旦那がお金の管理をしている|離婚の注意点や貯金を調べる方法

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旦那がお金の管理

家計を夫に握られているケースや、夫が収支を明らかにしてくれないケースでは、妻が経済的に不安定な状況に置かれることもあります。

特に離婚の際には、相手の収入や保有する財産が把握できないと、不利な立場に置かれてしまう可能性があり、妻が不安を抱くことは少なくありません。

この記事では、夫がお金を管理している夫婦にどのような問題が生じるか、収入や財産を調べる方法があるかについて解説します。

お金の管理を任せると起こり得る問題

もちろん、夫が家計を管理することでうまく回っている家庭もありますが、家計が不透明な状況では、以下のような問題が生じる可能性があります。

収入や貯金がいくらあるか分からない

夫がきちんと収支を管理し、貯蓄をしているのであれば問題ないものの、家計がブラックボックス化してしまうと、収入や貯金がいくらあるのかを知ることができません

マイホーム資金や子どもの教育費に充てるつもりだったお金が、気づいたら使い込まれていたという事態も起こりかねません。家のお金を把握できないと、ライフプランを立てることも難しくなってしまいます。

また、こちらに渡す生活費を少なくするために、本当はもっと高い給料をもらっているにも関わらず、収入を低く申告している可能性も捨てきれません。

生活費を少ししか渡してくれない

生活費を渡さないというのは、女性側の離婚調停の申し立て理由で第2位を占めるほど、深刻かつ頻繁に起こっている問題です。

こちらが専業主婦の場合、夫から受け取る生活費は命綱です。しかし、稼ぎ頭を相手に生活費を渡すように強く交渉するのは簡単ではありません。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

なお、生活費を渡さないという行為は、その程度や内容によっては後述の経済的DVにあたり、違法な行為の可能性もあります。

夫婦の間に不信感が生まれる

収支や資産を把握できないと、「なぜこれしか生活費をもらえないのか?」「隠れて浪費しているのでは?」と、互いを疑ってしまう原因になります

浮気相手にお金を使っているのではないかと考えてしまうこともあります。

お金に関することで夫婦間の不信感がつのり、離婚に繋がってしまうかもしれません。

旦那の収入や貯金が分からない!

旦那のお金が分からないと離婚時に困りごとが

夫の持っているお金が分からないと、婚姻中はもちろんですが、離婚時に大きな問題が生じます

夫婦が離婚するときには、以下のような名目でお金のやりとりが行われることがあります。

婚姻費用

婚姻費用とは、別居中の生活費のことをいいます。別居している間も、夫婦である以上互いを扶助する義務を負っていますので、収入の多い方は少ない方に対して毎月生活費を支払う必要があります。

婚姻費用の月額を算定するために、裁判所が公開している婚姻費用算定表がよく使用されます。この算定表は、夫婦の収入などをもとに月々の婚姻費用の目安を計算するためのものです。したがって、夫が収入を正しく申告していなければ、適正な額の婚姻費用を受け取ることができません

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養育費

養育費は、子どもの生活や教育に必要な一切のお金で、離婚後に子どもを養育する親に対して毎月決まった額を支払うのが一般的です。

養育費の月額を決める際には、婚姻費用と同じく養育費算定表が用いられます。夫婦の収入を使って養育費の額を算定するため、夫が収入を正しく申告していなければ、適正な額の養育費を受け取ることができません

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慰謝料

相手が行った不倫やDVなどの行為で精神的苦痛を受けた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料の額は、精神的苦痛の大きさや相手の反省度合い、行為がどのくらい酷かったかなどの様々な要素を勘案して決められますが、相手の支払い能力も慰謝料の額を決める要素のひとつです。

したがって、相手の収入や財産を把握しきれていないと、支払い能力がないとして受け取れる慰謝料が少なくなってしまうおそれがあります

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財産分与

財産分与とは、婚姻中に夫婦が築いた財産を、離婚時に公平に分け合う手続きです。

相手の持っているお金や財産を把握していないと、公平に財産分与を受け取ることができません。

相手に渡す財産を少なくするために、夫が財産を自分の口座に移すなどして財産を隠しているケースは少なくありません。

このように、相手の財産を把握できないと、財産分与で大きく損をしてしまう可能性があります

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離婚時に旦那の収入や財産を調べる方法

このように、夫の持っているお金を把握しておかないと、離婚時に大きく損をしてしまう可能性があります。

離婚前から互いの収入や支出、財産を開示して家計の透明性を確保できるのであればよいですが、そうでない状態で離婚を目指す場合は、必ず離婚前に相手の収入や保有している財産を調べておきましょう

相手の収入や財産を調べる方法はいくつかあります。

自分で調べる

自分で夫の収入や財産を調べることができれば、費用もかかりません。直接夫に聞いてみるか、給与明細や確定申告書、通帳などを見つけることができれば役立つでしょう。

弁護士会照会

弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、弁護士会を通して夫の勤務先や金融機関などの団体に必要事項を照会する制度です。弁護士会照会は、協議中、調停中、裁判中いつでも利用することができます。

弁護士会照会を受けた団体には、原則として答える義務があり、相手方の口座の残高や振込先、給与額などを開示してもらえる可能性があります。

調査嘱託

調査嘱託とは、裁判所を通じて勤務先や金融機関等に情報を開示させる方法です。

主に離婚裁判の中で利用される手続きですが、まれに調停中に行われることもあります。調査嘱託を行うためには、裁判所に調査嘱託の申し立てを行い、認められる必要があります。

証拠を集める

支払う金額について相手との話し合いがつかない場合は、家庭裁判所で調停の手続きを利用して額を決めることができます。調停も不成立となった場合は、審判や裁判という場で裁判官の判断を仰ぎます。

裁判官に「夫は財産を隠し持っています!」と主張しても、証拠がなければ信じてもらえない可能性が高いため、収入や財産を示す証拠を確保しましょう

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旦那が生活費をくれないのは経済的DV?

経済的DVとは?

生活費を渡さないなどの行為は、経済的DVにあたる可能性があります。

経済的DVとは、経済的に相手を支配しようとする行為のことをいい、以下のような行動は経済的DVの典型例です。

  • 生活費を渡さない
  • 外で働くことを認めない
  • お金の使い方を強く制限する
  • 家計の収支を把握させない
  • 夫婦のお金を使い込む
  • 無断で借金をする
岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
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生活費を多少は受け取っている場合であっても、生活に支障が出るほど少ない額しか受け取れていないならば、経済的DVといえるでしょう。

経済的DVで離婚できる?

双方が離婚に合意できるのであれば、経済的DVなどの金銭問題を理由に離婚することは可能です。

しかし、自分を支配しようとする相手と、円満に協議離婚できるとは限りません。

話し合いでの合意が難しければ離婚調停を、調停も不成立となれば離婚裁判を起こすことになります。

裁判で離婚するには、民法に定められた5つの離婚原因のうち、いずれかが存在している必要があります。

法定離婚事由

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 回復の見込みのない強度の精神病
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由

経済的DVは、法定離婚事由のうち悪意の遺棄またはその他婚姻を継続しがたい重大な事由にあたり、裁判で離婚が認められる可能性があります

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の義務(同居・協力・扶助)に違反する行為のことをいいます。

経済的DVのほかにも、勝手に家を出て帰ってこない、働けるのに働かないなどの行為が悪意の遺棄にあたります。

その他婚姻を継続しがたい重大な事由には、DVやモラハラなど様々な行為があてはまります。経済的DVによって婚姻関係が修復不可能なほどに破綻していれば、これを理由に裁判離婚が認められる可能性があります。

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経済的DVで慰謝料請求できる?

経済的DVは、法律で定められた夫婦の義務に違反する行為であり、慰謝料請求の理由になり得ます

経済的DVが理由で離婚や慰謝料請求を目指す場合は、経済的DVを受けている証拠を用意しましょう。

例えば、生活が苦しいことが分かる家計簿や、生活費が支払われていないことが分かる通帳、借金の督促状などが有効です。

離婚は弁護士に相談!

お金を管理する夫との離婚を考えている方は、弁護士への相談をご検討ください。

弁護士は、依頼者の代理人となって相手方との交渉や財産の調査を行います。離婚後の生活を守るためにも、弁護士に相談して適正なお金を受け取りましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了