配偶者の税額軽減とは?1億6,000万円まで相続税がかからない要件とデメリット

配偶者の税額軽減とは、亡くなった方(被相続人)の配偶者が相続した財産のうち、1億6,000万円か配偶者の法定相続分相当額のどちらか大きいほうの金額まで、相続税がかからなくなる制度です(相続税法19条の2)。
東京国税局の統計情報「令和6年 直接税(相続税)」によると、東京国税局管内だけで20,031人の配偶者がこの税額軽減の適用を受けており、控除された税額は約3,489億円と、相続税の税額控除のなかで最も利用規模の大きい制度となっています。
ただし、適用を受けるには相続税の申告が欠かせません。財産を隠したり偽ったりしていた場合や、原則として申告期限までに遺産分割が終わっていない場合は、この制度を使えないので注意が必要です。
また、配偶者に多くの財産を相続させると、その配偶者が亡くなった際の相続(二次相続)で、子どもの相続税負担が重くなるおそれがある点にも気を配る必要があります。
この記事では、配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)の計算方法や適用要件、知っておきたいデメリット、適用を受けるための手続きについてわかりやすく解説します。

目次
配偶者の税額軽減とは
相続税における配偶者の税額軽減は、被相続人の配偶者にかかる相続税の負担を軽減する制度です。
「相続税の配偶者控除」ともいわれますが、この記事では正式名称である「配偶者の税額軽減」と表記します。
まずは配偶者の税額軽減の内容を確認していきましょう。
1億6,000万円または法定相続分まで相続税がかからない
配偶者の税額軽減とは、夫婦のどちらかが亡くなり、残された配偶者が遺産を相続する場合に、以下のうちどちらか大きい金額まで、相続税が課されない制度です。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分
法定相続分とは民法で定められた、相続財産の分配割合のことです。
例えば子どもがいる場合、配偶者の法定相続分は2分の1、つまり相続財産の半分を配偶者が相続することになります。
このようなケースで、相続財産が2億円だった場合、配偶者の法定相続分はその2分の1、つまり1億円です。
そのため、配偶者は配偶者の税額軽減を利用すると、1億6,000万円までの財産を相続しても相続税がかかりません。
配偶者の法定相続分
配偶者の法定相続分は相続人の構成によって異なり、以下のとおりです。
なお、実際の相続の分配は、必ずしも法定相続分に従う必要はありません。

基礎控除とも併用できる
相続税には、基礎控除と呼ばれる非課税枠があります。配偶者の税額軽減は、この基礎控除と併用可能です。
基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で計算されます。
ただし、これは他の相続人が相続する財産も全て含めた総額から控除される金額です。
一方、配偶者の税額軽減は、財産そのものを非課税にする制度ではなく、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分」に対応する税額を、配偶者が負担する相続税額から差し引く仕組みです。その結果、配偶者の相続税額が0円になるケースが多くなります。
相続税の基礎控除について詳しく知りたい方は、関連記事『相続税の基礎控除とは?控除額の計算式と超えた場合の手続き』をお読みください。
配偶者の税額軽減による控除額はいくら?計算方法
配偶者の税額軽減による控除額の計算式
配偶者の税額軽減を利用すると、配偶者が相続した財産が「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額以下であれば、配偶者に相続税はかかりません。
では、配偶者が相続した財産が、この非課税枠を超えた場合の相続税額はどのように計算するのでしょうか。
この場合は、まず配偶者の税額軽減によって減額される税額を、以下の計算式で求めます。

そのうえで、軽減適用前の相続税額から、その減額分を差し引くことで、配偶者の税額軽減を適用した後の相続税額を計算します。
以下において、複数の具体例を紹介します。
配偶者の相続財産が1億6,000万円以下のケース
以下のようなケースにおいて配偶者の税額軽減を適用した場合の、配偶者の相続税額を計算します。
| 相続人 | 配偶者、長男、長女 |
| 課税価格の合計額 | 1億4,800万円 |
| 基礎控除額 | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 1億円 |
| 法定相続分 | 配偶者2分の1、長男4分の1、長女4分の1 |
| 実際の相続分 | 配偶者2分の1、長男4分の1、長女4分の1 |
| 相続税の総額 | 1,450万円 |
| 各人の相続税額 | 配偶者:725万円、長男:362万5,000円、長女:362万5,000円 |
配偶者が相続する遺産総額は1億4,800万円÷2=7,400万円のため、配偶者の税額軽減を適用することで相続税額は0円になります。具体的には、上記の計算式に基づいて、以下のような計算がなされます。
- ①課税価格の合計額×配偶者の法定相続分=7,400万円<1億6,000万円のため1億6,000万円採用
- ②配偶者の課税価格=7,400万円
- ①>②のため、②の7,400万円を採用
- 相続税の総額1,450万円×(7,400万円÷1億4,800万円)=725万円(控除額)
- 725万円(控除前の税額)-725万円(控除額)=0円
配偶者の相続財産が法定相続分以下のケース
配偶者の相続する遺産総額が1億6,000万円を超えるものの、法定相続分で遺産を分割しているケースとなります。
| 相続人 | 配偶者、長男、長女 |
| 課税価格の合計額 | 4億4,800万円 |
| 基礎控除額 | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 4億円 |
| 法定相続分 | 配偶者2分の1、長男4分の1、長女4分の1 |
| 実際の相続分 | 配偶者2分の1、長男4分の1、長女4分の1 |
| 相続税の総額 | 1億900万円 |
| 各人の相続税額 | 配偶者:5,450万円、長男:2,725万円、長女:2,725万円 |
配偶者が相続する遺産総額は4億4,800万円÷2=2億2,400万円で1億6,000万円を超えますが、法定相続分の割合で分割されているため、配偶者の税額軽減を適用することで相続税額は0円になります。具体的には、上記の計算式に基づいて、以下のような計算がなされます。
- ①課税価格の合計額×配偶者の法定相続分=2億2,400万円>1億6,000万円のため2億2,400万円採用
- ②配偶者の課税価格=2億2,400万円
- ①=②のため、2億2,400万円を採用
- 相続税の総額1億900万円×(2億2,400万円÷4億4,800万円)=5,450万円(控除額)
- 5,450万円(控除前の税額)-5,450万円(控除額)=0円
配偶者の相続財産が1億6,000万円も法定相続分を超えているケース
配偶者が相続する遺産額が1億6,000万円を超えており、かつ、配偶者が法定相続分を超える財産を得ているケースになります。
| 相続人 | 配偶者、長男、長女 |
| 課税価格の合計額 | 4億4,800万円 |
| 基礎控除額 | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 4億円 |
| 法定相続分 | 配偶者2分の1、長男4分の1、長女4分の1 |
| 実際の相続分 | 配偶者5分の4、長男10分の1、長女10分の1 |
| 相続税の総額 | 1億900万円 |
| 各人の相続税額 | 配偶者:8,720万円、長男:1,090万円、長女:1,090万円 |
配偶者が相続する遺産総額は1億6,000万円を超えており、実際の相続分も法定相続分を超えているため、配偶者の税額軽減を適用しても相続税がかかります。
具体的な相続税額は、以下の通りです。
- ①課税価格の合計額×配偶者の法定相続分=2億2,400万円>1億6,000万円のため2億2,400万円採用
- ②配偶者の課税価格=3億5,840万円
- ①<②のため、2億2,400万円を採用
- 相続税の総額1億900万円×(2億2,400万円÷4億4,800万円)=5,450万円(控除額)
- 8,720万円(控除前の税額)-5,450万円(控除額)=3,270万円
相続税の計算方法は、関連記事『相続税の計算方法をわかりやすく解説!概算の早見表や節税できる制度も』で詳しく解説しています。配偶者の税額軽減(配偶者控除)の計算例は関連記事『相続税の配偶者控除とは?計算方法と二次相続への影響を解説』も併せてご覧ください。
配偶者の税額軽減の適用要件
この配偶者の税額軽減の適用を受けるため要件は、以下の3つです。
- 戸籍上の配偶者であること
- 相続税の申告書を提出すること
- 原則として相続税の申告期限までに遺産分割が確定していること
それぞれについて解説します。
戸籍上の配偶者であること
配偶者は法律上の婚姻関係にある者に限られます。ただし、婚姻期間の長さは問いません。
籍を入れていない内縁の妻などは、配偶者の税額軽減を適用することができないので注意しましょう。
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相続税の申告書を提出すること
この制度を適用した結果、相続税額が0円になった場合であっても相続税の申告期限までに相続税の申告が必要です。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。
ただし、そもそも被相続人の相続財産の課税価格が基礎控除額を超えない場合は、相続税が発生しませんので、申告は不要です。
相続税の申告期限までに遺産分割が確定していること
相続税の申告自体は遺産未分割の状態でも可能ですが、この場合、申告時に配偶者の税額軽減は適用できません。
所定の手続きをすればあとから配偶者の税額軽減を適用できますが、一旦税額軽減を適用しない相続税額を納める必要があります。
そのため、なるべく申告期限前に遺産分割が済ませられた方が良いでしょう。
遺産未分割の状態で相続税申告する方法については、『遺産が未分割でも相続税の申告を|デメリットや申告書の書き方を解説』の記事が参考になります。
遺産未分割で相続税申告をし、あとから配偶者の税額軽減を適用する方法は本記事内『原則、遺産分割がまとまっていないと適用できない』で詳しく紹介しているのでご確認ください。
配偶者の税額軽減は二次相続に注意が必要
二次相続で子どもに大きな相続税の負担が生じるおそれ
配偶者の税額軽減を利用する場合、二次相続における子どもの相続税の負担が大きくなってしまうおそれがあります。
配偶者の税額軽減を適用すれば、配偶者は多くの相続財産を相続しても相続税がかかりません。そのため、配偶者が多めに財産を相続すれば相続税対策になると考える方もいます。
しかし、配偶者の税額軽減を利用して一次相続で配偶者が多くの財産を相続した場合は、その後の「二次相続」も考慮する必要があります。
二次相続とは、一次相続で財産を相続した配偶者が亡くなり、その財産を子どもなどが相続することです。
二次相続では、次のような理由から相続税が高くなりやすい傾向があります。
- 子どもなど配偶者以外が相続人となるため、一次相続で「配偶者の税額軽減」により相続税がかからなかった財産にも相続税がかかる
- 一次相続で配偶者が取得した財産に加え、配偶者自身がもともと所有していた財産も相続の対象となるため、相続財産が多くなりやすい
- 相続税は超過累進課税方式を採用しているため、課税対象となる財産が増えるほど税率も高くなる
- 一次相続より法定相続人が1人減るため、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)が600万円少なくなる
配偶者の税額軽減を活用する際は、一次相続だけでなく、二次相続まで見据えて相続税対策を検討することが大切です。
二次相続の具体例
例えば、相続財産が1億5,000万円で、相続人が配偶者と子の2人の場合、相続の方法次第で相続税の金額に以下のような違いが生じます。
一次相続で配偶者がすべての遺産を相続した場合
| 配偶者の相続税 | 子の相続税 | |
|---|---|---|
| 一次相続 | 0円 | 0円 |
| 二次相続 | なし | 2,860万円 |
| 合計 | 0円 | 2,860万円 |
一次相続で配偶者と子で2分の1ずつ相続した場合
| 配偶者の相続税 | 子の相続税 | |
|---|---|---|
| 一次相続 | 0円 | 920万円 |
| 二次相続 | なし | 580万円 |
| 合計 | 0円 | 1,500万円 |
※上記はあくまで一例です。実際の税負担は、財産の内容や評価額、相続人の構成、各種特例の適用状況などにより大きく異なります。
配偶者の税額軽減により相続税を0円にできることから、一次相続で配偶者に多くの財産を渡していると、二次相続における子の相続税の負担が増大する可能性があります。
二次相続にかかる相続税について詳しく知りたい方は、関連記事『二次相続の相続税はいくら上がる?計算例と対策を解説』をお読みください。
二次相続の対策となる権利や控除制度
配偶者居住権の利用
配偶者居住権を活用すると、自宅の「住む権利」と「所有権」を分けて相続できるため、一次相続で配偶者に財産が集中するのを抑え、二次相続の対策につながる可能性があります。
配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、被相続人が所有していた建物に、亡くなるまで、または一定期間、無償で住み続けられる権利です。
この制度を利用すると、自宅の権利を「所有権」と「配偶者居住権」に分けて相続できます。
たとえば、子が自宅の所有権を相続し、配偶者が配偶者居住権を取得すれば、配偶者は引き続き自宅に住み続けることが可能です。また、自宅を所有権のまま相続する場合と比べて、配偶者は住まいを確保しながら、現預金などほかの財産も取得しやすくなります。
その結果、一次相続で配偶者に財産が集中するのを抑えられ、二次相続の税負担を軽減できる可能性があります。
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配偶者居住権の相続税評価額は?計算方法や評価明細書の書き方、節税効果
そのほかの控除制度
配偶者の税額軽減以外にも、以下のような控除制度を利用して二次相続による相続税の負担を軽減させることができます。
- 小規模宅地等の特例
相続や遺贈で土地を取得した場合、一定の要件を満たせば、その土地の評価額を減額できる特例 - 未成年者控除
相続人が18歳未満の場合、その相続人の相続税額を控除 - 障害者控除
相続人が85歳未満の障害者である場合、その相続人の相続税額を控除 - 外国税額控除
国外財産がすでに外国で課されている日本の相続税に相当する金額を、日本で納める相続税額から控除できる - 相次相続控除
一次相続から10年以内に二次相続が発生した場合、一次相続で亡くなった人が払っていた相続税の一部を、二次相続の税額から控除できる制度
どの制度を利用すべきなのかについては、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
配偶者の税額軽減が利用できないケース
原則、遺産分割がまとまっていないと適用できない
相続財産が未分割の場合、各相続人が法定相続分で財産を取得したものとして相続税を計算し、申告しなければなりません(相続税法55条)。
この際、配偶者の税額軽減は適用できないので、配偶者はこの制度を適用しない場合の相続税を納めることになります。
ただし、あとから配偶者の税額軽減を適用し、払い過ぎた相続税の還付を受けることも可能です。具体的な方法を以下のケースに分けて解説します。
- 申告期限から3年以内に遺産分割が完了する場合
- 申告期限から3年経っても遺産分割がまとまらない場合
申告期限から3年以内に遺産分割が完了する場合
遺産未分割で相続税申告をし、あとから配偶者の税額軽減を適用する場合、「相続税の申告期限から3年以内に遺産分割が確定できること」が大前提です。
申告期限から3年以内の遺産分割が可能な場合は、以下の手順で手続きをしましょう。
- 相続税の申告期限内に、法定相続分通りに遺産分割するものとして相続税申告をする。この際、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておく
- 遺産分割が確定した段階で、税額軽減を適用した税額に基づいて、遺産分割が決まった日の翌日から4か月以内に「更正の請求」をする
- 更正の請求が認められた場合には「相続税の更正通知書」が送付され、その後、国税還付振込通知書が届く
- その後、「申告期限内に税額軽減を適用せずいったん納めた相続税額と、配偶者の税額軽減を適用した場合の相続税額の差額」が還付(返金)される
更正の請求とは、納めすぎた相続税の返還を求める手続きです。
更正の請求を行う場合は、以下の書類を用意して、相続税の申告を行った税務署へ提出します。
更正の請求に必要な書類
- 相続税の更正の請求書
- 更正の請求書の次葉
(申告に係る課税価格、税額等及び更正の請求による課税価格、税額等) - 遺言書や遺産分割協議書など、更正の請求を行う理由を証明できる書類
- 相続人全員の印鑑証明書
(遺産分割協議書に押印したもの) - マイナンバーカードの写しと本人確認書類(運転免許証など)
- 更正後の内容で再計算した相続税申告書の写し
(税額計算の参考資料として添付することがある)
更正の請求書の様式のダウンロードや、更正の請求書の提出方法について詳しくは、国税庁『相続税及び贈与税の更正の請求手続』をお読みください。
申告期限から3年経っても遺産分割がまとまらない場合
相続税の申告期限から3年が経過しても遺産分割がまとまらなかった場合でも、やむを得ない事情があったとして税務署長の承認を受けられれば、配偶者の税額軽減が適用されます。
申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を所轄税務署長宛てに提出し、承認を受けましょう。
この場合、その事情が解消した日の翌日から4か月以内に遺産分割を行い、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求書を提出してください。
遺産を分割できないやむを得ない事情としては、「相続税法施行令第4条の2第1項」で以下の4つが認められています。
遺産を分割できないやむを得ない事情
- 相続に関する訴えの提起がされている
- 相続に関する和解、調停、審判の申立てがされている
- 遺産分割が禁止されている
- 上記3つ以外に税務署長が個別に認めた事情がある
「3年間で話し合いが上手くまとまらなかった」、「気がついたら3年過ぎてしまっていた」などの理由は、遺産を分割できないやむを得ない事情には該当しません。
隠蔽・仮装した財産には適用できない
相続税の申告後に、財産を隠蔽・仮装して申告していなかったことが税務調査で発覚すると、正しい内容に訂正する「修正申告」が必要になります。
ただし、隠蔽・仮装していた財産については、配偶者の税額軽減を適用できません(相続税法19条の2第5項)。実務上は、故意に財産の発見を困難にする意図や行動があったかどうかが分かれ目です。
たとえば、配偶者が被相続人名義の預金を自分名義の口座に移し替え、通帳を処分したうえ、他の相続人や税理士にも伝えないまま申告しなかったケースでは、意図的な隠蔽行為と認定されました(国税不服審判所 令和3年9月17日裁決)。この場合、税額軽減が制限されるだけでなく、重加算税の対象にもなります。
単なる申告漏れと隠蔽・仮装は区別されるため、うっかりした漏れに気づいたときは、速やかに修正申告することが大切です。
配偶者の税額軽減では相続税申告が必要
配偶者の税額軽減を適用するなら、それにより相続税が0円になったとしても相続税の申告が必要です。
具体的にどのように手続きするのか見ていきましょう。
配偶者の税額軽減を適用するための手続き
配偶者の税額軽減を適用する場合は、相続税申告書の第5表「配偶者の税額軽減額の計算書」を作成する必要があります。
また、以下の書類も添付する必要があります。
- 被相続人の出生から死亡までの履歴がわかる戸籍謄本等
- 配偶者の取得した財産がわかる遺言書の写し、または、遺産分割協議書の写し(法定相続人全員の印鑑証明書を添付)
配偶者の税額軽減の適用にあたり、自分で相続税申告書を作成しようと考えている方はぜひ、関連記事『相続税申告書の書き方【記載例付き】書く順番や用紙の入手方法も解説』もあわせてお読みください。
相続税の申告期限後でも配偶者の税額軽減は適用できる?
申告期限後に行う「期限後申告」でも、配偶者の税額軽減を適用できます。
一方、一度申告した後に税額を増やす「修正申告」を行う場合、単なる計算ミスや評価誤りなどによる修正であれば追加で配偶者の税額軽減を適用できますが、「意図的に隠蔽・仮装していた財産」については適用できません。
配偶者の税額軽減についてよくある質問
Q. 配偶者の税額軽減で相続税が0円なら、申告しなくてもいい?
いいえ、税額が0円になる場合でも、相続税の申告書を提出することが適用の要件です(相続税法19条の2第3項)。申告をしなければ軽減は適用されず、無申告の扱いになるので注意してください。
Q. 内縁の妻でも、配偶者の税額軽減を使える?
使えません。税務上、配偶者の税額軽減の対象となる「配偶者」は婚姻届を提出した法律上の配偶者に限られ、内縁関係は対象外です。
婚姻期間の長さは問われないため、婚姻届を提出していれば婚姻直後の相続でも適用できます。
Q. 相続税の申告期限を過ぎてからでも、配偶者の税額軽減は使える?
使えます。期限後申告でも適用は可能です(相続税法19条の2第3項)。ただし、隠蔽や仮装をしていた財産に対応する部分は、軽減の対象から除外されます(同条第5項)。
配偶者の税額軽減に関するご相談は税理士へ
このように、配偶者の税額軽減は相続税の節税効果が大きい制度ですが、この制度を利用するときには、適用を受けた配偶者が亡くなったときの相続(二次相続)まで見越して相続税対策を検討することが必要になります。
ただし、二次相続まで合わせた相続税対策のプランを作成するには、相続税についての専門的な知識が必要となります。
そこで、相続税対策をお考えの方には、相続税に強い税理士へご相談されることをおすすめします。
相続税に強い税理士にご相談いただければ、相続税の計算などの申告のサポートや代行にとどまらず、遺産分割や節税などについても有効なアドバイスを提供させていただきます。
また、相続の手続きをどのように進めたらいいのかわからないとお困りの方や、相続の手続きに不安がある方も、お気軽にお問い合わせください。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士
