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覚醒剤の初犯は懲役1年6ヵ月?初犯なら執行猶予?刑罰の弁護士解説
- 覚醒剤事件の初犯の刑罰は?懲役○年?
- 覚醒剤は初犯なら執行猶予がつく?再犯はどうなる?
- 覚醒剤で逮捕された。その後の手続きはどうなる?
覚醒剤事件で初犯の場合、どのくらいの刑罰を覚悟すればよいのでしょうか。
また、刑務所に行かずにすむ方法はないのでしょうか。
実は、刑罰には相場があるといわれています。
法律では、覚醒剤の使用・所持なら「10年以下の懲役」と定められていますが、実際の刑の相場はまた違います。
たとえば、覚醒剤の初犯であれば、その刑罰の相場は「1・6・3」といわれています。
この記事を読めば、初犯の相場「1・6・3」を獲得できる条件や対策が分かります。
また、覚醒剤の刑罰全体(懲役刑の内容、実際の相場、執行猶予の条件など)についても解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
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覚醒剤の初犯!刑罰は?(相場まとめ)
初犯の相場は?執行猶予の条件は?
覚醒剤事件(所持・使用)が初犯の場合、刑罰の相場は「懲役1年6ヵ月、執行猶予3年」です。
執行猶予がつけば、すぐに刑務所に行く必要はありません。
執行猶予とは
懲役刑の有罪判決を言い渡されてもすぐには刑務所に入らず、一定期間罪を犯さずに過ごせば、刑の言渡しの効力が失われる制度
例えば覚醒剤使用で「懲役1年6ヶ月、執行猶予3年」の判決を受けた場合、刑の言渡しから3年間犯罪を犯すことなく過ごせば、刑務所で服役することはありません。
執行猶予の期間中は、家で生活します。その間、刑事事件をおこさなければ、それで刑罰は終わります。
ただし、覚醒剤の初犯で執行猶予つき判決を得るには、いくつかの条件があります。
それは、営利目的がないこと、ほかの薬物犯罪の前科がないこと、今後の環境整備などです。
覚醒剤初犯の刑罰(相場)
以下のような条件がそろうと、覚醒剤所持・使用の初犯は「懲役1年6ヵ月、執行猶予3年」が相場になります。
- 覚醒剤の所持・使用
- 初犯であること
- 営利目的がないこと
- ほかの薬物犯罪の前科がないこと
- 今後の環境整備ができていること
初犯なら前科はつかない?
覚醒剤所持・使用で初犯の場合でも、前科がつく可能性はあります。
そもそも「前科」とは「有罪判決をうけた履歴」のことです。
したがって、有罪判決を受ければ前科がつきます。
一方、無罪判決をうけたり、不起訴になったりした場合は、前科はつきません。
たとえば、覚醒剤事件の初犯について「懲役1年6月、執行猶予3年」という判決が出されたとします。
このような執行猶予つき判決も、有罪判決の一種ですので、前科はつきます。
前科がつくかどうかは、実際に刑務所に入ったかどうかに関係ありません。
覚醒剤事件の初犯の場合でも、(執行猶予つき判決をうければ)前科がつくことになります。
初犯以外の相場は?執行猶予は?
覚醒剤事件が初犯ではない場合、一般的にみると、執行猶予がつく可能性は低くなる傾向があります。
覚醒剤事件が初犯ではない場合の「刑罰の相場」としては、「懲役1年~1年6ヵ月程度の実刑」になる傾向が強いです。
ただし、絶対に執行猶予が付かないとは断言できません。
諸般の事情が考慮された結果、覚醒剤で再度有罪となっても、執行猶予がつく可能性はあります。
具体的に執行猶予がつくには、以下の要素が重要です。
覚醒剤で執行猶予がつくためのポイント
- 家族や上司などの情状証人や被告人を監督することを誓約した者がいる
- 薬物依存を克服するため、病院に通院したり自助グループに参加している
弁護士と協力することで、情状証人や監督を宣誓する者から「釈放されたら自分が責任をもって監督する」という証言や誓約書が得られれば、執行猶予を獲得できる可能性があがります。
また、保釈されている間に薬物依存の治療に参加することで、有利な情状となります。
刑法上は、覚醒剤の懲役刑で出所したときから5年以内にまた罪を犯し有罪となることが「再犯」と定義されています。
覚醒剤所持・使用の「再犯」の場合、20年以下の懲役刑となります。
また「再犯」の場合、初犯よりも重い刑罰となる傾向があります。
初犯の執行猶予中!また逮捕されたら?
執行猶予期間中に再度覚醒剤使用・所持などの罪を犯してしまった場合、執行猶予がつくことは非常にまれです。
再度の罪で執行猶予がつかないと、前の罪の執行猶予が取り消されてしまい、より長期間の懲役刑となります。
例えば前の罪「懲役1年6ヶ月、執行猶予3年」の執行猶予期間中に、「懲役2年」の判決を言い渡された場合、合計3年6ヶ月の懲役刑に服することになります。
再度の執行猶予がつく条件に「1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきとき」というものがあり、覚醒剤の再犯でこれが満たされることはほぼありません。
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実際の刑罰は?(実例まとめ)
【覚醒剤使用】の懲役は?
覚醒剤に関する違法行為は、覚醒剤取締法で定められています。
法律に定められた法定刑と、裁判の判決で下される実際の刑罰を比べてみましょう。
次の各号の一(いずれか)に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
一 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
覚醒剤取締法41条の3第1項1号
覚醒剤をみだりに使用した場合の法定刑は「10年以下の懲役」ですが、実際の刑罰の相場は懲役1年6ヶ月~2年(初犯であれば執行猶予3年程度)ほどです。
覚醒剤使用の懲役刑 | 割合 |
---|---|
懲役1年以上2年未満(全部執行猶予) | 27.8% |
懲役1年以上2年未満(一部執行猶予) | 10.0% |
懲役1年以上2年未満 | 17.3% |
懲役2年以上3年以下(全部執行猶予) | 8.6% |
懲役2年以上3年以下(一部執行猶予) | 9.3% |
懲役2年以上3年以下 | 22.0% |
懲役3年を超える | 4.9% |
また、全体で見ると全部執行猶予が36.4%、一部執行猶予が19.3%、実刑が44.3%となっています。
覚醒剤の使用は初犯であれば、執行猶予がつくのが一般的です。
一方で再犯の場合は、適切な弁護活動なしで執行猶予を獲得するのは非常に難しくなっています。
【覚醒剤所持・譲渡・譲受】の懲役は?
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(略)は、10年以下の懲役に処する。
覚醒剤取締法41条の2第1項
覚醒剤所持の法定刑は「10年以下の懲役」ですが、実際の刑罰の相場は懲役1年6ヶ月~2年(初犯であれば執行猶予3年程度)・覚醒剤の没収です。
覚醒剤所持・譲渡・譲受の懲役刑 | 割合 |
---|---|
懲役1年未満(一部執行猶予) | 0.1% |
懲役1年未満 | 0.3% |
懲役1年以上2年未満(全部執行猶予) | 27.6% |
懲役1年以上2年未満(一部執行猶予) | 8.5% |
懲役1年以上2年未満 | 12.3% |
懲役2年以上3年以下(全部執行猶予) | 17.3% |
懲役2年以上3年以下(一部執行猶予) | 8.9% |
懲役2年以上3年以下 | 17.6% |
懲役3年を超える | 7.4% |
【営利目的の覚醒剤所持・譲渡・譲受】の懲役は?
営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
覚醒剤取締法41条の2第2項
「営利の目的」とは、覚醒剤の譲渡などの行為によって財産上の利益を得ることを動機としている場合を指します。
簡単に言うと、無償で第三者に譲った場合は単純譲渡罪となりますが、対価を得て売った場合は営利目的譲渡罪となります。
営利目的での覚醒剤所持の法定刑は「1年以上の懲役(情状により+500万円以下の罰金)」です。
ですが、実際の刑罰では懲役5年前後・所持量に応じた罰金数十~数百万円となるのが一般的です。
営利目的の覚醒剤所持・譲渡・譲受の懲役刑 | 割合 |
---|---|
懲役1年以上2年未満 | 1.1% |
懲役2年以上3年以下(全部執行猶予) | 2.2% |
懲役2年以上3年以下(一部執行猶予) | 1.1% |
懲役2年以上3年以下 | 27.5% |
懲役3年を超え5年以下 | 50.5% |
懲役5年を超え10年以下 | 17.6% |
【営利目的の覚醒剤輸入・輸出・製造】の懲役は?
営利目的でない覚醒剤輸入等の罪も定められていますが、輸入等は営利目的を伴っているものがほとんどです。
覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(略)は、1年以上の有期懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期もしくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期もしくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
覚醒剤取締法41条
営利目的の覚醒剤輸入等の法定刑は「無期もしくは3年以上の懲役(情状により+1000万円以下の罰)」ですが、実際の刑罰は以下のようになっています。
営利目的の覚醒剤輸入・輸出・製造の懲役刑 | 割合 |
---|---|
懲役2年以上3年以下(全部執行猶予) | 0.9% |
懲役3年を超え5年以下 | 1.9% |
懲役5年を超え10年以下 | 84.3% |
懲役10年を超える | 13.0% |
覚醒剤で逮捕された後は?(手続まとめ)
逮捕後の刑事手続きの流れは?
逮捕されてからは、3日間警察・検察で取り調べられ、その後も最大20日間拘束され、起訴されるかどうかが決定されるのが基本的な流れです。
覚醒剤使用・所持は必ず逮捕される?
覚醒剤の使用後に尿検査で陽性が出た場合や、覚醒剤の現物を所持しているのが見つかった場合には、逮捕される可能性は非常に高いです。
原則として被疑者を逮捕するには①嫌疑の相当性と②逮捕の必要性が必要です。
覚醒剤をはじめとする薬物事件は、①嫌疑の相当性・②逮捕の必要性というこの2点を満たしやすい傾向があります。
覚醒剤の現物があれば違法行為をした疑いは十分であり、また覚醒剤はトイレに流したりすることで証拠隠滅が容易であるためです。
覚醒剤で逮捕されたら勾留される?
覚醒剤で逮捕されると、高い割合で勾留されます。
なぜなら釈放することで、覚醒剤使用者間で連絡を取り合ったり、まだ押収されていない覚醒剤が証拠隠滅されてしまうおそれがあるためです。
そのような恐れがないと考えられる場合は、準抗告を行い釈放を求めることもできます。
ただし薬物事件の場合、準抗告が認められることは現時点では非常にまれです。
実際に覚醒剤で起訴された者・不起訴となった者・家裁送致された者のうち、98.4%が勾留されていたという統計もあります(令和2年犯罪白書)。
覚醒剤のQ&A┃初犯なら大丈夫?
初犯なら不起訴になる?
初犯でも起訴されることはあります。
覚醒剤で逮捕・送検されたあとに起訴される(裁判となる)割合は、75%となっています。
ですが、不起訴になるケースもあります。
薬物事件では、以下のような事情が無ければ基本的に起訴となります。
覚醒剤事件が不起訴になるパターン
- 覚醒剤使用の容疑だったが、尿検査が陰性だった
- 尿検査の方法が不適切だった
- 合法の薬物のつもりで購入。覚醒剤ではないと認識していた
- 手に入れた薬の中に、たまたま覚醒剤が混入していた
- 他者からの証言で逮捕されたが、覚醒剤の購入などを裏付ける証拠が無かった
- 同居人が覚醒剤を所持していて共同所持が疑われたが、実際は関与していなかった
覚醒剤で不起訴になるのは、証拠が不十分だったり、捜査手続きに違法があるといったケースが多いでしょう。
覚醒剤で逮捕されてしまった場合、勾留や起訴を避けるのは難しいケースがほとんどです。
ですので執行猶予の獲得を目指し、刑務所に入らず済むようにするのが基本的な弁護活動となるでしょう。
初犯なら釈放される?(起訴後の保釈)
起訴が決定した後も勾留されている場合には、条件を満たしていれば、被告人を保釈(一時的な身柄拘束からの解放)するよう請求できます。
(初犯でない場合、保釈の条件がきびしくなる可能性はありますが、)一定の条件を満たせば、初犯であるかどうかにかかわらず、保釈の申請は許可されるでしょう。
保釈が許可されれば、自宅で生活できるようになります。
薬物治療や、今後の刑事裁判の準備のために、十分な時間をあてることができるようになります。
特に薬物依存の治療プログラムに参加することは、執行猶予を得るうえで非常に重要です。
保釈の効果
- 弁護士と十分な打ち合わせの時間がとれる
- 家族へのケアや、会社への連絡ができる
- 保釈期間中に就労したり、薬物依存の治療プログラムに参加することができる
- 薬物治療を受けていることが有利な情状として評価される場合がある
なお、保釈をしてもらう条件の1つに保釈金の支払いがあります。
覚醒剤事件の保釈金の相場は、およそ150~200万円です。
もっとも、実際の保釈金は犯罪行為の悪質性や被疑者の資産状況などによって大きく変化します。
保釈金は裁判が終了した後に返ってきます。
まとまった金額が用意できない場合は、日本保釈支援協会など、保釈金の立替システムを利用することもできます。
初犯なら必ず執行猶予になる?
覚醒剤の使用は初犯であれば、執行猶予がつくのが一般的です。
ですが、「適切な弁護活動をおこなう」ことが、初犯で執行猶予がつくための必要条件といえるでしょう。
まずは、弁護士に覚醒剤事件の概要を伝えます。
そして、今後、覚醒剤事件を二度とおこさないような対策を一緒に立ててもらって、実行する必要があります。
薬物依存症の治療や、薬物をあつかわないように家族に見守られて生活できる環境があるなどの環境整備が必要です。
また、薬物関係の仲間との縁を切ることも必要でしょう。携帯電話から連絡先を削除したり、お引越しをしたりする等の方法で一切の連絡を絶つ努力が必要になります。
そうすれば、裁判官に「この人は、覚醒剤事件を二度とおこさず、更生できる可能性のある人だ」と思ってもらえるので、執行猶予がつく可能性があがるでしょう。
初犯で不安…弁護士面会はいつでも可能?
覚醒剤で初めて逮捕された方のご家族は、今後の流れや留置場の生活について大変心配されていることと存じます。
また、実際に逮捕されてしまったご本人も、取調べに明け暮れる毎日に不安をかかえていることが多いです。
こんなときは、留置場で面会をしたいところですが、薬物事件の場合、共犯者でないご家族であっても面会が禁止されることが多いです。
ですが、弁護士面会(接見)は禁止されません。弁護士と面会する権利は、逮捕された被疑者、被告人に保障されているからです。
弁護士がいれば、留置場まで面会にきてくれて、家族に近況報告ができるようになります。
それだけだなく、弁護士は、連日の取調べに対するアドバイスをしてくれます。
取り調べの対応は、事件ごとに様々なパターンが考えられます。
たとえば、無罪主張の場合、黙秘をつづける必要があるでしょう。
覚醒剤所持・使用を認めたうえで執行猶予をめざす場合でも、冷静に対応していく必要があるでしょう。
弁護士は、取調べで、どんなやりとりをしたのかを聞いてくれます。そして、そのうえで、その時々に応じた方針をたててくれます。
弁護士は、不安なことがあれば、何でも相談できる存在です。弁護士がいれば、法的アドバイスだけでなく、精神的な支えにもなってくれるので、心強いといえるでしょう。
覚醒剤の初犯・逮捕の悩みの相談窓口は?
24時間受付中!弁護士相談予約窓口は?
覚醒剤は初犯であれば、執行猶予がつく可能性は高いといえるでしょう。
ですが、その後、執行猶予期間中、再度、覚醒剤を手に取ってしまうという方が多いのも事実です。
覚醒剤は繰り返し罪を犯してしまう方が多く、また再犯の場合は高確率で懲役刑となってしまいます。
社会復帰のため大切なのは、長期間の実刑よりも根本から薬物を断ち、治療を行っていくことです。
そのためには弁護士が積極的に活動を行い執行猶予を得ること、そしてご家族の方がその後の生活をサポートしていくことの両方が必要です。
アトム法律事務所では刑事事件の逮捕などでお悩みの方を対象に、24時間365日、土日、深夜でもつながる電話相談予約窓口を開設しています。
もしも覚醒剤で家族や知人が逮捕されたとご連絡があれば、まずはお電話ください。
皆様のご相談をお待ちしております。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
営利目的がなく、初犯である場合、適切な弁護活動をうければ、執行猶予付きの判決を目指せる可能性が高いでしょう。
一方、営利目的があり、かつ所持量が1キロ以上など多量の場合は、執行猶予がつかない可能性が高くなります。
そのほか、もしも覚醒剤で即決裁判となると、必ず執行猶予がつきます。
即決裁判とは被告人本人の同意などの条件を満たしたうえで行われる、簡易的な手続きの裁判です。