岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

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体液をかける行為は何罪で逮捕される?暴行罪・器物損壊罪・わいせつ罪

更新日:
体液をかける行為何罪で逮捕される?
  • 体液をかける行為はどの犯罪で逮捕される?
  • 体液をかける行為で暴行罪や器物損壊罪が成立するのはなぜ?
  • 体液をかける行為で逮捕されたらまず何をすればいい?

面識のない相手に体液をかけ、逮捕されるというニュースを見聞きします。

報道で「体液」と聞くと、一般的に男性の精液をさしている場合が多いです。

体液をかける行為は「暴行罪」や「器物損壊罪」にあたるなどとして検挙されるケースが多いです。

この記事では体液をかける等の犯罪についてお悩みの方に向けて、よくある疑問にお答えしていきます。

逮捕されるか不安な方はいますぐ弁護士に相談しましょう。

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体液をかける行為で成立する犯罪とは?

体液をかける行為は何罪になる?

男性が体液をかける行為をし、逮捕にいたる事件は少なくありません。

しかし体液をかける行為すべてが同じ犯罪に該当するわけではなく、害を被った客体の状態や、加害者の行為などにより違ってきます。

体液をかける行為がどの犯罪名に該当するかは、具体的に以下の基準により変わってくる可能性があります。

何罪になるのかの判断基準

  • 人の身体にかけたのか、もしくは物にかけたのか
  • 身体のどこに体液をかけたのか
  • 物にかけた場合、物の状態はどうなっているのか
  • 行為者(加害者)にわいせつの意図はあったのか

大きな線引きとして、わいせつ罪に該当するケースかそうでないかで、量刑が大きく異なる可能性があります。

わいせつ罪とは、たとえば不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)などです。不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)に該当するには、基本的には、わいせつに対する「故意」が備わっている必要があります。

不同意わいせつ罪の要件を満たさない場合は、その他の犯罪に該当するでしょう。

次章以降では、体液をかける行為で逮捕される事件において、該当しうる各犯罪について詳しく解説します。

具体的には、以下3つの犯罪について解説していきます。

体液をかける行為が問題になる犯罪名

  • 暴行罪(刑法第208条)
  • 器物損壊罪(刑法第261条)
  • 不同意わいせつ罪(刑法第176条)

体液をかける行為が暴行罪に該当する例とは?

人に向かって体液をかける場合、暴行罪が成立し得ます。

暴行罪に該当した場合の刑罰は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

拘留とは、1日以上30日未満、刑事施設に収容することをいいます。科料とは1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する財産刑です。

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法208条
岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

体液をかける行為は、人に怪我をさせるような暴力ではないですが、暴行罪が成立し得ます。

暴行罪にいう「暴行」の定義は、「人の身体に向けられた不法な有形力(ないし物理力)の行使」とされています。

判例では、人に水をかける、人に塩を振りかける行為について、暴行罪の成立を認めています。

同じように体液をかけた場合も暴行罪が成立し得るわけです。

体液をかける行為が器物損壊罪に該当する例とは?

体液をかける行為は器物損壊罪になることもあります。

器物損壊罪は、財産犯のひとつです。

客体が「物」ですので、たとえば体液をかけた場所が被害者のかばんや靴などだった場合、器物損壊罪が成立しうるといえます。

刑罰は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する

刑法261条
岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

「損壊」と聞くと、かばんや靴が「壊れた」場合のみに成立するとお考えの方もいるかもしれません。

しかし、器物損壊は、物理的な損壊に限定されていません。

体液をかける事件について言えば、被害者の方は体液のかかった鞄等について、通常「今後使用したくない」と考えるのが通常なのではないでしょうか。

実は、器物損壊の「損壊」には、そのような心理的に物の効用を害する一切の行為が含まれるのです。

判例では、食器に放尿した事案で器物損壊罪が認められています。

体液をかける行為が不同意わいせつ罪に該当する例とは?

体液をかける行為は不同意わいせつ罪にもなり得ます。

体液をかける行為がわいせつ罪に該当するには、「わいせつな性的意図」があったかどうかなどが要件となります。

不同意わいせつ罪の刑罰は6か月以上10年以下の懲役です。不同意わいせつ罪には罰金刑は定められておらず、上記2つの刑罰に比べ非常に重たいです。

(不同意わいせつ)第百七十六条 

1 次に掲げる行為又は事由(略)により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

 一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
 二 (略)
 
2 (略)

3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

刑法176条

旧法の「強制わいせつ罪」とは?

令和5年7月12日以前は、不同意わいせつ罪ではなく「強制わいせつ罪」が成立します。

強制わいせつ罪の刑罰は6か月以上10年以下の懲役です。

強制わいせつ罪についても罰金刑は定められておらず、暴行罪や器物損壊罪などの刑罰よりも重い刑罰となっています。

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

刑法176条

強制わいせつ罪についても、不同意わいせつ罪の場合でも「わいせつな性的意図」の有無は問題になります。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

わいせつな行為は、「その行為が犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図のもとにおこなわれること」を要するものと解釈されてきました。

そして、わいせつな行為といえるためには、性的な意味合いがあるか、その程度はどのくらいかを具体的事実にもとづいて判断することとされています(平成29年11月29日最高裁大法廷判決刑集71-9-467)。

社会的にみて、「性的な意味があるかどうか」が重要になります。

体液をかける人の主観も「性的な意味があるかどうか」の考慮要素の一つになります。そのため、性的な意図をもっていたのであれば、強制わいせつ罪は成立しやすいといえるでしょう。

ですが、仮に「性的な意図がない」と言い訳をした場合でも、社会的にみて「性的な意味」が強いのであれば、強制わいせつ罪が成立するでしょう。

不同意わいせつ罪に罪名が変わった後も、同様の解釈がされるものでしょう。

体液をかける行為で逮捕されるには「故意」が必要?

ところで、犯罪の成立には、基本的に「故意」が要件となります。

この点、「体液を振りまいたらたまたま人に当たってしまっただけで故意はなく、犯罪は成立しない」といった言い訳を考える方もいるかもしれませんが、現実的にこの言い訳が通る可能性は著しく低いでしょう。

電車内で人や物に対し体液をかけようと意図していなくとも、仮に「体液を出したら近くの人や物にあたるかもしれない」という認識があれば、未必の故意があるとして処罰の対象になります。

体液をかける行為で逮捕されたら?

体液をかける行為で逮捕される流れとは?

逮捕には、大きく分けて2種類あります。現行犯逮捕と、通常逮捕(後日逮捕)です。

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

現行犯逮捕というのは、犯行中に警察や私人に逮捕されることです。犯行中の逮捕であることから、基本的には、犯人であることに相違ないと考えられます。そのため、現行犯逮捕には、逮捕状は必要なく、その場ですぐに逮捕されてしまいます。

体液をかける行為でよくあるケースは、例えば電車内で犯罪行為に及び、被害者や目撃者に取り押さえられ、駅員室に連れていかれた後で通報を受けた警察官に連行されるというものです。

一方、通常逮捕(後日逮捕)は、捜査機関から裁判所に逮捕状の請求がされ、後日警察官などの捜査機関が自宅などを訪れ逮捕を行うという手続きです。

体液をかける行為でも通常逮捕をされる可能性はあります。被害者から提出された被害届などによって警察は事件を認知します。その後は防犯カメラの映像や改札の入出場の記録などを捜査し、身柄の特定に努めるのです。

犯行現場から逃亡したので事件化することはないとお考えの方もいますが、実務上、そんなことはありません。早急に弁護士に相談するべきと言えるでしょう。

体液をかける行為で逮捕された後の流れとは?

現行犯逮捕であっても、後日逮捕であっても、逮捕された後は、警察署に連行されて留置場に収監されます。

逮捕された後、勾留までされると、起訴・不起訴の判断が下るまで最大23日間ものあいだ、身柄拘束が続きます。

逮捕の流れ

逮捕・勾留は「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われます。

この点、弁護士に依頼すれば、早期釈放の可能性が高まります。

弁護士は捜査機関に対して、効果的に「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」がないことを主張できます。

加害者本人が捜査機関に「逃亡・証拠隠滅のおそれはない」と主張しても、基本的に信じてはくれません。

第三者である弁護士が客観的な事実を元に主張することではじめて、逮捕の回避や早期釈放の可能性を高めることができるのです。

体液をかける行為について弁護士に相談すべき?弁護士窓口は?

まずは弁護士に相談するべき?弁護士相談のメリットは?

体液をかける行為で警察沙汰になるか不安な方やすでに捜査を受けてしまっている方はいますぐ弁護士に相談しましょう。

これまでお話ししたように、体液をかける行為とひとくちにいっても事例は様々です。

体液をかける行為に限りませんが、刑事事件は個別具体的に判断されますし、それぞれの事件で対策が異なります。そのため、弁護士への個別相談は重要です。

弁護士への相談が早ければ早いほど、その時点でとれる対策も沢山あります。

弁護士に依頼すれば被害者と示談を進めてくれたり、捜査機関に掛け合ってくれたりと、逮捕の回避や刑罰の軽減のための弁護活動をしてくれるメリットがあります。

岡野タケシ弁護士
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特に逮捕の回避、早期釈放の可能性を高められるというのは非常に大きなメリットです。

刑事事件において身体拘束の有無はその後の社会生活への復帰という点で大きな影響を及ぼす要素です。

逮捕されず在宅事件になれば、職場に事件のことを知られずに済むかもしれません。

仕事への影響を最低限に抑えたい方は弁護士にいますぐ相談してください。

弁護士に依頼すれば、前科が付くのを回避できる?

弁護士に依頼すると、前科を回避できる可能性が高まります。

体液をかける犯罪について検挙されたあと、基本的には、検察官によって起訴・不起訴の判断が下されることになります。

起訴というのは裁判の開廷を提起する手続きのことです。実務では、原則として、起訴されると必ず刑事裁判になります。そして、刑事裁判の有罪率については、統計上、99.9%の割合で有罪判決が下されています。

不起訴というのは事件終了とする手続きのことです。不起訴で事件が終了すれば、前科はつきません。

前科を回避するためには、検察官の起訴するタイミングより前から弁護活動をする必要があります。

不起訴を獲得するには、被害者との示談を締結する方法が考えられます。被害者との示談交渉では、事実上、弁護士への依頼が必須です。

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示談をするには、被害者と連絡をとることが前提になります。ですが、捜査機関は、加害者本人には被害者の連絡先を教えてくれないことがほとんどです。とくに性的犯罪ではその傾向が顕著です。

ですが、弁護士がついている場合は、「加害者には連絡先を教えない。被害者に連絡するときは必ず弁護士から連絡を入れる。」という条件で、連絡先を教えてくれることも多いです。

被害者の連絡先が分からなければ、示談交渉を進めることができないので、その点でも弁護士に早期に弁護活動を依頼するメリットがあるといえるでしょう。

体液をかける行為について弁護士に無料相談できる窓口は?

体液をかける行為で前科を回避したい方は、まずは弁護士に相談してみましょう。

アトム法律事務所では警察が介入した事件について初回30分無料の対面相談を実施しています。

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