第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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業務妨害罪で逮捕されたら?弁護士に相談して早めに対策を!
- 業務妨害罪はどのような場合に成立する?
- 業務妨害罪で逮捕されたらどうすればいい?
- 業務妨害罪で弁護士をつけるメリットとは?
業務妨害罪は「他人の業務」を妨害した場合に成立する犯罪で、「偽計業務妨害罪」と「威力業務妨害罪」に分けられます。
偽計業務妨害は虚偽の情報などを使って業務を妨害する行為で、威力業務妨害は暴力や脅迫などで妨害する行為です。
具体的には「ネットでの殺害予告」「しつこい迷惑電話」などが業務妨害罪に該当するおそれがあります。
業務妨害罪で逮捕された場合の流れは、どのように進むのでしょうか。
このページでは、業務妨害罪の成立要件や刑罰、弁護士の利点などを詳しく解説します。
目次
業務妨害罪とは
偽計業務妨害罪
偽計業務妨害罪とは、虚偽の情報を流布するなど、不正な手段を用いて他人の業務を妨害する犯罪です。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法233条
虚偽の風説の流布
虚偽の風説の流布とは、客観的事実と異なる噂や情報を広めることです。インターネット上で商品のデマ情報を流して業務を妨害する行為などが典型例となります。
虚偽の風説を流布した結果、企業などの経済的信用を毀損した場合には信用毀損罪が成立します。
虚偽の風説の流布は、業務妨害にも信用毀損にもなるケースが大半です。両罪が成立した場合には観念的競合(刑法54条1項)になり、重い方の刑罰のみが科せられます。
しかし、偽計業務妨害罪と信用毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、両罪が成立したとしても刑の上限は変わりません。
実際の事例としては、コンビニで購入したジュースに洗剤を混入させて警察に通報した後、マスコミが「異物混入事件」と全国報道してしまった事案で、ジュースの購入者に信用毀損罪で有罪判決が出ています。(最判平成15年3月11日)
偽計
「偽計」とは、他人に嘘をついて騙したり他人の錯誤や勘違いを利用したりすることです。
いたずら電話や嘘の通報などが偽計を用いた業務妨害の代表例となります。
威力業務妨害罪における「威力」に該当しない不正な手段を用いた妨害行為に対しては、原則として偽計業務妨害罪が適用されます。
実際の事例としては、約2か月の間に300回以上の無言電話を銀行にかけ、業務を妨害した事案で、有罪判決が出ています。(岡山地裁平成28年10月17日)
威力業務妨害罪
威力業務妨害罪とは、威力を用いて他人の業務を妨害する犯罪です。
法定刑は偽計業務妨害罪と同じです。
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
刑法234条
威力とは、「人の自由意思を制圧するに足る勢力の使用」のことです。
暴行や脅迫の他にも、地位を利用したり集団で威圧したりする行為などが含まれます。
実際の事例としては、「勾留中の被告人を殺害する」と拘置所に電話連絡し、拘置所の正常な業務の遂行を妨害した事案で、有罪判決が出ています。(大阪地裁令和4年12月22日)
業務妨害罪の刑罰
偽計業務妨害罪は刑法233条、威力業務妨害罪は刑法234条に則り、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。
どちらも非親告罪であるため、被害者からの刑事告訴がなくても起訴される可能性があります。
しかし、被害者との示談が成立していて、妨害行為による社会的な影響が大きくなければ、業務妨害罪は不起訴処分となる場合の方が多いです。
被害者との示談交渉の際には弁護士に代行してもらうことで、不備のない示談を成立させることができるでしょう。
弁護士であれば、事案に応じた最適な示談金を調整、交渉することも可能です。
業務妨害で逮捕されたら
業務妨害で逮捕されやすいケース
業務妨害で逮捕されやすいケースとしては「業務妨害の前科・余罪が多数」「何度も業務妨害を繰り返している」「業務妨害による被害の程度が大きい」等が挙げられます。
しかし、業務妨害をしたとしても必ず逮捕されるわけではありません。
2022年の検察統計によると、業務妨害の逮捕率は約40%(308件/759件)となっています。
業務妨害をしてトラブルになっている場合や、警察から連絡が入って今後の逮捕が不安であれば、弁護士に相談してください。
業務妨害で逮捕された場合の流れ
業務妨害で逮捕されると、すぐに釈放されない限り、最長48時間にわたる警察の取り調べが行われます。
その後、検察に身柄が送致され、検察官による取り調べに進みます。
捜査のためにさらなる身柄拘束が必要だと検察官が判断した場合は、身柄が送致されてから24時間以内に勾留請求が行われます。
裁判官が勾留請求を許可した場合、10日間の勾留に入り、被疑者は身柄を拘束されます。
勾留はさらに10日間延長される可能性があります。
業務妨害で逮捕された後の対処法
業務妨害で逮捕された後は、警察に誘導されるがまま取り調べに応じないように注意してください。
業務妨害で逮捕された後の取り調べでは、「被疑者自身の生い立ち」「業務妨害に至った経緯や手段」「余罪の有無」などについて聞かれることが多いです。
話したら自身の不利になる情報や、わざわざ話す必要のない事項など、何をどこまで話すべきかについては、刑事事件の手続きに詳しくなければ判別がつきません。
もしご家族が業務妨害で逮捕されているのであれば、なるべく早く弁護士に接見を依頼してください。
取り調べが進む前にご本人にアドバイスを送ることができます。
接見については「弁護士の接見|逮捕後すぐ面会可能!接見費用は?弁護士接見の必要性」の記事をご覧ください。
業務妨害に関するよくある質問
業務妨害罪にはどのような種類がある?
業務妨害罪には、「偽計業務妨害罪」と「威力業務妨害罪」の2つがあります。
偽計業務妨害罪とは、虚偽の情報を流布するなど、不正な手段を用いて他人の業務を妨害する罪です。
威力業務妨害罪とは、暴力や脅迫など威力を用いて他人の業務を妨害する罪です。
偽計業務妨害と威力業務妨害の違いは?
偽計業務妨害と威力業務妨害は、両方とも「業務の円滑な遂行を妨害する行為」を指しており、実質的な違いはありません。
公然と被害者が気付くように妨害した場合には威力業務妨害、非公然と被害者が気付かないように妨害した場合には偽計業務妨害と使い分けられることが多いです。
業務妨害罪による刑罰は?
業務妨害罪による刑罰については、刑法で定められています。
威力業務妨害罪は刑法234条、偽計業務妨害罪は刑法233条に則り、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
業務妨害をした場合、上記の刑罰とは別に損害賠償請求をされる可能性もあります。
業務妨害罪で逮捕されたら?
業務妨害で逮捕された場合は、早めに弁護士に相談することが重要です。
弁護士は、取り調べを受ける際のアドバイスや被害者との示談交渉といった弁護活動を通じて、不当な身柄拘束や起訴の回避に努めます。
業務妨害トラブルを防ぐために気を付けるべきこととは?
業務妨害を防ぐためには次のことに気を付けて、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
- 他人の業務を妨害するような行為をしない
- 他人とトラブルになった場合は冷静に対処する
- 必要に応じて弁護士に相談する
業務妨害で逮捕されたら弁護士にすぐ相談を
業務妨害で逮捕された場合、弁護士に相談することが重要です。弁護士は、取り調べを受ける際のアドバイスや被害者との示談交渉といった弁護活動を通じて、不当な逮捕や起訴の回避に努めます。
そのため業務妨害で逮捕された場合は、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
偽計業務妨害罪に問われる行為は、「虚偽の風説の流布」又は「偽計」を用いた業務妨害です。