ナスコミの悪質な口コミの削除方法!誹謗中傷やデマを消すまでの流れ
この記事でわかること
ナスコミは看護師向けの就職・転職サイトとして知られており、求人情報のほかに施設の口コミも投稿されており、職場選びに役立てられています。
そんな口コミサイトですが、匿名利用できることから悪質な口コミが投稿されることもしばしばあるようです。
悪質な口コミとは単に批評的な口コミというわけではありません。「悪質」とは個人の感想にとどまらず、他者の権利を侵害するような口コミをさします。
悪質な誹謗中傷、個人情報の晒し、虚偽の投稿などの削除方法やよくある質問をまとめていますので、参考にしてください。
目次
ナスコミの口コミが削除される基準とは?
ナスコミの基本姿勢として、口コミ削除は原則おこなわれません。
ナスコミの口コミ削除基準は、まず利用規約に違反しているかどうかです。利用規約に違反しているものについては、ナスコミに削除を依頼する方法が有効でしょう。
ナスコミの利用規約をみながらどんな口コミが削除されるのかをみていきます。
ナスコミ利用規約違反の口コミは削除の対象
ナスコミ利用規約に違反しているとき、口コミは削除の対象です。
具体的には、特定の人物への誹謗中傷や個人情報の掲載をはじめとする権利侵害や、施設への迷惑行為などは禁止されています。
ナスコミ利用規約に定められている禁止行為の一部を抜粋します。
ナスコミの禁止行為(一部抜粋)
- 弊社または第三者の著作権、その他知的財産権を侵害または侵害するおそれのある行為
- 弊社及び第三者を誹謗、中傷または名誉を傷つける行為
- 公序良俗に反する内容の情報、文書及び図形等を他人に公開する行為
- 第三者及びユーザー個人の氏名、住所、電話番号、メールアドレス等について、故意であるか否かを問わず虚偽または不備のある投稿情報または応募情報を登録する行為
- 掲載施設での暴力行為等、掲載施設または弊社、第三者に対する迷惑行為
- 営利目的での本サービスの利用
- 犯罪に結びつく、またはそのおそれがある行為
- その他法令に違反する、または違反するおそれのある行為
なお上記の禁止行為はナスコミ利用規約から抜粋していますので、詳細は当該利用規約をご覧ください。
削除の対象となる口コミの例
ナスコミ利用規約をもとに、削除対象となる可能性がある口コミの例を紹介します。
削除対象となる口コミの例
- 婦長の〇〇は職場不倫している
- 医師の〇〇は窃盗の前科がある
- このクリニックの院長にパワハラされました(虚偽の情報)
- この病院は患者さんにお釣りをきちんと返していない(虚偽の情報)
ナスコミの利用規約においては氏名の投稿は禁止されているので、(1)(2)の例のように氏名を明示しているものは規約違反です。
また、真偽を問わず、不倫や前科といった内容については、周囲からの評価を下げうる内容です。そのため名誉毀損にあたる可能性があります。
(3)(4)については虚偽や憶測によるもので、そのクリニックの評判低下や営業妨害につながるものといえるでしょう。虚偽情報や施設への迷惑行為についても利用規約に違反しています。
口コミサイトは個人の感想や意見を自由に記載することで利用者に役立つ情報を提供しますが、どんな表現でも許されるわけではないのです。
ナスコミの口コミを削除する2つの方法
ナスコミの口コミを削除するには、(1)お問い合わせフォームから削除を依頼する方法と(2)口コミ削除を裁判所に申立てる方法の2つがあります。
(1)お問い合わせフォームから削除を依頼
ナスコミの口コミを削除する方法は、お問い合わせフォームから削除を依頼することです。
利用規約に違反していることをわかりやすく記載することが、ナスコミに削除依頼をする方法で重要なことといえます。
以下はナスコミの口コミ削除の流れです。
ナスコミの口コミ削除の流れ
- お問い合わせフォームを開く
- 自身の名前・メールアドレスを間違いなく入力
- 問い合わせ内容に「口コミ削除依頼」として必要事項を記載
- フォーム送信する
必要事項についてはナスコミ内の「よくあるご質問」にて明記されています。下記に記載事項を抜粋しているので、あわせてお読みください。
記載内容
- お問い合わせ内容
- 会員メールアドレス
- 病院名
- 投稿ID
- URL
- 投稿内容
- 削除理由
「削除理由」にはナスコミ利用規約のどの部分に違反しているのかをできるだけわかりやすく記載して、削除の必要性を訴えていきましょう。
(2)口コミ削除を裁判所に申立てる方法
ナスコミに口コミ削除を依頼しても、必ず削除してもらえるわけではありません。ナスコミに削除依頼をしても削除されないときには、裁判所への仮処分命令申立ても検討しましょう。
仮処分とは、通常の裁判結果が出る前に仮の対応をしておかないと、権利侵害が起こったり、被害が深刻化したりする恐れがあるときに認められる裁判所の手続きです。
裁判所から「口コミを削除しなさい」という仮処分命令が発令されれば、ナスコミ側も口コミを削除する可能性は高いです。
仮処分申立ては迅速性が求められる手続きになりますが、申立てからおよそ1ヶ月から2ヶ月ほどはかかると考えておきましょう。
仮処分申立てはどのように進行するのか
裁判所への仮処分命令申立ては、次のように進みます。
仮処分申立ての流れ
- 裁判所に仮処分申立て書を提出
- 裁判官との面談
- 裁判所での審尋
- 裁判官の指示に従って担保金を納付
- 裁判所から削除の仮処分命令が発令
- ナスコミが口コミを削除
仮処分申立ては、本来このあとに正式な裁判をする必要があります。しかし、仮処分命令の発令により口コミが削除された場合には、この後の法的対処は不要です。また、担保金についても後から返還されます。
なお仮処分申立てをしても、必ず被害者側の主張が認められるとは限りません。仮処分申立書をしっかりと作成し、証拠を揃えて、裁判官に権利侵害を主張していきましょう。
仮処分申立てについて深く知りたい方は、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』もあわせてお読みください。
ナスコミにおける口コミの削除についてよくある質問
ナスコミの口コミ削除について、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
削除請求をすれば投稿者が誰かもわかりますか?
ナスコミに任意での削除を依頼した結果、利用規約に反するものとして削除されても、投稿者が誰だったかという情報を得ることはできません。
同様に、削除を求める仮処分申立てをおこない、裁判所がその申立てを認めた場合でも、投稿者が誰なのかは分からないのです。
もしナスコミの口コミで権利侵害を受け、口コミ投稿者に対して損害賠償を請求したい場合には、「発信者情報開示請求」という全く別の手続きが必要になります。
解説
段発信者情報開示請求とは、その口コミが投稿されたときのIPアドレスなどから投稿者のプロバイダを割り出し、プロバイダより発信者情報の開示を受ける手続きです。
発信者情報開示請求に着手したいという方は、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。投稿者の特定につながる情報は一定期間で消えてしまうため、早めに行動に移すことが大切です。
どんな口コミが誹謗中傷になる?
口コミサイトだからと何を書いてもいいわけではありません。根拠のない推測や憶測、他者の名誉を傷つけたりするものは誹謗中傷といえます。
たとえば、院内の人間関係についての口コミを書くとしても、「ブス女」「デブナース」などのように相手の容姿を中傷するような口コミは、対象者への侮辱です。
また虚偽情報を書くことも不適切であり、削除の対象となりえるでしょう。労災隠しをしている、患者に暴力をふるっているなど嘘の書き込みによって名誉毀損や営業妨害にあたる場合もあります。
自分の氏名が書かれてしまったら?
ナスコミの利用規約では「第三者及びユーザー個人の氏名、住所、電話番号、メールアドレス等について、故意であるか否かを問わず虚偽または不備のある投稿情報または応募情報を登録する行為」を禁止しています。
そのため氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの投稿は、ナスコミの規約違反で削除対象です。規約違反を根拠に削除を申立てることをおすすめします。
氏名ではなく伏字やアルファベットで誹謗中傷されたら?
実名ではなく、伏字やアルファベットであっても、誰に向けられている誹謗中傷なのかを客観的にみて判断できる場合には削除できる可能性があります。
もっとも、誹謗中傷を書かれた人は「この悪口は自分に対して書かれている!」と感じても、実際に周りから見ると誰のことなのかは分からないということも多いです。
氏名ではない以上、ナスコミへの削除依頼についても、より説得的なものにしないと削除されない恐れもあるでしょう。
誹謗中傷が書かれた投稿そのものをスクリーンショットで保存し、ネットトラブルにくわしい弁護士に見てもらって、法律の専門家目線での見解を聞いてみることをおすすめします。
不正の告発も名誉毀損?
投稿の事実がみんなの役に立つこと、役立てる目的で投稿されていること、投稿内容が真実もしくは真実と信じられる相当な理由があることという3つを満たすとき、不正の告発は名誉毀損にはあたりません。
こうした要件を違法性阻却事由といいます。
違法性阻却事由
- 投稿の事実がみんなの役に立つこと
- 役立てる目的で投稿されていること
- 投稿内容が真実もしくは真実と信じられる相当な理由があること
もっともナスコミは就職活動中の人が閲覧するサイトですので、施設の不正を告発する場ではありません。
口コミ削除の方法や費用は弁護士相談で解決!
ナスコミの口コミで誹謗中傷されたり、権利侵害を受けたりしている場合には早急な削除を検討してください。
もし削除依頼をしても効果がみられないときには、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士への相談を通して、削除申請の文章の書き方についてアドバイスを受けられたり、仮処分申立てという他の方法の説明を受けられたりします。
弁護士との相談の結果、正式に依頼することになれば、弁護士の名前で削除の手続きを進めることが可能です。
弁護士名でナスコミ側に削除を依頼することで、個人での依頼よりも良い結果が得られる可能性もあるでしょう。
削除申請にくわしい弁護士であれば、ナスコミへの削除依頼が認められなかったときの仮処分申立てにも精通しています。あらゆる選択肢から対応策を練りたい方は、弁護士に助言をもらってみましょう。
相談する弁護士を選ぶ際には、下記バナーよりご確認いただける解説記事もあわせてお読みください。
弁護士費用は依頼内容次第になりますし、法律事務所によっても異なりますので、法律相談時に見積もりを取ることをおすすめします。
関連記事『誹謗中傷の弁護士費用はいくら?値段は削除や開示請求などの対策で変わる!』では参考情報を掲載しているので、参考にしてみてください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了