過労死問題を弁護士に相談するメリット|補償の請求方法も解説 | 事故慰謝料解決ナビ

過労死問題を弁護士に相談するメリット|補償の請求方法も解説

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過労死問題|弁護士に相談するメリット

この記事でわかること

  • 過労死が発生すると、遺族は労災保険に基づく請求と会社に対する損害賠償請求をすることができる
  • 過労死問題に直面している人の相談先として、過労死110番全国ネットワーク・過労死等防止対策推進全国センター・弁護士などがあげられる
  • 過労死問題を弁護士に相談するメリットとして、労災申請手続きをしてくれる・証拠を集めてくれる・代理人として窓口になってくれる、といったことがあげられる

従業員が過労死で亡くなったというニュースを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

遺族が受けるダメージは計り知れませんが、故人が勤めていた会社に対し、然るべき責任を取らせたいと考える遺族がほとんどでしょう。もっとも、会社に対してどのような責任を追及できるのか、また、どのような方法で会社に請求したらよいのか、わからないという方が多いと思います。

この点、過労死は法的にも複雑な問題を多く含むため、自身で対応するには難易度が高く、弁護士などの専門家に相談すべきだと考えてよいでしょう。

今回は、過労死の問題を弁護士に相談するメリットや弁護士の探し方などを中心にわかりやすく解説します。

過労死に基づく2つの請求

過労死が発生した場合、その遺族は大きく分けて2つの請求を行うことができます。

具体的には、「労災保険に基づく請求」と「会社に対する損害賠償請求」です。

労災保険に基づく請求

一定の条件を満たしていれば、故人の遺族は、労災保険に基づき労災申請を行うことができます。

ここでいう「条件」とは、以下の2つです。

  1. 労災が補償対象としている病気に罹患していたこと
  2. 病気と業務との間に因果関係があること

たとえば、過労が原因となってうつ病に罹患した従業員が死亡した場合は、労災申請が認められる可能性があります。過労死の労災認定基準について詳しく解説した関連記事『過労死が労災認定される基準|脳や心臓疾患、精神障害への補償と認定事例』もあわせてご確認ください。

もっとも、遺族が故人から相続した慰謝料請求権や遺族固有の慰謝料請求権は、労災保険ではカバーされていないため、会社に対して直接請求することが一般的です。
過労死で請求できる慰謝料の相場については、関連記事『過労死の慰謝料相場は?損害賠償請求の根拠と方法』で詳しく解説しています。

会社に対する損害賠償請求

慰謝料を請求したい場合には、会社に対して直接損害賠償を請求することが必要です。

会社に対する損害賠償請求が認められるためには、会社に以下のような点が認められる必要があります。

  1. 安全配慮義務違反
    もしくは
  2. 不法行為責任

ここでいう「安全配慮義務」とは、会社が従業員に対して、安全かつ健康に労働できるように配慮しなければならないという義務のことをいいます。

たとえば、会社がいわゆる過労死ラインを超える長時間労働を従業員に強制していた場合において、そのことが原因となって従業員が過労死した場合には、会社に安全配慮義務違反があったと認められる可能性が高いです。

また、「不法行為責任」とは、故意・過失により他人の権利や利益を侵害した場合に、侵害者が負う責任のことをいいます。

上記の例でいえば、会社が従業員に長時間労働を強制することは、少なくとも「過失」が認められるため、会社に不法行為責任が認められる可能性が高いです。

過労死に関する問題はどこに相談すればよい?

過労死問題に直面している人は、大きく2つに分けることができます。

一つは、過労死ラインを超える長時間労働を現に強いられている本人であり、もう一つは過労死した人の遺族です。

過労死問題に直面している人は、以下のような団体・専門家などに現状を相談することをおすすめします。

過労死110番全国ネットワーク

「過労死110番全国ネットワーク」は、弁護士が結成した過労死弁護団全国連絡協議会を中心に活動する団体で、年に一回の一斉電話相談をはじめ、過労死の問題に取り組んでいます。

全国各地の弁護士や協力団体が相談を受け付けているため、現に長時間労働で悩んでいる人にとっては心強い相談先の一つといえるでしょう。

過労死等防止対策推進全国センター

「過労死等防止対策推進全国センター」は、過労死を防ぐためにさまざまな啓発活動や相談業務を行う団体です。

相談は無料で受け付けていますが、得られるアドバイスは原則として最小限のものであり、解決が保証されているわけではありません。

弁護士

過労死問題は、法的にも多くの問題を含んでいます。また、場合によっては会社と直接交渉を行ったり、会社を相手に訴訟を起こさなければならないケースもあります。

過労死問題に現に直面している人はもちろんのこと、過労死で大事な人を失った遺族がこれらのことをすべて自分で対応するのは困難だといえるでしょう。

仮に、裁判に発展すれば、会社側も弁護士を立ててくることが一般的であり、対等に渡り合うためには弁護士に依頼することが必要です。

自分に有利な形で解決するためにも、過労死問題に直面した場合は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

過労死問題を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するとなると、そこに弁護士費用がかかるため、躊躇される方もいらっしゃると思います。

ですが、過労死問題を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットを受けることが可能です。

労災申請の手続きをしてくれる

先に見たように、労災認定を受けるためには、以下の2つの条件を満たしていることが必要です。

  1. 労災が補償対象としている病気に故人が罹患していたこと
  2. 病気と業務との間に因果関係があること

これらを証明するためには、労働者の勤務状況やそれにより労働者が受けていた心理的負担、これらと病気との間に因果関係があることなどを証明する必要があります。

より具体的にいうと、勤務先の関係者から聴き取り調査を行ったり、場合によっては、証拠保全のための手続きを行うなどして、多くの証拠を収集することが必要になるということです。

遺族がこれらのことを自分で対応するためには、強い精神力が必要になるだけでなく、一定程度の法的知識も必要になり、ハードルが高いといえるでしょう。

その点、弁護士に依頼すれば、関係者からの聴き取り調査や証拠保全手続きなどをすべて弁護士が対応してくれるため、遺族は精神的な負担を軽減することができるのです。

証拠を集めてくれる

労災申請の手続きをする場合や、裁判の手続きをする場合のいずれにおいても、故人の死亡原因が長時間労働にあったことを裏付ける証拠が必要になります。

そのためには、実際の勤務がどのような状況にあったかを正確に把握する必要があり、また、医学的に証明することも必要です。

実際の勤務状況を把握するためには、勤務時間をはじめ、勤務内容やその負担の大きさなどに関する情報を勤務先から収集する必要があります。

また、医学的に証明するためには、診断書を確認するとともに、医師の意見を聴取る必要も出てくるでしょう。

弁護士であれば、労災申請や裁判の手続きとの関係で、どのような証拠が必要になるかを熟知しているため、適切な証拠を集めてくれるというメリットがあります。

代理人として窓口になってくれる

労災申請や裁判を行う場合には、そのための前準備として故人の勤務先や医師などに連絡をとったり、聴き取り調査を行うことが必要になります。

また、勤務先を相手に裁判を起こす場合には、裁判所に出廷する必要があるだけでなく、会社側に就いた弁護士との間で適切に主張・立証を行っていくことが必要です。

大事な人を失った遺族にとっては、これらのことをすべて矢面に立って対応するのは精神的にも負担が大きすぎるといえるでしょう。

その点、弁護士に依頼すれば、労災申請や裁判をはじめ、勤務先との折衝や医師への聴き取り調査なども、弁護士が代理人として窓口になってくれるため、遺族は精神的負担を最小限に抑えながら安心して手続きを任せることができるというメリットがあります。

岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点