労災事故は労災に強い弁護士に相談!労災の無料相談・電話相談先も紹介 | アトム法律事務所弁護士法人

労災事故は労災に強い弁護士に相談!労災の無料相談・電話相談先も紹介

更新日:

労災は弁護士に相談

労災について相談したいといっても、その相談内容には個人差があります。

  • 労災保険の手続きが知りたい
  • 労災保険から給付を受けたい
  • 労災事故で家族が亡くなった…会社に責任を追及したい

相談窓口を上手に使い分けることで、それらの疑問がすぐに解決できる可能性が高まります。

この記事では労災事故の相談先のほか、弁護士に相談すべき労災事故があること弁護士に相談・依頼するメリットや、労災事故に強い弁護士の特徴を解説しています。

労災事故で相談先を探している方のなかでも、とくに弁護士相談を検討している方は必見です。

労働災害の相談先|無料相談や電話相談窓口もあり

労働災害が起こったときには公的機関や法律の専門家である弁護士など様々な相談窓口があります。

本記事では、労災保険相談ダイヤル労働基準監督署弁護士(法律事務所)の3つを紹介します。無料相談を受け付けていたり、電話相談窓口があったりするので、希望の相談方法に対応する窓口を探してみてください。

たとえば、労災保険の手続きについて今すぐ相談したいという場合には、労災保険相談ダイヤルという電話相談が利用できます。

一方で、労災認定を受けて労災保険から給付を受けたいという場合には、実際に労災かどうかを判断して給付業務をおこなってくれる労働基準監督署に相談すべきです。

あるいは労災事故で会社の問題を追及したいという場合には、あなたの代理人となって権利保護・回復をおこなってくれる弁護士への相談が望ましいといえます。

労災保険相談ダイヤル(厚生労働省)

厚生労働省による労災保険相談ダイヤルでは、労災保険の請求・手続きの方法、うつ病や過労死が労災になるのはどんな場合かなど、労働者・事業主両方から相談を受け付けています。

相談先電話番号受付時間
労災保険相談ダイヤル0580-006031(月~金)9:00~17:00

※ナビダイヤル通話料は自己負担/土・日・祝日、年末年始はお休み

労災保険制度に関する一般的な内容について相談を受け付けています。ただし、労災に該当するかどうかを判断する機関ではありません。

労働基準監督署(労災の調査・判断)

労働基準監督署は、事業者と労働者の間で発生する様々なトラブルについて一定の役割と権限を有する機関です。

たとえば、業務中や通勤中のケガ・死亡事故などの発生報告を受けると、労働基準監督署がその内容を調査して、労災保険に基づく給付をおこなうことも業務のひとつです。

そのため労災申請用紙の書き方が分からないということであれば、実際に労基署で用紙を見ながら教えてもらう方が早く解決できる可能性があります。

労災保険から給付される内容についてよくわからない、勤め先が労災隠しをしようとして申請に協力してくれないといったケースについても、請求の手続き方法を含めて相談できるでしょう。

最寄りの労働基準監督署を調べたい方は、厚生労働省内のホームページ「全国労働基準監督署の所在案内」をご覧ください。

なお、労災については勤め先の担当部署が対応をしてくれることも多いです。まずは勤め先で相談してみることも有効といえます。

弁護士(法律事務所)

労災保険の仕組みや手続きについては公的機関への相談で事足りるのですが、トラブルが起こったとき、労働者の権利保護を最優先として代理人となって活動できるのは弁護士です。

相談を受けて実際に請求を代理できるのは弁護士

労基署は相談には乗ってくれますが、弁護士のように労働者の代理人として行動を起こせるわけではありません。

たとえば、労災認定がなされず困っているという相談の場合には、労基署に相談してもなかなか話が前に進まない可能性があります。なぜなら労基署が「労災に当たらない」と判断しているからです。

どうすれば労災認定される可能性があるのか、労働者と同じ立場に立って不服申し立てなどのサポートをできるのは弁護士です。

また、労災保険から給付される内容は必ずしも十分とは言い切れません。たとえば、労災による怪我で痛い思いをしたり、入院・通院を余儀なくされて辛い体験をするなど、被災者は精神的苦痛にさらされます。

そんな精神的苦痛を補償する「慰謝料」は、労災保険の給付に含まれていません。会社側に落ち度があって労災が起こったときには慰謝料の請求が認められる可能性があり、その請求を任せられるのも弁護士になります。

労災事故を弁護士に依頼するメリット

労働災害を弁護士に依頼した場合には、次のようなメリットがあります。

弁護士に依頼するメリット

  1. 労災認定・不服申し立てのサポートが受けられる
  2. 労災保険外の補償について適切な交渉が目指せる
  3. 会社側との交渉ストレスから解放される

弁護士に依頼する3つのメリットについてみていきましょう。

労災認定のサポートが受けられる

労働災害として認定されれば、労災保険からの給付を受けられます。しかし、そもそも労働災害として認定されなければ補償を受けることはできません。

労働災害とは、業務上において労働者に生じたケガ、疾病、障害、死亡などをさします。そのため、業務によってその災害が引き起こされたことを立証しなくてはなりません。

業務と損害発生の因果関係を証明しやすいものもあれば、因果関係の証明がしづらく、また賠償金も多額になる重大事故ではトラブルに発展するケースもあるのです。

たとえば、過重労働や業務上のストレスによる過労死においては、業務と死亡の因果関係を丁寧に調べ、労災発生までの経過を丁寧にたどり、立証しなくてはいけません。

これまでにも長時間労働をしていた労働者が心臓の病を起こして急死したり、脳血管障害で深刻な後遺症が残ってしまったりして、裁判で争われてきた判例は多数あります。

裁判結果や法令にくわしい弁護士から集めるべき証拠や交渉のコツなどを聞いて、場合によっては対応を弁護士に任せることも検討しましょう。

労働災害とはどういうものか、あるいは過労死に関して弁護士に相談を考えている方は関連記事をお読みください。

労働災害に認定されない場合の対処法

業務災害として認められない場合には不服申し立てができます。具体的には、労働保険審査官への審査請求や、労働保険審査会への再審査請求という手続きです。

もしそれでも結果が変わらない場合には、行政訴訟を起こす必要も出てきます。こうなると決着まで長期化する恐れもあり、お一人で対処するのは難しくなるでしょう。早い段階で弁護士にアドバイスを受けたり、見通しを聞いておくことをおすすめします。

不服申し立ての種類や手段について詳しく知りたい方は『労災の不支給決定や支給内容に納得できない場合は不服申立てができる』の記事をご覧ください。

労災保険外の補償額について適切な交渉が目指せる

会社側は労働災害が起こったとき、労働基準法に基づく補償責任を負います。しかし、労働基準法上の責任は労災保険の保険給付が行われることで免れるのです。

一方で、会社側の安全配慮義務違反や不法行為責任が認められる場合には、被災者は会社に対して民事上の損害賠償請求が可能になります。

しかし、民事上の責任を問う場合には労災発生に対する責任の度合いに注意が必要です。

被災者のミスで労災が発生したとしても、労災保険の給付内容には影響しません。しかし、民事上の損害賠償となると、会社側と被災者両方が、労災への過失割合をどれくらいもつかが争点です。被災者にも一定の過失がある場合、その割合に応じて減額されます。

弁護士に依頼すべき理由は、不当な過失割合で終わらせないことです。被災者の過失割合が高いほど、会社は支払額を低くできるので、双方で争いやすいポイントになります。

弁護士は、これまでの事例に基づいた交渉が可能です。会社側の提示する被災者側過失割合が不当であれば交渉するので、適切な過失割合で決着できる可能性が高まります。

会社に対して被災者が請求できる金銭の一例です。

会社に請求できる金銭例

  • 後遺障害逸失利益・死亡逸失利益
  • 休業損害
  • 慰謝料

それぞれについてみていきましょう。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、労働災害による後遺障害が原因で、本来の生涯収入が減収したという損害のことです。後遺障害逸失利益の金額は、被災者の年収、年齢、認定された後遺障害等級によって算定できます。

ただし、労災保険から支払われる障害(補償)給付との調整が図られる点には注意しておきましょう。

先に労災保険から障害(補償)給付が支払われている場合、民事上の損害賠償で受けとれる逸失利益は、その時点まで労災から受けていた給付を控除した金額になります。

逆に、先に相手方から損害賠償として後遺障害逸失利益を受け取っていた場合には、労災保険から障害(補償)給付を受け取るまでに、最長7年の待期期間が生じる点に留意しておきましょう。

労災との兼ね合いも含めて、どれくらいの金額が目安になるのかは弁護士に尋ねてみてください。

なお、逸失利益の計算方法の仕組み上、重い後遺障害等級認定を受けた人、若い人、年収の高い人は高額になる傾向にあります。

関連記事では後遺障害逸失利益の計算方法や職業ごとの相場パターンを解説しているので、参考にしてみてください。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、労災によって死亡してしまったことで、本来の生涯収入が失われたことへの補償となります。

死亡逸失利益の金額は、被災者の年収や年齢をもとにして算定したうえで、不要となった生活費分を控除する仕組みです。生活費の控除については、性別・年齢で控除される割合が異なります。

死亡逸失利益についても、遺族(補償)給付との間に調整が図られる点に注意しておきましょう。

休業補償

労働災害によって働くことが出来ない被災者には労災保険から休業(補償)給付が支払われます。しかし、労災保険からの休業(補償)給付は全額支払が前提とはなっていません。

まず、労働災害保険から休業(補償)給付が支払われるのは、休業して通算4日目以降です。給付内容は特別支給金をあわせても、事故前収入の80%にとどまります。

労災発生3日目までは会社が補償するものです。しかし、通勤災害については会社が補償することにはなっておらず、業務災害に限られています。

業務災害における休業補償

給付事故前収入に対する給付の割合
労災:休業(補償)給付60%
労災:休業特別支給金20%
会社に請求する休業補償40%(100%-60%)

4日目以降は、労災保険から事実上80%が支給されます。そのうちの20%にあたる休業特別支給金は労働福祉事業の一環です。

通常、労災保険から給付される内容と、会社に対する損害賠償請求(休業補償)の二重取りはできずに控除されます。しかし、休業特別支給金については控除の対象とならないのです。

そのため休業(補償)給付の不足分40%を会社に請求でき、最大で休業への補償として120%請求できる可能性があります。

ただし、労働災害に対する会社側の責任をめぐって会社側との交渉が必要です。労働災害の問題を取り扱った実績の多い弁護士に相談して、適切なアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。

慰謝料

慰謝料は精神的苦痛に対する補償であり、労災保険からの給付に含まれていません。請求できる慰謝料は3つあります。

労災の3つの慰謝料

  1. 入通院慰謝料
  2. 後遺障害慰謝料
  3. 死亡慰謝料

入通院慰謝料は入院・通院の期間、後遺障害慰謝料は後遺障害等級、死亡慰謝料は被災者の立場に応じて相場があり、その相場に近づくような交渉が必要です。

しかし、過去の裁判結果を反映した十分な金額を会社側がいきなり提示してくれるとは限りません。受けとれるはずの金額をもらい損ねていないか、本当はどれくらいもらえるのか、会社側との交渉にあたっては弁護士に相場をたずねてみましょう。

なお、慰謝料の金額相場や請求方法については『労災事故の慰謝料相場と計算方法!仕事中の怪我で損害賠償請求する流れ』の記事でも解説中です。

慰謝料の請求を検討している方は、あわせてお読みください。

会社側との交渉ストレスから解放される

会社側と交渉することを「揉め事」と捉えて避ける人もいます。顔見知りがいたりお世話になった人がいるなど、心情的にお辛い部分もあるでしょう。しかし、被災者にとって今後の生活で不利益を被らないためにもきちんと賠償を受けるべきです。

弁護士に依頼すれば、会社と直接接触する機会を最小限にできます。弁護士が被災者の代わりに連絡を一手に引き受けますので、安心してください。社会復帰やリハビリ・療養など、次のステップに集中していきましょう。

労災に強い弁護士の特徴と探し方

労災に強い弁護士かどうかを見極めるポイントとしては主に、「労働者側の弁護士であること」「後遺障害認定について詳しい弁護士であること」「労災問題に積極的に取り組んでいる弁護士であること」かどうかを確認しましょう。

労災に強い弁護士の特徴

  • 労働者側の弁護士であること
  • 後遺障害認定について詳しい弁護士であること
  • 労災問題に積極的に取り組む弁護士であること

それぞれのポイントを詳しくみていきます。

また、実際に相談する弁護士を探す方法もいくつか紹介するので参考にしてみてください。

労働者側の弁護士であること

労災問題をあつかっている弁護士といっても、「会社側の弁護士」なのか「労働者側の弁護士」なのかで意味合いが大きく異なります。

労働者が労災の被害を受けて、安全配慮義務違反などがあった会社に損害賠償請求したい場合は、労働者側の弁護士を選ぶ必要があるのです。

労働者側の弁護士であれば、適正な損害賠償請求額はいくらなのか、労災保険から給付されないからこそ相手に請求すべきものは何かなど、労災保険と損害賠償請求の関係性をしっかりと理解して適切な損害賠償請求をおこなえます。

損害賠償請求の交渉を任せられる

また、会社に対して損害賠償請求する場合、労働者という立場からお一人で対応するのはむずかしいと感じると思います。

弁護士を代理人として、会社とのやり取りを任せてしまえばストレスから解放されるでしょう。

労働災害の交渉ノウハウを多く持つ弁護士であれば、示談交渉の見通し、交渉が決裂した場合の裁判への移行などもスムーズです。

実務経験にもとづいて柔軟な対応ができるので、安心して任せることができます。

後遺障害認定について詳しい弁護士であること

労災のなかでも死亡したり障害が残ったりしたケースでは、損害賠償の金額が高額になる可能性があります。とくに障害が残ったケースでは、後遺障害等級に認定されるかどうかで最終的に手にできる補償の金額に大きな影響を与えるでしょう。

障害の程度に見合った適切な後遺障害等級の認定を得るためには、後遺障害認定について詳しい弁護士であればサポートすることができるでしょう。

労災問題を積極的に取り組む弁護士であること

弁護士は法律の専門家ではありますが、法律問題は多岐にわたります。そのため、弁護士はそれぞれ得意とする分野に注力して活動していることが多いです。

労災問題に関するお悩みは、労災問題を積極的に取り組んでいる弁護士に相談や依頼を行ってください。

労災問題を積極的に取り組んでいる弁護士であるかどうかは、次のような点に注目してみるとみえてきます。

注目ポイント

  • 弁護士のプロフィール
  • ホームページに掲載されている解決実績
  • 労災事故に関する特設サイトの設置
  • 労災問題の発信やコラム執筆などの活動

もっとも弁護士との相性も大事なので、実際に法律相談してアドバイスを受けてみるのもおすすめです。

労災に強い弁護士の探し方

労災に力を入れている弁護士を探す方法としては、インターネット検索、法律相談会の活用、弁護士会の弁護士照会制度などがあります。

インターネット検索

インターネット検索は、労災に強い弁護士を見つける最も一般的な方法です。弁護士のホームページやブログなどを検索することで、それぞれの弁護士の専門分野や実績を知ることができます。

また、ご自身の希望する相談料金や相談方法に対応しているかどうかもポイントです。できれば最初は無料相談がいい、電話相談がいいなどの希望に対応している法律事務所を探すようにしましょう。

インターネット検索のポイント

  • 「労災 弁護士」などのキーワードで検索する
  • 弁護士のホームページやブログを確認し、労災に関する記事やコラムなどをチェックする
  • 複数の弁護士を比較検討する
  • 法律相談料や法律相談の方法も事前に確かめる

法律相談会の活用

各地の弁護士会や法テラスでは、無料で法律相談を受けられる法律相談会を開催しています。法律相談会では、弁護士に直接相談することができますので、自分の問題に合った弁護士を見つけることができます。

法律相談会を活用する際のポイント

  • 事前に予約が必要な場合が多いので、事前に予約する
  • 相談時間は限られているので、事前に相談したい内容をメモしておく
  • 複数の法律相談会に参加してみる

弁護士会の弁護士紹介制度

各弁護士会には弁護士紹介制度という制度があります。この制度を利用すると、希望する条件に合致する弁護士を紹介を受けることが可能です。

ただし弁護士照会制度で紹介できる弁護士のジャンルや法的トラブルの領域が限られていることもあり、労災事故の問題について常に弁護士紹介を受けられるとは限りません。

労災事故の弁護士相談・依頼に関する疑問にお答え

Q1.弁護士に相談すべき労災事故とは?

労災保険から給付を受けるだけでなく、会社側に労災の責任を問いたいという場合には弁護士への相談・依頼が望ましいでしょう。

労働災害では、労災保険からの給付とは別に民事上の賠償責任を問える場合があります。もっとも安全配慮義務違反や不法行為責任を根拠とするため、すべての労災事故で会社に損害賠償請求できるわけではありません。

会社に対する損害賠償請求の法的根拠である安全配慮義務違反と不法行為責任について説明します。

安全配慮義務違反

使用者には、使用者の指示に従って労務を提供する労働者の安全を守る義務があります。

労働災害が起こった原因が会社にあるとき、安全配慮義務違反を問う損害賠償請求が可能です。安全配慮義務違反は労働契約法に基づいています。

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

労働契約法第五条 労働者の安全への配慮

最高裁判所の判例としてよく知られる「川義事件」があります。

川義事件は、宝石販売会社の宿直勤務をしていた被災者が、物取り目的の強盗殺人事件にあってしまった事件です。被災者の両親が会社に対して安全配慮義務違反を問う損害賠償請求を起こしました。

最高裁は、次の点において会社の安全配慮義務違反を認定しました。

  • 不審者の存在を知りながら防犯チェーンなどの物的設備を整えなかった
  • 休日や夜間の宿直を増員しなかった
  • 盗難などの予見できる危険に対する安全教育が行われていなかった

このように、労働災害において会社側の責任が認められるケースは数多く存在します。

会社側の安全配慮義務違反が認められるケースをもっと知りたい方は『安全配慮義務違反で慰謝料を損害賠償請求できるか?会社を訴えられるケース』の記事をご覧ください。

不法行為責任

不法行為責任は、一般不法行為責任使用者責任に分かれます。

まず、一般不法行為責任についてみていきましょう。一般不法行為責任は、民法709条に規定されています。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第七百九条 不法行為による損害賠償

一般不法行為責任の争点は、労災発生が会社側の故意または過失によるものかということです。過失とは、災害や傷病の発生が予見できるのに回避を怠ったことをさします。被災者側は、会社側の故意または過失を主張・立証しなくてはなりません。

使用者責任は、民法715条に基づきます。

ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

民法第七百十五条 使用者等の責任

一般不法行為責任を問われた労働者を雇っている使用者に対しても責任を問えるというものです。

関連記事では、労災で損害賠償請求できるケースや、労災給付と損害賠償金の関連について解説しています。労災保険の給付だけでは不十分だと感じている方は、関連記事を参考にしてください。

Q2.弁護士に依頼する費用はいくらになる?

弁護士に依頼する場合に気になるのが、弁護士費用がいくらになるのかということです。
弁護士費用の一般的な内容は、相談料・着手金・成功報酬金・日当・実費などの合計になります。

着手金は契約しただけで発生し、契約を解除しても原則として返金されないことに注意してください。

実費に関しては、実際に発生した金額を後で支払う、契約の時点で実費としていくらか渡し、契約終了の時点で精算を行うなどの方法が考えられます。

費用内容ごとのおおよその金額は以下の通りです。

弁護士費用の相場(一例)

名称金額
相談料30分5,500円程度~
相談料が無料の場合もある
着手金11万~33万円程度
着手金ゼロの完全報酬型の場合もある
成功報酬金取得した利益の11~22%程度
完全報酬型だと割合が大きい
日当出廷1回につき1.1万~3.3万円程度など
実費実際に発生した金額

これらはあくまで目安ですので、法律相談の予約の際や、契約前の段階で必ず確認を取るようにしてください。

相談料や着手金が無料であれば、依頼を行う時点では金銭的な負担が生じません。すぐに弁護士費用を用意することがむずかしい方は、まず無料相談を受けてみるべきでしょう。

関連記事『労災に関する弁護士費用はどのくらい必要?相場や弁護士費用特約を解説』では、弁護士費用の内訳についてさらに深掘り解説しています。あわせてご確認ください。

Q3.無料相談を行う弁護士はいる?

労災問題に関して無料相談を行う弁護士はいます無料相談の範囲は弁護士によって異なるので、相談前にしっかりと確認しておくことが大切です。

具体的には、初回だけ無料相談だったり、無料で相談できる枠を30分~60分程度で制限していたりするケースが多くなります。

制限時間を超えたり、2回目以降の相談となったりすると有料相談で対応してもらえる可能性もありますが、対応できるかどうかは各弁護士の判断次第です。

また、各弁護士会で無料の相談会を行っている場合もあります。相談会を実施しているか、お近くの弁護士会にお尋ねください。

アトムの弁護士による法律相談の窓口|無料相談受付中

労災によってご家族を亡くされたり重い後遺障害を負われたりして、会社などに対して損害賠償請求を検討されている場合は、アトム法律事務所の無料法律相談をご活用ください。

相談の予約受付は電話やLINEにて24時間体制で実施中です。

無料法律相談ご希望される方はこちら

労災手続のみのご相談など、お取り扱いできない事案もありますので
詳しくは受付にご確認ください。

アトム法律事務所 岡野武志弁護士

労働災害が起こったとき、その内容次第で弁護士に相談するメリットは非常に大きくなるでしょう。労災発生の原因次第では、労災保険からの保険給付にとどまらず、民事上の損害賠償請求も検討すべきです。

事案によっては会社に対して損害賠償請求するべき案件もあるので、弁護士に見解を尋ねてみることから始めませんか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了