離婚までの期間は最短でどれくらい?|最短で離婚する方法も解説

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この記事では、「最短で離婚したい」とお考えの方に向け、離婚までの期間がどれくらいかかるかを解説します。

さらに、最短で離婚するためのポイントもご紹介します。

離婚に向けて準備を進めたい方にとって、今すぐ役に立つ情報を掲載しておりますので、ぜひ参考になさってください。

離婚にかかる時間はどれくらい?

離婚にかかる時間はどれくらいか説明する前提として、まず離婚の方法をご紹介します。

離婚の方法には、主に①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚、⑤和解離婚があります。

実務では、協議離婚→調停離婚→裁判離婚の流れで進むのが一般的です。

離婚の方法と手続きの流れについては、下図をご覧ください。

次の項では、協議離婚、調停離婚、裁判離婚に分けて、離婚成立までの期間がどれくらいかかるのか解説します。

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最短で離婚できる方法は協議離婚

離婚する方法の中で、最短で離婚できるのは協議離婚です。

夫婦が離婚に同意すれば、最短1日で協議離婚できます。特別な費用もかかりません。

離婚に合意できた後は、離婚届を作成します。

離婚届には、夫婦と証人2人の署名押印が必要です。未成年の子供がいる場合は、必ず親権者を決めなければなりません。

離婚届が作成できたら、役所に提出します。離婚届が受理されれば、離婚成立です。

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協議離婚の注意点

「最短で離婚したい」と焦るあまり、養育費、慰謝料、財産分与などお金の問題を後回しにしてしまうのはおすすめできません

「後でゆっくり話し合おう」と思っても、離婚後だと、相手がそもそも話し合いに応じない可能性が高いからです。

お金に関する問題や、できれば面会交流などの離婚条件もまとめて離婚までに合意するのが理想的です。

離婚条件が合意できたら、ぜひ離婚協議書を作成しましょう。離婚協議書があれば、将来相手が離婚条件を守らず裁判になった場合、有力な証拠になります。

協議離婚をする場合、最もおすすめなのは離婚条件をまとめた公正証書を作成することです。

公証役場に相談すれば、公正証書を作成できます。公正証書を作成する場合、強制執行認諾文言を忘れずにつけましょう。

強制執行認諾文言付き公正証書があれば、養育費の不払いなどのトラブルがあった場合、すぐに強制執行できます。具体的には、相手の預金債権や給料債権の差押えが可能です。

公正証書で強制執行をする場合、一つ一つの条項が非常に重要になります。

少しでも法律の要件を満たさない条項があると、強制執行できない可能性があるからです。

「協議離婚しようと思っているけれど、きちんとした公正証書が作成できるか不安」という方は、弁護士に公正証書案をチェックしてもらうのがおすすめです。

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調停離婚は成立まで3ヵ月から1年程度

協議離婚の合意ができない場合、離婚調停を申し立てます。

出典:令和4年司法統計年報家事編

令和4年の司法統計年報によると、離婚調停(審判を含む)の審理期間は、「6ヵ月以内」が最も多く全体の31%でした。

次いで、「1年以内」が29%、「3ヵ月以内」が22%と続きます。「2年を超える」も1%存在します。

これらの数字から、離婚調停を起こすと3ヵ月から1年程度の時間がかかり、長い場合は2年を超える場合もあることが分かります。

離婚調停は、平日の昼間2〜3時間、約1ヵ月に1回の頻度で開かれるため、お互いにとって協議離婚よりも負担は重くなります。

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裁判離婚は成立まで1年以上

離婚調停が不成立となった場合、離婚裁判を提起することになります。

離婚裁判の場合、裁判官によって法定離婚事由があると判断されると、強制的に離婚できます。

法定離婚事由の典型例は、不貞行為(不倫、浮気)やDV、モラハラです。

裁判所の統計によると、令和4年における離婚裁判の平均審理期間は、14.7ヵ月です。

離婚裁判の結果に不服がある場合、控訴・上告まで行うケースもあります。上告を含めれば2年以上かかる可能性が高いです。

離婚裁判を起こすには、原則として離婚調停を先に申し立てなければならないと法律で決まっています。

そのため、離婚調停と離婚裁判で離婚成立までに合計2年程度かかると予測しておく必要があります。

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最短で離婚するためのポイント

十分な証拠収集をする

最短で離婚するためには、相手方に離婚原因があると証明するための証拠をできるだけ多く集めておく必要があります。

十分な証拠を集めておけば、協議離婚の話し合いの際、相手を説得する材料になります。

また、離婚調停の場では、しっかりした証拠があるほど、調停委員や裁判官にこちらの言い分を納得してもらいやすくなります。

調停委員や裁判官の納得を得られれば、相手方を説得してもらいやすくなります。

離婚裁判になった場合は、証拠がいかに充実しているかが結果に大きく影響しますします。

以上のとおり、どの離婚方法を選択するにせよ、十分な証拠収集をしておくことは非常に重要なのです。

そのため、離婚を切り出す前や別居前に、以下の証拠を集めておくと良いでしょう。

不貞行為(浮気、不倫)に関する証拠

  • メールやLINE、SNSでのやり取り(※)
  • 配偶者と不倫相手が一緒に写っている写真・動画
  • 2人でホテルに宿泊したことがわかる領収書
  • クレジットカード・ETC・電子マネー履歴
  • 不貞行為を認める内容の誓約書や念書、録音

※相手に離婚を切り出した途端に証拠隠滅されるおそれがあるため、メール等の不貞行為の証拠を見つけたら、写真撮影や印刷をしておきましょう。

DVやモラハラに関する証拠

  • 録音、録画
  • 医師による怪我やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断書
  • 怪我や、壊された物などの写真
  • 警察等への相談記録
  • 日記やメモ書き(※)
  • 暴行や暴言を記録した映像や音声、メールやSNSなどのメッセージ

※離婚調停や離婚裁判になる直前に日記やメモを作成し始めると、相手方から捏造だと反論されるおそれがあります。

DVやモラハラの被害を受け始めたら、できる限り早期に日記等を作成しましょう。

できるだけ被害を受けた当日に、日付も書いて記録しておきましょう。

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別居をする

ここでは、最短での離婚を実現するために別居をした方がよいケースを2つに分けてご説明します。

①明確な離婚事由がなく相手が離婚に応じない場合

このパターンの典型例が「性格の不一致」です。

性格の不一致のみを理由に離婚を切り出して相手がどうしても同意しない場合、協議離婚できないことはもちろん、調停離婚や裁判離婚も難しいでしょう。

この場合、最短で離婚するためには別居が有効です。

実務上、別居期間が3年以上になると離婚が認められやすくなります。

明確な離婚事由がない場合は、まず別居を始めて、ある程度期間が経過してから離婚調停や離婚裁判を起こすと離婚が成立しやすくなります。

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②自分が有責配偶者で、こちらの離婚請求に相手が応じない場合

有責配偶者とは、夫婦関係を破綻させた主たる原因をつくった配偶者をいいます。

典型的には、不貞行為をした配偶者は有責配偶者に当たります。

判例上、有責配偶者からの離婚請求が認められるためには次の3つの条件が必要です(最大判昭和62年9月2日)。

【有責配偶者からの離婚請求が認められるための要件】

  • 相当長期間の別居
  • 未成熟子の子がいないこと
  • 相手方配偶者相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれないこと

したがって、自分が有責配偶者で離婚を請求した場合に相手が同意しなければ、まずは別居を続けることが必要になります。

では、どれくらいの期間別居すれば有責配偶者からの離婚請求が認められるのでしょうか。

別居期間が10年を超えていれば長期と認められる可能性が高いものの、夫婦の年齢や同居期間との対比、有責行為の態様・程度、離婚を認めた場合の未成熟子の監護、教育、福祉の状況など他の事情との総合考慮になってくるため、一概に何年とはいえません。

参考に、有責配偶者からの離婚請求が認められなかった事例と認められた事例を挙げます。

それぞれ、別居期間だけでなく他の事情も判断に大きく影響したものと考えられます。

【有責配偶者からの離婚請求が認められなかった事例(最三小判平元年3月28日)】

有責配偶者である夫から離婚請求した事例。夫60歳、妻57歳。

婚姻から26年余同居した後、別居して8年余りになる。裁判所は、「双方の年齢や同居期間を考慮すると、別居期間が相当の長期間に及んでいるものということはできず」離婚請求は認められないと判断した。

【有責配偶者からの離婚請求が認められた事例(東京高判平成26年6月12日)】

有責配偶者である妻から離婚請求した事例。同居9年、別居2年1ヶ月
妻の不貞行為によって婚姻関係が決定的に破綻した。
しかし、最初に離婚を切り出したのは夫であり、妻の人格を否定するような行動をとったために夫婦としての亀裂が急速に拡大していった。
妻が異性と交際するようになったことについては、妻を追い込んだ夫にも相応の原因がある。
6歳と4歳の子供については、妻が働きながら養育監護していくと述べ、実際の養育監護の状況にも特に問題が認められなかった。
これらの事情を総合考慮して、裁判所は有責配偶者からの離婚請求を認めた

相手が離婚に応じやすくなる離婚条件を提示する

最短で離婚を実現するには、自分の希望を100%通そうとするのではなく、相手が離婚に応じやすくなる離婚条件を提示するのがポイントです。

そのような離婚条件を提示するには、「絶対に譲歩できないこと」と「譲歩できること」を決めておく必要があります。

例えば、親権だけは何としても譲れないと考えている場合、金銭面である程度譲歩すると離婚が成立する可能性が高くなります。

具体的には「私が親権者になるのであれば、財産分与は2分の1より少なくてよい」という内容で離婚条件を提示する方法が考えられます。

また、離婚するとなると慰謝料にこだわってしまうケースも少なくありません。

しかし、慰謝料に固執するほど離婚成立は遅くなってしまいます。

仮に離婚裁判になったとしても、離婚慰謝料が認められるのは、不貞行為やDVなど一定の場合に限られています。

しかも、慰謝料が発生する場合でも、想定よりも少額にとどまる場合がほとんどです。

こうした実情を考慮すると、慰謝料請求はしない、もしくは、慰謝料請求するとしても金額面で譲歩した方が、最短での離婚をより実現しやすくなるでしょう。

最短での離婚成立をご希望の方は弁護士へ!

最適な離婚手続きを選択できる

最短での離婚を実現するために重要なのが、「どの離婚手続きを選択するか」という点です。

ご相談者様の抱える事情によって、最短で離婚できる方法は異なります。

弁護士は、過去の裁判例や実務の動向、証拠の内容などを踏まえ、最適な離婚方法をアドバイスします。

迅速な証拠収集が可能になる

最短での離婚、そして有利な条件での離婚を実現するには証拠が非常に重要です。

弁護士は、一般の方には利用できない有力な証拠収集の方法をもっています。それが、弁護士会照会です。

相手の財産が分からない場合、弁護士会照会を活用すれば、金融機関に対し預貯金口座の有無や取引履歴の開示額の照会を行うことができます。

この制度を使えば、自分では調査できないと諦めていた証拠を発見できる可能性があります。

特に離婚調停では、相手方が財産を中々開示しないために財産分与の話し合いが進まないケースが少なくありません。

弁護士が当初から関与していれば、迅速に証拠収集ができるため、財産分与の早期解決が期待できます。

冷静かつ具体的な話し合いが可能になる

協議離婚で早く離婚したいと思っても、夫婦間での感情的対立が激しくなると話し合い自体が困難になります。

そのような場合、弁護士が間に入ることで冷静な話し合いが可能になります。

また、離婚調停でよくあるのが、一方が提示した離婚条件に他方が同意せず、そこから離婚の話し合いが止まってしまうパターンです。

このような場合、弁護士がついていれば、調停が進むような具体的な代案を示します。もちろん、相手が不合理な主張をしてくれば法的根拠に基づいて即座に反論します。

弁護士は、調整と反論のバランスをとりながら、離婚問題全体の早期解決を目指します。

最短での離婚をご希望の方は、ぜひお気軽に弁護士にご相談ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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