岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

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余罪捜査はどこまでされる?発覚したら罪は重くなる?

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余罪とは、 捜査が行われている事件とは別に、過去に犯したと疑われる事件のことです。 捜査機関は、ある事件をきっかけに、過去の余罪についても厳しい追及を行うことがあります。

「あの時の件も調べられるかもしれない…」「余罪はどこまで正直に言うべきなのか…」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、余罪の捜査を心配している方に向けて、警察はどこまで余罪捜査を行うのか、余罪が発覚するとどうなるのかなど、余罪捜査について詳しく解説していきます。

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余罪捜査はどこまでされる?

「余罪」とは、捜査や起訴の対象となっている犯罪事実(本罪)とは別に、同一の被疑者や被告人が犯した疑いがある別の罪のことです。

捜査の過程で逮捕や起訴をされる場合には、逮捕状や起訴状に犯罪事実が記載されます。

逮捕状や起訴状には、氏名、年齢、住所といった本人を特定できる事柄や、事件の起こった日時や場所、誰に対してどういったことを行ったかという犯罪事実が記載されます。

この逮捕状や起訴状に記載されていない犯罪のことを余罪といいます。

【原則】余罪捜査は行われない

一般的に、捜査機関は特定の犯罪についてのみ調査を行う権限を持っており、余罪に関する捜査は原則として行われません。これは刑事事件における事件単位の原則に基づくものです。

事件単位の原則とは、逮捕や勾留の効力が、その身体拘束の基礎となった被疑事実にのみ及び、それ以外の事実には及ばないとする原則です。

被疑者の権利を守るためと、捜査の範囲が無制限に広がらないようにするための措置とされています。

これらの原則を捜査機関が破ると、逮捕・勾留していない事件に対しても身体拘束をしたうえで捜査することができるようになってしまいます。そのため、余罪捜査は原則制限されているのです。

【例外】繰り返し行われる犯罪は余罪捜査される

例外的に余罪捜査が認められるケースもあります。繰り返し行われる犯罪、つまり常習性が認められる場合や、複数の事件が関連していると考えられるケースは余罪捜査が認められます。

たとえば、盗撮事件や窃盗事件などの犯罪は、繰り返し行われる傾向にあり、捜査機関側も当然そのことを知っています。そのため、過去に同様の罪を犯していないか捜査されることが多いです。

また、詐欺事件など、同様の手口で行われた複数の事件が被害届として集まった場合、それらが同一の犯人による仕業である可能性が高いとして捜査が進められることもあります。

警察はどこまで余罪を調べる?

事件を起こしてしまった場合、警察はどこまで余罪を調べるのでしょうか。事案によっても異なりますが、主な余罪捜査を罪名ごとに解説します。

盗撮

盗撮は、初めての盗撮で捕まるケースは少なく、過去に似たような犯行を繰り返している可能性が高いです。押収したデジタル機器などのデータをもとに、入念な捜査が行われます。

  • デジタル機器の解析
  • SNSやメールの調査

警察は盗撮に使われたカメラやスマートフォンのデータを分析し、保存されている映像や画像を徹底的に調査します。削除したデータも、データ解析により、復元できる場合があります。

また、インターネットに撮影された映像・画像が公開されている可能性があるため、それらの痕跡もSNSのメッセージやメールなどから確認します。

万引き

万引きは、経済状況や精神疾患によって繰り返し行われることが多い犯罪です。同一店舗や他店舗でも行われている可能性があるため、余罪捜査が行われます。

  • 防犯カメラの解析
  • 商品の確認
  • 転売目的の有無

万引きをした店舗に防犯カメラが設置されていた場合には、犯行日に限らず、過去の映像までさかのぼって確認することがあります。

また、自宅から押収した物品と万引きされた商品とを比較し、余罪の証拠とします。高額商品や大量の商品を盗んでいる場合、転売目的の疑いも視野に入れて捜査を進めることもあります。

もっとも、万引き・窃盗の余罪の被害届が提出されていない場合、余罪があるかどうかを、警察が積極的に調べるケースは少ないでしょう。被害者が被害を申し出ていない限り、警察の捜査は限定的になる傾向があるからです。

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薬物

大麻や覚せい剤などの薬物犯罪も、余罪が発覚する可能性が高いです。薬物犯罪は、組織的な犯罪に関わっている可能性が高く、資金源や売人など、事件の背景まで広範囲な捜査が行われる傾向にあります。

  • 通信履歴の調査
  • 証拠物の検査

警察は携帯電話やインターネットの通信履歴から、他の取引相手や取引をした日程、交友関係を詳しく調査します。

また、押収した薬物や器具について、所持期間や使用頻度を詳細に分析します。

余罪が発覚するきっかけとなるものは?

余罪が発覚するきっかけとなるものとして、以下のものが挙げられます。

余罪が発覚するきっかけとなるもの

  • 警察の捜査
  • 被害届の提出
  • 取り調べ中の被疑者・共犯者の自白

警察の捜査

警察が既に発覚している事件を調査する過程で、余罪を見つけることがあります。

たとえば、盗撮事件で被疑者が使用したスマートフォンや小型カメラを押収してデータ解析を行った結果、本罪とは別の盗撮データが見つかるといったケースです。

被害届の提出

複数の被害者がそれぞれ警察に被害届を提出することで、余罪が浮上することもあります。

とくに被害者が知り合いの場合は、一人の被害届提出をきっかけに、複数人から被害届が提出されることがあります。

取り調べ中の被疑者・共犯者の自白

本罪が繰り返し行われる犯罪の場合には、警察に厳しく追及された加害者が自白し、余罪が発覚することがあります。

また、共犯者がいる犯罪では、本人が自白しなくても共犯者の自白によって、余罪が発覚するケースも珍しくありません。自白をすることで刑罰が軽減されることもあるので、取り調べの自白は余罪発覚につながりやすいと言えます。

余罪が発覚したら罪は重くなる?

警察の捜査や被害届の提出などにより、余罪が発覚したらどうなるのでしょうか。本罪との関係についてみていきましょう。

本罪の裁判で余罪が処罰されることはない

一つの裁判では、原則としてその裁判で起訴されている特定の犯罪(本罪)のみが審理の対象となります。

したがって、余罪については本罪とは別に立件されて起訴されない限り、その裁判で直接的に処罰の対象となることはありません

余罪があると本罪の量刑が重くなる可能性はある

余罪を処罰する目的で量刑を重くすることはできませんが、量刑を決める一資料として余罪が考慮されることはあります。その結果として、本罪の量刑が重くなる可能性はあります。

量刑を決める際、犯情(犯行の動機、態様、結果等)や一般情状(被告人の性格等)も考慮する必要があり、余罪はこれらを推測する資料になるからです。

たとえば、余罪が多数ある場合は、それだけ常習性が高いと推測されます。したがって、犯罪を繰り返さないようにするため量刑が重くなることが考えられます。

つまり、余罪自体が直接その裁判で処罰の対象になるわけではありませんが、その存在が裁判官の心証に影響を与え、量刑に反映される可能性があるということです。

余罪が起訴されると本罪と併せて罪が重くなる場合もある

余罪が本罪と別に立件され、起訴されると罪が重くなる場合もあります。判決が確定する前の罪が2個以上ある場合には、それぞれの罪について個別に審理が行われ、裁判所は総合的に量刑を判断するからです。

併合罪では、通常の刑罰よりも刑の上限が引き上げられ、懲役又は禁錮刑について、一番重たい刑罰の期間の上限が1.5倍となります(刑法第47条本文)。しかし、法定刑の長期の合計を超えることはできません。

併合罪の例

  • 窃盗罪(懲役10年)と窃盗罪(懲役10年):15年以下の懲役
  • 窃盗罪(懲役10年)と器物損壊罪(懲役3年):13年以下の懲役

これにより、全体として科される刑罰が重くなることがあります。

余罪がある場合の取り調べはどう対処すべき?

余罪がある場合に警察から呼び出しを受けて取り調べを受けることになると、余罪はどこまで話すべきか悩んでしまう方は多いでしょう。

余罪を自白する義務はない

法律上、余罪について自白する義務はありません。たとえ、警察などの捜査機関から厳しい追及を受けたとしても黙秘権を行使することが可能です。

黙秘権は「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」という憲法38条1項の保障を拡張したものです。冤罪を防ぐため被疑者・被告人に認められた正当な権利、それが黙秘権です。黙っていることを引け目に感じる必要はありません。

余罪を自白しないことが不利に働く可能性はある

余罪について自白しないことが常にプラスに働くとは限りません。というのも、たとえ自白がなくても、防犯カメラの映像や解析したデータなどの証拠で起訴されてしまうこともあるからです。

この場合、余罪について正直に自白しなかった態度から反省していないととらえられ、事実上量刑が重くなる可能性があります。

余罪の自白はとても難しい問題なので、ご本人が自分で対応を決めるのは避けるべきです。取り調べで余罪について聞かれたら即答するのはやめましょう。

余罪を自白するかどうかは、弁護士に相談してメリット・デメリットを十分に検討した上で決めることをおすすめします。

余罪を自白すると量刑はどうなる?

事案によるので一概には言えませんが、通常、「余罪を自白したこと」=「反省している」と判断される傾向があります。

余罪の自白に加え、示談や被害弁償の実施、家族による監督の誓約、初犯であるなどの事情が重なれば、罰金刑や執行猶予付き判決になる可能性が高くなるでしょう。

また、捜査機関に発覚していない余罪を犯人が自発的に述べた場合、自首が成立する可能性があります。自首が成立すると、刑法42条1項が適用され、裁判官の裁量により刑が減軽されます。

余罪捜査に対して不安がある方は弁護士に相談

刑事手続きが進行する中で、余罪に関する不適切な対応をとると、予期せぬ不利益を被る可能性があります。このような状況を避けるためには、早い段階で弁護士に相談することが重要です。たとえ余罪があったとしても、適切な弁護活動を通じて不起訴や刑の軽減が期待できます。

今後の適切な対応を知ることができる

余罪がある場合、自白すべきか、示談をどのように進めるべきかなど、多くの問題に直面することになります。こうした問題に対し最良の対応を取るためには、刑事弁護の経験が豊富な弁護士のサポートが欠かせません。

弁護士は、接見や捜査機関とのやり取りを通じて、事件全体の見通しを立てます。ご本人の利益を最大限に守るための弁護方針を策定し、今後とるべき具体的な行動をわかりやすく説明します。

不当な取り調べや身体拘束からの解放

取り調べで余罪について質問を受けた時は、すぐに弁護士に相談しましょう。余罪の取り調べには法的な制限があり、無制限に行われるものではありません。もし無理に供述を求められたり、不当な取り調べが行われた場合、弁護士が直ちに捜査機関に抗議します。

さらに、余罪を理由に勾留されたり、勾留が延長されたりした場合には、弁護士が釈放に向けた手続きを行います。勾留取り消し請求や準抗告を申し立て、不当な身体拘束から一日でも早く解放されるよう最善を尽くします

勾留取り消し請求や準抗告について詳しく知りたい方は『勾留請求は阻止できる?勾留の要件や回避策は?刑事事件に強い弁護士』の記事をご覧ください。

示談交渉で不起訴や刑の軽減が可能に

余罪を含めた示談を行うことで、不起訴処分になったり刑が軽減されたりする可能性が高まります。しかし、余罪が多数ある場合、示談の優先順位や金額の配分を慎重に考える必要があります。全額弁償が難しい場合、被害者に対し丁寧な説明が求められます。

弁護士は、それぞれの事案に応じ、ご本人にとって最も有利な形で示談交渉を行います。経験豊富な弁護士のサポートを受けることで、最善の結果が期待できるでしょう。

不安を抱えず、お一人で悩まず、まずは弁護士に相談してください。

アトム法律事務所では、24時間・全国対応の相談予約窓口を設置しています。警察介入事件の場合、初回30分の相談料は無料0円です。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了