離婚で決めること6項目と取り決め一覧を弁護士が解説

離婚で決めることは、「親権者」「財産分与」「慰謝料」「年金分割」「面会交流」「養育費・婚姻費用」の6つです。親権者以外は法的に必須ではありませんが、決めずに離婚すると本来受け取れるはずのお金が受け取れず、離婚後の生活に支障が出るおそれがあります。
特に子どもがいる場合、養育費や面会交流の取り決めは、子どもの生活や成長に大きく関わる重要な要素です。そのため、何をどのように決めるべきかを正しく理解しておく必要があります。
本記事では、離婚時に整理しておきたい6つの項目について、決める際のポイントと、決めない場合に生じ得るリスクを弁護士の視点から解説します。
なお、合意した内容は公正証書として書面に残しておくことが重要です。公正証書にすることで、約束が守られない場合の法的強制力を持たせることができます。
目次
離婚で決めること|6つの離婚条件
離婚で決めることのリスト
離婚で決めること(離婚条件)は、以下の条件です。
- ①財産分与
- ②慰謝料
- ③年金分割
- ④親権者
- ⑤面会交流
- ⑥養育費・婚姻費用
①財産分与、②慰謝料、③年金分割は、お金に関する条件であり、離婚する際に話し合っておきたい条件です。
また、④親権者、⑤面会交流、⑥養育費・婚姻費用は、子どもに関する条件であり、特に未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、話し合っておきたい離婚条件です。
なお、⑥婚姻費用は別居中の子どもの生活費も含むため、養育費といっしょに解説いたしますが、別居中の妻の生活費だけでも請求できる離婚条件でもあります。
離婚で決めること①財産分与
財産分与で離婚後の夫婦の共有財産の分け方を決める
離婚で決めることとして、離婚後の夫婦の財産をどう分けるか、財産分与について話し合っておきましょう。
財産分与とは、夫婦の共有財産を公平に分配することです。
婚姻生活の間に夫婦が築いた財産は、離婚後にだれが、どのくらいの割合で持つか決めておく必要があります。
財産分与について離婚の際に決めること
離婚の際、財産分与について、どの財産が財産分与の対象となるのか、どのくらいの割合で分けるのか、どうやって分けるのかといったことを決めることになります。
財産分与の対象
共有財産の対象となる財産は、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産(共有財産)です。
現金や預貯金のほかに、車、不動産、有価証券なども対象となります。
一方で、結婚前に夫婦の一方が持っていた財産、夫婦の一方が相続・贈与された財産などの「特有財産」は対象となりません。
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財産分与の割合
財産分与の割合は、2分の1、半分に分けることが原則です。
たとえ専業主婦であっても、妻が家事に専念することで夫は仕事に集中して収入を得られることから、夫婦で半分に分けることになっています。
ただし、夫婦双方が納得するのであれば、自由に割合が決められます。
また、例外的に、財産が一方の特別な資格や能力によって築かれた場合や財産形成をする上で多大な寄与があった場合にも割合が変更されることがあります。
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財産分与の方法
財産分与は、財産を換金したお金を分け合うこともできるほか、換金せず財産をそのまま譲り受けることもできます。
現金や預貯金であれば、分与割合に基づく金額を送金してもらうことになります。
一方で、土地や建物の不動産や自動車を半分に分け合うことは現実的ではないため、金銭に換算して分け合うことになります。
また、離婚後も不動産や自動車をそのまま使用し続けたいのであれば、換金せず、所有権移転や名義変更をすることでそのまま財産を譲り受けることもできます。
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離婚で決めること②慰謝料
離婚すれば必ずもらえるわけではない慰謝料
慰謝料は、不法行為が原因となって離婚したことの精神的苦痛に対する賠償金であり、離婚すれば必ずもらえるわけではありません。
しかし、不法行為は不貞行為やDVに限られているわけではなく、イメージされている以上に多様なケースで慰謝料を請求できます。
たとえば、モラハラ、生活費を渡されなかったり同居を拒まれるなどの悪意の遺棄、セックスレスや性行為の強制などの性の不一致も不法行為に含まれます。
慰謝料を支払ってもらえるケースなのかあらかじめ検討し、請求できるのであればどのように請求するか、ということも離婚の際に決めておくことのひとつです。
離婚慰謝料の決まり方
慰謝料は、双方が同意すれば自由に金額を決定できます。
話し合いで決められなければ、離婚調停、そして離婚裁判を通じて慰謝料を請求することになります。
裁判では、不法行為の内容や精神的苦痛の程度の他、支払い能力や反省の有無、婚姻期間や別居期間、子どもの有無などの事情を考慮して金額が決まります。
慰謝料の相場は、事案によりますが一般的に100〜300万円程度とされています。
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離婚で決めること③年金分割
離婚後の生活を決める年金分割
年金分割とは、離婚した夫婦が婚姻している間に納めた年金の保険料を分け合うことです。
年金分割をすることで、将来の年金が算定され、離婚後も公平な年金額を受け取れるようにする制度です。
年金分割の対象となるのは婚姻期間中の厚生年金・共済年金であり、配偶者がサラリーマンか公務員であれば分割することができます。
一方で、配偶者が自営業やフリーランスの場合は、年金分割の対象にはなりません。
年金分割の割合も離婚で決めること
年金分割の割合の決め方には、合意分割と3号分割の2つの方法があります。
夫婦間の合意によって按分割合を決める合意分割では、上限が2分の1となっているため、最大で半分を受け取ることができます。
合意分割の対象となるのは、平成19年4月1日以降の分のみです。
また、3号分割とは、婚姻期間中に国民年金の第3号被保険者であった人(専業主婦や夫の扶養の範囲内で働いていた人)から年金分割を請求する方法です。
3号分割の割合は2分の1であり、分割を拒否することはできません。
3号分割の対象は、平成20年4月1日以降の分のみです。
夫婦共働きの場合は、合意分割を行うことも多いので、年金分割の割合についても離婚の際に決めておくことのひとつといえます。
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離婚で決めること④親権者
親権者は必ず決めなければいけない離婚条件
協議離婚では、慰謝料や財産分与など金銭に関する取り決めをしていなくても、法的には離婚することができます。
一方で、未成年の子どもがいる場合、親権者は必ず決めなければいけない離婚条件です。親権とは、未成年の子どもを監護・教育し、その財産を管理する権利であると同時に義務でもあります。
これは親のためのものではなく、あくまで子どもの利益を守るために行使されるものです。そのため、親権者を決める際には、子どもにとって何が最も望ましいかが最優先に考慮されます。
実際に、法務省のホームページ「離婚を考えている方へ~離婚をするときに考えておくべきこと~」でも、「子どもに関する事項」は離婚時に検討すべき重要な項目の中で最初に挙げられています。
夫婦間の話し合いや調停で親権者が決まらない場合には、最終的に離婚裁判の中で裁判所が判断することになります。
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単独親権か共同親権か離婚で決めることになる?
現在の制度では、離婚後の親権は父母のどちらか一方が持つ「単独親権」のみが認められています。
しかし、民法改正により、2026年4月1日以降に離婚する場合は、父母の双方が親権を持つ「共同親権」も選択できるようになります。単独親権を選ぶ場合は、父母のどちらを親権者とするかを決める必要があります。
共同親権を選択した場合、緊急時や日常的な行為を除き、進学先や転居先など子どもの将来や生活に大きく関わる事項については、原則として父母双方の同意が求められます。
共同親権にするかどうかは、まず父母の話し合いで決定します。合意に至らない場合は、家庭裁判所が事情を踏まえて判断します。
なお、DVのおそれがある場合や子どもへの虐待が懸念される場合など、父母が共同して親権を行使することが困難と認められるときは、単独親権が選ばれます。
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離婚で決めること⑤面会交流
面会交流は離れて暮らす親と子どもが会う権利
面会交流とは、離婚や別居で子どもと離れて暮らす親が、定期的に子どもと会ったり、電話や手紙、メールなどで連絡を取ることです。
面会交流は、離れて暮らす親のためだけでなく子どものための制度です。
子どもが明確に拒否している、相手が子どもを虐待したり連れ去るおそれがある場合などを除き、原則、面会交流は拒否できません。
面会交流について離婚の際に決めること
面会交流は、父母が協議して決め、合意ができなかった場合は面会交流調停や離婚調停で話し合って決めます。
話し合いの中では、面会交流を認めるか、月にどのくらい行うか、宿泊を認めるか、監護親が同席するか、子どもにお小遣いやプレゼントを渡してもよいかといった条件を決めます。
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離婚で決めること⑥養育費・婚姻費用
養育費について離婚の際に決めること
養育費は、両親が離婚した場合に、子どもが成長するために必要な金銭で、衣食住にかかる費用や教育費、医療費などを含みます。
離婚をしても、親は子どもを扶養する義務を負っているため、子どもが親と同程度の生活ができるよう費用を負担しなければいけません。
父母が合意すれば自由に決められ、合意ができなかった場合は離婚調停や養育費請求調停を申し立てることもできます。
調停では、家庭裁判所が作成した算定表が参考にされることが多いです。
話し合いでは、養育費の払い方、金額、払い終わりの時期のほか、入院や大学進学など特別な出費があったときの負担について取り決めることになります。
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婚姻費用|離婚前に決めるべき別居中の生活費
婚姻費用とは、婚姻期間中に発生する生活費、子の養育・教育費、医療費などの費用を指し、夫婦間で分担することになっています。
たとえ、別居中であっても夫婦であることには変わりないため、別居中の生活費についても婚姻費用として請求することができます。
養育費は離婚後の費用として請求するものですが、婚姻費用は離婚前の段階で請求することになります。
婚姻費用は、双方が合意すれば自由に金額を決めることができ、合意できなければ婚姻費用分担請求調停を申し立てることができます。
調停では、養育費と同様に、家庭裁判所が作成した算定表が参考にされることが多いです。
アトムの婚姻費用・養育費計算機を使えば、どのくらい婚姻費用や養育費をもらえるか知ることができます。
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離婚で決めることに関するよくある質問
Q. 離婚で決めることは何がある?
主な項目は、親権者、財産分与、慰謝料、年金分割、面会交流、養育費・婚姻費用の6つです。
法律上、必ず決める必要があるのは親権者のみですが、他の項目を決めないまま離婚すると、本来受け取れるはずのお金を受け取れなくなる可能性があります。特に財産分与や慰謝料、年金分割は請求期限があるため、離婚前に話し合っておくことが重要です。
Q. 離婚の取り決めを守らせるには?
離婚時の取り決めを確実に守らせるには、合意内容を公正証書にしておくことが有効です。公正証書に「強制執行認諾文言」を記載しておけば、相手が養育費や財産分与を支払わない場合でも、裁判を経ずに給与や預金の差し押さえが可能になります。
また、公正証書は公証人が作成する公文書であり、偽造や改ざんの心配がなく、合意の内容を確実に証明できます。差し押さえの可能性を相手に認識させることで、自主的な支払いを促す効果も期待できます。
Q. 親権以外を決めずに離婚できる?
法律上は可能ですが、おすすめしません。財産分与は原則として離婚後2年で請求できなくなります。養育費も、事前に取り決めがないと支払いを拒まれる例が少なくありません。慰謝料や年金分割も、離婚後では交渉が難しくなる傾向があります。そのため、離婚届を出す前に6項目すべてを話し合い、公正証書にしておくことが重要です。
なお、民法改正により、2026年4月以降は財産分与の請求期限が離婚後5年となります。また、養育費の支払いが滞った際の「先取特権」が付与され、離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合でも法律上当然に請求できる「法定養育費」が新設されます。
Q. 財産分与と慰謝料の違いは?
財産分与は、婚姻中に夫婦で築いた財産を公平に分けるもので、離婚理由に関係なく請求できます。一方、慰謝料は、不貞やDVなど相手の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償です。そのため、性格の不一致など双方に責任がない場合は慰謝料は発生しませんが、財産分与は請求できます。
実務においては、財産分与と慰謝料を個別に請求するケースもあれば、財産分与の中で包括的に解決するケースもあります。
離婚は決めなければいけないことが多い
離婚について決めたことは必ず書面化する!
離婚の際に決めたことは、公正証書にした離婚協議書に必ず書面化しましょう。
離婚協議書とは、離婚協議の内容をまとめた書面です。
協議離婚をする場合、役所に提出しなければいけないのは離婚届だけであり、離婚協議書は作成しなくても離婚できます。
しかし、せっかく決めた離婚条件を口約束で済ませてしまうと、お金が振り込まれなくなるなど約束が守られないおそれがあります。
取り決め内容をまとめた離婚協議書を強制執行認諾文言付き公正証書にしておけば、支払われなくなった際に相手の給与や財産を差し押さえることもできるため、安心です。
公正証書の作成について、司法書士や行政書士に相談することもできますが、弁護士に依頼すれば書面作成の相談だけでなく離婚条件の交渉も任せることもできます。
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離婚で決めるべきことについて弁護士に相談を
親権者さえ決めれば、他の離婚条件を決めなくても法的には問題なく離婚できます。
しかし、離婚するにあたって慰謝料や財産分与などのお金に関する権利、面会交流や養育費などの子どもに関わる権利など、多くの権利を主張することができます。
後悔しない離婚をするためにも、離婚の際にあらかじめ話し合い、決めることはたくさんあり、ここでリスト化したような離婚条件に抜けがないようにしなければいけません。
離婚の際に決めることについては、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、どのような離婚条件を話し合っておくべきか、自分にとって有利な条件で離婚するにはどうしたらよいのか、適切なアドバイスを提供できます。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
