
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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薬物事件で逮捕されると懲役刑になる?初犯でも懲役刑?

- 薬物事件は懲役刑になる?
- 初犯でも懲役になる?
- 懲役刑による実刑を回避するためには?
薬物犯罪が発覚すると、懲役刑が科される可能性があります。
大麻や覚せい剤を代表とする薬物犯罪は、基本的に罰金刑のみの刑罰は定められていません。そのため、自己使用目的でも起訴されると懲役刑が科される可能性が高いです。
しかし、警察の取り調べに対して適切かつ誠実に対応したり、再犯防止のための行動を取ることで、直ちに刑務所に行くことを避けられる場合もあります。
この記事では、薬物ごとに異なる刑罰について詳しく説明し、事件の状況に応じた懲役刑の可能性についても解説しています。
薬物事件に関するリスクを理解し、適切な対応をお考えの方は、ぜひご一読ください。
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目次
薬物事件は懲役刑になる?初犯の場合は?
薬物事件は懲役刑になる?
薬物事件は懲役刑になる可能性があります。
営利目的の薬物事件の場合、より重たい懲役刑が科される可能性があります。
ただし、具体的な刑罰・刑期は、薬物の種類、事件の内容によって異なります。
ここでは、主な薬物の法律と刑罰をそれぞれ解説していきます。
薬物 | 法律 |
---|---|
大麻(R6.12.12以降) | ・麻向法 ・大麻草の栽培の規制に関する法律 |
大麻(R6.12.11まで) | 大麻取締法 |
覚醒剤 | 覚醒剤取締法 |
あへん | あへん法 |
ヘロイン、LSD、向精神薬 | 麻向法 |
危険ドラッグ | 薬機法 |
シンナー | 毒物及び劇物取締法 |
大麻(2024.12.12以降)
違法薬物の代表例でもある大麻は、大麻草(カンナビス属の植物)やその加工物のことです。
大麻の使用、所持、売買等は、麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)の違反で、「1か月以上7年以下の懲役刑」になる可能性があります。
また、大麻の輸出入は麻向法の違反に、大麻の栽培は大麻草の栽培の規制に関する法律の違反になり、「1年以上10年以下の懲役刑」になる可能性があります。
営利目的がある場合は、より重い刑罰となります。
営利目的 なし | 営利目的 あり | |
---|---|---|
使用 所持 譲り渡し 譲り受け 製剤 小分け | 1か月~7年の懲役 | 1年~10年の懲役*¹ |
栽培 輸出入 製造 | 1年~10年の懲役 | 1年~20年の懲役*² |
麻向法(令和6年12月12日施行)65条、同66条、同66条の2、および大麻草の規制に関する法律(令和6年12月12日施行)24条を等参照し、整理しました。
*¹ 営利目的の所持・譲受・譲渡などは300万円以下の罰金が併科されることがあります。
*² 営利目的の栽培・輸出入は500万円以下の罰金が併科されることがあります。
大麻(2024.12.11以前)
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2024年12月11日以前、大麻に関する犯罪は、大麻取締法で規制されていました。
大麻取締法では、大麻の所持・譲受・譲渡は、5年以下の懲役刑が定められています。
懲役期間は最低1か月であるため、「1か月以上5年以下の懲役」になるということです。
また大麻を栽培・輸出入した場合は、「7年以下の懲役刑」が科されます。
なお、大麻を営利目的で所持したり栽培したりすると、より重い刑罰となります。
態様 | 営利目的 なし | 営利目的 あり |
---|---|---|
所持 譲受・譲渡など | 5年以下の懲役 | 7年以下の懲役 |
栽培 輸出入など | 7年以下の懲役 | 10年以下の懲役 |
※営利目的の所持・譲受・譲渡などは200万円以下の罰金が併科されることがあります。
営利目的の栽培・輸出入は300万円以下の罰金が併科されることがあります。

覚醒剤取締法
覚醒剤は、アンフェタミン、メタンフェタミンを含有するものなどがあげられます。
覚醒剤取締法では、覚醒剤の所持・使用で、「10年以下の懲役刑」が定められています。
覚醒剤を製造・輸出入した場合は、1年以上の有期懲役になります。懲役刑は、20年以下の範囲で科されるため、最長で20年の懲役刑になる可能性があります。
態様 | 営利目的 なし | 営利目的 あり |
---|---|---|
所持 使用など | 10年以下の懲役 | 1年以上20年以下の懲役 |
製造 輸出入など | 1年以上20年以下の懲役 | ・無期懲役 または ・3年以上の懲役 |
※営利目的の所持・使用などは500万円以下の罰金が併科されることがあります。
営利目的の製造・輸出入は1,000万円以下の罰金が併科されることがあります。
あへん法
あへんは、「けし」を加工した薬物ですが、これは、あへん法によって取り締まられています。
あへんを所持・譲受・譲渡した場合は、「7年以下の懲役刑」が定められています。
また栽培・輸出入した場合は、「1年以上10年以下の懲役刑」が科されます。
態様 | 営利目的 なし | 営利目的 あり |
---|---|---|
所持 譲受・譲渡など | 7年以下の懲役 | 1年以上10年以下の懲役 |
栽培 輸出入など | 1年以上10年以下の懲役 | 1年以上20年以下の懲役 |
※営利目的の所持・譲受・譲渡などは、300万円以下の罰金が併科される可能性があります。
営利目的の栽培・輸出入などは、500万円以下の罰金が併科される可能性があります。
麻薬及び向精神薬取締法
MDMA、LSD、コカイン、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)などの麻薬、メチルフェニデートなどの向精神薬は、麻薬及び向精神薬取締法で規制されています。
麻薬に関しては、ヘロインと、それ以外に分類することができます。
ヘロインはとくに依存性が強いことから、重い法定刑が定められています。
ヘロインの所持・譲受・譲渡は「10年以下の懲役刑」が定められています。
また製造・輸出入した場合は、「1年以上20年以下の有期懲役」になります。
MDMA、LSD、コカインなど、ヘロイン以外の麻薬は、所持・譲受・譲渡すると「7年以下の懲役刑」が定められています。
製造・輸出入した場合は、「1年以上10年以下の懲役刑」が科されます。
また、向精神薬は、譲渡する目的で所持すると「3年以下の懲役刑」が適用されます。
ヘロイン系薬物の刑罰
態様 | 営利目的 なし | 営利目的 あり |
---|---|---|
所持 譲受・譲渡など | 10年以下の懲役 | 1年以上の懲役又は20年以下の懲役 |
製造 輸出入など | 1年以上20年以下の懲役 | ・無期懲役 または ・3年以上の懲役 |
※営利目的の所持・譲受・譲渡などは、500万円以下の罰金が併科される可能性があります。
営利目的の製造・輸出入などは、1,000万円以下の罰金が併科される可能性があります。
ヘロイン以外の麻薬
態様 | 営利目的 なし | 営利目的 あり |
---|---|---|
所持 譲受・譲渡など | 7年以下の懲役 | 1年以上10年以下の懲役 |
製造 輸出入など | 1年以上10年以下の懲役 | 1年以上20年以下の懲役 |
※営利目的の所持・譲受・譲渡などは、300万円以下の罰金が併科される可能性があります。
営利目的の製造・輸出入などは、500万円以下の罰金が併科される可能性があります。
向精神薬の刑罰
態様 | 営利目的 なし | 営利目的 あり |
---|---|---|
譲渡 譲渡目的の所持 | 3年以下の懲役 | 5年以下の懲役 |
製造 輸出入など | 5年以下の懲役 | 7年以下の懲役 |
※営利目的の譲渡・譲渡目的の所持は、100万円以下の罰金が併科される可能性があります。
営利目的の製造・輸出入などは、200万円以下の罰金が併科される可能性があります。
薬機法
薬機法は、「危険ドラック」を規制する法律です。
危険ドラックとは、麻薬や覚醒剤などの規制薬物と類似した化学物質を含んでいる植物片等で、体内摂取により、これら規制薬物と同様の有害性が疑われる物品をいいます。
対象となるのは、厚生労働大臣が指定した指定薬物です。
路上で販売されている合法ハーブも危険ドラックに指定されている可能性があるので注意が必要です。
危険ドラックを所持・販売・購入した場合は、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」です。事件の態様によっては併科される可能性もあります。
態様 | 刑罰 |
---|---|
製造・輸入・販売・購入・授与・所持・譲受・医療等の用途以外での使用 | 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科 |
業として、製造・輸入・販売・授与・所持 | 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科 |
毒物及び劇物取締法
シンナー吸引などは、毒物及び劇物取締法で規制されています。
毒物・劇物を摂取・吸入した場合は、「1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金刑」が科されます。事件の態様によっては併科される可能性もあります。
態様 | 刑罰 |
---|---|
毒物・劇物を摂取・吸入 | 1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金刑又はその併科 |
毒物・劇物を販売・授与 | 2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその併科 |
薬物事件の逮捕後の流れは?

逮捕されると、警察で取調べを受け、48時間以内に検察庁に事件が送られ、その後24時間以内に勾留請求されるかどうかが決定されます。
勾留が必要だと判断されると、まずは10日間の勾留が決定します。捜査が終わらない場合は、さらに10日間を限度に勾留が継続されます。
つまり、逮捕されると、起訴されるかどうかの判断が下るまで、最長で23日間身柄拘束される可能性があります。
長期間身柄拘束されると、職場の解雇や学校を退学になるリスクも高まります。
スムーズな社会復帰のためにも早期釈放を実現することが重要になります。
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薬物事件の初犯で懲役刑になる可能性は?
薬物事件は重大犯罪であるため、初犯であっても、懲役刑になる可能性はあります。
薬物事件で懲役刑になるかどうかは、薬物の種類や量、所持・使用の目的など、さまざまな要素によって判断されます。
とくに以下のケースでは、初犯でも懲役刑になる可能性が高くなります。
初犯であっても懲役刑になる場合
- 薬物の所持量が多い場合
- 営利目的で薬物を所持・使用した場合
- 反省していないと評価された場合
薬物事件の初犯の懲役刑の相場とは?
実務上、初犯の場合は、執行猶予が付く可能性が高いです。
たとえば大麻事件で初犯の場合、非営利目的の場合は「懲役1~2年に執行猶予3~4年」がつくことが多いです。
覚醒剤事件は非営利目的で「懲役1年6か月に執行猶予3年」が相場です。
薬物事件で懲役刑による実刑を回避するためには?
実刑を回避するためのポイントは?
薬物事件で懲役刑を防ぎたいとお考えの方は、直ちに刑務所に服役することを回避したいとお考えの方が多いでしょう。
実刑を回避するためには、不起訴処分や執行猶予を獲得することがポイントです。
実刑とは、執行猶予がつかない懲役刑のことです。
実刑になると、すぐに懲役刑が科されます。刑務所で定められた期間、実際に服役しなければなりません。
ここでは、実刑を回避する方法をそれぞれ詳しく解説します。
薬物事件で不起訴を目指すことはできる?
薬物事件の態様によっては、不起訴を目指すことができる場合があります。
勘違いしがちですが、「逮捕=有罪」ではありません。たとえ逮捕されてしまったとしても、不起訴になれば前科がつかずに事件が終了します。
薬物事件は重大犯罪のため、必ずしも不起訴を目指せるとは限りません。
たとえば令和3年の覚醒剤事件の起訴率は、75.4%でした(令和4年犯罪白書)。
覚醒剤事件は、おおよそ3/4が起訴されていることからも、不起訴を目指すことは難しいといえます。
一方で大麻取締法違反は、49.8%でした(令和4年犯罪白書)。
大麻の場合は約半数が不起訴であることからも、初犯で所持量が微量であれば、不起訴を目指せる可能性があるといえるでしょう。
事件の態様によって、刑事事件の方針も大きく異なります。
また、薬物犯罪を故意にしていなければ、無罪を勝ち取る方針も考えられます。
不起訴・無罪を目指せるかどうかは弁護士に相談しましょう。
執行猶予を獲得するためには?
薬物事件で起訴された場合は、執行猶予判決の獲得を目指しましょう。
起訴されても執行猶予を獲得できれば直ちに刑務所に服役することは回避できます。
執行猶予とは、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予する制度です。
また、執行猶予期間中、犯罪を犯さずに過ごすことができれば刑の言い渡しの効力がなくなります。
執行猶予判決が認められるためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
執行猶予のポイント
- 犯罪を犯したことを認め、反省していること
- 再犯のおそれが低いと考えられること
- 家族などの監督があること
弁護士であれば、被疑者の事件の態様をしっかりと把握したうえで、裁判で有利に働く事情を主張できるでしょう。
ただし、執行猶予判決を受けた場合でも前科はつきます。前科がつくと免許・資格のはく奪や就職時に不利益を被る可能性は否定できません。
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薬物事件は弁護士に相談?
薬物事件は早期に弁護士に相談すべき?
薬物事件は重たい刑罰が科される可能性が高いため、早期に弁護士に相談することが重要です。
弁護士は、逮捕された方に早期釈放に向けた取り組みや、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得するために、適切な弁護活動を行います。
具体的には、取り調べで不利な供述を防ぐためのアドバイスや、起訴された場合は薬物の依存性が低いことを主張するなどです。
- 弁護士は取り調べの対応の仕方を教えてくれる
- 薬物の依存性が低いことを主張してくれる
刑事事件は刻一刻と進むため、事件解決に向けた取り組みを早急に行うことが鍵になります。
弁護士がいれば、法的アドバイスだけでなく、精神的なサポートを受けることもできるでしょう。
特に初犯の方は取り調べなど、不安に感じる場面は多いはずです。相談できる弁護士の存在は大きな支えになります。
アトムの解決事例(執行猶予で懲役回避)
路上で大麻入りのポーチなどを落とし、交番を訪ねるも逃亡。後日、大麻取締法違反の容疑で家宅捜索を受けた。
弁護活動の成果
家宅捜索後、すぐ逮捕をされたが、勾留回避の意見書を検察官に提出し、早期釈放が実現。執行猶予判決となった。
アトムの解決事例(再度の執行猶予で懲役回避)
自宅で大麻数グラムを所持しているところを検挙され、捜査中にさらに大麻十数グラムも見つかった大麻取締法違反の事案。なお依頼者は大麻取締法違反の容疑で執行猶予中の身だった。
弁護活動の成果
大麻約1.7gの所持については不起訴処分を獲得。大麻約13.63gの所持については、情状弁護を尽くし、執行猶予付き判決を獲得した。
再犯防止のための取り組みが大切?
裁判では、再犯防止の取り組みも考慮されます。再犯を防止するために、「薬物のダルク」などの回復支援施設に入所して依存から回復するなどの取り組みを行います。
再犯防止のための取り組みを行うだけでは足りず、薬物の反省や、再犯防止策を見える化することも大切です。
とくに入手のルートを打ち明けたり、入手先の連絡先を消去するなどの再犯防止のための取り組みを示すことによって、刑罰が軽減される可能性が高まります。
薬物事件に強い弁護士の相談窓口は?
薬物事件の懲役刑は、薬物の種類、営利目的の有無などにより、異なります。
たとえば、麻薬・覚醒剤の使用・所持は最大20年の懲役、密輸入なら最大で無期懲役です。
薬物事件の不起訴、執行猶予の獲得等の刑罰の軽減を図るには、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼することが重要です。
アトム法律事務所は、2008年、刑事事件のみを扱う事務所として創業し、これまでに数多くの薬物事件を解決してきた実績があります。
アトム法律事務所では、警察沙汰になった事件について、初回30分無料の対面相談を行っています。
早期相談をご希望の方は、お早目にご連絡いただき、弁護士のスケジュールを押さえてください。
相談ご予約受付窓口は、24時間365日、つながります。お電話お待ちしております。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了