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セクハラは犯罪?女性に抱きついたり胸を触ったりしたら何罪になる?身体に触れる罪の示談金相場
- 女性に抱きついたら何罪?
- セクハラのつもりはないが警察に訴えると言われた
- 身体に触れたことで罪に問われた…示談金相場は?
職場での悪ふざけのつもりでも、女性に抱きついたり胸を触ったりした場合には、セクハラとして訴えられるケースがあります。
セクハラをしたら、必ず刑事上の責任を問われ、犯罪になるわけではありません。しかし、セクハラの態様によっては不同意わいせつ罪や暴行罪などの犯罪が成立し、刑罰が科せられる可能性があります。
身体に触れてしまったことで罪に問われた場合、必要な示談金の相場は50万円です。
この記事では、セクハラを筆頭に、女性に抱きついたり胸を触ったりすることで成立する犯罪の内容と犯罪にあたるセクハラをしてしまった場合の対処法を解説します。
目次
セクハラで成立する主な犯罪
女性に抱きついたり胸を触ったりする|不同意わいせつ罪
不同意わいせつ罪とは、相手の同意がない状態でわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
相手の同意を得ることなく、突然女性に抱きついたり胸を触ったりする行為は、不同意わいせつ罪に問われる可能性があります。
特に抱きつくと同時に胸を触る、無理やりキスをするなどの行為は、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。
また、わいせつ目的で抱きついたものの、抵抗されて身体を触れなかったようなケースでも、不同意わいせつの未遂罪が成立する可能性が高いです。
そのほかにも不同意わいせつ罪が成立する要件として、下記の行為や状態を利用してわいせつを行う場合があげられます。
不同意わいせつ罪が成立する要件
- 暴行・脅迫
- 心身の障害
- アルコール・薬物の影響
- 睡眠その他の意識不明瞭
- 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがない
- 予想と異なる事態に直面させ恐怖・驚愕させた
- 虐待に起因する心理的反応を用いた
- 経済的・社会的関係上の地位を用いた
職場における上司と部下の地位を用いて「拒否したら仕事に影響を与えるかもしれない」と不安を感じさせ、わいせつな行為をすることも、不同意わいせつ罪に問われます。
不同意わいせつ罪の刑罰は、6か月以上10年以下の拘禁刑です。
関連記事
・不同意わいせつ罪とは?逮捕されたらどうなる?強制わいせつ罪との違いを解説
相手の同意を得ずに性交する|不同意性交等罪
不同意性交等罪とは、相手の同意がない状態で性交等を行った場合に成立する犯罪です。
相手の同意を得ずに性交を無理強いしたような場合には、不同意性交等罪に問われる可能性があります。
不同意性交等罪でいう「性交等」とは、性交をはじめ、肛門性交や口腔性交、膣や肛門に陰茎以外のものを挿入する行為も含みます。
不同意性交等罪の刑罰は、5年以上20年以下の拘禁刑です。
不同意性交等罪について詳しく知りたい方は『不同意性交等罪とは?いつから適用される?強制性交との違いについて解説』の記事をご覧ください。
性的な事実を尋ねる|迷惑防止条例違反(卑猥な言動)
身体に触れる行為以外についても、セクハラで犯罪が成立することはあります。
たとえばオフィスで「初体験の年齢を執拗に聞く」「胸のサイズや好きな体位を聞く」などの行為は、迷惑防止条例の卑猥な言動に当たる可能性があります。
刑罰は各都道府県によって異なりますが、東京都の場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
脅迫・暴行を用いて性的な行為を強制する|強要罪
脅迫・暴行を用いて、執拗にデートに誘ったり、性的な関係を求めたりした場合には、強要罪に問われる可能性があります。
強要罪の刑罰は、3年以下の懲役です。
性的な内容を言いふらす|名誉毀損罪
名誉毀損罪は、公然と「事実」を摘示し、社会的な評価・名誉を傷つけた場合に成立する犯罪です。
不特定多数の社員が仕事している職場のオフィスなどで、「過去に何度も社内不倫している」「昇格のために部長と寝たらしい」といった被害者の性的な内容を言いふらすことで成立する可能性があります。
たとえ言いふらした内容が事実であっても、社会的な評価・名誉を傷つけたと判断されれば名誉毀損罪は成立します。
名誉毀損罪の刑罰は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。
【コラム】抱きつく行為(ハグ)は暴行罪に問われることもある
抱きつく行為(ハグ)は、不同意わいせつ罪ではなく、暴行罪に問われるケースもあります。
暴行罪と聞くと、殴る蹴るといった行為をイメージする方も多いと思いますが、暴行罪における「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
法律上は、同意なく物理的な力を他人に向ける行為であれば、相手に抱きつく行為も「暴行」になり得るのです。
暴行罪の刑罰は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
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・暴行罪で逮捕されたらどうなる?証拠がないと後日逮捕は難しい?
抱きつく行為が不同意わいせつではなく暴行罪に問われるのはなぜ?
では、なぜ抱きつく行為(ハグ)が不同意わいせつ罪ではなく、暴行罪に問われるケースがあるのでしょうか。
それは、不同意わいせつ罪が成立するには、「わいせつな行為」が必要であるためです。
わいせつな行為とは、「いたずらに性欲を刺激興奮させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為」と考えられています。
具体的には、無理やりキスをされる、胸を揉まれるといった、被害者が性的に恥ずかしい・不快と感じるような行為のことを指します。
もっとも、抱きつく行為には、必ずしもわいせつな行為があるとは限りません。
たとえば、海外で、挨拶や友情を表現する代わりにハグをする文化があるように、わいせつな行為と連想できないこともあるのです。
そのため、抱きつく行為が「わいせつな行為」に該当するか否かは、場所や当事者間の関係性、抱きつきの態様によって判断されることになります。
わいせつな行為がないと判断されれば、不同意わいせつ罪は成立しません。しかし、抱きついたことによる不法な有形力の行使をしたと判断されれば、暴行罪として問われるケースが存在するのです。
不同意わいせつ罪 | 暴行罪 | |
---|---|---|
わいせつな行為 | あり | なし |
刑罰 | 6月以上10年以下の拘禁刑 | 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金 または拘留もしくは科料 |
そもそもセクハラとは?
セクハラの定義
職場のセクシャルハラスメント(セクハラ)とは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることと定義されています(男女雇用機会均等法11条)。
セクハラの構成要件
職場におけるセクハラには「職場」「労働者」「性的な言動」が必要と定義されています。
職場とは
職場とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指します。
職場というと、ご自身がふだん働いている場所をイメージする方が多いと思いますが、労働者が通常就業している場所以外でも、「職場」となり得ます。
具体的には、以下のような場所も職場として扱われます。
職場の例
- 取引先の事務所
- 取引先と打ち合わせをするための飲食店
- 出張先・取材先
- 業務で使用する車中
- 顧客の自宅
- 宴会(業務の延長と捉えられるもの)
労働者とは
労働者とは正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣・契約社員などの非正規労働者を含む、事業主が雇用するすべての従業員を言います。
性的な言動とは
性的な言動とは、性的な内容の発言および性的な行動を指します。上司や同僚に対する言動のみならず、顧客や取引先の社員などに対するものも含みます。
また、男性から女性、女性から男性への言動に限らないのもポイントです。男性同士・女性同士の言動であっても対象となります。
参考:事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!|厚生労働省
犯罪行為にあたるセクハラは逮捕される?
捜査次第では逮捕される可能性はある
セクハラが刑事事件として捜査が進められた場合には、逮捕される可能性はあります。
警察が被疑者を逮捕するためには、被疑者として認められる十分な証拠があり、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があることが必要です。
セクハラが刑事事件化した場合、逮捕の手続きをとらなければ、被疑者と被害者が職場で顔を合わせる可能性があります。
つまり、職場で被害者に対して、口裏合わせをして証拠を隠滅する可能性などが疑われれば、逮捕の可能性があるということです。
セクハラで逮捕された後の流れ
逮捕されてからは、最長で23日間の身体拘束が続く可能性があります。
逮捕されてから48時間以内に身柄は検察に送られます。検察の取り調べでは、勾留する必要性があるかどうかを判断され、送検後24時間以内に釈放されるか、裁判所に勾留請求を出すかどうかが決まります。
釈放後は不起訴で事件終了になることもあれば、在宅事件として捜査が続く場合もあります。
一方、裁判所が勾留を認めた場合、最長で20日間の身柄拘束が続きます。勾留期間が満了となり、不起訴となれば事件は終了となります。
起訴された場合は、引き続き起訴後の勾留に移るケースと、在宅起訴に切り替わるケースがあるでしょう。
勾留期間内に起訴することができず、さらなる捜査が必要な場合は、在宅事件に切り替わり捜査が継続します。
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・刑事事件で逮捕される場合とは?逮捕の種類、逮捕後の手続きを解説
犯罪行為にあたるセクハラをしたらどうなる?
犯罪行為にあたるセクハラをしたら解雇される?
犯罪行為にあたるセクハラをしたら解雇される可能性が高いです。
特に同僚や部下に対するセクハラ行為は、企業の秩序が保てないと判断されやすいです。
事業主(会社)は、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために、必要な措置を取るように法律で義務付けられています。
「職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために以下の事業主は、労働者が職場における性的な言動によって就業環境を害されたり、そうした言動に対する労働者の対応によって不利益な労働条件を受けたりすることのないよう必要な措置を講じなければならない。」
男女雇用均等法第11条1項
セクハラの防止措置は、厚生労働省の指針によって詳細に定められており、指針では「行為者に対する適正な措置の実施」を取らなければならないとされています。
そのため、犯罪にあたるセクハラが就業規則の解雇事由に該当すれば、解雇される可能性が高いでしょう。
参考:事業主の皆さん職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!|厚生労働省
犯罪行為にあたるセクハラで報道されることはある?
犯罪行為にあたるセクハラで捜査を受けたり、逮捕されたりした場合、報道される可能性はあります。
刑事事件が報道される基準はありませんが、一般的に以下のような要素を持つ事件は、報道されやすいといえます。
- 重大事件
- 公共性のある事件
- ニュース性のある事件
たとえば、セクハラの中でも、職場で無理やり女性に抱きついてレイプしたような重大犯罪は報道される可能性が高いでしょう。
また、公共性の高い職業(公務員)や教員、上場企業で地位の高い社員などは、報道されやすいです。
報道のタイミングは、明確には決まっていませんが、逮捕直後や送致された後が多いです。
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・刑事事件が報道される基準は?実名報道された記事は削除できる?
セクハラ行為をしてしまった場合の対処法
セクハラをやめて被害者に謝罪する
継続的にセクハラをしている場合には、セクハラ行為や発言を直ちにやめて、被害者に謝罪しましょう。
被害者が会社に相談したり、警察に被害届を出したりする前に謝罪すれば、刑事事件にならずに解決できることもあります。
もっとも、自身がセクハラだと考えていなくても、相手からセクハラを訴えられるケースもあります。
思い当たるセクハラ発言や行為があり、被害者が謝罪を望んでいるのであれば、謝罪しましょう。
ただし、被害者はセクハラを受けたことで傷を負っており、加害者と直接話すのも嫌がっている状態かもしれません。
その場合には、刑事事件化を防ぐためにも弁護士に相談し、弁護士から謝罪の意思を伝えてもらうことが効果的です。
セクハラの被害を訴えられ、どう対応すればいいのかお悩みの方は、まず弁護士に相談してください。
被害者と示談する
犯罪行為にあたるセクハラで、不起訴の獲得をしたい、刑罰を軽減したいという方は被害者と示談をすることが重要です。
被害者にお詫びをして許しを得ることができれば、不起訴処分になり、前科がつかない可能性が高くなります。
検察官は、被害者の存在する事件で被疑者の処分を検討するとき、被害者の被害感情や被害回復の有無を重視します。
被害者が被疑者を許し、解決したといっている以上、その被害者の意思を尊重した処分が出される可能性が高まるのです。
不起訴になれば、前科がつかずに済むため、勤めている会社を辞めざる得なくなった場合でも、社会復帰しやすくなります。再就職で前科がついてしまうことのリスクについて知りたい方は『逮捕歴は再就職の妨げになる?逮捕や前科と就労の関係を解説』の記事をご覧ください。
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・刑事事件の示談とはどういうもの?示談の方法や流れ、タイミングを解説
弁護士に示談交渉を依頼する
被害者との示談交渉は弁護士に依頼しましょう。加害者本人が被害者と示談をすることは控えるべきです。被害者の心情を考えたとき、直接加害者に接触されることは恐怖や不快感を与えます。
たとえ、職場で顔見知りの関係でも、加害者が直接示談しようとすると、かえって被害者の被害感情を高めてしまうおそれもあります。
弁護士に相談し、弁護士を通じて示談の話を進めるようにしてください。
示談は締結する内容も重要です。
刑事弁護の経験が豊富な弁護士であれば、「加害者を許す」ことが記載された宥恕条項や被害届の取下げなどを盛り込んだ示談書を作成できる可能性が高まります。
また、示談金の金額について根拠を持って提示できるため、適正な範囲におさえられやすくなります。
さらに、弁護士であれば示談締結後にはその事実を適切に検察官や裁判官に主張することができます。
セクハラの示談でお悩みの方は、一度弁護士に相談しましょう。
身体に触れる罪を犯してしまった場合の示談金相場は?
女性に抱きついたり胸を触ったりするなど、身体に触れる罪を犯してしまった場合の示談金相場はおよそ50万円です。
もっとも、示談金はケースバイケースであり、暴行や脅迫をして強引に胸を揉んだり、陰部に手を触れて弄んだりしたケースでは100万円以上の示談金が必要となる場合もあります。
ご自身のケースで示談金がいくらになるのか気になる方は、弁護士に相談してみてください。
そもそも示談は、提示した示談金額に被害者が納得しないと成立しません。
そのため、刑事弁護の経験が豊富な弁護士が被害者感情に配慮しつつ、適切に交渉を進めることが示談成立のカギを握ります。
セクハラの示談でお悩みの方の相談窓口
セクハラを筆頭に身体を触ったことで訴えられ、「被害者と示談したい」「不起訴の獲得や刑罰を軽減したい」などのお悩みを抱えている方はアトム法律事務所に相談ください。
刑事事件の解決はスピードが命です。被害者対応が遅れてしまうと、逮捕・勾留されてしまい、長期間の身体拘束を余儀なくされるおそれもあります。
また、セクハラが事件化して起訴されてしまうと、会社から懲戒解雇されてしまう可能性もあります。
弁護士は、依頼者が不利益を被ることを最大限回避できるよう、弁護活動を行います。
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