岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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ATMに置き忘れていた現金を盗んだら窃盗罪?逮捕後の被害者対策も解説

更新日:
ATMに現金置き忘れ
  • ATMに置き忘れていたお金を持ち去ると窃盗罪になる?
  • 窃盗罪の刑罰の重さは?
  • ATMに置き忘れた財布や現金の窃盗は、後日逮捕される?
  • ATMに置き忘れた財布や現金の窃盗で、警察から連絡が…。どうすればいい?
  • ATMの置き忘れた財布や現金の窃盗で、家族が逮捕された。どうすればいい?

この記事では、ATMに置き忘れた現金や財布などの窃盗について、逮捕される可能性、警察への対応、被害者への対応、刑罰の重さなどについて解説しています。

銀行のATMの利用者が置き忘れたお金や財布を持ち去ってしまった場合、「置き引き」になります。

置き引きは「窃盗罪」として処罰される可能性があります。

ATMに置き忘れられていた荷物を持ち去ってしまった件で、警察からの連絡に不安がある方、ご家族が窃盗容疑で逮捕された方など、お悩みの方はぜひ最後までご覧ください。

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ATMの置き忘れ┃置き引きは何罪?窃盗罪?

窃盗罪にあたる可能性が高い理由とは?

ATMに誰かが置き忘れた現金や財布を持ち去った場合、基本的に窃盗罪になります。

置き忘れられていたものを盗んでも犯罪にならないとお考えの方も多いようです。

ですが、ATMに置き忘れられていた現金などを盗ったときは、犯罪になります。

窃盗罪は、刑法235条に規定されている犯罪です。

窃盗罪の刑罰は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

(窃盗)第二百三十五条

 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法235条

窃盗罪の保護法益は「占有」です。

人が財物を占有する権利を守るために、窃盗罪が存在しています。

そのため、窃盗罪にあたるかどうかは、その財物が他人の占有下にあるかどうかが決め手になります。

ATMに置き忘れられたお金、財布、現金が入った封筒等は、誰の占有する財物にあたるのでしょうか。誰が窃盗の被害にあったといえるのでしょうか。

ATMを利用した方の財物とみる場合もあれば、銀行が被害者とされる場合もあります。ATM利用者と銀行の両方が被害届を出すこともあるでしょう。

実務では、客観化された占有意思が重視される傾向にあり、事実上占有している人が被害者になります。

窃盗ではなく遺失物横領罪(占有離脱物横領)ではないの?

遺失物横領罪(占有離脱物横領罪)になるのは、「占有」がないときです。

遺失物横領罪の刑罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料(9999円以下のお金を取り上げられる刑罰)です。

窃盗罪よりも、遺失物横領罪のほうが刑罰は軽いものです。

(遺失物等横領)第二百五十四条 

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法254条

ATMで現金を引き出した人が、ATMに現金を置きっぱなしにして忘れているのだからもはや「遺失物」であり、犯罪としては遺失物横領罪になるのではないかと考える方もいるかもしれません。

ですが、実務上、ATMの置き忘れの場合、少なくとも銀行の占有は認めらます。そのため、遺失物横領罪になるケースは皆無といっても過言ではないでしょう。

置き忘れ等の持ち去りが遺失物横領罪になるケースがあるとすれば、公共の場や路上の落とし物を持ち去ったケース等が考えられるでしょう。

とはいえ、公園に置き忘れたポシェットについて窃盗罪の成立を認めた判例もあります。なので、窃盗罪と占有離脱物横領の区別は、非常に難しいものといえます。

バスや電車内の置き忘れについても、窃盗罪になる事案が多い傾向にあります。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

窃盗罪と遺失物横領罪の違いは、「占有」の有無です。

遺失物横領罪は、他人の「占有」がなく、占有侵害という法益侵害がありません。

「占有」の有無は、物との距離、物の価値、物の占有者の意思等の様々な事情を総合的に考慮して判断されます。

また、窃盗罪が成立するには、不法領得の意思も必要です。不法領得の意思とは、平たくいえば「勝手に自分の物にしたい」という意思のことです。判例では「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分すること」と定義されています。

ATMに置き忘れた物を持ち去った時点(窃取した時点)で既遂罪となります。盗んだ金銭を、あとからATM付近に返したとしても窃盗罪は成立します。

ATMの置き忘れ┃窃盗で逮捕される可能性は?

逮捕される可能性は?要件は?

ATMの置き忘れを盗んだ場合、窃盗罪で逮捕されるケースは実際にあります。

実際に逮捕されるケースでは、銀行や銀行周辺にある防犯カメラの映像などがきっかけになるようです。

ただ、実際に逮捕されるのは、「逮捕の要件」を備えている場合になります。

「逮捕の要件」は、大きく分けて、①嫌疑の相当性、②逮捕の必要性の2つです。

まず、①嫌疑の相当性というのは、罪を犯したことが証拠などによって客観的に明らかというような意味合いです。

たとえば、ATMの置き忘れを持ち去っている様子について防犯カメラの映像がある場合は、この①嫌疑の相当性の要件を満たすものと考えられます。

防犯カメラの映像から足がついて、警察から連絡があったという方もいるでしょう。

次に、②逮捕の必要性というは、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがある場合に認められる要件です。

たとえば、警察からの連絡を無視したり、出頭を拒否したり、警察にうそぶいた発言をしたりすると、この②逮捕の必要性の要件を満たすと判断される可能性があります。

ATMの置き忘れを持ち去る姿が防犯カメラに写っているのに、「何も知らない」と答えてしまった場合、罪を隠そうとしていると判断されてしまう可能性があります。

このような場合は、逃亡や罪証隠滅のおそれがあると判断されて、逮捕の必要性が高まってしまう可能性があるでしょう。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

犯罪の嫌疑・嫌疑の相当性があっても、逮捕の必要性がなければ、逮捕はされません。

逮捕されない場合は、在宅事件として在宅捜査をうけることになります。

身体拘束はされないので、自宅で日常生活を送ることができます。

ただし、警察から、出頭を要請された場合は、出頭する必要があります。その都度、取り調べに応じることになります。

point

  • 「逮捕の必要性」が認められる場合、逮捕される。
  • 「逮捕の必要性」は、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがある場合に認められる。
  • 逮捕されない事件もある(在宅事件)。在宅事件の場合は家で日常生活を送りながら、捜査を受けることになる。

逮捕された後の流れは?

ATMの置き忘れの窃盗で逮捕された場合、以下のような流れになります。

銀行や被害者からの通報を受けた警察は、捜査を開始し、逮捕状をもって被疑者を逮捕します。

実際に逮捕されるのは、数時間後、数日後、数か月後かもしれませんし、その個別の事案しだいです。

逮捕された窃盗事件は、逮捕後48時間以内に検察官に送る必要があります(検察官送致)。そのため、まずは、警察では、逮捕後48時間以内という制限時間内で取調べがおこなわれます。

軽微な事件を除いて、通常、検察官送致は実施されます。

検察官に送致されれば、警察での取り調べの内容も参考に、その後、起訴か不起訴かが決まります。

そのため、初動で弁護士からアドバイスをもらうことかが非常に重要です。

取調べ中は、被疑者は、弁護士以外誰とも面会できません。なので、家族と連絡を取りたい、会社に連絡をいれたいといった場合は、弁護士の力を借りる必要があるでしょう。

逮捕された後は、一度も釈放がかなわなかった場合は、起訴・不起訴の判断が下るまでずっと身体拘束が続きます。逮捕時点からカウントすると、最大23日間つづきます。

ですが、勾留取消請求や準抗告などの手続きをとることで、釈放を求めることもできます。弁護士に依頼すれば、釈放を求めてあらゆる弁護活動をしてくれます。

逮捕された方(被疑者)のご家族からでも、弁護活動の依頼が可能です。

起訴されたらどうなる?

逮捕された場合でも、逮捕されずに在宅事件として捜査された場合でも、もし起訴されたら、その後の流れは同じです。

刑事裁判になります。刑事裁判では、数回の期日を経て、裁判官から判決の言い渡しがあります。

無罪判決であれば前科はつきません。有罪判決であれば前科がつきます。

起訴を回避するため、有罪判決だとしても刑罰を軽くするためには、起訴される前から早期に弁護士に相談しておく必要があります。

point

  • 在宅事件の捜査のスピードは、身柄事件よりも緩やかになることもある。しかし、起訴された後は、身柄事件も在宅事件も同じ流れをたどる。
  • 起訴後は刑事裁判が開かれ、窃盗罪にあたるかどうかを審理され、有罪の場合は懲役刑や罰金刑が言い渡される。
  • 無罪判決であれば前科はつかない。有罪判決であれば前科がつく。

ATMの置き忘れ┃窃盗で警察に呼び出されたら?

警察に呼び出されたときの対策は?まず何をしたらいい?

ATMの置き忘れの窃盗事件の被疑者(加害者)がまず第一にすべきことは、弁護士相談することです。

弁護士に相談することで、事件の流れや見通しについて、おおかた知ることができます。

それに、相談できる弁護士がいれば、もし、その後、逮捕されてしまったとしても、すぐに弁護士を呼んで身体解放のための弁護活動をおこなってもらえます。

逮捕されてしまった方は、学校の欠席や、会社の欠勤に不安があると思います。

学校の長期欠席、会社の長期欠勤を懸念される方は、弁護士に、身体解放の弁護活動を優先して取り組んでもらいましょう。

その後、担当弁護士のアドバイスを受けながら、被害者との示談を目指すことになります。

逮捕前に示談が必要?逮捕された後でも遅くない?

示談とは、民事上の責任を当事者の話し合いによって解決する手続きのことです。

示談は、被害者に対して反省の気持ちを伝え、謝罪を目的とするものです。示談金を支払い、民事上の責任を解消します。

そして、示談は、副次的な効果として、逮捕を回避できる可能性が高まります。

示談を締結するタイミングについては、示談を締結するのが逮捕された後でも決して遅くはないでしょう。

示談によって、不起訴になったり、刑罰が軽くなったりする可能性が高まるような影響が期待できるからです。

窃盗の被害者は誰?示談の相手は?

ATMの置き忘れの置き引き事件については、誰を被害者とするのか、誰と示談をするのかという点で難しい問題があります。

示談というのは、被害者とすることになります。

基本的には、ATMの利用者だと思われますが、銀行が被害届を出している場合は、銀行も被害者になります。

被害者を特定するのが難しいのです。

示談の相手が誰になるのかは、法律の専門家である弁護士に判断をゆだねるのがベストです。

ATMの置き忘れたものを窃盗。示談の方法、効果は?

示談の流れは、おおまかにいうと、次のようなものです。

示談の流れは?

  1. 弁護士が、示談の相手である被害者の連絡先を入手。
  2. 弁護士から、被害者に連絡をいれる。
  3. 弁護士が、被害者と示談交渉をおこなう。
  4. 弁護士と被害者の間で、示談を締結。
  5. 示談書を取り交わす。示談金を支払う。

弁護士は、窃盗事件を起こしてしまった方の代理人として、被害者の方との示談をすすめます。

示談が締結できたら、最終的に、示談書を作成します。

示談書に盛り込む内容としては、次のようなものです。

示談書に盛り込む内容とは?

  1. 加害者が被害者に謝罪していること
  2. 示談金の金額、支払方法
  3. 清算条項
  4. 禁止条項
  5. 宥恕(ゆうじょ)条項
  6. 守秘義務条項

窃盗事件の示談金相場ですが、「盗んだ金額+20万~50万円」「盗んだ金額の2倍ほど」の範囲内で支払う必要性が予想されます。

ただし、加害者側の資力や被害者の処罰感情などによって変わってくることもあるでしょう。

また、示談では、宥恕(ゆうじょ)条項が重要です。

宥恕条項とは、たとえば、「加害者の厳罰を望まない」「刑事告訴を取り下げる」といった文言になります。

示談そのものも影響がなくはないですが、このような宥恕条項があると、逮捕の回避、起訴の回避(不起訴処分で前科がつかない)、刑罰の減軽といった可能性を高めることができます。

示談の効果とは?

  • 刑が減軽される可能性が高まる
  • 身柄事件の場合、釈放される可能性が高まる
  • 不起訴になる(前科がつかない)可能性が高まる
  • 示談で取り決めた内容以上の賠償をしなくてよくなる

被害者のいる犯罪においては、検察官・裁判官においても、処分を決めるうえで「被害が金銭面で回復されたか」「被害者が加害者に対しどのような感情をもっているか」が重要視されます。

示談では慰謝料を含めた被害弁償を前提とし、被害者からの許しを得ていることで、被害者との間では争いが解決したと判断できる要素が固まるのです。

そのため、刑事事件においての弁護活動では、被害者との示談が重要となるのです。

刑事事件には時間制限がつきものです。逮捕された後から、検察官に送致されるまで、起訴されるまでは、きっちりした時間制限にもとづいておこなわれます。

そのため、被害者との示談交渉は速やかにおこなうべきでしょう。示談金の金額や盛り込むべき条項については、自分で判断が難しい側面がありますが、弁護士がついていれば調整しながら示談交渉を進めてくれます。

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窃盗の示談書・謝罪文の書き方テンプレート

ATMの置き忘れ┃窃盗を弁護士に相談できる窓口は?

弁護士に相談するメリットは?

ATMの置き忘れの窃盗について、弁護士に相談するメリットをまとめてみましょう。

弁護士相談のメリット

  • 初回の弁護士相談では、今後の事件の流れ、今後の対策、事件の見通しを教えてもらえる
  • 学校の欠席、会社の欠勤が心配な場合、身柄解放に向けて弁護してもらえる。早期に相談しておけば、その分、早期に弁護活動にとりかかってもらえる可能性が高い。
  • 被害者のいる窃盗・置き引き事件では、被害者と早期に示談することが重要。弁護士が示談交渉することで、適切、スムーズに示談交渉を進められる可能性が高い。

ATMの置き忘れの窃盗を、弁護士に相談できる窓口は?

ATMに置き忘れたお金、財布の持ち去りは、窃盗罪になる可能性があります。

弁護士に早期に相談することで、逮捕を回避する、不起訴を目指す、刑罰を軽くするといった弁護活動を尽くすことが可能です。もし逮捕されてしまった場合でも、弁護士がいれば、どのように対応していけばいいのか分かります。

アトム法律事務所は、当初より刑事事件に注力してきました。

多くの方のお悩み解決のため、24時間365日、土日、夜間も相談予約可能な窓口を設けています。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了