子なし夫婦の離婚理由、メリット・デメリットやその後の人生は?
子なし夫婦の離婚は、親権や養育費など、子どもに関する問題がないため比較的スムーズに進むと思われがちですが、実際にはそれぞれの課題があります。
たとえば、将来の不安や離婚後の人間関係の希薄さなど、子なし夫婦特有の悩みがあります。
この記事では、離婚を検討している子なし夫婦に向けて、子なし夫婦が離婚を選ぶ理由や、子なし離婚のメリット・デメリット、そして離婚後の生活について詳しく解説します。
離婚を考えている方の不安や疑問を解消し、よりよい決断のためのヒントを提供します。
目次
子なし夫婦が離婚を選ぶ理由は?
子なし夫婦の離婚理由
以下は、子どもを持たない夫婦が離婚を選ぶ理由の代表例です。
- DV・モラハラ
- セックスレス
- 子どもがほしいのに協力してくれない・年齢が適さない
- 好きではなくなった・異性として見られなくなった
- 性格の不一致・価値観の違い
- 不倫・好きな人ができた
- 浪費癖
他方、子どもを持つ夫婦は、男女というよりも父母や家族という関係性になり、離婚したいと思う原因も変化すると考えられます。
子なし夫婦が離婚しない理由
反対に、子どものいない夫婦が離婚を踏みとどまる理由はこのようになっています。
- 仮面夫婦でも問題ない・会話する必要がない
- 別居・家庭内別居すればよい
- 世間体が気になる
- 離婚後の金銭面の不安
- まだやり直せるかもしれない
- 再婚できるかわからない
子どもがいる場合、夫婦仲が冷めきっていたとしても、強制的に会話をし、協力しなければいけません。
一方で、子どもがいない夫婦は、相手と関わらなくても生活していくことができます。結婚生活を続けていれば、世間体は守られますし、金銭面でも支えを得ることができるため、あえて離婚しなくてもいいと考える方もいるようです。
子なし夫婦が離婚を決意するタイミング
子なし夫婦の離婚が多いのは、どの年代なのでしょうか。
令和4年度 離婚に関する統計の概況から、離婚時の年齢ごとの「親権を行う子がいない離婚」の件数を見てみましょう。
子どもが成人する50代以降の夫婦には、当然に子なし離婚が多いので除きます。それより若い夫婦では、男女ともに30~34歳のときに、子どものいない夫婦の離婚件数が最も多くなっていることがわかります。
なお、子なし離婚の割合でいうと、男性は同じく30~34歳、女性は25~29歳が最も高くなっています。
20代後半から30代前半といえば、気力・体力が充実し、再婚も容易なタイミングですので、この年代に子なし離婚が多いのも頷けます。
とはいえ、子どもがいない夫婦であれば、子どもの心に与える影響や子どもの学業のことなどを気にする必要がありません。いつでも夫婦が望むタイミングで離婚することができます。
子なし離婚のメリット・デメリット|子あり離婚との違い
子なし夫婦の離婚のメリット
- 子どもに配慮する必要がない
- 親権や養育費、面会交流の話し合いが不要
- 元配偶者や義両親と関係を継続する必要がない
- 再婚しやすい
未成熟の子どもがいる夫婦が離婚する場合は、親権や養育費、面会交流など子どもに関する条件が折り合わず、もめごとになるケースが少なくありません。それに比べると、夫婦のあいだに子どもがいないのは、円満に離婚しやすい状態であるといえます。
また、連れ子がいないと比較的再婚がしやすいため、離婚のハードルは低いと考えられます。
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子なし夫婦の離婚のデメリット
- 一緒に過ごす子どもがおらず孤独
- 他者との関わりが希薄になる
- 老後に頼れる人がいない
子なし夫婦の離婚には、一般的な離婚のデメリット以上の特筆すべきデメリットは多くはありません。
とはいえ、子どももおらず再婚もしないという方は、孤独感を感じたり、老後や困った時に頼れる先が少なくなってしまうというデメリットがあるといえます。
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子なし離婚のその後は?
離婚後はどこに住む?
離婚後の住居には、主に以下のような選択肢があります。子どもがいなければ、離婚後の住居は比較的柔軟に決められます。
- 実家に戻る
- 婚姻中の家に住み続ける
- 新しく賃貸を借りる
- 新しく家やマンションを買う
実家に帰れば、自分の親と時間を過ごすことができますし、金銭的にも負担が軽くなります。
婚姻中の家に住み続けることができれば、引っ越し費用がかからず、環境の変化も少ないというメリットがあります。ただし、家にどちらが住み続けるのか、もしくは手放すのかは、離婚時に争いになることがよくあるため、必ずしも希望通りになるとは限りません。
また、新たに家を買ったり、賃貸物件を借りたりすれば、心機一転新しい環境で人生を再スタートすることができます。
元配偶者のいる場所から離れて暮らすことを最優先に住居を選ぶ方もいます。ご自身の経済状況やライフスタイルに合わせて住居を選ぶのがよいでしょう。
離婚後も苗字を使い続ける?
離婚後、多くの女性は夫の苗字から旧姓に戻りますが、婚氏続称(こんしぞくしょう)といって、役所で手続きを行えば夫の苗字を使い続けることができます。
子どもを連れて離婚した母親は、子どもの苗字が変わってしまうことを避けるために婚氏続称を選ぶことがあります。
また、子どもがいない方でも、苗字が変わることによる仕事への影響や名義変更の手間を抑えるために、夫の苗字を使い続ける方もいます。
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離婚後は再婚する?
厚生労働省の人口動態統計によると、婚姻件数のうち26%が、夫婦のどちらかまたは両方が再婚なのだそうです。これを見ると、再婚のチャンスはたくさんあるように思えます。また、子どもがいない方は、さらに再婚のハードルは低いといえます。
再婚すれば、金銭的に余裕ができたり、老後もパートナーと支え合って生きていくことができます。
他方、再婚しない方は、自分の時間やお金を自由に使うことができます。友人と時間を過ごしたり、趣味や仕事に没頭するのもよいでしょう。
どちらも素晴らしい人生の選択肢です。自分の将来を自分だけのために決められるのは、子なし離婚のメリットです。
離婚後の生命保険はどうする?
子なし離婚の場合、生命保険を見直した方がよい場合があります。
離婚によって、死亡後に養わなければならない家族が減るからです。その場合は、解約するか保障を少なくすれば、保険料を節約することができます。
とはいえ、自分の親へ保険金が渡るようにしたり、自分の葬儀費用に充てるために、生命保険をそのまま継続する方もいます。
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子なし離婚で後悔している?
- 仕事を続けていれば金銭的に苦労しなかった
- 相手への愛情が残っていた
- やっぱり子どもがほしかった
子どもを持たずに離婚した方の中には、このようなことで後悔している方もいます。
子なしの離婚で後悔しないためには、離婚を決断する前に相手と十分話し合い、仕事やお金、生活面などについて、しっかりと準備しておきましょう。そして、周囲の目を気にせず、自分にとっての幸せを追求することが大切です。
子なし夫婦の離婚の進め方
子どもがいてもいなくても、基本的な離婚手続きの流れは変わりません。
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離婚を切り出す前の準備
相手に離婚を切り出す前に、いくつか準備が必要です。
財産分与や慰謝料請求のための証拠集めや、離婚後の生活に向けた準備は、この段階で行うことをおすすめします。
子なし夫婦の場合、スムーズに離婚が成立する場合が多いため、証拠集めなどの準備を飛ばしてしまうおそれがあります。しかし、それでは適切な慰謝料や財産分与が受け取れず、不利益を被る可能性があります。
また、相手が離婚に応じない可能性がある場合は、裁判を視野に入れて離婚の準備をする必要があります。
裁判で離婚が認められるためには、「法定離婚事由」といわれる特定の離婚原因がなければいけません。法定離婚事由の存在を証明するための証拠を揃えておきましょう。
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離婚手続きの流れ
協議離婚
準備ができたら離婚を切り出し、話し合いを始めます。協議離婚は、夫婦が話し合って離婚することや離婚条件を決める離婚方法です。
話し合いの方法は自由です。対面でもいいですし、電話やメール、手紙を使うこともできます。また、弁護士を入れて話し合うこともよくあります。
話し合いで合意ができたら、離婚届を役所に提出すれば協議離婚の手続きは完了です。
調停離婚
夫婦間の話し合いで決着が着かなかった場合は、離婚調停を申し立てて、家庭裁判所の調停委員会の仲裁を受けながら話し合うことができます。
子どものいる夫婦の場合は、親権や面会交流、養育費をめぐって調停を起こすことがよくありますが、子なし夫婦が調停で話し合うのは、主に「離婚するかどうか」「財産分与・年金分割をどうするか」「慰謝料をどうするか」の3点です。
離婚調停も協議離婚と同じく、夫婦間の合意を目指すための手続きです。調停を繰り返す中で夫婦が合意できたら、調停は終了し、離婚が成立します。
裁判離婚
調停を行っても合意に至らなかった場合は、もう一度当事者間で話し合うか、家庭裁判所で離婚裁判を起こします。
裁判では、双方の意見が一致しなくても、最終的に判決によって結論が下されます。とはいえ、裁判を行う途中で当事者間の和解や認諾によって離婚が成立することもままあります。
離婚後の手続き
どの方法で離婚した場合も、離婚届の提出は必須です。
子なし夫婦が離婚後にする必要のある手続きは、大きく分けて以下のようなものです。
- 住民票や運転免許証など、身分証明書に関する手続き
- 健康保険や年金、各種手当など、公的な手続き
- 財産分与や年金分割に関する手続き
- 各種サービスの名義変更の手続き
これらの手続きには、期限があるものや、手続きが遅れると損してしまうものもあるため、忘れずに済ませましょう。
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子なし離婚に関するよくある質問
Q1.子なしで離婚するなら早いほうがいいですか?
「子どもがいないなら、離婚は早ければ早いほうがいい」と言われることがありますが、本当でしょうか。
確かに、すぐに離婚すれば気持ちが楽になりますし、新しい相手を見つけて再出発するのも簡単です。また、家やマンション、自動車などの大きな買い物をする前の離婚であれば、財産分与でもめる可能性も低いといえます。
しかし、少しだけ辛抱して話し合いをしてみれば、うまくやり直せる可能性もあるでしょう。話し合うこともしたくないと感じるかもしれませんが、離婚をするにも話し合いは必要です。
離婚には少なからずデメリットがあります。あまりに離婚を急ぐのは考え物です。
Q2.子なし夫婦の離婚で慰謝料を請求できますか?
相手方による不倫やDVなどの不法行為(有責行為)が原因で離婚することになった場合は、子どもの有無に関わらず離婚慰謝料を請求することができます。
離婚慰謝料の相場はおよそ100万~300万円程度と言われており、様々な事情を考慮して金額が決定されます。考慮要素の一例をご紹介します。
離婚慰謝料の額に影響する要素(例)
- 精神的苦痛の程度
- 有責行為の内容
- 有責行為の態様、回数、期間
- 婚姻の期間
- 夫婦に子どもがいるか
- 子どもの人数・年齢
子どもがいるにも関わらず不倫やDVなどを行うのはより悪質な行為であるため、夫婦の間に子どもがいるケースの方が、慰謝料の金額が高額になりやすいといえます。
さらに、子どもの人数が多く、年齢が低いほど、慰謝料の金額が高額になりやすいとされています。
したがって、子なし夫婦の離婚で支払われる慰謝料は、子あり夫婦と比べると低額になる可能性があります。
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Q3.子なしで共働きの場合、財産分与はどうなりますか?
子どものいない夫婦ですと、共働きの場合も多いでしょう。
共働きで双方の収入に差があったとしても、財産分与の割合が原則2分の1ずつであるのは変わりません。
しかし、「自分の方が稼いでいるのに財産を渡さなければならないのか?」と不公平に感じる方もおり、軋轢が生まれやすいといえます。
また、夫婦の財布を完全に分けており、相手がどんな財産を持っているか分からないという問題もあります。
財産分与の交渉が難航する場合は、弁護士にご相談されることをおすすめします。
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・共働きで離婚するとき、財産分与の対象や年金分割はどうなる?
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
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