配偶者から投資信託を相続したときの基礎知識
配偶者から投資信託を相続する際には、相続手続きの流れや相続税の評価方法について理解しておきたいものです。本記事では、配偶者から投資信託を相続する場合の基礎知識について解説します。
目次
『配偶者による投資信託の相続』に関する基本事項
投資信託を相続するときの流れ
投資信託を相続する場合は、以下の流れで相続手続きを進めます。
1. 金融機関に被相続人が死亡したことを伝え、口座を凍結する
まずは、金融機関に被相続人が亡くなったことを知らせます。これにより、被相続人の口座が凍結されます。
2. 遺言書の確認または遺産分割協議を行う
遺言書がある場合は、遺言書に従って遺産分割を行います。遺言書がない場合は相続人を確認し、遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、相続人同士が遺産をどのように分けるかを話し合う手続きです。遺産分割協議により、相続人のうち、誰がどの遺産を相続するかを明らかにします。
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3. 金融機関で相続手続きを行う
遺産分割協議の完了後、金融機関で投資信託の移管手続きを行います。
4. 相続税の申告を行う
遺産総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告を行います。
相続税の基礎控除とは
相続税の基礎控除とは、相続税の課税対象となる財産額から差し引くことができる金額です。相続税の基礎控除額は、以下のように計算します。
【基礎控除額の計算方法】
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
基礎控除額は、法定相続人が1人の場合は3,600万円、2人の場合は4,200万円です。なお、遺産の総額が基礎控除額を超える場合には、申告の義務があり、相続税額が発生する場合があります。
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相続税の申告期限は10か月以内
遺産の総額が基礎控除額を超える場合は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告します。
申告書の提出方法は、持参または郵送のほか、e-Tax(電子申告)でも可能です。
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相続税申告書に記載する内容
相続税申告書は、相続税の申告を行う際に必要な書類です。相続税申告書には、相続財産の評価額や相続人などの情報を記載する必要があります。相続税の申告書は、税務署の窓口でもらえるほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。
申告書の作成にあたっては、以下の書類なども必要です。
- 相続財産の評価明細書
- 相続関係書類
相続関係書類には、戸籍謄本や住民票などの書類が含まれます。相続関係書類は、相続人の親族関係を確認するために必要となるものです。
申告書は自分で作成することもできますが、専門的な知識を要するため、税理士に依頼することをおすすめします。
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配偶者控除で相続税の負担を大幅に軽減
相続税における配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは、被相続人の配偶者が取得した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで相続税が課税されない制度です。配偶者控除の適用により、1億6,000万円または法定相続分以下は、配偶者の相続税額が0円になります。
配偶者控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 被相続人と法律上の結婚関係にある
- 遺産分割が完了している
- 相続税の申告期限までに申告書を提出する
相続税が発生し、配偶者が相続人に含まれる場合には、適用を検討したほうがいいでしょう。
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投資信託の相続税評価額の計算方法
投資信託の相続税の評価方法は、投資信託の種類によってそれぞれ異なります。
日々決算型の証券投資信託の受益証券
日々決算型の証券には、中期国債ファンドやMMF(マネー・マネージメント・ファンド)、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)などの種類があります。日々決算型の投資信託の評価方法は、以下のとおりです。
1口あたりの基準価額×口数+未収分配金-未収分配金に対する源泉徴収所得税額-信託財産留保額および解約手数料
上場投資信託、不動産信託の受益証券
ETF(上場信託)やJ-REIT(不動産信託)の場合は、次のうち最も低い価額で評価できます。
- 相続開始日の終値
- 相続開始日を含む月の終値の平均
- 相続開始日の前月の終値の平均
- 相続開始日の前々月の終値の平均
その他の投資信託の受益証券
上記以外の投資信託の評価方法は、以下の方法で算定します。
相続開始日の1口あたりの基準価額×口数-相続開始日に解約請求などをした場合の源泉徴収所得税額-信託財産留保額および解約手数料
税務調査を受けやすいケース
税務調査とは、税務署が納税者の申告内容を調査し、正確な申告が行われているかどうかを調査するためのものです。税務調査は、納税者全員に行われる可能性がありますが、特に、以下のケースは税務調査の対象になりやすいと考えられます。
- 相続税の申告額が大きい場合
- 相続税の申告内容に不審な点がある場合
- 過去に悪質な申告漏れや申告内容に誤りがある場合
税務調査の対象となった場合、税務署から申告内容について説明を求められることがあります。また、申告内容に不備や誤りがあると、修正申告を促されることもあります。
税務調査のリスクを避けるためにも、申告書の記載内容や添付書類を誤りなく作成することが重要です。税理士に相談して、申告書の作成や税務調査対策を依頼することも検討しましょう。
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『配偶者による投資信託の相続』に関するよくある質問
配偶者から投資信託を相続したら、相続税はかかるの?
遺産の総額が基礎控除額を超える場合に、相続税がかかることがあります。基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算します。法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円ですが、相続した財産の額が4,200万円以下であれば、相続税はかかりません。
投資信託の相続税評価額はいくらになりますか?
投資信託の相続税評価方法は、投資信託の種類によって異なります。それぞれの算定方法は以下のとおりです。
- 日々決算型の証券投資信託の受益証券
1口あたりの基準価額×口数+未収分配金-未収分配金に対する源泉徴収所得税額-信託財産留保額および解約手数料
- 上場投資信託、不動産信託の受益証券
次のうち、最も低い価額で評価する
- 相続開始日の終値
- 相続開始日を含む月の終値の平均
- 相続開始日の前月の終値の平均
- 相続開始日の前々月の終値の平均
- その他の投資信託の受益証券
相続開始日の1口あたりの基準価額×口数-相続開始日に解約請求などをした場合の源泉徴収所得税額-信託財産留保額および解約手数料
相続税の申告・納税はいつまでに行えばよいですか?
相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。
相続税の申告は自分で行うことはできますか?
相続税申告書の作成は、自分で行うこともできます。ただし、作成には専門的な知識を要するため、相続税に強い税理士に依頼することをおすすめします。
相続税を節税する方法はありますか?
被相続人の配偶者にとって、最も節税効果が高いのは、配偶者控除の適用でしょう。配偶者控除を適用すると、配偶者は、1億6,000万円または法定相続分までの遺産については、無税で相続することができます。さらに具体的な相続税の節税対策について検討したい場合は、税理士に相談することをおすすめします。
他にもおさえておきたい相続の基本
いざというときに備えて、相続対策や相続手続きについて理解しておくことは大切です。ほかの記事でも相続の基礎知識について詳しく解説しておりますので、ぜひお役立てください。
監修者情報
アトムグループ 協力税理士