労災事故で慰謝料を請求できる?相場額は?仕事中の怪我による精神的苦痛
労災によって労働者が負傷した場合には、労災保険からさまざまな給付を受けることができます。
しかし、慰謝料は労災保険の給付内容に含まれていないので、労災保険給付を受けているだけでは手にすることができません。慰謝料の請求は労災保険給付とは別の方法で行う必要があるのです。
具体的には、労災の発生原因が会社の安全配慮義務違反や第三者の故意や過失による行為である場合には「会社や第三者」に対して慰謝料を請求することができます。
本記事では、労災が発生した場合、会社や第三者に対して慰謝料を請求する方法について紹介しています。
労災保険の給付だけでは、本来得られるお金すべてを得ることはできないので、労災にあった労働者の方は是非本記事を確認し、誰に慰謝料の請求を行うべきなのかを知ってください。
目次
労災保険を利用しても慰謝料は請求できない
慰謝料は労災保険給付の対象外です。だからといって、労災で慰謝料の請求を諦める必要はありません。
労災の発生原因に会社の安全配慮義務違反や第三者の故意や過失による行為が認められる場合には、会社や第三者に対して慰謝料を請求することができます。
まずは、労災保険で請求できる内容をおさえてから、慰謝料を実際に請求する方法について確認していきましょう。
労災保険で請求できる内容
労災によって労働者が怪我や疾病を負った場合には、労災保険の給付を受けることができます。
しかし、慰謝料は労災保険による給付の対象ではありません。
労災保険によって給付される内容は、以下の通りです。
- 療養補償給付
労災によって傷病が生じたため、療養のために必要な費用を給付 - 休業補償給付
労災による傷病の療養をするために仕事ができず、賃金を得られないという損害に対する給付 - 障害補償給付
労災による傷病が完治せずに後遺症が残った場合に給付される一時金や年金 - 遺族補償給付
労災により労働者が死亡した場合に、遺族が受け取ることができる一時金や年金 - 葬祭料給付
労災により死亡した労働者の葬祭を行うために支給される - 傷病補償年金
労災による傷病が療養開始後1年6ヶ月を経過しても完治せず、傷病の内容が傷病等級に該当する場合に給付される - 介護給付
障害年金や傷病補償年金の受給者であり、症状が重く現に介護を受けている人に対する給付
このとおり、労災保険による給付のなかに慰謝料は含まれません。
そもそも、慰謝料とは「労働者が労災によって怪我や後遺障害を負ったり、死亡したりしたことの精神的苦痛を金銭化したもの」です。
労災保険は、治療のために実際にかかった費用や、怪我により仕事ができなくなったことで生じる不利益に対する穴埋めのために金銭的な給付を行っているので、慰謝料の支払いはなされません。
そのため、労災が起こった際に慰謝料を請求したい場合には、労災保険の給付請求とは別の手段をとる必要があります。
労災が起きた際に慰謝料を請求する方法
労災が発生した際に慰謝料を請求するのであれば、会社や第三者に対する請求を行う必要があります。
しかし、労災が発生した場合に、会社や第三者に対して慰謝料を必ず請求できるとは限りません。
そのため、どのようなケースでどのような理由から会社や第三者に対して慰謝料の請求が可能となるのかを紹介します。
会社への請求
会社には、雇用している労働者に対して、労働者の生命や身体に損害が生じないように労働環境を整えるよう配慮するという安全配慮義務があります。
具体的には、労働者が怪我をしないよう職場の安全設備を整える、疲労が蓄積しないように労働時間をコントロールできる体制を整えるといったものです。
そのため、労災の発生原因が会社の安全配慮義務違反による場合には、会社に契約違反があるとして慰謝料の請求を行うことが可能となります。
会社の安全配慮義務違反については、関連記事『安全配慮義務違反で慰謝料を損害賠償請求できるか?会社を訴えられるケース』でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
第三者への請求
労災が第三者の故意や過失による行為を原因としている場合には、第三者に対して不法行為にもとづく損害賠償請求を行うことが可能です。
具体的には、通勤途中に交通事故にあった場合の加害者や、仕事中に同僚が機械操作を間違えて怪我をした場合の同僚に対してとなります。
そもそもどのような場合に労災といえるのか
労災とは、仕事中や通勤途中に労働者が負傷・疾病・死亡などの被害を受けることをいいます。
労災には、仕事中に発生する「業務災害」と、通勤中に発生する「通勤災害」があります。
業務災害とは以下のようなものをいいます。
- 現場作業中に足場が崩れて怪我をした
- 接客中にお客から暴行を受けた
- 長時間労働が原因でうつ病となった
また、通勤災害とは以下のようなものです。
- 通勤途中に強風で倒れた看板に当たった
- 本業が終了して副業を行うために職場へ向かっている途中に殴られた
労災保険給付においては、業務災害と通勤災害で請求する際に提出する書類が異なってくる点に注意が必要です。
業務災害や通勤災害について詳しく知りたい方は、以下の関連記事で確認できます。
慰謝料の相場額を紹介
労災で請求できる慰謝料には、ある程度決められた適正な相場というものが存在しています。
慰謝料には種類が3つあり、種類ごとにそれぞれ適正な相場が決まっています。
慰謝料は3種類ある
労働者が請求できる慰謝料は3種類あり、慰謝料の内容と請求できる条件は以下の通りです。
- 入通院慰謝料
怪我の治療をするために入院や通院を行ったことで生じる慰謝料
- 後遺障害慰謝料
労働者に後遺症が残り、後遺症の症状が後遺障害に該当する場合に生じる慰謝料
- 死亡慰謝料
労働者が死亡した場合に生じる慰謝料
死亡慰謝料は、労働者の相続人となった遺族が請求可能となります。
慰謝料相場額を種類ごとに紹介
慰謝料相場額を入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料ごとにみていきたいと思います。
入通院慰謝料の相場額
入通院慰謝料の相場額は、入院期間や通院期間によって決まります。
具体的には、以下の計算表から算出してください。
0月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
0月 | 0 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 |
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 |
5月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 |
7月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 |
8月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 |
9月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 |
10月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 |
11月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 296 |
12月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 298 |
※単位は万円
※縦のラインが通院期間、横のラインが入院期間
たとえば、入院期間が2ヶ月通院期間が4ヶ月とした場合には、入通院慰謝料は165万円となります。
ただし、怪我の内容がむちうちや、軽い打撲や挫傷などの軽傷である場合には、以下の計算表を利用してください。
0月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
0月 | 0 | 25 | 66 | 92 | 116 | 135 | 152 |
1月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 | 160 |
2月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 | 166 |
3月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 | 172 |
4月 | 67 | 95 | 119 | 136 | 152 | 165 | 176 |
5月 | 79 | 105 | 127 | 142 | 158 | 169 | 180 |
6月 | 89 | 113 | 133 | 148 | 162 | 173 | 182 |
7月 | 97 | 119 | 139 | 152 | 166 | 175 | 183 |
8月 | 103 | 125 | 143 | 156 | 168 | 176 | 184 |
9月 | 109 | 129 | 147 | 158 | 169 | 177 | 185 |
10月 | 113 | 133 | 149 | 159 | 170 | 178 | 186 |
11月 | 117 | 135 | 150 | 160 | 171 | 179 | 187 |
12月 | 119 | 136 | 151 | 161 | 172 | 180 | 188 |
※単位は万円
※縦のラインが通院期間、横のラインが入院期間
1ヶ月を30日として、端数が生じた場合には日割りで計算を行います。
たとえば、重傷といえるケガを負い、入院期間が30日(1ヶ月)、通院期間が40日(1ヶ月と10日)の場合は以下のように計算してください。
77万円:入院1ヶ月、通院1ヶ月+(98万円:入院1ヶ月、通院2ヶ月-77万円)×10/30=84万円
後遺障害慰謝料の相場額
労働者に生じた後遺症の症状が後遺障害に該当すると判断された場合に請求が可能です。
後遺障害に該当する場合には、障害の程度に応じて等級が認定されます。
後遺障害慰謝料の相場額は認定された等級に応じて異なり、具体的には以下の通りです。
等級 | 慰謝料相場額 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害と認定されるまでに治療がなされているので、入通院慰謝料の請求も行うことが可能です。
死亡慰謝料の相場額
死亡慰謝料の相場額は、労働者の家庭における立場により異なり、具体的には以下の通りです。
労働者の立場 | 相場額 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万円 |
母親・配偶者 | 2500万円 |
その他の立場 | 2000万円~2500万円 |
労働者の収入で家庭の生計が成り立っていたといえる場合には、一家の支柱に該当します。
労働者が死亡するまでに、治療が行われていた場合には、入通院慰謝料の請求も行うことが可能です。
しかし、後遺障害が認定されても後遺障害慰謝料の請求を行うことはできません。
慰謝料が増額する事由に注意
慰謝料の金額は、労災における個々の事情により増額することがあります。
そのため、どのような事情により増額する可能性があるのかについて知っておく必要があるでしょう。
基本的に、労働者の精神的苦痛が大きいといえる事情がある場合に増額の可能性があります。
具体的には、以下のような事情です。
- 労災の原因が会社の違法な行為であった
- 労災発生後に発生原因となった第三者が労働者を助けなかった
- 労災の怪我が原因で仕事が続けられなくなった
- 労災のケガにより女性の顔に大きな傷跡が残った
実際にどのような事情により増額し、どの程度増額するのかは不明確なため、専門家である弁護士に確認を取ることをおすすめします。
慰謝料を含む示談金として請求すべきもの
労災の発生原因が会社や第三者にある場合、慰謝料以外にも請求可能なものがあります。慰謝料だけに気をとられて請求漏れがおこらないように、しっかり確認しておきましょう。
示談金の内訳|慰謝料以外の損害
会社や第三者に慰謝料の請求が可能な場合には、慰謝料以外にも以下のような損害に対して請求することが可能です。
- 治療費
治療のために必要となった費用
- 入通院交通費
入院や通院するために発生した交通費
- 入通院付添費用
入院中の生活や通院する際に付添が必要な場合に発生する費用
- 入院雑費
入院中の生活用品や通信費用など
- 休業損害
怪我の治療のために働けないことで生じる損害
- 逸失利益
後遺障害が生じた、または、死亡したことで将来得られるはずの収入がられなくなったという損害
- 葬儀費用
葬儀を行うために必要な費用
- 物損に関する費用
慰謝料以外にも、物損に関する損害は労災保険給付の対象外となっています。
慰謝料だけでなく、こういった損害についても算定して補償を受ける必要があります。
労災事故に対する補償については、会社や第三者との示談交渉(話し合い)を通じて金額が確定した場合、示談金として受け取ることになります。労災事故ではどのような流れで示談交渉が行われるのかについて、関連記事『労災事故の示談交渉|示談の方法と解決までの流れ』で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
労災事故の示談金に相場はあるのか
示談金とは、労災事故で負った損害について、当事者同士の示談交渉で決まった損害賠償金の全てをさします。なかには実費を請求すべきものも含むため、労災事故の示談金に相場があるとは言い切れません。一見同じように思える労災事故でも、示談金は全く異なる場合があるのです。
しかし、示談金のなかには先に説明した慰謝料と同様に、一般的に採り入れられている算定方法に従って計算できる費目もあります。
ここからは、一定の計算方法で請求額を算定できたり、おおよその請求上限額がある休業損害・逸失利益・葬儀費用に焦点を当てて説明していきます。
示談金の相場|休業損害はいくらになるのか
休業損害は、会社や第三者には給料を日割りにして、休業した日数分を掛けた金額を請求可能です。
労災保険では、日割りにした数字の6割に休業日数を掛けた分の金額しか請求を行えないため、全額の給付を受けることができません。そのため、休業損害を全額請求するためには会社や第三者への請求が必要となるのです。
どんな時に休業損害を請求できるのかや、休業損害の計算方法についてはこちらの関連記事『労災で休業損害が請求できる場面とは?』でも詳しく解説中です。
示談金の相場|逸失利益はいくらになるのか
逸失利益は後遺障害が残った場合に請求できる金銭です。
逸失利益の金額は、被害者が症状固定となった年齢、労災事故前の収入(1年あたりの基礎収入)、認定された後遺障害の等級に応じた労働能力喪失率などを用いて計算します。
逸失利益の計算式は次の通りです。
逸失利益の計算式
1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
この計算式を使って、逸失利益の相場を計算してみましょう。次のような例を用いて、逸失利益の相場を考えてみます
例
2020年4月に労災事故が起こり、同年12月に症状固定となった。被災者は47歳、後遺障害等級10級に認定された。労災事故にあう前の年収は400万円だった。
- 1年あたりの基礎収入:400万円
- 労働能力喪失率:27%
- 労働能力喪失期間:20年
- 20年間に相当するライプニッツ係数:14.8775
計算式に当てはめると、次のようになります。
400万円×0.27×14.8775=約1,606万円
この事例において逸失利益の相場は約1,606万円となります。
示談金を算定するときには、逸失利益の計算方法も参考にして、後遺障害に関していくらの補償を求めるのか考えましょう。この際、逸失利益の算定は複雑な計算工程となるため、専門家である弁護士に確認を取ってください。
一方で、労災保険からは後遺障害等級に応じた障害補償給付を受給できます。障害補償給付は、1級から7級までは年金形式、8級から14級までは一時金形式で給付され、さらに条件に当てはまる場合には別途特別支給金が給付されます。労災保険給付を受けている場合には、逸失利益の全額を請求できるわけではありません。
示談金の相場|葬儀費用はいくらになるのか
葬儀費用はおおよそ150万円を上限として、実際にかかった費用を請求するのが一般的です。そのため、相場というよりも実費であると考えてください。
労災保険からは葬祭料として次のいずれか高い方が給付されます。
- 315,000円+給付基礎日額の30日分
- 給付基礎日額の60日分
労災事故で亡くなった方の収入に応じて給付額が決まるため、実際の葬儀にかかった費用のすべてが補てんされるとは限りません。そのため、もし実際の葬儀にかかった費用が労災保険の葬祭料を上回る場合には、相手方に請求できる可能性があります。
労災保険給付を受けている場合の注意点
会社や第三者に請求が可能であるとしても、すでに労災保険から給付を受けている場合には、給付を受けた部分の請求を行うことはできません。
すでに給付を受けている部分については減額したうえで請求金額が決まり、このような減額を損益相殺といいます。
給付を受けた部分といえるのは、同一の内容であることが必要です。
同一の内容と判断されるのは、具体的には以下の内容同士となります。
労災保険の給付内容 | 損害賠償請求内容 |
---|---|
療養補償給付 | 治療費 |
葬祭料 | 葬儀費用 |
休業補償給付 傷病補償年金 | 休業損害 |
障害補償給付 遺族補償給付 | 逸失利益 |
ただし、労災保険により給付される特別支給金は、損害の補てんではなく労働者の福祉という異なる目的のため給付されるので、同一の内容とは判断されません。
そのため、特別支給金の給付がなされる場合には、労災保険による給付を受けるべきでしょう。
特別支給金が受けられる労災給付は、以下の通りです。
- 休業補償給付
- 障害補償給付
- 傷病補償給付
- 遺族補償給付
労災から給付される特別給付金がいくらなのか、もっと詳細を知りたい方は関連記事『労災の特別支給金とは?』もあわせてお読みください。
会社や第三者への請求と労災保険給付の請求のどちらか一方だけでなく、両方にうまく請求していくことで最大限の補償が得られるようになるでしょう。
労働者に過失がある場合には減額となる
労災発生の原因に労働者の過失がある場合があります。
具体的には、設備不良について労働者が気が付くことができていたはずなのに気が付かなった、交通事故が起きた際に労働者も交通違反行為を行っていた場合などです。
このようなケースで会社や第三者に請求する場合には、労働者側の過失割合に応じて請求額が減額されるという過失相殺が行われます。
労災保険の給付を受ける場合にも給付額が制限される可能性がありますが、労災の原因が労働者の故意や重大な過失による場合に限られます。
また、制限対象も給付されるものすべてではなく、一部の給付について何割か減額となるだけなので、減額の程度は過失相殺よりも小さいでしょう。
したがって、労働者の過失割合が大きい場合には、労災保険から給付を受けた方が得られる金額が高額になる場合があります。
過失割合の判断は不明確な部分があるため、正確な過失の程度を知るためには法律知識が必要です。
そのため、労災発生の原因に労働者の過失がある場合には、どの程度の請求が可能となるのかについて弁護士に確認を取るべきでしょう。
慰謝料請求を行うなら弁護士に依頼しよう
適正な相場の慰謝料を手にしたい方、示談金の相場を知りたい方、労災保険の給付手続きに不安がある方は、弁護士に依頼することをおすすめします。
相場の慰謝料を得るなら弁護士に依頼すべき
労災保険においては、給付される金額をどのように計算するのかについて法律で定められているので、手続きを正しく行えば、基本的に望んだ金額の給付がなされます。
しかし、会社や第三者に請求を行う場合には、請求できる金額が法律で定められてはいません。
そのため、請求の相手方となった会社や第三者は、相場の金額を請求しても支払うべき金額はもっと少なくなるはずとして、簡単には相場の慰謝料を支払ってはくれないでしょう。
特に、労働者にも過失がある場合には、労働者の過失を過剰に評価して、過失相殺による減額を行うべきと主張してくる可能性が高いです。
弁護士に依頼すれば、実際に相場として使われている計算方法や過去の類似例をもとに正確な慰謝料相場額の請求を行ってくれます。
専門家からの根拠のある主張であるため、請求の相手方も簡単には否定できません。
また、弁護士からの請求を拒否すれば、裁判所に訴訟提起を行い裁判により支払いを求める可能性が高いでしょう。
裁判となれば相手方も弁護士を雇う費用が発生し、会社であればイメージダウンにつながる恐れがあります。
そのため、相場額を支払っても話し合いで解決した方が良いと相手方は考え、弁護士からの要求に応じる可能性があります。
したがって、相場額の慰謝料を請求したい場合には、弁護士への依頼をおすすめします。
労災保険についても対応してくれる
弁護士に依頼すれば、会社や第三者に対する請求だけでなく、労災保険の給付手続きについても手伝ってもらうことが可能です。
会社や第三者から十分な支払いを受けることができる可能性があっても、請求に対して抵抗してくる場合には、実際の支払いを受けるまで時間がかかります。
そのようなケースでは、手続きを適切に行えば確実に給付を受けられる労災保険から早期に給付を得ることで、当面の生活費や医療費を確保した方がいいこともあるでしょう。
しかし、労災保険給付の申請には手続きが複雑なものもあり、専門家のサポートを受けるべき場面もあるでしょう。
特に、怪我が完治せずに後遺症が残った場合には、後遺症の症状が後遺障害に該当すると主張して、障害補償給付を受ける手続きを行う必要があります。
後遺障害に該当する症状が発生しているという主張を行うためには、適切な医療関係の資料をそろえる必要がありますが、医療や法律の知識が不十分な人では資料をそろえることは難しいでしょう。
また、医師は治療の専門家ではあるものの、労災保険の手続きについてまで詳しく知っているとは限りません。
そのため、どのような資料を用意すべきであるのかは弁護士に確認を取りましょう。
アトム法律事務所の無料法律相談を活用しよう
労災事故で重大な後遺障害が残ったり、ご家族を亡くされたりして、会社などに対して損害賠償請求を検討している場合は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。
会社に落ち度があって労災が起こったときには、会社に対する慰謝料の請求が認められる可能性があります。電話だけでなくLINEでも相談できるので、一度気軽にご連絡ください。
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アトム法律事務所 岡野武志弁護士
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了