別居したいときの切り出し方・伝え方|メールや置き手紙の例文を紹介

「もう夫と一緒に暮らすのがつらい…」
「夫のDVから逃れるために別居したい…」
そう感じつつも、「どうやって別居を切り出せばいいのか分からない」と悩んでいませんか?
この記事では、夫婦関係に悩む女性に向けて、「別居したい」と伝えるための冷静で効果的な方法や伝えるべき内容、子どもへの伝え方を解説します。そして、別居を切り出すメール・LINE・置き手紙の例文もご紹介します。
目次
別居を切り出す前に準備すべきこと
「別居したい」と伝える前には、心と生活の準備が大切です。勢いで伝えてしまうと状況が悪化する可能性もあるため、以下の点を確認しておきましょう。
①経済面のシミュレーション
- 家賃・生活費・別居中の収入の見込みは?
- 収入がない場合、実家のサポートや公的支援の利用も検討を
②住まいの確保
- 自分または子どもと一緒に住める場所はあるか?
- 賃貸契約等の手続きが問題なく進められるか
③子どもの親権や生活環境
- 一時的な監護者はどうするか
- 学校や保育園は継続できるのか確認
準備が整っていることで自信を持って話し合いに臨め、相手にも真剣さが伝わりやすくなります。また、具体的な計画があることで、別居後の生活についての不安を軽減し、建設的な話し合いができる環境を作ることができます。
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別居の切り出し方とベストなタイミング
別居の切り出し方と伝えるタイミングは、今後の話し合いの進行にも大きく影響します。以下のポイントを参考に、自分に合った方法を見つけましょう。
別居を切り出すなら対面がいい?それともメールやLINE?
別居を伝える手段は、自分と相手の状況別に使い分けましょう。
状況 | 推奨される方法 |
---|---|
相手が感情的になりやすい | メール・LINEで冷静に伝える |
落ち着いて対話できる関係が残っている | 対面で話し合う |
DVやモラハラから逃れたい | 置き手紙を残して家を出る |
相手が感情的になりやすい性格の場合は、メールやLINEで冷静に伝える方法が効果的です。文章にすることで、自分の気持ちを整理して伝えられ、相手も時間をかけて内容を理解できます。
落ち着いて対話できる関係が残っている場合は、対面で話し合うことで誠意が伝わりやすくなります。表情や声のトーンから真剣度が伝わり、その場で疑問点を解消できるメリットがあります。
DVやモラハラを受けている場合は、事前に別居を宣言してしまうと加害行為がエスカレートしたり、別居を妨害される可能性があります。この場合、こっそりと別居の準備を進め、別居を実行に移すタイミングで置き手紙やメール、LINEで別居する旨を伝えるのがよいでしょう。
別居を切り出すタイミング①事前に話し合う
事前に話し合ってから別居する場合は、以下のような点に気を付けてください。
話し合いに適さないタイミング
- ケンカの直後や感情が高ぶっているとき
- 忙しさやストレスがピークのとき
ケンカの直後や感情が高ぶっているときは、冷静な判断ができず、相手も防御的になりがちです。お互いに感情的な状態では建設的な話し合いは期待できません。
また、仕事が忙しい時期や相手がストレスを抱えているときも避けるべきです。このような状況では、相手が話を真剣に受け止める余裕がなく、別居に拒絶反応を示す可能性が高くなります。
話し合いにおすすめのタイミング
- 二人で落ち着いた話ができる休日や夜
- 心に余裕があり、話を聞いてもらえそうな場面
二人で落ち着いた話ができる休日や夜の時間帯が理想的です。平日の疲れが残っていない週末の午後や、夕食後のリラックスした時間帯を選びましょう。
相手の心に余裕があり、話を聞いてもらえそうな場面を見極めることが重要です。日常の小さな会話から相手の精神状態を察知し、穏やかな雰囲気の日を選んで切り出すことで、スムーズな話し合いにつながります。
別居の話し合いで感情的にならないためのポイント
別居を伝える際、「相手を責めない」「冷静に話す」など以下の点に注意しましょう。
- 主語を「あなた」ではなく「私」に(例:「あなたが悪い」ではなく、「私はこう感じてしまう」)
- 感情的な言葉や批判を避ける(例:「もう限界!」ではなく、「少し距離を置いて考えたい」)
- 話す目的は「関係を終わらせる」のではなく、冷却期間を持って考え直すという姿勢を示す
伝え方一つで、相手の受け取り方も大きく変わります。
別居を切り出すタイミング②別居と同時に伝える
DVやモラハラの被害を受けているケース、話し合いで反対される可能性が高いケースは、事前に知らせずに別居の準備を進め、実際に家を出たタイミングでメールやLINEを送ったり、置き手紙を残すことも多いです。
何も言わずに別居してはいけない理由
別居について事前に相手に許可まで得ておく必要はありませんが、別居時には別居する旨やその理由を伝えましょう。相手に何も言わずに一方的に別居を開始してしまうと、自分が不利な立場に置かれてしまう可能性があります。
民法は、夫婦の義務として同居・協力・扶助の義務を定めており、正当な理由なくこの義務に違反する行為は悪意の遺棄と呼ばれます。一方的な別居が悪意の遺棄と判断された場合、相手から離婚を請求される理由となったり、反対にこちらからの離婚請求が認められづらくなるというデメリットがあります。
もっとも、DVやモラハラから逃れることは別居の正当な理由であるため、事前に何も言わなかったとしても悪意の遺棄にはあたらない可能性が高いです。
いずれにしても、心配した夫が捜索願を出したり、知り合いに手あたり次第連絡してしまう可能性があるため、自らの意思で家を出たことは知らせておいた方がよいでしょう。
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メール・LINE・置き手紙で別居を伝える際の例文
別居を切り出すメール・LINEには何を書くべき?
別居を切り出すメール・LINEに書くこと
- 別居したいこと
- 別居を決意した理由
- 別居の目的(離婚前提/冷却期間)
- 別居にむけて話し合いをしたいこと
別居の話し合いを申し入れる際は、上記のようなことを伝えるとよいでしょう。
まず、別居を希望する旨と、別居を決意するに至った理由を説明するのが一般的です。具体的な理由を伝えないと、「不倫相手のところに行くのでは」などといった誤解が生じてしまう可能性があります。
また、離婚を前提に別居するのか、一時的な冷却期間を設けるために別居するつもりなのか、はっきりさせておくことも重要です。
その上で、冷静に話し合いたいことを伝えます。
別居時の置き手紙には何を書くべき?
別居時の置き手紙に書くこと
- 別居すること
- 別居を決意した理由
- 別居の目的(離婚前提/冷却期間)
- 子どもを連れていくこと
- 行き先 or 探さないでほしいこと
- 今後の連絡手段
別居時の置き手紙には、上記の項目について書くとよいでしょう。
子どもがいる場合は、子どもを連れて行くことを伝えます。相手が子どもの状況を心配して連れ戻しに来る可能性もあるため、子どもが安全な環境にいることは伝えておいてもよいでしょう。
別居先は、伝えるケースと隠しておくケースがあります。DVやモラハラから逃れることが目的なら、「探さないでください」「実家に来ないでください」などと書くこともあります。
今後の連絡手段については、連絡方法を電話やメールに限定するのか、弁護士や親族など第三者を通してのみ連絡するのかなどを書きます。これを書いておくことで、相手があらゆる手段で連絡を取ろうとしてくることを防ぎます。
例文①喧嘩が多い夫へのメール・LINE
喧嘩が続いている夫に対し、冷却期間として別居することを伝えるメール・LINEの例文です。
毎日喧嘩ばかりで疲れました。今のあなたと一緒に暮らし続けるのは難しいです。
私たちが険悪なまま過ごすのは子どもにも悪影響があると思うので、子どもを連れてしばらく実家に帰ります。
お互い冷静になったら、今後について話し合いましょう。
しばらくは落ち着いて考えたいので、連絡はLINEだけでお願いします。
例文②DV夫への置き手紙
こっそりと別居の準備を進め、実行に移す際の置き手紙の例文です。DV加害者は別居先まで来るリスクが高いので、行き先は告げません。
また、今後は直接の接触を控えたい旨も盛り込んでいます。
〇〇さんへ
もうあなたの暴力・暴言には耐えられません。子どもを連れて家を出ます。
今後は弁護士を通して離婚の話し合いを進めたいと思っています。
追って弁護士から受任通知が届くので、私に伝えたいことがある場合は弁護士に連絡してください。
〇〇より
弁護士に依頼しない場合は「私に用事がある場合は、父の携帯に連絡してください」など、別の人を間に入れることも考えられます。
別居の際の子どもへの伝え方
両親の別居は子どもにとってショックな出来事です。子どもの気持ちにも配慮し、年齢に応じた伝え方を意識しましょう。
3~6歳の子どもに対して
3~6歳の幼児期では、抽象的な概念の理解が難しいため、具体的で身近な例を使って説明します。
例文
- 「パパとママはちょっとだけ別々のおうちで暮らすことにしたの。でも○○ちゃんのことは変わらず大好きだからね」
- 「新しいおうちに、○○ちゃんの好きなぬいぐるみもおもちゃも全部一緒に持っていこうね」
- 「パパは離れているけど、○○ちゃんが会いたい時はいつでも会えるからね」
この年齢では「自分が悪い子だったから」と自責の念を抱きやすいため、「あなたは何も悪くないよ」と繰り返し伝えることが重要です。
小学生の子どもに対して
小学生は善悪の判断ができるようになる一方で、感情のコントロールがまだ未熟です。両親への愛情を示しつつ、「大人の問題であって、子どもには関係ない」ことを明確に伝えます。
例文
- 「パパとママはけんかばかりだから、少しの間だけ別々に暮らすことにしたよ。でもパパもママもあなたのことは大好きで、それは絶対に変わらないからね」
- 「学校も友達も今まで通りだし、あなたの生活で変わることはできるだけ少なくするから安心してね」
「新しい生活に慣れるまで時間がかかるかもしれないけれど、困ったことがあったらいつでも相談してね」と、サポートの意思を示すことで安心感を与えられます。
中学生以上の子どもに対して
中学生以上の思春期の子どもは、大人に近い理解力を持つ反面、感情の起伏が激しく、反発することもあります。ある程度の事情説明は必要ですが、配偶者を一方的に批判することは避け、「家族としての愛情は変わらない」ことを強調します。
例文
- 「お父さんとお母さん、しばらく別々に暮らすことにしたよ。いろんなことがあって、ちょっと距離をおいた方がいいと考えたの。でも、あなたがお父さんに会いたいと思ったらいつでも会えるからね。」
- 「お父さんとお母さんは別々に暮らすことになったけど、これは大人の事情で、あなたが悪いわけじゃないよ。今まで通り、お母さんと一緒に暮らしていくし、何か不安なことがあったらいつでも言ってね。」
進学や将来への不安を抱えやすい時期でもあるため、「学校生活や将来の計画には影響しないよう最大限配慮する」と具体的な保証を示すことが大切です。
子どもに伝える際のポイント
子どもが話したがっている時は無理に話を止めないことが重要です。質問には年齢に応じて誠実に答え、答えられない場合は「今はまだ決まっていないけれど、決まったら必ず教えるね」と正直に伝えましょう。
学校の先生やカウンセラーとの連携も重要です。担任の先生に状況を共有し、必要に応じて専門的なサポートを受けましょう。
可能な限り、夫婦で話し合って一貫した説明を心がけ、「両親は別居するが、子どもに対する愛情は変わらない」というメッセージを伝えましょう。
まとめ|スムーズに別居するために
別居を切り出す際は、相手の性格と状況にあわせ、対面やメール、置き手紙など最適な手段を選択することが重要です。
子どもがいる場合は、年齢に応じた丁寧な説明で心理的ダメージを最小限に抑え、両親からの愛情が変わらないことを継続的に伝えることで、子どもの安定した成長を支えられます。
別居にあたって弁護士への相談が必要なケースとしては、DVやモラハラを受けているケース、財産分与や慰謝料の問題が複雑なケース、相手が別居や離婚に強く反対しているケースなどが挙げられます。身の安全を守り、話し合いを有利に進めるためにも、専門家のサポートを活用しましょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了