第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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マッサージ師・鍼灸師・整体師がわいせつ行為で逮捕!罰則や示談を弁護士解説
- マッサージ師・鍼灸師・整体師のわいせつ行為の刑罰は?
- わいせつ行為で逮捕されたら資格はどうなる?
- わいせつ行為の示談はどうする?
マッサージ中、整体・鍼灸の施術中のわいせつ行為は、その場でお客さんが抵抗する素振りを見せなかったとしても、後日逮捕される可能性があります。
マッサージ中のわいせつ行為は、行為の内容、被害者の年齢などによって異なり、それぞれ刑罰が定められています。
現在、お客さんへのわいせつ行為をして逮捕される不安をお持ちのマッサージ師、鍼灸師、整体師など、この記事を是非さいごまでお読みください。
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目次
マッサージ中のわいせつ行為の種類と刑罰
裸にする・胸を触る等(不同意わいせつ罪)
不同意わいせつ罪に問われるのは、相手の性的同意なく、わいせつな行為をした場合です。
マッサージ中の不同意わいせつの例
- マッサージ中、いきなり胸を触った
- 鍼灸の邪魔になるからと、下着をずらし、お尻を触った
- 整体と称して抱き着き、キスした
- 「体のゆがみを見る」との名目で、客を全裸にした
- マッサージ中に眠ってしまった客の陰部を撫でた
通常、マッサージ、整体、鍼灸に、性的行為を求めて来訪する客はいません。
そのため、マッサージ・鍼灸・整体中のわいせつ行為は、客の明確な抵抗がなくても、逮捕・起訴される可能性が非常に高いです。
不同意わいせつ罪の刑罰は、6ヶ月以上10年以下の拘禁刑です(※2025年予定の法改正から拘禁刑が実施される。それまでは懲役刑が科される)。
なお、不同意わいせつ罪は、初犯で、被害者の方との示談が成立した場合などは、執行猶予判決になる例もあります。
ただし、執行猶予判決も前科となるので、マッサージ師・鍼灸師・整体師の資格に影響があります。
なお、無資格でもマッサージ店で働けるケースはありますが、不同意わいせつ罪で逮捕・起訴されれば実名報道のリスクがあり、再就職や営業再開は困難になります。
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陰部に指を挿入・性交等(不同意性交等罪)
不同意性交等罪に問われるのは、相手の性的同意なく、性交、口腔性交、肛門性交、膣・肛門に陰茎以外を挿入した場合です。
マッサージ中の不同意性交等の例
- オイルマッサージ中に、いきなり女性客の膣に指を入れた
- 整体中、客を押さえつけて強姦
- 鍼灸中、無理やり肛門性交
- マッサージ中に眠ってしまった客を強姦
不同意性交等罪の刑罰は、5年以上20年以下の拘禁刑です。
不同意性交等罪で有罪の場合、基本的には、執行猶予がつかず、実刑判決がくだされ、すぐに刑務所に入ることになります。
実刑判決を回避したい場合、(1)事件化を回避する、(2)不起訴処分を獲得、(3)情状弁護をしてもらい執行猶予つき判決を目指す、(4)無罪判決をうける等の方法があります。
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裸体を盗撮・同意なく撮影(撮影罪)
マッサージ店、整体院、鍼灸院でおこなわれた盗撮は、撮影罪で逮捕、起訴される可能性があります。
たとえば、着替え中の客の下着姿を盗撮する場合、撮影罪が成立します。
マッサージ店での盗撮の例
- 着替え中の客の下着姿を盗撮
- 鍼灸施術のために全裸になった客を盗撮
- 盗撮目的で、トイレの個室に小型カメラを設置
- マッサージ中に客におこなった性犯罪を録画
撮影罪の刑罰は、3年以上の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
なお、撮影罪は、2023年7月13日以後の盗撮事件に適用される犯罪です。
2023年7月12日以前の盗撮事件については各都道府県の迷惑防止条例違反の罪などに問われます。
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マッサージ中のわいせつ行為の逮捕と起訴
逮捕のきっかけは?逮捕の流れは?
わいせつな行為をしたマッサージ師、鍼灸師、整体師が逮捕される場合、被害者からの通報、被害届の提出などがきっかけになります。
逮捕のきっかけと流れ
- マッサージ店を出た後、被害者が交番に駆け込み、緊急逮捕
- 被害者から被害届が出され、後日逮捕
- 被害者が家族に相談し、通報
- 警察への被害相談の後、捜査されて逮捕
- 別件の捜査から芋づる式に発覚して逮捕
近年、性被害に対する社会的理解が深まり、被害者が警察に通報する際のハードルは下がっています。
そのため、わいせつ行為をすれば、被害者からの被害申告がきっかけで逮捕される可能性は十分にあります。
なお、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪、撮影罪などは、被害者側の告訴(刑事処罰を求める意思表示)がなくても、起訴が可能です。
犯行の態様が悪質であればあるほど、重たい刑罰になる可能性は高くなります。
逮捕から起訴までの流れは?
不同意わいせつ、不同意性交等の性犯罪の場合、逮捕される可能性は高く、その後は、上図のとおり、刑事裁判が開かれるまで最大23日間、身体拘束が続きます。
その後、起訴された場合、被害者が多数いる場合や複雑な事案でなければ、およそ約1ヶ月程度で有罪か無罪かが決まります。
刑事事件は捜査が始まれば、その後、スピディーに手続きが進むので、早期に弁護士を呼んで、時期を逃さずに弁護活動を受ける必要があるでしょう。
逮捕から起訴までの流れについては、『刑事裁判の流れを図解!刑事事件の逮捕・勾留・起訴・刑罰までの流れと弁護士活動』の記事で解説しています。あわせてお読みください。
わいせつ事件の逮捕で実名報道?
マッサージ師、鍼灸師、整体師がわいせつな行為をして逮捕された場合、よくニュースになります。
時には「特集」が組まれ、わいせつ行為の内容などが事細かに書かれている記事もあります。
「これがあれば実名報道される」というような、明確な基準はありませんが、社会的に注目度が高い事件は実名報道される可能性が高いでしょう。
密室で二人きりで施術を受ける、マッサージ、鍼灸、整体でわいせつ行為が横行していることは、昨今、社会的に注目度が高い事件なので、逮捕・起訴によって実名報道される可能性は高いといえます。
弁護士がついている場合、警察や検察に、実名報道をしないよう意見することができます。
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わいせつ事件の前科で無資格に!復帰可能?
整体師
整体師は、国家資格ではありません。
整体の技能があれば、整体師を名乗ることができるので、前科による職業制限を受けることはないでしょう。
ただし、被害者との示談や、刑事裁判において、ご自身の反省を示す事情として、「今後、整体師の職を辞する」と誓約する場合もあります。
この場合、整体師として営業を再開することは許されないでしょう。
また、そのような誓約をしなくても、実名報道された影響で、整体院を開業しても客が来ない、勤務先の整体院の口コミに悪い評判が書かれるなど、事実上の不利益があるかもしれません。
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師がわいせつ行為をおこない、罰金以上の前科がついた場合、免許が取り消される可能性があります(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律9条1項、同3条3号)。
不同意わいせつ罪、不同意性交等罪、撮影罪はすべて、「罰金以上の刑」にあたるので、これらのわいせつ事件をおこせば、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の免許は取り科される可能性があるでしょう。
第九条 施術者が、第三条各号の一に掲げる者に該当するときは、厚生労働大臣は期間を定めてその業務を停止し、又はその免許を取り消すことができる。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律9条1項
第三条 (略)
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律3条3号
三 罰金以上の刑に処せられた者
免許が取り消された事案
実際に、女性客4名の乳房を直接触る等のわいせつ行為をし、不同意わいせつ(旧準強制わいせつ罪)に問われ、懲役2年6ヶ月執行猶予4年に処せられたケースでは、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の資格を取り消されています(総務省「答申一覧(令和6年度)」令和6年度答申第2号『3月14日 あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師免許取消処分に関する件』参照)。
免許取消の主な理由
- 施術者の立場を利用し、施術を装って、施術を受けるものと誤信した客におこなったわいせつ行為は、きわめて悪質
- わいせつ行為は複数回におよぶ
- あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の社会的信用を落とし、社会一般に与える影響は大きい
- 示談成立は女性客のうち3名のみ
あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師は資格が無ければ名乗ることができず、免許が取り消しになれば、鍼灸院等で働くことはできません。
免許の取り直しはできるか?
免許取消しの場合、新しく免許を取りなおすという方法が考えられます。
しかし、過去、業務において犯罪行為におよんだマッサージ師、鍼灸師は、国家試験に合格しても免許をもらえない可能性が高いです。
第三条次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律9条2項
一 (略)
四 (略)業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
再免許の申請は認められるか?
免許取消しの場合、再免許付与申請をすることも考えられます。
免許取り消し事由がなくなった場合、または、その後の事情により再免許付与が適当と認められる場合、再免許付与の可能性があります。
② 前項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えることが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律9条2項
ただし、実際のところ、わいせつ行為をしたマッサージ師、鍼灸師が再び免許をもらえる見込みは、非常に低いといえるでしょう。
女性客の膣に指を入れるわいせつ行為で懲役2年執行猶予4年の判決を受けた鍼灸師が、4年の執行猶予期間を反省して過ごし、さらに11年経過した事案でも、再免許申請が認められませんでした(総務省「答申一覧(令和5年度)」令和5年度諮問第53号『はり師及びきゅう師再免許申請棄却処分に関する件』参照)。
再免許付与されなかった主な理由
- 鍼灸師としての立場を利用した、悪質な犯行
- 性的欲求を満たすための、身勝手な動機
- 鍼灸師の社会的信用を落とした
- 鍼灸院を閉鎖することが執行猶予判決を獲得できた一事情であるのに、その後、免許取り消しまで、営業を続けていた
- 鍼灸師としての知識・技能を理由とする免許取消しではないから、その後、国家試験に再合格したこと等は、再免許付与の理由にならない
マッサージ師・鍼灸師・整体師のわいせつ行為の示談
わいせつ行為の示談とは?
わいせつ行為の示談とは、加害者側と被害者側が話し合い、わいせつ事件について和解することです。
わいせつ行為の示談では、加害者側が謝罪を尽くして、被害者側から許しを得ることが重要です。
わいせつ行為の示談にともない、相応の示談金のやりとりをすることもあります。
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示談をする理由(被害回復、刑罰の軽減)
わいせつ行為の示談は、被害者の精神的なケアや、金銭的補償による被害回復につながる側面があります。
ひいては、検察官・裁判官の寛大な処分につながる可能性があります。
また、示談交渉をする中で、加害者側に有利な譲歩を、被害者側がしてくださることもあります。
わいせつ事件の示談条件の例
- わいせつな行為について警察に被害届を提出しない
- 加害者の厳罰を求めない(宥恕)
このような被害者側の譲歩があることで、事件化や刑罰を回避できる可能性が高まります。
示談を刑事弁護士に依頼するメリット
わいせつ行為の示談を弁護士に依頼するメリットは、3つあります。
そのメリットとは、(1)被害者の連絡先を入手しやすい、(2)示談交渉しやすくなる、(3)適切な内容で示談できる、の3つです。
(1)被害者の連絡先を入手しやすい
整体マッサージ・鍼灸などに乗じてわいせつ行為をした場合であっても、被害者の連絡先が必ず分かるわけではありません。店舗内のトイレ盗撮や、被害者の方が電話番号を変えた場合など、連絡がつかないこともあるでしょう。
このような場合は、通常、警察・検察に仲介してもらって、被害者側の連絡先を入手します。
ただ、性被害者の場合は特に、加害者ご本人からの連絡を怖がり、応じてくれないことがよくあります。
しかし、弁護士がついていると、「弁護士だけになら教えても良い」と応じてもらえることも多く、被害者の連絡先を入手しやすいです。
(2)示談交渉しやすくなる
わいせつ事件の示談では、加害者側から「被害届をださないでほしい」「宥恕をもらいたい」といった提案をします。
しかし、加害者ご本人からこのような提案をすると、被害者が「脅迫された」と思ったり、被害者の感情を高ぶらせたりして、示談決裂になるリスクもあります。
そこで、重要な役割を果たすのが、刑事事件の加害者側の弁護士です。
弁護士は、法律に詳しく、社会的信頼のある第三者であるため、被害者側も安心して、話し合いに応じることができるのです。
わいせつ事件では特に、弁護士がいることで、示談交渉しやすくなるのです。
(3)適切な内容で示談できる
刑事事件に詳しい弁護士は、わいせつ事件の示談内容について相場が分かります。
そのため、弁護士に依頼すると、適切な内容で示談できるメリットがあります。
示談をまとめるためには、慎重に被害者の話をうかがい、接触禁止など被害者側が望む条件を設ける必要もあるでしょう。
一方で、あなたの代理人として、あなたの望む示談条件も提案します。
そうして、示談の話し合いがまとまった場合、不備のない示談書を作成します。
示談書を作成することで、当事者双方が和解内容を後日、確認できるようになりますし、裁判官に示すことで情状酌量を求める弁護活動も可能になります。
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わいせつ行為の治療も必須!
わいせつ行為の処分の軽減を目指すには、被害者側との示談も重要ですが、ご本人の決意と努力が最もものをいいます。
その代表例が、わいせつ行為を繰り返さないための治療を受けることです。
わいせつ事件に強い刑事弁護士は、ご本人の今後の更生もサポートもできます。必要がある場合、性犯罪に関する治療機関、カウンセリング機関をご紹介することもあります。
ご自身で再発防止に取り組む決意や、実際の努力を示すことこそ、被害者側の心や、処分を下す検察官・裁判官の考えを変えるきっかけになるのです。
わいせつ事件でお悩みのマッサージ師・鍼灸師・整体師の方は弁護士に相談!
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マッサージ師、鍼灸師、整体師の不同意わいせつ、不同意性交等、盗撮といった行為は、逮捕や起訴、実名報道の可能性があります。
これらの可能性を回避するためには、わいせつ事件に強い弁護士に相談することが重要です。
アトム法律事務所は、設立当初から刑事事件に注力しており、わいせつ事件の解決実績も豊富にあります。
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監修者
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