向けられることも考えられ、子どもの成長に多大な悪影響を及ぼす危険性が考えられます。
悪意の遺棄についても、十分な生活費が与えられず経済的に困窮し、自分や子どもの生命や身体、健康を害することが考えられます。
DV、モラハラ、経済的暴力を受けているような場合は、警察、病院、相談機関などに相談し、速やかに自分と子どもの生命を守る行動をとってください。
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子供が大きくなったら離婚│何歳で離婚する?
子どもが離婚を理解できるタイミングに離婚する
「離婚は子どもが大きくなったら」
そのタイミングは、具体的にいつ、子どもが何歳の時期か、状況や考え方によって変わってきます。
ひとつの考え方として、子どもが大きくなってからの離婚のメリットのひとつである「子どもへの負担軽減」を考えて子どもが離婚を理解できるタイミングに離婚するという手もあります。
離婚前に子どもに、離婚すること、理由、離婚に賛成か、離婚後の生活について話すことで突然の離婚や生活の変化のショックを軽減させることが期待できます。
もちろん子どもには話しづらいこと、今すぐに判断することが難しいような内容まですべて話す必要はありません。
子どもにとっては事前に打ち明けてもらえることで離婚を受け止める心構えもできるため、子ども自身の考えをまとめる余裕も生まれます。
親の離婚を理解できるのが何歳までか、は子どもそれぞれの個性によって違います。
たとえば12歳、小学校卒業といった子どもが大人になるまでの区切りや段階を意識して打ち明けてもいいかもしれません。
子どもが卒業し就職したら離婚する
子どもが大学や専門学校、高校を卒業して就職する段階も離婚のタイミングのひとつとして考えられるでしょう。
子どもが大人になってからの離婚のメリットである養育費を考慮する必要がない、経済的に安定した生活が送れるという点を重視して子どもが自立した段階で離婚するという考え方です。
また、子どもが自立するタイミングであれば、子ども自身の心が既に成熟していることから、親の考えを尊重して離婚を捉えてもらえることが期待できます。
「両親にはできたら仲良くはしてもらいたいけど、精神的につらい思いをするぐらいなら離婚して自分らしく生きてもらいたい」と考えてくれる子もいます。
一方で子どもがストレートに大学を卒業する22歳前後まで離婚を待つことになるので、自分にとって精神的につらい時間はいちばん長いともいえます。
メリットが多いからといって、子どもが自立したタイミングが最適なタイミングだとは限らないので、状況や自分の心境に照らして考えてみてください。
両親との生活を覚えていない時期に離婚する
子どもが大きくなったら離婚、ではなく、両親との生活をまだ覚えておらず配偶者が与える影響が少ない時期、たとえば4歳くらいまでに離婚するという考え方もあります。
子どもが幼い時期に離婚することは、子どもの成長や価値観に影響を与えてしまうことは否定できません。
しかし、自我が芽生える前の段階で離婚することで家族との別れを意識せずに済み、かえって子どもへの影響を最小限にできる可能性があります。
離婚直後は父親への喪失感から感情的に不安定になることも考えられますが、既に片親家庭で過ごすことに慣れ、多感な時期はほとんど心理的な影響もなく過ごせるケースも十分に考えられます。
ただし、父親がどれほど子どもの育児に関わってきたか、父親と子どもとの関係性、父親と子どもの性格によってどれほどの影響を与えるかは変わります。
最も早い時期の離婚になることから、子どもの将来のためにあらかじめ考え、準備するべきことはいちばん多い離婚時期でしょう。
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子供が大きくなったら離婚?いつが最適か弁護士に相談
子どもが大きくなったら離婚するのか、いますぐに離婚するのか、離婚のメリット・デメリットは時期によって大きく変わってきます。
あくまでも子どもの将来、未来に関わることなので、離婚の時期というのは確実にこの時期が最適であるとは断言できるものでありません。
しかし、弁護士にご相談いただければ財産分与や年金分割の見込みなど金額を可視化し、経済的な不安を軽減できる可能性があります。
子連れ離婚の案件にも力をいれて取り組んでいる弁護士であれば、他の親子の離婚のケースも参考にして離婚のタイミングをいっしょに考えることができます。
漠然とした不安が可視化できるだけでも離婚の決断をしやすくなるものです。
子どもが大きくなった段階で離婚すべきか、迷ったら弁護士に相談してみましょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了