Amazonレビューの削除依頼方法と削除される基準は?悪質なら開示請求できる?
Amazonレビューは商品の購入を検討する際に重要な情報源とされています。その結果、レビューは商品や企業の評価に直結し、売上も左右するでしょう。
しかし、なかには悪意に基づいた誹謗中傷や虚偽の情報を含むレビューも存在します。そうした不当な評価や誹謗中傷によって、評判が下げられ、個人の権利が侵害されてしまうこともあるのです。
レビューは単なる「低評価の感想」なのか、「悪意のある誹謗中傷」かの判断が難しく、Amazonへの削除依頼が却下されることも考えられます
もしAmazon側に対応してもらえなくても、弁護士を味方につけることで法的手続きに踏み切ることも可能です。Amazonレビューを削除するための具体的な方法について、弁護士がわかりやすく解説していきます。
目次
Amazonレビューに削除基準はある?
コミュニティガイドラインに違反するものは削除対象
Amazonのコミュニティガイドラインに違反するレビューは削除依頼が通る可能性があります。
Amazonでは「コミュニティガイドライン」において、レビューの禁止事項を定めています。以下は禁止事項の一部抜粋です。
- プライベートな情報(例:住所、氏名、電話番号、ナンバープレート、DSN、注文番号)
- 乱暴な言葉や嫌がらせ(例:中傷、名誉毀損、冒とく、異なる意見への攻撃)
- ヘイトスピーチ
- 性的な内容
- 外部サイトへのリンク
- 広告、利益相反行為、販促コンテンツ
- 盗作、侵害(知的財産権侵害など)、なりすまし
- 違法行為を助長するコンテンツ
これらをまとめると、他人の権利侵害、不快感を与えるもの、営利目的、商品の関係のないレビューなどが禁じられています。
このほか、繰り返しの文章やスパムなども禁止とされています。詳細はAmazonコミュニティガイドラインを参照してください。(参考:https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=GLHXEX85MENUE4XF)
「低評価」を理由とした削除は難しい
購入者は、自身の体験を「感想」としてレビューに記載します。そのためレビューを書かれた側にとっては都合が悪く感じるものも、あくまで個人の感想だと判断されれば削除は難しいです。
「きちんと対応したのに、星マーク1にされた」とショックだったとしても、低い星マークのレビューだけを消すことはできません。
返金や見返りを渡してレビューを削除してもらうように働きかけることは禁止されています。低評価レビューをよく読んで商品やサービスの見直し、よい評価をもらえるように改善するべきでしょう。
もっとも、先ほど述べたようなガイドライン違反であったり、「感想にしては度を超えている」と判断されうるものは削除対象といえます。
極めて悪質なものではないか、営業妨害に当たるのではないかと感じた場合には、弁護士に相談して見解を聞いてみることも有効です。
悪質なレビューは放置すべきではない
悪質なレビューは、企業や商品、サービスに大きな損害を与える可能性があります。放置すると、企業や商品の評判低下、売り上げの減少、顧客離れといったデメリットが考えられるでしょう。
また名誉毀損や侮辱といった権利侵害に該当する可能性もあるので、放置せずに対処していく必要があります。
Amazonレビューの誹謗中傷を削除依頼する方法
レビューから違反報告をする
Amazonレビューの下部には、「違反を報告する」というフォームがあり、削除を依頼できます。
レビューを報告する理由を選択して送信すると、コミュニティガイドラインに沿っているかどうかを検討され、違反している場合には削除されます。
Amazonレビューの削除依頼には期限がある
Amazonレビューは投稿から90日以上経過すると、削除依頼ができなくなるとされています。そのため、悪質なレビューが投稿されたら早急な対応をとりましょう。
カスタマーサービスへ連絡する
カスタマーサービスのページから「その他のお問い合わせ」を選んだら、問い合わせ内容のなかから「Amazonコミュニティ」を選択可能してください。
Amazonコミュニティからはコミュニティガイドライン違反の報告ができるほか、レビューから違反報告をする手順についても説明がなされています。
裁判手続きによる削除依頼
Amazonにレビューの削除を依頼しても対応してもらえない場合には、裁判所の「仮処分」という手続きを利用する方法もあります。
仮処分とは、裁判所の判断によって、民事訴訟の判決が出る前に権利を保つための暫定的な手続きです。
たとえばレビューに個人情報が書かれたままでは悪用されたり、さらに違う媒体へ転載されたりしてどんどん拡散してしまいます。裁判所は、個人情報の晒しによる権利侵害を迅速に食い止めるため、緊急的に削除の仮処分を命じるのです。
仮処分は被害者側が申立書や証拠を用意して、裁判所に申し立てる必要があります。削除の仮処分申立ての流れや費用を知りたい方は、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』を併せてお読みください。
Amazonレビューの削除依頼を弁護士にするメリット
法的根拠をしっかり検討できる
弁護士は法律の専門家ですので、レビューによる権利侵害の有無をしっかりと検討し、その内容に応じた適切な対処法を教えることが可能です。
例えば、レビューの内容から考えて削除されてしかるべきと判断できる場合には、弁護士が代わりに削除依頼をしたり、裁判所の仮処分申立て手続きのサポートもできます。
「こんなレビューは嫌だ!」という感情や気持ちの主張だけでは削除されません。大切なことは、レビューによってどんな権利侵害を受けているかを明確に主張することです。
なお、インターネット上で「バカ」「ブス」などと罵倒された場合には、名誉毀損や侮辱罪にあたる可能性があります。関連記事でくわしく解説しているので、参考にしてみてください。
ただし罵倒が誰に対して向けられているのかが客観的にわかる「同定可能性」が認められる必要があります。
法的手続きも熟知していてスムーズ
裁判所に仮処分申立てをおこなう場合には、弁護士のサポートが有効です。仮処分申立てにおいては、裁判官との面談(審尋)によって質疑応答に答えたり、自身の主張を明らかにするための証拠資料を用意したりと負担も大きいのです。
法律のプロである弁護士なら裁判所への対応も熟知していますし、書類の準備もスムーズに進めることができます。
Amazonレビューでの誹謗中傷には開示請求も有効
開示請求のやり方
発信者情報開示請求の大まかな流れは、投稿者のIPアドレスを入手し、そのIPアドレスからプロバイダーを特定してから、プロバイダーに対して情報の消去禁止と契約者情報の開示を求めるものです。
開示請求の基本
- 投稿者のIPアドレスを入手
- プロバイダーを特定
- プロバイダーに対して情報の消去禁止を求める
- プロバイダーに対して契約者情報の開示を求める
こうした複数の手続きが必要になるので、レビューを削除してほしい側に大きな負担となっていました。
もっともAmazonに関して言えば、IPアドレス以外にも、アカウント取得時の氏名や住所といった情報を保持しています。
そのためAmazon合同会社に対する発信者情報開示請求では、IPアドレスだけでなく個人を特定しうる情報の開示まで求めたケースもあるのです。
発信者情報開示請求によってAmazonレビューの投稿者を特定し、損害賠償請求したいと考えている方は、まず弁護士に相談して具体的な流れを聞いておきましょう。
関連記事は発信者情報開示請求の基本的な解説記事になるので併せてお読みください。
開示請求で特定できたらするべきこと
開示請求で特定出来た後は、損害賠償請求や刑事告訴も検討していきましょう。
対応 | 概要 |
---|---|
損害賠償請求 | 被害に対して慰謝料などの金銭補償を要求すること |
刑事告訴 | 警察や検察に被害を申告して処分を求めること |
損害賠償請求しうる金額は、権利侵害に応じてさまざまです。仮に名誉毀損と認められれば、個人なら10万円から50万円、法人なら50万円から100万円が相場といわれています。
不当な賠償金で終わらせないためにも、どんな権利侵害に問うことができるのか、適正な慰謝料相場はいくらかなど、弁護士に見積もりを任せておくと安心です。
誹謗中傷の慰謝料相場については、関連記事『誹謗中傷の慰謝料相場はいくら?損害賠償請求の流れと注意点をおさえよう』を参考にしてください。
また、刑事告訴を検討している方は『刑事告訴の方法と告訴費用を解説!ネットトラブル・誹謗中傷を警察に訴えたい』の記事を読むと理解が深まります。
開示請求には正当な理由が必要
発信者情報開示請求については、その目的の正当性がないと認められません。
「損害賠償請求したい」「刑事告訴をしたい」といった、権利侵害を回復するための措置に向けて、発信者を特定したいという目的が必要なのです。
「住所がわかったら乗り込んでやろう」など相手に対して危害を加える意図や、単に知りたいという好奇心では開示請求は通りません。
Amazonレビューの削除依頼は弁護士に相談
Amazonのレビューの削除方法としては、レビューを違反として報告する方法と、裁判所の法的手続きを活用する方法とがあります。
レビューがガイドラインに違反していると判断されれば削除してもらえますが、もし問題ないと判断されれば残り続けてしまうのです。
もしAmazonに対してレビューを違反報告しても一向に消えない場合には、一度弁護士に相談して対処法を一緒に考えていきましょう。
その際には、インターネットトラブルの解決実績があるか、電話相談・対面相談などご自身の希望する相談方法に対応しているかなど、自分に合う法律事務所を探してみてください。
弁護士選びのポイントを知りたい方は、下記バナーより相談先選びの要点を確認しておくことをおすすめします。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了