岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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逮捕されたら裁判になる?逮捕から裁判までの流れ・裁判を回避するポイントを解説

更新日:
逮捕から刑事裁判

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

家族や大切な人が突然逮捕され、「このまま裁判になってしまうのではないか」と不安を感じていませんか。

実は、逮捕されたからといって必ず裁判になるわけではありません。

逮捕後は、最大23日という限られた期間の中で、検察官が起訴・不起訴の判断をします。不起訴になれば裁判は開かれず、前科もつきません。

もっとも、刑事事件では起訴後の有罪率は99.9%前後となっており、無罪となるケースはごく少数です。

そのため、重要なのは起訴された後の対応だけではなく、起訴される前の段階で不起訴を目指すことです。

この記事では、逮捕されたら裁判までどう進むのか、逮捕から裁判までの流れと日数、身柄解放や不起訴のポイントをわかりやすく解説します。

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目次

逮捕されたら必ず裁判になる?

「逮捕されたのだから、このまま裁判になって有罪になってしまう」と考える方は少なくありません。しかし、これは正確ではありません。

逮捕は、犯罪の疑いがある人の身柄を一時的に拘束する手続きです。一方、裁判が始まるのは検察官が起訴したときです。つまり、起訴されなければ裁判は開かれません。

日本の刑事手続では、「推定無罪の原則」があります。これは、刑事裁判の被告人は、裁判により有罪と認定されるまでは有罪として扱われないという原則です。

具体的には、有罪判決が確定するまで刑罰の先取りをされないこと、そして事実が不明な場合には被告人に不利益な認定をしない(「疑わしきは被告人の利益に」)という検察官の証明責任を意味します。

逮捕された段階では、まだ犯人と確定したわけではありません。

不起訴になれば裁判は開かれない

検察官が「起訴しない」と判断することを、不起訴処分といいます。不起訴になれば、裁判は開かれず、前科もつきません。

不起訴には、主に次のようなパターンがあります。

不起訴のパターン

種類内容
嫌疑なし証拠を精査した結果、犯罪の疑いがないと判断されたケース
嫌疑不十分犯罪の疑いはあるものの、裁判で有罪を立証するだけの証拠が十分でないケース
起訴猶予犯罪の事実はあると考えられるが、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の状況を総合的に考慮し、起訴しないケース

起訴猶予において考慮される犯罪後の状況とは、反省の態度、示談の成立、被害の程度、前科前歴の有無などが挙げられます。

略式起訴なら書面で終わる

起訴には、正式起訴と略式起訴があります。

略式起訴とは、比較的軽い事件について、公開の法廷を開かず、書面審理によって罰金または科料を科す簡易な手続きです。本人が事実を認めている場合などに利用されます。

そのため、起訴されたとしても、必ずしも通常の法廷で長い裁判になるとは限りません。もっとも、罰金刑であっても有罪判決であることに変わりはなく、前科として記録される点には注意が必要です。

逮捕から裁判までの流れ|起訴・不起訴は最大23日で決まる

逮捕後の手続きには、法律上の時間制限があります。聞き慣れない用語も多いですが、流れに沿って一つずつ確認していきましょう。

全体の流れ

逮捕 → 48時間以内に送致 → 24時間以内に勾留請求の判断 → 勾留10日 → 延長で最大10日 → 起訴 / 不起訴

逮捕から裁判までのタイムライン

経過日数手続き内容
逮捕当日逮捕警察が被疑者の身柄を拘束し、留置場に収容する
~48時間送致(送検)警察が事件を検察へ引き継ぐ。この間に取り調べが行われる
~72時間勾留請求の判断検察官が送致後24時間以内に勾留請求するか判断する
(※逮捕時から通算72時間が上限)
4日目~13日目勾留裁判官が勾留を認めた場合、原則10日間身柄拘束が続く
14日目~23日目勾留延長やむを得ない事由がある場合、最大10日間延長される
最大23日目起訴 or 不起訴検察官が最終判断を行う
起訴後1~2か月第1回公判起訴された場合、裁判所で審理が始まる

【逮捕~48時間】警察での取り調べと検察への送致

逮捕の流れ

逮捕されると、まず警察署の留置場に収容され、取り調べが行われます。

警察は、逮捕から48時間以内に事件を検察官へ引き継がなければなりません。この手続きを送致といいます(報道では「送検」と呼ばれることもあります)。

この間、被疑者は弁護士との接見を求めることができますが、家族との面会はできないのが一般的です。

【送致後~24時間】検察官が勾留を請求するか判断

刑事事件の流れ

送致を受けた検察官は、24時間以内に、身柄拘束を続けるべきかどうかを判断します。ただし、法律上、この合計時間は「身体拘束の開始から通算して72時間」を超えることができないとされています(刑事訴訟法2052項)。

つまり、警察の48時間と検察の24時間は単純に積み重なるのではなく、逮捕の瞬間から72時間という上限が通算で設けられています。続ける必要があると判断した場合、裁判所に対して勾留を請求します。

勾留とは、検察官の請求を受けて裁判官が認めた場合に、身柄拘束を継続する手続きのことで、刑罰ではありません。

逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されれば、勾留請求をせず、釈放して在宅事件に移ることもあります。

【最大20日間】勾留中の取り調べと起訴・不起訴の決定

刑事事件の流れ

勾留が認められると、原則10日間の身柄拘束が始まります。さらに、やむを得ない事由があれば最大10日間延長されます。勾留期間は合計で最大20日間です。

この期間内に、検察官は起訴(裁判にかけること)するか、不起訴(裁判にかけないこと)にするかを決めなければなりません。起訴されると、呼び名は「被疑者」から「被告人」に変わります。

逮捕されたら裁判まで何日かかる?

逮捕から裁判までは、起訴判断まで最大23日+裁判準備に1~2か月で、合計2~3か月程度が目安です。

つまり、逮捕された直後にすぐ裁判が始まるわけではなく、「逮捕 → 起訴判断まで最大23日 → 起訴後に裁判準備 → 第1回公判」という流れになります。

23日間で結論が出る「身柄事件」の全体像

逮捕後の72時間(警察48時間+検察24時間)に、勾留最大20日間を加えた合計23日間が、身柄事件の最大タイムリミットです。

この23日間は、被疑者の身柄拘束が不当に長引かないようにするための上限です。同時に、弁護士が不起訴や身柄解放に向けて動ける重要な期間でもあります。

なお、複数の犯罪事実がある場合は、事件ごとに逮捕・勾留が行われるため、結果として身柄拘束が23日間を超えて続く可能性があります。

一方、在宅事件ではこの制限がなく、捜査が数か月以上続くこともあります。

逮捕直後の72時間が最大の山場|なぜ弁護士を早く呼ぶべきか

逮捕直後は家族が面会できないのが通常

逮捕直後の最大72時間は、手続き上とても重要な時間帯です。この間、家族は本人と面会できないのが通常です。そのため、家族は本人の状況を把握できず、不安が大きくなりがちです。

逮捕直後でも弁護士なら接見できる

弁護士は逮捕直後から本人と接見できます。

身体拘束を受けている被疑者が弁護人と立会人なく面会し、書類等の授受を行う権利は「接見交通権」と呼ばれ、憲法34条の弁護人依頼権に由来する重要な権利として保障されています。

弁護士が早期に接見すれば、本人は手続きの見通しを知ることができ、精神的な混乱を抑えやすくなります。

最高裁も、捜査機関に対し、たとえ短時間であっても速やかに接見の機会を設けるよう配慮すべきであると判示しており、逮捕直後の初回接見は被疑者にとって極めて重要な機会です。

取り調べで不利にならないために弁護士から受けられる助言

逮捕直後の取り調べでは、強い不安や緊張から、事実と異なることを話してしまったり、内容を十分理解しないまま供述調書に署名してしまったりすることがあります。

弁護士は、たとえば次のような点について助言できます。

  • 黙秘権をどう考えるべきか
  • 調書に署名する前に何を確認すべきか
  • 取り調べで不用意な発言を避けるにはどうするか

逮捕直後の72時間は、事実上、弁護士だけが本人と十分に接触できる重要な時間帯です。ここで適切な助言を受けられるかどうかが、その後の流れに大きく影響します。

身柄を早く解放するには?勾留を回避・短縮するための手段

勾留される主な理由|逃亡・証拠隠滅のおそれが争点

裁判所が勾留を認めるかどうかは、主に次の事情をもとに判断します。

  • 定まった住居があるか
  • 逃亡のおそれがあるか
  • 証拠隠滅のおそれがあるか

これらのおそれが低いことを具体的に示せれば、勾留を避けられる可能性があります。

勾留決定に不服がある場合は準抗告

勾留決定に不服がある場合、弁護人は準抗告を申し立てることができます。準抗告が認められれば、勾留決定が取り消され、釈放される可能性があります。

たとえば、安定した住居や身元引受人がいること、証拠はすでに収集されていて隠滅のおそれが低いことなどを主張・疎明していきます。

この手続きでは、家族の協力が重要になることがあります。身元引受書の作成や、本人が安定した生活に戻れる環境があることを示す資料の準備など、弁護士と連携して家族側で進められる対応もあります。

在宅事件になると何が変わる?

勾留されなかった場合や、勾留後に釈放された場合は、在宅事件として捜査が続くことがあります。在宅事件では、自宅で生活しながら、呼び出しに応じて警察署や検察庁へ出頭します。

身柄拘束が続かないため、仕事や学校への影響を抑えやすいという大きなメリットがあります。

接見(面会)でできること・できないこと

「今、本人に会えるのか」は、手続きの段階によって変わります。

逮捕直後(勾留前)は、家族であっても面会できないのが通常です。

勾留が決定した後は、接見禁止が付いていなければ家族も面会できますが、1日1回・15〜20分程度、係員の立会いありといった制限があるのが一般的です。

なお、裁判官は、証拠隠滅のおそれがある場合などに、弁護人以外の者との接見を一般的に禁止する「接見禁止」の決定を出すことがあります。

この場合、家族であっても面会はできません。弁護士との接見は、接見禁止が付いている場合でも制限されません。

一方、弁護士との接見は逮捕直後から可能で、時間制限や立会いもなく、内容の秘密も守られます。

不起訴で裁判を回避するために重要なこと

起訴される前の対応が重要

刑事事件では、起訴される前の対応が非常に重要です。というのも、一般に起訴後の有罪率は99.9%前後といわれており、無罪となるケースはごく少数だからです。

いったん起訴されると、その後に結果を大きく変えることは容易ではありません。

そのため、刑事弁護では、起訴された後にどう争うかだけでなく、起訴される前の段階で不起訴を目指すことが重要になります。

不起訴を目指すうえで重要なのは示談

被害者がいる事件では、示談成立が不起訴、特に起訴猶予を目指すうえで重要な事情になります。

示談とは、被害者に謝罪と賠償を行い、当事者間で解決を図ることです。被害者が処罰感情を和らげたり、処罰を求めない意向を示したりすれば、検察官の判断に影響を与える可能性があります。

示談交渉で起きがちな失敗

示談交渉では、次のような失敗が起こりがちです。

  • 家族が直接連絡しようとして被害者に拒絶される
  • 相場がわからず、提示額が低すぎて交渉が進まない
  • 不適切に高額な請求に応じてしまう

示談交渉は、刑事事件に慣れた弁護士を通じて行うのが安全です。勾留期間には限りがあるため、示談交渉は早く始めるほど有利です。

「起訴されてから考える」のでは遅いことがあります。不起訴を目指すなら、逮捕直後からの対応が重要です。

起訴されたらどう進む?刑事裁判の流れ

起訴から第1回公判までは通常1~2か月程度

起訴されると、事件は裁判所に移ります。一般的には、起訴から第1回公判までは概ね2か月程度かかることが多いです。この間に、弁護人は証拠を確認し、弁護方針を整理します。

第1回公判で行われること

第1回公判では、まず被告人の本人確認が行われ、裁判官から黙秘権があることが告げられます。その後、検察官が起訴状を読み上げ、被告人が起訴内容を認めるか争うかを述べます。これを罪状認否といいます。

その後、検察官が事件の概要や立証方針を説明し、証拠調べに進みます。事実を認めている事件では第1回公判で結審まで進むことも多いです。

証人尋問・被告人質問・論告求刑・最終弁論

証拠調べでは、書類や証人の取り調べが行われます。必要に応じて、証人尋問や被告人質問も行われます。

その後、検察官が論告・求刑を行い、弁護人が最終弁論を行います。最後に、被告人本人が最終陳述を述べる機会があります。

判決までの期間感

刑事事件の判決は争いの少ない事件では、1~3か月程度で出ることがあります。他方、否認事件や複雑な事件では、さらに長期間かかることもあります。

判決に不服がある場合は、判決日の翌日から14日以内控訴することができます。

刑事裁判の流れをより詳しく知りたい方は『刑事裁判の流れを図解!刑事事件の逮捕から裁判までを徹底解説』を併せてご覧ください。

保釈はいつできる?タイミング・条件・手続き

保釈は原則として起訴後

保釈は、起訴(公訴提起)後に勾留されている被告人にのみ認められる制度です。逮捕・勾留中の起訴前段階(被疑者の段階)では、保釈は利用できません。

実務上は、起訴直後に弁護人が保釈請求を行い、早ければ数日以内に認められることもあります。

保釈が認められやすい事情

保釈には大きく分けて「権利保釈」と「裁量保釈」があります。

権利保釈は、重大犯罪や証拠隠滅のおそれなど法律が定める一定の除外事由に当たらない限り、裁判所が原則として許可しなければならないものです。

裁量保釈は、権利保釈の除外事由がある場合でも、逃亡や証拠隠滅のおそれの程度、身柄拘束による健康・経済・防御準備上の不利益などを考慮して、裁判所が適当と認めるときに許可するものです。

一般に、次のような事情は保釈に有利に働くことがあります。

  • 初犯である
  • 安定した住居がある
  • 身元引受人がいる
  • 事実関係を認めている
  • 被害者対応が進んでいる

保釈金の金額は?

保釈金の額は、事件の内容や資力などによって異なります。金額には幅がありますが、一般的な事件では一定額を納付することで身柄が解放されます。

保釈金は返ってくる?

保釈金は原則返還されます。

保釈金は、被告人の出頭を確保するための担保です。裁判所が定めた条件を守り、裁判が終結して勾留が失効した時点(実刑判決の場合は刑の執行のために出頭した後など)で返還されます。

ただし、条件違反や逃亡があった場合には、保釈が取り消され、保釈金が没取される可能性があります。

なお、正当な理由なく公判期日に出頭しない場合(不出頭罪)や、許可なく制限住居を離れた場合(制限住居離脱罪)には、2年以下の拘禁刑に処せられます。

保釈中の条件遵守は、これまで以上に重要になっています。

保釈が難しいケース

重大事件、共犯者が多い事件、証拠隠滅や関係者への働きかけのおそれが強い事件では、保釈が認められにくいことがあります。

その場合でも、弁護人は別の方法で身柄解放を目指すことがあります。

保釈は起訴後の制度です。起訴されたらすぐに請求できるよう、起訴前から弁護士と方針を共有しておくことが大切です。

まとめ|逮捕されても必ず裁判になるわけではない

逮捕は、本人にとっても家族にとっても大きな衝撃です。しかし、逮捕されたからといって、直ちに裁判や有罪が決まるわけではありません。

  • 逮捕されても、必ず裁判になるわけではない
  • 不起訴なら裁判は開かれず、前科もつかない
  • 起訴・不起訴の判断は最長23日以内に行われる
  • 起訴後の有罪率は非常に高いため、起訴前の対応が重要
  • 不起訴や身柄解放を目指すなら、早期の弁護士対応が重要
  • 起訴後は保釈によって身柄解放される可能性がある

「何から始めればいいかわからない」という場合でも、まずは弁護士に相談することが重要です。

この記事で繰り返しお伝えしてきたとおり、刑事事件では起訴される前の段階でどう動くかが結果を大きく左右します。早めの行動が、よりよい結果につながります。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了