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未成年の傷害事件の逮捕の流れは?未成年の傷害事件でも慰謝料や示談金は支払う?

14歳以上20歳未満の少年が傷害事件を起こすと、成人と同じように逮捕されることがあり、事件は原則としてすべて家庭裁判所に送られて処分が決まります。
13歳以下の子どもは逮捕されず、18歳・19歳は「特定少年」として成人に近い扱いを受けることがあります。
初犯で怪我が比較的軽く、示談や家庭での監督体制が整っていれば、少年院送致ではなく不処分や保護観察で終わるケースも少なくありません。
また、子どもに責任能力がない場合や支払う力がない場合には、慰謝料・示談金は親が負担する場面が多くなります。
この記事では、未成年の傷害事件について、年齢による扱いの違い、逮捕から家庭裁判所の審判までの流れ、少年院に入る可能性、慰謝料・示談金を誰が支払うのか、学校や将来への影響まで解説します。
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目次
未成年の傷害事件はどうなる?年齢によって扱いが変わる
未成年の傷害事件は、子どもの年齢によって、逮捕されるかどうかや、その後の手続きが大きく変わります。
まず押さえておきたいのが、「未成年」と「少年」の違いです。2022年4月1日の民法改正により成年年齢は18歳に引き下げられ、現在「未成年」とは18歳未満の人を指します。
一方、少年法の対象となる「少年」は、これまでどおり20歳未満の人です。
つまり、18歳・19歳は「未成年」ではありませんが、少年法の対象となる「少年」にはあたります。この記事では「未成年」と表記していますが、18歳・19歳の場合もあわせて解説します。
13歳以下(14歳未満)の場合|逮捕されず、児童相談所などが対応する
14歳未満の子どもは、刑法上、刑事責任を問われません(刑法41条)。そのため、相手に怪我をさせても逮捕されることはなく、刑事裁判で刑罰を受けることもありません。
14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした子どもは「触法少年」と呼ばれ、警察の調査を受けたうえで、児童相談所に通告・送致されるのが一般的です。
一定の重大な事件や、家庭裁判所の審判に付すことが適当と判断された事件は、児童相談所から家庭裁判所に送致され、少年審判で処分が決まることもあります。
14歳~17歳の場合|逮捕されることがあり、家庭裁判所で処分が決まる
14歳以上20歳未満で罪を犯した少年は「犯罪少年」と呼ばれます。中学生・高校生の傷害事件の多くは、この年齢層にあたります。
14歳~17歳の子どもが傷害事件を起こした場合、成人と同じように逮捕される可能性があります。
少年事件には、少年法が適用されます。少年法では、「少年の健全な育成」という保護主義の理念が貫かれています。逮捕後の手続きは、保護主義の観点から、成人の刑事事件とは流れが異なります。
刑罰を科すことよりも、子どもの更生のために何が必要かという観点から処分が決められる点が、成人の刑事事件との大きな違いです。
14歳以上の少年が起こした事件は、逮捕された場合も在宅で捜査が進んだ場合も、最終的にはすべて家庭裁判所に送られ、家庭裁判所の調査と少年審判を経て処分が決まります。
18歳・19歳の場合|「特定少年」として成人に近い扱いを受けることがある
18歳・19歳の少年は、2022年4月1日施行の少年法改正により「特定少年」と位置づけられています。特定少年も少年法の対象であり、事件は家庭裁判所に送られますが、17歳以下の少年とは以下の点で扱いが異なります。
- 家庭裁判所から検察官に送致される(逆送)対象事件の範囲が広い
- 逆送されて起訴された場合、実名報道が解禁される
- 保護処分の内容が、犯した罪の重さを考慮した範囲に限られる
傷害罪そのものは原則逆送の対象事件ではありません。ただし、被害者を死亡させた傷害致死事件は原則逆送の対象です。
傷害罪でも事案の内容によっては逆送される可能性があり、逆送されて起訴されれば、成人と同じ刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判で有罪となった場合、傷害罪の法定刑は「15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です(刑法204条)。
未成年の傷害事件の流れ|逮捕から家庭裁判所の審判まで
14歳以上の未成年が傷害事件を起こした場合、逮捕されるか在宅で進むかにかかわらず、事件は最終的に家庭裁判所に送られ、少年審判などを経て処分が決まります。
未成年の傷害事件は逮捕される?初犯でも逮捕?
未成年も、傷害事件を起こした場合、逮捕されることがあります。
傷害事件を起こして逮捕される可能性があるのは、14歳以上の未成年者です。
未成年者が起こした事件は「少年事件」として扱われ、成人の刑事事件とは異なる手続きが進みます。
また、たとえ初犯であっても、逮捕される可能性はあります。
一方で、怪我が比較的軽く、子どもが事実を認めていて、保護者が監督できる環境にある場合などは、逮捕されずに自宅で生活しながら警察の呼び出しに応じる「在宅事件」として手続きが進むことも少なくありません。
逮捕時の流れは未成年者も成人と同様で、現行犯逮捕や後日逮捕などが行われます。

少年事件は通常の刑事事件とは流れが異なるため、少年事件に強い弁護士への相談が必要になります。
逮捕された後は留置場?少年鑑別所?
未成年の場合は、逮捕されたらその後、留置場で生活し、少年鑑別所に移送されるケースが多いです。
逮捕された未成年は、成人と同じく、逮捕から最大72時間以内に、検察官が勾留を請求するかどうかを判断します。その後の身柄拘束のされ方には、主に2つのパターンがあります。

【逮捕→勾留→鑑別所】
未成年者の傷害事件で、逮捕→勾留→鑑別所というような流れになるのは、強制捜査の必要性が高い、比較的重い事件の場合が多いです。
この場合は、逮捕から勾留の満期日までは警察署の留置場で生活し、事件が家庭裁判所に送られた後、観護措置がとられると少年鑑別所に移ることになります。
逮捕後の勾留期間は、未成年の場合でも成人と同じく、最長20日間となることがあります。
ただし、少年の勾留は「やむを得ない場合」に限って認められるものとされており(少年法43条3項・48条1項)、成人よりも慎重に判断されます。
【逮捕→鑑別所】
未成年者の場合は、逮捕後に留置場で勾留されることなく、すぐに少年鑑別所に移るケースがあります。
これは、勾留の代わりに「勾留に代わる観護措置」がとられた場合です(少年法43条1項)。この場合の収容期間は10日間で、延長は認められていません。
このような流れになるのは、証拠が明白で捜査の必要性がそれほど高くない、比較的軽微な事件の場合が多いです。
なお、逮捕されても勾留されずに釈放され、在宅事件として手続きが進むこともあります。
少年事件は原則としてすべて家庭裁判所に送られる
成人の刑事事件では、検察官の判断で不起訴となり、そこで事件が終わることがあります。
しかし少年事件では、犯罪の嫌疑があると判断された事件は、原則としてすべて家庭裁判所に送られます。これを「全件送致主義」といいます。
少年事件に、検察官の判断だけで手続きを終わらせる「不起訴」という結論は原則としてありません。
逮捕されずに在宅で捜査を受けた場合や、被害者との示談が成立している場合でも、事件が家庭裁判所に送られること自体は変わりません。示談の有無は、家庭裁判所での判断に影響する事情として考慮されます。
家庭裁判所での観護措置(少年鑑別所)とは?収容期間は?
逮捕された未成年者が少年鑑別所に行くタイミングは、事件によって様々です。
少年鑑別所とは、「家庭裁判所の観護措置決定」に基づいて送致された少年について、少年審判があるまで収容し、少年の資質の鑑別を行う施設です。
少年鑑別所では、医学・心理学・教育学などの専門的な知識に基づいて、非行の原因や更生のために必要な処遇を調べる「鑑別」が行われます。
「家庭裁判所の観護措置決定」に基づく少年の収容期間は、原則として2週間以内です。
特に継続の必要があるときは1回に限り更新でき、実務上は約4週間収容されるケースが一般的です。
さらに、一定の重大な事件で証拠調べが必要な場合などに限っては特別に更新が認められ、最大で8週間まで収容されることがあります(少年法17条)。
観護措置がとられると約4週間学校を休むことになるため、観護措置を避けられるかどうかは、子どもの学業や生活にとって大きな問題です。
なお、観護措置がとられず、自宅で生活しながら家庭裁判所の調査や審判を待つケースもあります。この場合は、家庭裁判所調査官による調査(面談)などを受けたうえで、少年審判に臨むことになります。
未成年者の傷害事件は少年審判を受ける?
家庭裁判所に送られた事件は、家庭裁判所調査官の調査の結果を踏まえて、少年審判を開くかどうかが判断されます。審判を開く必要がないと判断されれば「審判不開始」となり、手続きはそこで終わります。
観護措置で少年鑑別所に収容されている場合は、その収容期間中にこの判断が行われます。
少年鑑別所にいる間に、少年審判を「開始」するか「不開始」にするか検討されます。
少年審判が開始されたら、保護処分、検察官送致、不処分、都道府県知事または児童相談所長送致などの結論が出ることになります。
殺人や傷害致死などの重大犯罪では、未成年者でも、刑事裁判を受けるケースはあります。
しかし、未成年者の場合は、多くの場合で刑事裁判ではなく少年審判を受けます。
刑事裁判は公開の法廷で行われますが、少年審判は原則として非公開です。
例外的に、故意の犯罪行為で被害者を死傷させた事件などでは、被害者や遺族が家庭裁判所の許可を得て審判を傍聴できることがあります。
傷害事件の場合は、被害者の生命に重大な危険を生じさせたときに限られます(少年法22条の4)。
少年審判は、最終的に下される処分の内容も、刑事裁判と比べると大きく異なります。
少年審判では保護処分などが下されますが、刑事裁判では刑事処分(刑罰)が下されます。
少年審判の概要と処分の種類
| 少年審判 | |
|---|---|
| 意義 | 未成年者の更生のために、適切な処分をする手続き |
| 結論 | ・不処分 ・保護処分(保護観察、少年院など) ・検察官送致(≒逆送) ・都道府県知事・児童相談所長送致 |
| 手続 | 非公開 |
傷害事件を起こした未成年は少年院に入る?処分の見通し
未成年の傷害事件で少年院に入るかどうかは、家庭裁判所の少年審判で決まります。
初犯で怪我が比較的軽く、反省や示談、家庭での監督体制が整っている場合には、少年院送致ではなく、不処分や保護観察で終わることも多いです。
少年事件の処分の種類
未成年の傷害事件の最終的な処分は、少年審判によって決められます。
少年事件の処分一覧
- 保護処分:保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致(保護観察は、自宅で生活しながら保護観察官・保護司の指導を受ける処分)
- 検察官送致:家庭裁判所が事件を検察官に送り返す処分。送致を受けた検察官が起訴すれば、成人と同じ刑事裁判を受けることになる
- 不処分(教育的措置):審判を開いたうえで、保護処分を行わないこと。裁判官や調査官による訓戒などの教育的な働きかけが行われる
- 都道府県知事または児童相談所長送致:児童福祉法上の措置が相当と判断された場合に、児童相談所などに事件を送ること
少年院とは、家庭裁判所から少年院送致の処分を受けた少年を収容し、矯正教育を行う国の施設です。現在の少年院法では、少年の年齢や心身の状況などに応じて、第1種から第5種までの種類が設けられています。
成人が刑事事件を起こして収容される刑務所とは、意味合いが異なります。
刑務所が刑罰を受ける場所であるのに対し、少年院は、生活指導や教科指導、職業指導などを通じて少年の立ち直りを支援する場所です。
少年院に収容される期間は処遇の内容によって異なり、短期間の処遇では6か月以内、通常の処遇では1年前後となることが多いとされています。
初犯の傷害事件でも少年院に入る?
初犯の傷害事件で直ちに少年院送致となるケースは、多くありません。ただし、初犯であっても、怪我の程度や犯行の態様によっては少年院送致となる可能性があります。
家庭裁判所は、事件の重大性だけでなく、子どもが再び非行に及ぶおそれや、どのような働きかけが更生に有効か(要保護性)を重視して処分を決めます。主に考慮されるのは、以下のような事情です。
- 被害者の怪我の程度(全治期間、後遺症の有無など)
- 凶器の使用や、複数人での暴行など、犯行の態様
- 過去の非行歴や補導歴
- 家庭や学校での生活状況、保護者の監督体制
- 反省の程度や、被害者への謝罪・示談の状況
たとえば、喧嘩による軽い怪我で、本人が深く反省し、被害者との示談も成立している場合は、不処分や保護観察で終わる可能性が高まります。
一方、重い怪我を負わせた場合や、同種の非行を繰り返している場合、家庭での監督が期待できない場合などは、初犯でも少年院送致となることがあります。
怪我をさせていない場合は暴行罪になる
相手に怪我をさせていない場合は、傷害罪ではなく暴行罪(刑法208条)が問題になります。
暴行罪でも、14歳以上であれば逮捕される可能性があり、事件が家庭裁判所に送られる点は傷害事件と同じです。
怪我がない分、処分は傷害事件より軽くなる傾向がありますが、示談や家庭での監督体制が判断に影響する点は変わりません。
少年院に入らないために家族ができること
お子さんが少年院送致を避けるためのゴールは、大きく分けて以下の2つです。
- 少年審判が開かれないようにする
- 少年審判が開かれたとしても、不処分または少年院送致以外の保護処分(保護観察など)を得る
そのためには、家庭裁判所に対して「家庭や学校で子どもの更生を支える環境が整っている」ことを具体的に示すことが大切です。たとえば、以下のような取り組みが考えられます。
- 保護者が子どもと事件について話し合い、再犯防止策を一緒に考える
- 交友関係や生活リズムを見直し、保護者が監督できる体制を整える
- 被害者への謝罪と被害弁償・示談に誠実に取り組む
- 学校と連携し、通学を続けたり復学したりできる環境を整える
こうした環境調整は、家庭裁判所調査官による調査や審判の場で、子どもに有利な事情として考慮されます。
未成年の傷害事件の慰謝料・示談金は親が払う?示談の効果と金額の目安
未成年の傷害事件でも、被害者への慰謝料や治療費などの賠償は必要です。子どもに責任能力がない場合や支払う力がない場合には、親が支払うことになるケースが多いです。
未成年の傷害事件でも示談金は必要?子どもが払う?
未成年の場合、示談金・慰謝料が発生したとき、法律上、その支払義務を負わないことがあります。
民法上「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない者」は、損害賠償責任を負いません(民法712条)。慰謝料も損害賠償の一部であるため、支払義務は生じません。
具体的には、一般論として、12~13歳未満程度の未成年者は、支払義務を負わないと考えられています。この場合は、子どもを監督する義務のある親権者が、子どもに代わって賠償責任を負います(民法714条)。
一方、責任能力がある年齢の子どもであっても、親が監督を怠っていたことと事件との間に関係が認められる場合には、親自身も賠償責任を負うことがあります(民法709条)。
また、法律上の支払義務とは別に、中学生や高校生には十分な収入や財産がないことが多いため、実際には親が示談金を用意して示談をまとめるケースが一般的です。
未成年の傷害事件でも示談の効果はある?
未成年の傷害事件でも、示談は、逮捕の回避や家庭裁判所での処分に良い影響を与える可能性があります。
成人の傷害事件の場合、示談をすることで、不起訴になったり、刑罰が軽くなったりする効果が期待できます。
一方、少年事件では、成人の刑事事件とは示談の効果の表れ方が異なります。
というのも、成人の「刑罰」と、未成年の「処分」はその意味合いが違うからです。
成人の「刑罰」は、犯罪を行った者に制裁を科すことなどを目的とします。そのため、被害者の許し(宥恕=加害者を許すという被害者の意思表示)が示談書に盛り込まれていれば、処分が軽くなりやすい傾向にあります。
一方、未成年の「処分」は、「少年の更生と保護」を目的とします。真に必要な更生のための処分であれば、被害者の許しの有無にかかわらず、その処分が選択されやすいといえます。
殺人などの重大な刑事事件を除いて、少年事件は少年法に基づいて「処分」が決定されます。
示談の過程では、被害者への謝罪、被害弁償・賠償などが必要です。
示談、謝罪、被害弁償といった行動は、事件に対して真摯に向き合い反省しているということを示す事情となり、「更生」の意欲があることを家庭裁判所に伝える重要な要素になります。
「示談が成立すれば必ず処分が軽くなる」と断言はできません。しかし、示談や被害弁償は、逮捕の回避や、審判不開始・不処分といった判断を引き寄せる有力な材料になります。
少年事件においても、示談に取り組む意味は十分にあるといえるでしょう。
示談で逮捕を回避できる?
傷害事件は、示談で逮捕を回避できる可能性もあります。
傷害事件の示談とは、傷害事件を起こした加害者が、被害者に謝罪し、被害者の許しを得て、和解する合意のことです。

比較的軽微な事件であり、被害者との示談の成立、加えて被害者から一定の申し入れがあれば、逮捕を回避できる可能性が高まるでしょう。
逮捕を回避できる可能性が高まるケース
- 比較的軽微な事件であること
- 被害者との示談が成立していること
- 被害者から次のような申し入れがあること
「加害者と示談が成立したので被害届を取り下げたい。」
「加害者に対して寛大な処分を求めたい。」
ただし少年事件では、示談が成立しても事件が家庭裁判所に送られること自体は変わりません。示談の効果は、逮捕の回避や審判不開始、不処分などの判断材料として表れます。
未成年の傷害事件の示談金・慰謝料の目安
未成年の傷害事件の場合も、示談金の相場が成人と変わることはありません。
示談金の金額は、加害者が未成年かどうかではなく、被害者の怪我の程度や治療期間、被害者の処罰感情などによって決まります。
傷害事件の示談金は、事件ごとに金額が異なります。傷害事件で示談を行った際に支払う金額の計算式は以下のとおりです。
傷害事件の示談金=治療費+慰謝料+(休業損害+後遺症による逸失利益)
怪我の治療費のほかにも、事件によって生じた損害をすべて賠償する必要があります。
よく耳にする「慰謝料」や「損害賠償」は、示談金の一部です。
傷害事件の被害がそれほど重くない場合の示談金は、10万~30万円になることが多いです。
実際に治療に要した金額に加えて、一定の慰謝料が支払われれば、誠意が伝わったとして被害者が納得されるケースが多いためです。
傷害事件によって生じた損害が重い案件では、示談金が100万円を超えることも珍しくありません。
後遺障害が残るような重篤なケースでは、民事裁判で数千万円以上の損害賠償が認められることもあります。
ただし、加害者が未成年の場合、学校や警察に事件を知られたくないという加害者側の意向が強く働くことがあります。
そのような場合には、早期に解決したいという事情から、算定した損害額を上回る金額で合意に至ることもあります。
傷害事件の示談金の実例
傷害事件は、事件の内容や状況によって示談金の相場が大きく変動します。ここでは、過去の傷害事件における示談金の例をご紹介します。
なお、先述のとおり示談金の水準は加害者が未成年かどうかで変わるものではないため、以下の事例は未成年の傷害事件で示談金を検討する際の参考にもなります。
傷害事件の示談金
| 事件内容 | 示談金の金額 | |
|---|---|---|
| 1 | 深夜、ナイトクラブで客と揉め、被害者が首に掛けていたネックレスを破壊し、被害者の首に擦り傷を負わせた事件 | 10万円 |
| 2 | ハローワーク内で、被害者夫婦に対し、顔面をこぶしで数回殴るなどの暴行を加え、全治1週間の怪我を負わせた事件 | 32万円 |
| 3 | 駅構内で60代男性と体が接触し、立腹のあまりその男性を足で数回蹴り、頭突きするなどの暴行を加え、全治2週間の怪我を負わせた事件 | 50万円 |
| 4 | 風俗店の事務所内で、従業員女性の顔面を数回殴り、頭髪を切るなどの暴行を加え、全治2週間程度の怪我を負わせた事件 | 130万円 |
| 5 | 新幹線内で前の座席に座っていた被害者に対し、座席を数回蹴るなどの暴行を加え、休業約3週間を要する頚部挫傷、頭部打撲傷などの傷害を負わせた事件 | 179万円 |
親が直接被害者と示談交渉するリスク
未成年の傷害事件では、親が「早く謝りたい」「直接話をつけたい」と考えて、被害者や被害者の家族に直接連絡を取ろうとすることがあります。しかし、親が直接交渉することには、以下のようなリスクがあります。
- 被害者側の怒りや恐怖心を強め、かえって示談が難しくなる
- 警察や検察が、被害者の連絡先を加害者側に教えてくれないことが多い
- 口約束だけで済ませると、後から追加の請求や被害届の提出を受けるおそれがある
- 接触の仕方によっては、被害者への圧力や口裏合わせを疑われ、子どもに不利に働く
特に、子ども同士が同じ学校に通っている場合などは、当事者同士の関係がこじれやすい傾向があります。
弁護士を通じて謝罪と示談の申し入れを行い、被害届の取り下げや今後の請求の扱いなどを盛り込んだ示談書を交わすことで、トラブルを防ぎやすくなります。
未成年の傷害事件が学校や将来に与える影響
少年審判による保護処分は「前科」にはならず、本人を特定できる報道も原則として行われません。
ただし、18歳・19歳の特定少年が逆送・起訴された場合には実名報道の可能性があり、また事件の内容によっては、警察から学校に事件が伝わることもあります。
警察から学校に連絡される?退学になる?
事件の内容によっては、警察から学校に連絡が入ることがあります。多くの都道府県では、警察と学校が児童生徒の非行などに関する情報を共有する「学校・警察連絡制度」が設けられているためです。
もっとも、どのような場合に連絡されるかは、地域や事案によって異なります。
学校に事件が伝わった場合に、停学や退学などの処分を受けるかどうかは、学校が校則などに基づいて判断します。
公立の小学校・中学校では、法令上、退学処分も停学処分も行うことができません(学校教育法施行規則26条3項・4項)。
一方、高校では、事件の内容によっては停学や退学となる可能性があり、私立中学校でも退学処分を受ける可能性があります。
観護措置で少年鑑別所に収容されると、約4週間学校を休むことになります。
学校生活への影響を小さくするためにも、早い段階から、観護措置の回避に向けた働きかけや、学校への説明の仕方を準備しておくことが大切です。
少年事件で前科はつく?
家庭裁判所の少年審判で保護観察や少年院送致などの保護処分を受けても、前科はつきません。
前科とは、刑事裁判で有罪となり刑罰を言い渡された経歴を指します。略式手続で罰金の命令を受けた場合も前科にあたります。
ただし、検察官送致(逆送)されたうえで起訴され、刑事裁判で有罪判決を受けた場合には、前科がつきます。また、前科とは別に、警察や検察に捜査の対象とされた記録である「前歴」が、捜査機関の内部に残ります。
18歳・19歳は実名報道される?
少年事件では、氏名や顔写真など、本人を特定できる報道をしてはならないとされています(少年法61条)。
もっとも、この規定に違反した場合の罰則は定められておらず、報道機関の自主的な判断に委ねられている面があります。
ただし、18歳・19歳の特定少年については、逆送されて起訴された場合、この禁止が解除されます(少年法68条)。
傷害事件で起訴に至るケースは限られますが、事件の内容によっては実名報道の可能性がある点に注意が必要です。
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・逮捕の実名報道の基準は?報道のタイミングと実名報道を避ける方法を弁護士が解説
未成年の子どもが傷害事件を起こしたら弁護士に相談
未成年の傷害事件は、逮捕の有無にかかわらず事件が家庭裁判所に送られ、観護措置や少年審判といった成人とは異なる手続きが進みます。
審判不開始や不処分、少年院送致の回避を目指すには、早い段階から少年事件の経験がある弁護士に相談することが大切です。
未成年の子どもが傷害事件の加害者になったら?
14歳以上の未成年者が起こした傷害事件は、逮捕される可能性があります。
逮捕されなかったとしても、事件は家庭裁判所に送られ、調査や審判を受けることになります。
審判不開始や不処分、少年院送致の回避を目指すのであれば、少年事件に強い弁護士に、すぐ相談することが大切です。
少年事件では、弁護士は、捜査段階では「弁護人」として、家庭裁判所に事件が送られた後は「付添人」として、子どもと家族をサポートします。
少年事件の弁護士ができることの例
- 多感な時期の未成年者に寄り添い、再犯防止策を一緒に考える
- 未成年者の更生に向けた環境調整に尽力する
- 傷害事件の被害者との示談交渉を行う
- 家庭裁判所に意見を伝え、観護措置(少年鑑別所への収容)を避けるよう働きかける
- 学校への説明や対応について助言し、学業への影響を小さくする
早い段階でご相談いただくほど、弁護士が取れる手段は多くなります。
未成年の傷害事件について弁護士相談
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警察が介入している刑事事件については、初回の法律相談が30分間無料です。
お子さんの傷害事件については、将来のこと、学校の対応などのご不安がたくさんあると思います。
ご不安が大きいうちに、まずはお気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしています。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国16拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

