5ch(5ちゃんねる)の削除依頼|書き込みの削除方法を弁護士が伝授

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5ch(5ちゃんねる)

5ch掲示板は不特定多数のユーザーが匿名で書き込みをするため、誹謗中傷も多く見られます。削除依頼のルールや方法がしっかり取り決められているため、適切に対応すれば削除される可能性があるでしょう。

ただし、ルールに則していないと削除依頼を受け付けてもらえません。ここでは5chに削除依頼する際に押さえておくべきポイントを解説しています。

5ちゃんねるに削除依頼する前に準備すること

削除ガイドラインに必ず目を通すこと

5chの投稿削除は、書き込み内容がいくら悪質であっても、ガイドラインやルールから逸れた削除依頼をすると5ch削除人に対応してもらえません。

5chには独自の削除依頼ルールが存在し、書き込みの削除対象基準や、書き込みの削除依頼方法が決められています。そのため、削除依頼する前に、「削除ガイドライン」ページに必ず目を通すようにしましょう。たとえば、法人や団体に関する書き込みについては原則削除しない等の取決めがされています。

書き込み削除の基準とルールを知ること

削除対象となるのは、個人の権利侵害となる書き込みです。投稿された内容が、客観的に見て誰のことを指しているのか分かることも削除依頼のポイントです。

削除対象とされる内容

[個人名・住所・所属]
[電話番号]
[メールアドレス]
[誹謗中傷]
[私生活情報]
[差別・蔑視]

5chは「削除ガイドライン」において、削除を望む個人を「一群」「二類」「三種」と分類しています。

政治家や芸能人、有罪判決となった人、掲示板の趣旨に関係する職業で責任問題の発生する人などは、「一群」や「二類」という分類になります。この分類に該当する人に対する書き込みは、公益性を理由に権利侵害に該当する内容であっても削除されないことがあります。

何度も削除依頼の催促を削除人に行わないこと

5chに書き込みの削除依頼をすると、数日で削除されることもありますが、目安は2週間ほどです。5chの書き込みは、「削除人(削除屋)」と呼ばれるボランティアにより削除の可否が判断されます。

書き込んだ人と無関係である削除人に対して、乱暴な言葉づかいで削除を要請しないよう気をつけましょう。削除人(削除屋)から2週間以上削除の可否について連絡が無い場合は、各削除依頼方法に則ってメールや長期未処理報告スレッドに書き込み、催促をします。

削除人(削除屋)は専業として請け負っているわけではなく、有志ボランティアです。忙しいなかで削除可否の判断、削除を行っているため、多数の依頼があれば滞ることもあります。そのため、削除が完了する期間はまちまちであるといえるでしょう。たとえ、削除を急いでいても同じ内容を何度も送信して削除を催促することは控えましょう。

5ちゃんねるに削除依頼する方法

5chの削除依頼を運営側に要請する方法は、2通り用意されています。1つ目は、公開スレッドの専用フォームに書き込む方法、2つ目は運営側にメールを送る方法です。2つとも使えない場合には、裁判所の手続きを経る方法があります。

(1)5ちゃんねるにメールで削除依頼をする

メールでの削除依頼の場合は、法的な問題点の指摘が求められます。また、削除を主張する権利を有する者からの削除依頼かを確かめるため、身分確認書類の提出が求められます。

メールでの削除依頼方法

【宛先】meiyokison@5ch.net

【件名】削除申し立て

【内容】

  • URL
  • レス番号
  • 削除理由

【添付資料】

  • 本人確認のための資料(免許証など)
  • 理由を根拠付ける資料があれば添付

参考:5ちゃんねる削除体制

(2)5ちゃんねるに専用フォームで削除依頼をする

削除依頼掲示板は「削除要請板(重要削除対象専用)」と「削除依頼板(通常削除)」の2つあり、依頼内容によって使い分ける必要があります。

削除ガイドラインの基準に従って、各掲示板毎のフォームに入力して送信してください。フォームで削除依頼を行うと、送信した文面が公開スレッドに載ります。削除依頼の内容が公開されることによる炎上の可能性に注意を払い、実施します。

削除依頼掲示板対象内容・対象者
削除要請板(重要削除対象専用)内容【個人情報・電話番号・誹謗中傷 など】
対象【法人・団体、削除ガイドラインの個人・一群、 個人・二類】
削除依頼板(通常削除)上記の内容・対象以外全て

(3)裁判所に削除の仮処分を申し立てる

権利侵害にあたる書き込みやスレッドが5ch側で削除されない場合、法的手段を使った削除を検討することになります。裁判所に削除の仮処分を申し立て、5chを運営しているフィリピン法人「Loki Technology Inc.」に対し、削除命令を出すよう求めることになります。裁判所によって書き込みの削除を望む理由が認められると、削除命令が出ます。

仮処分による削除の申し立てをするには、5chの書き込みやスレッドにより次の2要件が満たされている必要があります。

  1. 申立人の権利が違法に侵害されていること
  2. 早急に解消することが必要であること

そのうえで、申立人は裁判官と面談を行い、裁判官によって申し立て内容が要件を満たすか判断されます。

5chの運営法人が国内ではなく、海外のため、仮処分命令が出されるにはおよそ半年ほどが見込まれます。また費用についても、海外法人とのやり取りや、手続きを経る場合、削除依頼者には通常の削除依頼よりも負担がかかります。可能ならば、まず最初は仮処分申し立てではなく、5ch運営に削除依頼を出すべきといえます。

5ちゃんねるの削除依頼を弁護士に任せるメリット

削除依頼を弁護士に任せるとスムーズ

5chの削除依頼は、5chの削除成功ノウハウがある弁護士に任せれば、自分で削除依頼をするよりも解決スピードを上げられることがあります。書き込みが残ることで、進学や就職、結婚や転居などの妨げになる恐れがある場合は、なるべく早期に削除依頼することが重要です。

5chは削除依頼のルールや手続き方法に厳格で、則っていない場合や削除依頼理由が不明瞭のケースだと削除されません。自己流の削除依頼のやり方に不安がある、複数の書き込みを削除依頼する時間がないならば、弁護士に任せると安心です。迅速かつ的確な対応をしてもらえるでしょう。

まとめサイト・コピーサイトの対応も検討してくれる

トレンドの話題などで注目されたスレッド、レスは5chのまとめサイトに抜き書きで転載されることがあります。5ch(5ちゃんねる)掲示板サイトをそのままそっくりコピーしたサイトも存在するため、5ch(5ちゃんねる)だけでなく各サイトごとにも削除依頼しなければなりません。

削除依頼方法は各コピーサイトによって異なります。削除依頼を行う時間がない、手間がかかるので困っているという方は一度5ちゃんねるの削除依頼に詳しい専門家への相談を検討してみてください。

他の掲示板サイト、まとめサイトへの転載を消したい場合は、下記特集記事を参考になさってください。

削除依頼の弁護士費用相場はいくら?

弁護士に任せて削除依頼をするには費用を要します。しかし、自分で5chの削除依頼を行うことに不安や抵抗感がある場合は検討する選択肢に入れても良いでしょう。弁護士費用は弁護士・法律事務所によって異なり、相場に幅があります。そのため、依頼前にいくつかの法律事務所の費用体系を比較して検討してみましょう。

多くの場合、「着手金」と「報酬金」が設定されています。

  • 着手金とは弁護士に依頼した時点でかかる費用で、結果にかかわらず返金されることはありません。
  • 報酬金は、削除が成功した場合にかかる費用で、発生するかどうかは結果に左右されます。

5ちゃんねる書き込みの削除以外の対応は可能?

発信者を特定する手続きには条件有り

匿名掲示板であっても、条件にあてはまれば、法的手段を用いて書き込みをした人(発信者)を特定することが可能です。「発信者情報開示請求」といいますが、掲示板運営会社とインターネット回線業者に、それぞれ接続情報と個人情報の開示請求を行うことになります。

一般的に、発信者が掲示板に接続したログ情報は3か月程度しか保存されていません。書き込みから時間が経過してしまうと、発信者情報開示請求を進めることが難しくなります。

5chに対する発信者情報開示請求は、フィリピンに拠点を置くサイト運営会社Loki Technology Inc.(ロキテクノロジー社)を相手方とします。外国企業が相手の場合には、東京地方裁判所に対し接続情報の開示請求を行います。

接続情報が分かれば、今度はそれを元に、発信者が使用していたインターネットプロバイダに対して発信者(プロバイダの契約者)情報を開示するよう求めます。

5ちゃんねるへの開示請求や書き込み特定については、関連記事『5ちゃんねる書き込みの特定と開示請求のやり方は?どんな訴えができる?』にて方法や流れを解説中です。

投稿者に対しての賠償請求はコストを考えて検討する

書き込みをした発信者(加害者)の特定ができたら、民事事件としては、不法行為に基づく損害賠償請求が考えられるでしょう。また、必ずしも裁判で争う必要はなく、裁判外の和解により解決を図ることもあります。

裁判外で直接相手方に交渉する場合と、裁判手続きを使う場合では弁護士の活動内容や費用に違いが生じます。そのため、どの方法で行うのか、どのような費用が生じるか、担当弁護士としっかり打ち合わせておくことが大切です。

法律事務所によって弁護士費用はさまざまですので、どの手続きにいくらかかるのか、依頼の前にいくつかの法律事務所で見積もりをとり、比較検討することをおすすめします。
なお、相手方に資力が無い場合は損害賠償手続きを行っても、空振りに終わるというリスクもあります。

発信者の特定・損害賠償請求には、「時間」と「お金」がかかります。特定に至るまで1年近くかかるケースもあるため、ある程度時間がかかることを見込んでおきましょう。また、裁判手続きを行う場合、弁護士費用をあらかじめ準備しておく必要があります。

5chの匿名投稿で誹謗中傷を受けたり、個人情報が暴露された場合、転載や拡散が広がらないうちに削除依頼をする必要があります。自分で対応することもできますが、5ch掲示板の特徴や、5chの複雑な削除ルールを熟知していないと、なかなか削除の主張が通りにくい実情があります。

5chの削除依頼は、インターネットや法律について理解していることを求められる場面もありますので、ネットに詳しい法律事務所への相談を検討してみてください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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