労災の特別支給金とは?労災保険との関係性についても解説 | 事故弁護士解決ナビ

労災の特別支給金とは?労災保険との関係性についても解説

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特別支給金とは、労災保険の給付金にあわせて受給することができるものであり、社会復帰促進等の事業にもとづくものになります。労災保険で補償される金額に上乗せして支給される特別支給金は、被災労働者が十分な補償を受けるために必須なものといえるでしょう。

そこで、この記事では特別支給金について詳しく解説を行いますので、ご参考にしていただければ幸いです。

特別支給金の種類について

まずは、特別支給金の種類について解説を行います。特別支給金は労災保険の申請の際にあわせて申請するものではありますが、申請用紙など一体となっていることが多いため、すべての種類を覚えておく必要はありません。

特別支給金は9種類ある

特別支給金は、労働災害補償保険法(以下「労災法」といいます。)29条を受けた労働災害補償法特別支給金支給規則(以下「労災法支給規則」といいます。)に規定されております。

特別給付金は以下のとおり9種類あります(労災法支給規則2条)。

  • 休業特別給付
    労災により働けなくなったことで生じる損害に対する給付
  • 障害特別支給金・年金・一時金
    労災によって後遺障害が生じた場合に、障害の程度に応じてなされる給付
  • 傷病特別支給金・年金
    労災によって生じた傷病が1年6ヶ月以上完治せず、傷病の程度が重い場合になされる給付
  • 遺族特別支給金・年金・一時金
    労災によって死亡した労働者の遺族に対してなされる給付

どのような事故が労災に該当するのかを知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。

労災保険と特別支給金の関係

労災保険と特別支給金との関係について以下のようになっております。

保険給付の種類特別給付金
療養補償給付なし
休業補償給付休業特別支給金
障害補償給付障害特別支給金、障害特別年金、障害特別一時金
傷病補償年金傷病特別支給金、傷病特別年金
遺族補償給付遺族特別支給金、遺族特別年金、遺族特別一時金

特別給付金は、労災保険給付に上乗せされる形で支給されることになります。支給額や計算方法が異なりますが、支給されるために必要な要件は労災保険給付と同様です。

そのため、労災保険給付が支給される要件を満たしていれば、労災保険給付と同時に支給されることになります。

特別支給金の支給額

労災保険と特別支給金の関係性についてわかったところで、次に特別支給金の支給額について解説を行います。特別支給金については、被災労働者の障害の程度等で決まっておりますのでご参考ください。

休業補償給付に関する特別支給金の支給額

休業補償の特別給付金は、以下のような要件を満たしていれば支給されます。

  • 労災によって仕事に従事できない状態である
  • 労災により生じた傷病について療養するために休業している
  • 会社から賃金を受け取っていない

休業補償給付についての特別支給金は、給付基礎日額の20%相当になります。そのため、休業補償給付金と合計すると約80%が補償されることになります。

休業補償給付休業1日につき給付基礎日額の60%相当
特別給付休業1日につき給付基礎日額の20%相当
合計休業1日につき給付基礎日額の80%相当

給付基礎日額とは、労災によって負傷した日、または、診断により労災による傷病の発生が確定した日の直前3カ月間の賃金総額をその期間の暦日数で除した金額です。
(3カ月間の賃金総額÷3ヶ月間の暦日数)

臨時に支払われる賃金や3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は除かれます。

休業補償給付についてさらに詳しくは、関連記事『労災保険の休業補償|給付条件や計算方法』もあわせてご確認ください。

障害補償給付に関する特別支給金の支給額

障害補償給付を受けるためには、労災によって生じた後遺症の症状が後遺障害等級に該当する旨の認定を労働基準監督署から受けなければなりません。

障害補償給付の特別支給金には、認定された後遺障害等級の程度によって変わってきます

障害等級1級から7級に該当する場合は、障害補償年金・障害特別支給金・障害特別年金が支給されます。障害等級8級から14級に該当する場合は、障害補償等一時金・障害特別支給金・障害特別一時金が支給されます。詳しくは以下の通りです。

障害等級障害補償等給付障害特別支給金障害特別年金障害特別一時金
第1級給付基礎日額の313日分342万円算定基礎日額の313日分
第2級277日分320万円277日分
第3級245日分300万円245日分
第4級213日分264万円213日分
第5級184日分225万円184日分
第6級156日分192万円156日分
第7級131日分159万円131日分
第8級503日分65万円算定基礎日額の503日分
第9級391日分50万円391日分
第10級302日分39万円302日分
第11級223日分29万円233日分
第12級156日分20万円156日分
第13級101日分14万円101日分
第14級56日分8万円56日分

算定基礎日額とは、原則として労災によって負傷した日、または、診断により労災による傷病の発生が確定した日の直前1年間に支給された賞与の総額を365で割った金額です。
ただし、金額に上限が存在することに注意する必要があります。

障害補償給付についてさらに詳しくは、関連記事『労災の障害等級|認定基準と障害(補償)給付の金額早見表』もあわせてご確認ください。

傷病補償年金に関する特別支給金の支給額

傷病補償年金は、労災によって生じた傷病が療養開始後1年6カ月を経過しても治癒しておらず、傷病の程度が傷病等級に該当しているという認定を受けた場合に支給されます。

傷病補償年金では、傷病等級に応じて特別支給金の支給金額が異なり、具体的な金額は以下の通りです。

傷病等級傷病補償年金傷病特別支給金傷病特別年金
第1級給付基礎日額の313日分114万円算定基礎日額の313日分
第2級277日分107万円277日分
第3級245日分100万円245日分

遺族補償給付に関する特別支給金の支給額

遺族補償給付は、労災によって労働者が死亡し、給付を受ける権利を有する遺族が存在する場合に支給されることになります。

遺族補償給付に対する特別支給金は、遺族数に応じて支給額が変わり、具体的な金額は以下の通りです

遺族数遺族補償年金遺族特別支給金遺族特別年金
1人給付基礎日額の153日分※1300万円算定基礎日額の153日分※2
2人201日分300万円 201日分
3人223日分300万円 223日分
4人以上245日分300万円 245日分

※1 遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分
※2 遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は算定基礎日額の175日分

遺族補償給付についてさらに詳しくは、関連記事『労災による死亡事故。遺族が行うべき手続きと遺族補償や葬祭料の金額』もあわせてご確認ください。

特別支給金の支給を得るために知っておくべきこと

最後に、特別支給金の申請の方法や労災保険と比較したメリットについて解説を行います。特別支給金は労災保険と異なる性質のものであるため、労災保険にはない取り扱いがなされます。

特別支給金の申請方法

特別支給金は、請求書を所轄の労働基準監督署に提出することにより申請できます。請求書は労働基準監督署に用意されていることに加え、厚生労働省のHPからもダウンロードできます。

また、特別支給金は労災保険と一緒に請求することもでき、特別支給金だけを申請することも可能です。さらに、労災保険が損益相殺の対象になる場合である場合には、特別支給金だけを請求することも考えられるでしょう。

特別支給金は損益相殺の対象にならない

特別支給金は、労災保険と異なり、損益相殺の対象となりません。これは、特別支給金が社会復帰促進等事業として行われていることが理由となっております。

たとえば、業務中に交通事故に巻き込まれた場合、自賠責保険等から治療費等が支給されるでしょう。この場合、労災保険からも治療費等を受け取ることができると、被害者は二重に利益を有することになってしまい不当に利益を得てしまうことになります。

そのため、自賠責保険からの支給金を控除した上で、労災保険から支給がされるのです。このことを「損益相殺」といいます。健康保険により支給される傷病手当金なども同様です。

しかしながら、特別支給金は損益相殺の対象とならず、そのまま受給することができるため、被害者にとって大きなメリットになります。

自賠責保険等から補償を受けている場合で、労災請求をしていない場合は、つい特別支給金の申請を忘れてしまいがちです。忘れずに特別支給金の申請をしましょう。

困ったら弁護士に相談

労災保険制度や特別支給金について、ご自身が受給できるのかどうか悩んでいたり、申請の方法がわからない場合等では、弁護士への相談をおすすめします。

労働基準監督署に直接聞きに行くことでもある程度教えてくれるかもしれません。
しかし、労災保険制度を利用できる場合には会社や加害者への損害賠償も可能なケースがあり、ただ労災保険の申請を行うだけでは十分な補償が得られない恐れがあるのです。

弁護士に相談すれば、特別支給金を受給できる方法だけでなく、その他に誰にどのような請求が行えるのか、そのために何をすべきなのかということまで知ることができます。
そのため、労災保険の利用だけでなく終局的な解決を考えるのであれば、法律の専門家である弁護士への相談が最もよいでしょう。

労災が生じた際に弁護士に相談や依頼を行うメリットについて知りたい方は『労働災害を弁護士に相談するメリット|労災の相談先は労基署だけじゃない』の記事をご覧ください。

アトム法律事務所では、無料の法律相談を行っています。相談料を気にせず労災が生じた後に何を行うべきなのかについて弁護士からアドバイスを受けることが可能です。
まずは、法律相談の予約をお取りください。法律相談の予約受付は24時間体制で行っているので、いつでもご連絡可能です。

岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点