配偶者と子供で自動車を相続する際に知っておきたいこと

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配偶者と子による自動車の相続

被相続人が所有していた自動車は、相続税の対象に含まれます。自動車を相続するには、名義変更や保険の変更手続き、相続税評価額の算定などが必要です。この記事では、被相続人の配偶者と子供で自動車を相続する際の基礎知識について、わかりやすく解説します。

『配偶者と子供による自動車の相続』に関する基本事項

自動車を相続するときの手続きの流れ

自動車を相続する場合は、以下の流れで手続きを進めます。

1.遺言書の有無を確認する

被相続人が遺言書を作成していた場合は、遺言書の内容に従って相続手続きを行います。遺言書がない場合は、遺産分割協議などを行って相続手続きを進めます。

2.相続人を確認する

相続人となるのは、被相続人の配偶者、子供、父母、兄弟姉妹などです。このとき、相続人調査を行い、誰が相続人になるのかを確認する場合もあります。

3.自動車の名義人を確認する

自動車の名義人は、必ずしも被相続人であるとは限りません。たとえばローンで購入した自動車の場合、ローンを組んだ信販会社やディーラーの名義になっていることもあります。

残債がある場合は、相続人が債務の残金を一括で支払うのが一般的です。一括清算が難しい場合は、新しい所有者(相続人)の名義でローン審査が行われ、組みなおしをします。

4.相続財産を確認する

相続財産調査を行い、自動車を含む不動産や預貯金など、どのような財産があるのか、評価額はいくらなのかを確認します。

5.遺産分割協議を行う(遺言書がない場合)

遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産をどのように分割するかを決めます。遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てます。

6.必要に応じて相続税の申告・納税を行う

相続財産の評価額の合計が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要です。また、必要に応じて納税も行います。

7.必要に応じて車庫証明の申請をする

相続した自動車を別の住所で使用する場合などは、車庫証明が必要となります。申請は、駐車場のある地域を管轄する警察署で行います。

8.自動車の名義変更をする

自動車を使用する地域を管轄する運輸支局で、自動車の名義変更手続きをします。

9.保険の引継ぎを行う

加入している自賠責保険や任意保険の引継ぎを行います。このとき、必要に応じて保険の見直しなども行います。

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自動車の名義変更手続きに必要な書類と費用相場

普通自動車を相続し、名義変更をするには車庫証明が必要です。車庫証明の取得と名義変更に必要な書類と費用は、それぞれ以下のとおりです。

車庫証明の申請に必要な書類と費用

  • 自動車保管場所届出書
  • 保管場所標章交付申請書
  • 権原書面
  • 保管場所使用権原疎明書面(自認書)または駐車場の契約書
  • 所在図及び配置図

車庫証明の申請手続きには、2,500円程度の費用がかかります。

名義変更の申請に必要な書類と費用

普通自動車を相続し、名義変更をするには以下の書類が必要です。

  • 自動車検査証
  • 車庫証明書(住所が変わらない場合は不要)
  • 被相続人の除籍謄本または戸籍謄本(被相続人が死亡したことが確認できるもの)
  • 相続人全員が確認できる戸籍謄本
  • 相続人(新しい所有者)の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(自動車の評価額が100万円以下の場合は、評価額を証明できる資料や遺産分割協議成立申立書でも可能)

このほか、申請を代理人に依頼する場合には委任状が必要です。

名義変更申請を自分で行う場合は手数料として500円、管轄地域が変わる場合はナンバープレート代が1,500円程度かかります。

自動車の相続税評価額を計算する方法

相続税における自動車の評価方法は、大きく3つあります。

精通者意見価格による評価

同じ車種、年式、走行距離などが似ている中古車の買取価格から算定する方法です。中古車買取業者や鑑定士などの意見を参考に、自動車の評価額を算定します。

売却査定価格による評価

中古車販売店の売却査定価格を参考に、自動車の評価額を算定する方法です。

減価償却による評価

売却査定価格や精通者意見価格による評価が難しい場合に用います。新車当時の価格から経年劣化などの減価償却相当分を差し引き、評価額を算定する方法です。減価償却率は、自動車の種類によって異なり、所得税法などで決められています。

法定相続分による相続割合【配偶者と子供で相続する場合】

配偶者と子供の法定相続分は2分の1ずつです。子供が複数人いる場合は、遺産の2分の1を子供の人数で均等に分割します。

【相続割合】

法定相続人相続割合
配偶者+子1人配偶者:1/2
子:1/2
配偶者+子2人配偶者:1/2
子:1人あたり1/4
配偶者+子3人配偶者:1/2
子:1人あたり1/6

被相続人が亡くなって2億円の相続が発生し、配偶者と子供2人が相続人となった場合、配偶者の法定相続分は1億円、子供の法定相続分は5,000万円ずつになります。

法定相続分は、相続人の間で遺産分割協議を行う際に、法律上の分け方の目安となるものです。ただし、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割することも可能です。

相続税における基礎控除の概要と計算方法

相続税は、課税対象となる遺産の総額が基礎控除額を上回る場合に申告の義務が発生し、場合によっては相続税額が発生することもあります。相続税の基礎控除額の計算方法は、以下のとおりです。

【基礎控除額の計算方法】
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

【相続人数別の基礎控除額】

法定相続人基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

たとえば、法定相続人が配偶者と子供1人の場合は4,200万円、配偶者と子供2人の場合は4,800万円が基礎控除として遺産総額から差し引かれます。遺産の総額が基礎控除額を下回る場合は相続税は発生せず、申告の必要もありません。

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相続税の申告方法と申告期限

遺産の総額が基礎控除額を超える場合は、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告します。申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内です。

相続税の申告書は、税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。申告書の提出方法は、持参または郵送のほか、e-Tax(電子申告)でも可能です。

相続税の申告書作成は、自分で行うこともできますが、専門的な知識を要するため、税理士に依頼することをおすすめします。

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配偶者控除で配偶者分の相続税負担を軽減

相続税における配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは、被相続人の配偶者が取得した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額までは相続税が課税されない制度です。配偶者控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 被相続人と法律上の結婚関係にある
  • 遺産分割が完了している
  • 相続税の申告期限までに相続税の申告書を提出する

たとえば、被相続人が配偶者と子供2人を残して亡くなり、相続財産の合計が2億円の場合、配偶者の法定相続分は1億円です。このとき配偶者控除を適用することで、配偶者分の相続税は0円になります。

ただし、のちに配偶者が亡くなって配偶者の財産を子供が相続するときに、相続税負担が増える可能性があるため注意が必要です。そのため、相続税を節税するための最善策を検討する場合は、税理士に相談することをおすすめします。

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『配偶者と子供による自動車の相続』に関するよくある質問

自動車の相続税はいくらかかるの?

相続税がいくらかかるのかは、自動車を含む相続財産の評価額や相続人の人数、法定相続分などによって異なります。相続税の概算額を調べるには、「相続税計算機」をご利用ください。

自動車を相続したら名義変更手続きは必要ですか?

必要です。相続した自動車を別の地域で使用する場合は、名義変更手続きの際に車庫証明も必要です。車庫証明申請は駐車場の所在地を管轄する警察署、名義変更申請は、自動車を使用する地域を管轄する運輸支局で行います。

自動車の名義変更はいつまでに行えばよいですか?

自動車の名義変更に期限はありません。ただし、名義変更をしないと売却や廃棄処分ができないので、早めに手続きを済ませましょう。

相続した自動車は売却できますか?

できます。相続した自動車を売却するには、相続人に名義変更を行う必要があります。

自動車を相続したら自動車保険はどうなりますか?

被相続人が契約者であった自動車保険は、相続人に引継がれます。引継ぎにあたっては、保険契約者の変更手続きが必要です。

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他にもおさえておきたい相続の基本

いざというときに備えて、相続対策や相続手続きについて理解しておくことは大切です。ほかの記事でも相続の基礎知識について詳しく解説しておりますので、ぜひお役立てください。

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アトムグループ 協力税理士

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