過労死問題を弁護士に相談するメリット|補償の請求方法も解説 | アトム法律事務所弁護士法人

過労死問題を弁護士に相談するメリット|補償の請求方法も解説

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過労死問題|弁護士に相談するメリット

従業員が過労死で亡くなったというニュースを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

ご遺族が受ける苦痛は計り知れませんが、故人が勤めていた会社に対し、然るべき責任を取らせたいと考えるケースがほとんどでしょう。もっとも、会社に対してどのような責任を追及できるのか、また、どのような方法で会社に請求したらよいのか、わからないという方が多いと思います。

過労死は法的にも複雑な問題を多く含むため、ご遺族のみで対応するには難易度が高く、弁護士などの専門家に相談すべきだと考えてよいでしょう。

今回は、過労死問題の相談先や、弁護士に相談するメリットなどを中心にわかりやすく解説します。

過労死問題の相談先3選

過労死問題に直面している人は、大きく2つに分けることができるでしょう。

「過労死ラインを超える長時間労働を現に強いられているご本人」と「過労死した人のご遺族」です。

過労死問題に直面している人は、以下のような団体・専門家などに現状を相談することをおすすめします。

(1)過労死110番全国ネットワーク

過労死110番全国ネットワークは、弁護士が結成した過労死弁護団全国連絡協議会を中心に活動する団体で、年に一回の一斉電話相談をはじめ、過労死の問題に取り組んでいます。

全国各地の弁護士や協力団体が相談を受け付けているため、現に長時間労働で悩んでいる人にとっては心強い相談先の一つといえるでしょう。

(2)過労死等防止対策推進全国センター

過労死等防止対策推進全国センターは、過労死を防ぐためにさまざまな啓発活動や相談業務を行う団体です。

相談は無料で受け付けていますが、得られるアドバイスは原則として最小限のものであり、解決が保証されているわけではありません。

(3)弁護士

過労死問題は、法的にも多くの問題を含んでいます。また、場合によっては会社と直接交渉を行ったり、会社を相手に訴訟を起こさなければならないケースもあります。

過労死問題に現に直面している人はもちろんのこと、過労死で大事な人を失ったご遺族がこれらのことをすべて自分で対応するのはむずかしいでしょう。

仮に、訴訟に発展すれば、会社側も弁護士を立ててくることが予想されます。会社側と対等に渡り合うためには、ご遺族側も弁護士に依頼することが必要です。

有利な形で解決するためにも、過労死問題に直面した場合は弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

過労死問題を弁護士に依頼するメリット

過労死問題を弁護士に依頼すると、さまざまなメリットを受けることが可能です。

具体的にどのようなメリットがあるのかみていきましょう。

労災申請の手続きをしてくれる

労災認定を受けるためには、「労災が補償対象としている病気に罹患していたこと」「病気と業務との間に因果関係があること」という2つの条件を満たしていることが必要です。

これらを証明するためには、労働者の勤務状況やそれにより労働者が受けていた心理的負担や、病気との間に因果関係があることなどを証明する必要があります。

より具体的にいうと、勤務先の関係者から聴き取り調査も必要になる場合があります。ときには証拠保全のための手続きを行うなどして、多くの証拠を収集することが必要になるということです。

ご遺族だけで対応するには、強い精神力が必要になるだけでなく、一定程度の法的知識も必要になり、ハードルが高いといえるでしょう。

弁護士に依頼すれば、関係者からの聴き取り調査や証拠保全手続きなどをすべて弁護士が対応してくれるため、ご遺族にとっては精神的な負担を軽減することができるのです。

証拠を集めてくれる

労災申請や裁判の手続きをする場合のいずれにおいても、故人の死亡原因が長時間労働にあったことを裏付ける証拠が必要になります。

そのためには、実際の勤務がどのような状況にあったかを正確に把握する必要があります。実際の勤務状況を把握するためには、勤務時間をはじめ、勤務内容やその負担の大きさなどに関する情報を勤務先から収集する必要があります。

さらに、医学的に証明することも必要です。医学的に証明するためには、診断書を確認するとともに、医師の意見を聴き取る必要も出てくるでしょう。

弁護士は労災申請や裁判の手続きとの関係を熟知しています。どんな資料が必要になるかというアドバイスや、証拠の収集をサポートしてもらえるメリットは大きいでしょう。

代理人として窓口になってくれる

労災申請や裁判を行う場合には、そのための前準備として故人の勤務先や医師などに連絡をとったり、聴き取り調査を行うことが必要になります。

また、勤務先を相手に裁判を起こす場合には、裁判所に出廷する必要があるだけでなく、会社側に就いた弁護士との間で適切に主張・立証を行っていくことが必要です。

大事な人を失ったご遺族が矢面に立ってすべて対応するのは、精神的にも負担が大きすぎるといえるでしょう。

弁護士ならば、労災申請や裁判をはじめ、勤務先との折衝や医師への聴き取り調査なども代理人として窓口になれます。そのため、ご遺族は精神的負担を最小限に抑えながら安心して手続きを任せられるというメリットがあります。

過労死問題と弁護士に関する疑問

過労死問題を実際に弁護士に相談したり、依頼したりしたいと具体的に考えるようになった時に気になるであろう疑問を集めました。

弁護士の依頼にかかる弁護士費用はどのくらい?

弁護士に依頼するとなると、弁護士費用がかかるため躊躇される方もいらっしゃるでしょう。

弁護士費用は、依頼した内容や難易度に応じて変化するものです。また、弁護士ごとに費用を自由に設定することができるので、一律にいくら必要になるか明言しにくいものでもあります。

ただし、弁護士費用は相談料・着手金・成功報酬・日当・実費などを合計したものを指すのが一般的です。弁護士に相談・依頼する前に、しっかりと確認しておきましょう。弁護士費用の内訳を理解しておけば、確認する際にも安心です。

関連記事『労災に関する弁護士費用はどのくらい必要?』では、過労死問題を含む労災に関する弁護士費用についてさらに詳しく解説しています。興味のある方は、あわせてご確認ください。

過労死問題に詳しい弁護士の探し方は?

過労死問題を弁護士に相談する場合、過労死問題に詳しい弁護士を選ぶようにしましょう。弁護士は法律に精通していますが、多くの弁護士は自分が得意とする分野を設定して活動しています。過労死問題は過労死問題に詳しい弁護士に相談するのが大切です。

では、過労死問題の解決実績をもつ弁護士はどのようにして探せばいいのでしょうか。考えられる方法を紹介します。

知人からの紹介

知人が相談や依頼したことのある弁護士を紹介してもらうこともあるでしょう。信頼のおける知人と面識のある弁護士であれば、安心感があります。

もっとも、知人の紹介というだけで弁護士を選ぶのは避けましょう。この場合も、過労死問題を取り扱う弁護士かどうか確認することが大切です。

弁護士会や法テラスを利用する

法テラスとは、国が設立した法的トラブルに関する総合案内所です。
問題を解決するための法制度や手続き、相談窓口を案内してくれます。一定の要件を満たす場合、無料で法律相談することもできます。相談を受け付けているかどうかは、お近くの法テラスのホームページをご確認ください。

弁護士会とは、弁護士や弁護士法人を会員として構成される団体で、各都道府県に設置されています。
弁護士を束ねる組織として主に活動していますが、法的トラブルに関する市民向けの法律相談窓口を運営したりしています。弁護士会によっては、相談会を常設していたり、市役所などを巡回する相談会を実施していることもあるようなので、お近くの弁護士会で確認してみましょう。

インターネット検索を活用する

スマートフォンが普及した現代ではインターネット検索が手軽に行えるので、過労死問題をあつかう弁護士も簡単にみつかります。

ただし、過労死問題をあつかっているという内容がホームページにのっているという理由だけで決めるのは早計です。過労死問題の解決実績が豊富な弁護士を選ぶようにしてください。

労災保険の請求と会社への損害賠償請求の2つを検討した方がいい?

過労死が発生した場合、そのご遺族は大きく分けて2つの請求を行うことができます。

具体的には、「労災保険の請求」と「会社への損害賠償請求」です。

過労死が発生した場合、どちらか一方だけの請求ではなく、2つとも検討した方がいいでしょう。

2つの請求を検討すべき理由

  • 過労死に対する慰謝料は労災保険から支払われない
  • 過労死に対する慰謝料を請求するなら、会社への損害賠償請求が必要となる

以上のような理由を念頭に置いて、労災保険の請求と会社への損害賠償についてそれぞれ確認していきましょう。

労災保険の請求|法律で決まった範囲の補償

一定の条件を満たしていれば、故人のご遺族は、労災保険に基づき労災申請を行うことができます。

ここでいう「条件」とは、以下の2つです。

  1. 労災が補償対象としている病気に罹患していたこと
  2. 病気と業務との間に因果関係があること

たとえば、過労が原因となってうつ病に罹患した従業員が死亡した場合は、労災申請が認められる可能性があります。過労死の労災認定基準について詳しく解説した関連記事『過労死の労災認定基準|過労死ラインとは?脳・心臓疾患と精神障害の認定事例』もあわせてご確認ください。

もっとも、ご遺族が故人から相続した慰謝料請求権や遺族固有の慰謝料請求権は、労災保険ではカバーされていません。したがって、慰謝料は会社に対して直接、損害賠償請求することが一般的なのです。

過労死で請求できる慰謝料の相場については、関連記事『過労死の慰謝料相場は?損害賠償請求の根拠と訴訟事例』で詳しく解説しています。

会社への損害賠償請求|労災保険を超える分の補償

慰謝料を請求したい場合には、会社に対して直接、損害賠償を請求することが必要です。ただし、どのようなケースでも損害賠償請求ができる訳ではありません。

会社に対する損害賠償請求が認められるためには、会社に以下のような点が認められる必要があります。

  1. 安全配慮義務違反
    もしくは
  2. 不法行為責任

「安全配慮義務」とは、会社が従業員に対して、安全かつ健康に労働できるように配慮しなければならないという義務のことをいいます。たとえば、会社がいわゆる過労死ラインを超える長時間労働を従業員に強制していた場合において、そのことが原因となって従業員が過労死した場合には、会社に安全配慮義務違反があったと認められる可能性が高いです。

「不法行為責任」とは、故意・過失により他人の権利や利益を侵害した場合に、侵害者が負う責任のことをいいます。上記の例でいえば、会社が従業員に長時間労働を強制することは、少なくとも「過失」が認められるため、会社に不法行為責任が認められる可能性が高いです。

安全配慮義務違反や不法行為責任が認められるケースでは、労災保険の請求だけで損害のすべてをカバーすることができません。労災保険の請求とあわせて、会社に対する損害賠償請求を別途おこなう必要があるのです。

過労死の弁護士相談窓口|損害賠償請求を検討している方へ

アトム法律事務所では、会社に過労死に関する損害賠償請求を考えている方からの相談を無料で受け付けています。

弁護士への無料法律相談を受付中

過労死が労災であると認定された場合は、会社に何らかの落ち度が認められる可能性があります。

労災と認定されれば労災保険からの保険金を受けとることはできますが、労災保険の給付内容に慰謝料は含まれていません。家族が一生懸命働いた末に死に至ったという精神的苦痛に対する補償は、会社に慰謝料として請求していくことになります。

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アトム法律事務所 岡野武志弁護士

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了