配偶者と子供で仮想通貨(暗号資産)を相続する際に知っておきたいこと

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配偶者と子による仮想通貨の相続

亡くなった被相続人が、生前に仮想通貨を保有していた場合もあるでしょう。仮想通貨を相続する場合、相続手続きの流れや相続税評価額の計算方法など、理解しておくべきことがいくつかあります。この記事では、配偶者と子供で仮想通貨を相続する際に知っておきたい基礎知識を、わかりやすく解説します。

『配偶者と子供による仮想通貨(暗号資産)の相続』に関する基本事項

仮想通貨(暗号資産)とは

仮想通貨とは、インターネット上で取引される財産的価値のことです。仮想通貨は、一般的な通貨のように中央銀行や政府などの発行主体が存在せず、取引参加者の信用によって価値が担保されています。

仮想通貨で代表的なものに、ビットコインやイーサリアムなどがあります。仮想通貨に実体はなく、インターネット上のデータでやりとりをするのが特徴です。仮想通貨の売買は、取引所と呼ばれる事業者を通じて行われます。仮想通貨は、取引所で口座を開設し、取得した通貨をウォレットで保管するという仕組みです。

仮想通貨(暗号資産)を相続するときの手続きの流れ

被相続人名義の仮想通貨を配偶者と子供で相続する場合は、以下の流れで手続きを行います。

1.遺言書の有無を確認する

被相続人が遺言書を作成していた場合は、遺言書の内容に従って相続手続きを行います。遺言書がない場合は、遺産分割協議などを行って相続手続きを進めます。

2.相続人を確認する

相続人となるのは、被相続人の配偶者、子供、父母、兄弟姉妹などです。このとき相続人調査を行い、誰が相続人になるのかを確認する場合もあります。

3.保有している仮想通貨(暗号資産)を確認する

仮想通貨取引所の口座や、ウォレットなどを確認し、被相続人が保有していた仮想通貨の種類や保有数量などを調査します。

4.仮想通貨(暗号資産)以外の相続財産を確認する

仮想通貨以外の相続財産も調査し、不動産や預貯金など、どのような財産があるのか、評価額はいくらなのかを確認します。

5.遺産分割協議を行う(遺言書がない場合)

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、どのように分割するかを決めます。遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てます。

6. 仮想通貨取引所で相続手続きを行う

仮想通貨取引所に、被相続人が亡くなったことを連絡し、案内にしたがって必要書類を送付します。なお、仮想通貨取引所には対面の窓口はないため、メールや郵送でのやりとりとなります。

7.必要に応じて相続税の申告・納税を行う

相続財産の評価額の合計が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要です。また、必要に応じて納税も行います。

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仮想通貨(暗号資産)の相続税評価額を計算する方法

仮想通貨の場合、活発な市場が存在するかどうかで相続税評価額の計算方法が異なります。たとえば複数の仮想通貨取引所で取引が行われており、継続的に価格情報が提供されている場合は「活発な市場が存在する」と判断します。

一方、特定の取引所でのみ取引がされている場合や、新規発行されたばかりの仮想通貨は「活発な市場が存在しない」と判断します。

活発な市場が存在する仮想通貨(暗号資産)の評価

活発な市場が存在する仮想通貨は、以下のいずれかで評価額を算定します。

  • 仮想通貨取引所が公表する相続開始日の価格
  • 相続開始日時点で仮想通貨取引所に売却することができる金額

活発な市場が存在しない仮想通貨(暗号資産)の評価

活発な市場が存在しない仮想通貨は、類似する売買実例をもとにしたり、専門家による鑑定から評価額を算定します。

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法定相続分による相続割合【配偶者と子供で相続する場合】

配偶者と子供の法定相続分は2分の1ずつです。子供が複数人いる場合は、遺産の2分の1を子供の人数で均等に分割します。

【相続割合】

法定相続人相続割合
配偶者+子1人配偶者:1/2
子:1/2
配偶者+子2人配偶者:1/2
子:1人あたり1/4
配偶者+子3人配偶者:1/2
子:1人あたり1/6

被相続人が亡くなって2億円の相続が発生し、配偶者と子供2人が相続人となった場合、配偶者の法定相続分は1億円、子供の法定相続分は5,000万円ずつになります。

法定相続分は、相続人の間で遺産分割協議を行う際に、法律上の分け方の目安となるものです。ただし、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割することも可能です。

相続税における基礎控除の概要と計算方法

相続税は、課税対象となる遺産の総額が基礎控除額を上回る場合に申告の義務が発生し、場合によっては相続税額が発生することもあります。相続税の基礎控除額の計算方法は、以下のとおりです。

【基礎控除額の計算方法】
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

【相続人数別の基礎控除額】

法定相続人基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

たとえば、法定相続人が配偶者と子供1人の場合は4,200万円、配偶者と子供2人の場合は4,800万円が基礎控除として遺産総額から差し引かれます。遺産の総額が基礎控除額を下回る場合は相続税は発生せず、申告の必要もありません。

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相続税の申告方法と申告期限

遺産の総額が基礎控除額を超える場合は、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告します。申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内です。

相続税の申告書は、税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。申告書の提出方法は、持参または郵送のほか、e-Tax(電子申告)でも可能です。

相続税の申告書作成は、自分で行うこともできますが、専門的な知識を要するため、税理士に依頼することをおすすめします。

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配偶者控除で配偶者分の相続税負担を軽減

相続税における配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは、被相続人の配偶者が取得した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額までは相続税が課税されない制度です。配偶者控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 被相続人と法律上の結婚関係にある
  • 遺産分割が完了している
  • 相続税の申告期限までに相続税の申告書を提出する

たとえば、被相続人が配偶者と子供2人を残して亡くなり、相続財産の合計が2億円の場合、配偶者の法定相続分は1億円です。このとき配偶者控除を適用することで、配偶者分の相続税は0円になります。

ただし、のちに配偶者が亡くなって配偶者の財産を子供が相続するときに、相続税負担が増える可能性があるため注意が必要です。そのため、相続税を節税するための最善策を検討する場合は、税理士に相談することをおすすめします。

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仮想通貨(暗号資産)を相続する際の注意点

仮想通貨を相続するにあたっては、以下の点に注意しましょう。

被相続人のスマートフォンやPCをすぐに処分しない

仮想通貨の情報は、被相続人が使用していたスマートフォンやPCに残っている可能性が高いです。そのため、相続が完了するまでは、データの初期化や処分をせず、保管しておきましょう。

パスワードがわからない場合に放置しない

仮想通貨の引き出しには、パスワードや秘密鍵が必要となります。仮想通貨は相続税の課税対象になるため、放置することはできません。パスワードや秘密鍵を探しても見つからない場合は、早めにサポートセンターや問い合わせ窓口に連絡しましょう。

海外の取引所を利用していた場合は税理士に相談する

仮想通貨の相続に関しては、被相続人が海外の取引所を利用しているケースも考えられます。その場合は仮想通貨の相続にくわしい税理士に相談し、サポートを依頼することをおすすめします。

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『配偶者と子供による仮想通貨(暗号資産)の相続』に関するよくある質問

相続税の申告手続きはいつまでに行えばよいですか?

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎてしまうと、ペナルティが科される可能性もあるため注意が必要です。

仮想通貨(暗号資産)の評価額はいくらになりますか?

仮想通貨の評価額の計算方法は、活発な市場が存在しているかどうかで異なります。活発な市場が存在する仮想通貨は、仮想通貨取引所が公表する相続開始日の価格または仮想通貨取引所による相続開始日時点の売値のいずれかで算定します。一方、活発な市場が存在しない仮想通貨は、類似する売買実例や、専門家による鑑定により評価額を算定します。

仮想通貨(暗号資産)を相続したら相続税はいくらかかりますか?

相続税がいくらかかるのかは、仮想通貨を含む相続財産の評価額、相続人の人数、法定相続分などによって異なります。相続税の概算額を調べるには、「相続税計算機」をご利用ください。

仮想通貨(暗号資産)のパスワードがわからないときはどうすればいい?

国内の取引所の場合、仮想通貨のIDやパスワードがわからない場合でも、本人確認が可能な書類を提示することで、相続手続きをすすめることができます。

相続手続きは自分でできますか?

相続手続きを自分で行うこともできますが、税理士などの専門家に依頼したほうが安心です。相続税評価額の算定方法は財産ごとに異なり、計算方法も複雑です。また、相続税の申告が必要となった場合は、漏れなく記載することが求められます。専門家に依頼すると、相続手続きを円滑に進められるため、検討してみることをおすすめします。

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他にもおさえておきたい相続の基本

いざというときに備えて、相続対策や相続手続きについて理解しておくことは大切です。ほかの記事でも相続の基礎知識について詳しく解説しておりますので、ぜひお役立てください。

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アトムグループ 協力税理士

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