夫源病で離婚できる?旦那がストレスでしかない悩みの解決法

「旦那といるのがストレスでしかない」「もう離婚したい」といった悩みが体調不良を引き起こすことがあります。
- 夫の休日には決まって体調が悪くなる
- 夫といるとめまいや動悸がする
- 慢性的な胃痛や不眠に悩まされている
そんな違和感が続いていませんか? もし思い当たる症状があれば、それは「夫源病(ふげんびょう)」かもしれません。
夫源病を理由に離婚できるかどうかは、夫婦の合意の有無と夫の言動が法定離婚事由に該当するかで決まります。
内閣府の「DV相談プラス」によると、精神的DVに関する相談は全体の73.7%を占めています。また、相談者のうち34.6%が、不眠や不安感、抑うつ状態、フラッシュバックなどの症状を訴えていると報告されています。
この記事では、夫源病で離婚を進める方法と法的な条件、離婚を有利にするための準備、そして離婚以外の選択肢までを、法的根拠に基づいて解説します。
目次
夫源病とはどのような状態か
夫源病の定義と医学的な位置づけ
夫源病とは、夫の言動や存在そのものが原因で妻が強いストレスを感じ、その結果、心身に不調をきたす状態を指します。
夫が家にいるときに様々な不調が現れ、夫がいないときには症状が軽減するというのが夫源病の特徴です。
夫源病は医学的な病名ではなく、ある循環器科医が更年期の患者の診察を行う中で発見した症状に名前をつけたものといわれています。
夫源病の主な症状はめまいや不眠、動悸
以下のような症状の原因が夫にあるなら、夫源病にあてはまるかもしれません。
夫源病の主な症状
- 原因不明の頭痛やめまい
- 不眠や慢性的な疲労
- 動悸や息苦しさ
- 情緒不安定、抑うつ的な気分
こういった症状は、自律神経の乱れが原因であることが多く、ストレスとの関連性が強いとされています。
夫源病は中高年の女性に多い?更年期障害との違い
夫源病は中高年の女性に起きることが多いといわれています。
特に更年期以降の女性は、ホルモンバランスの変化によりストレスへの耐性が下がったり、体調を崩しやすくなっている状態です。更年期障害と区別がつきづらいですが、夫が近くにいるときに症状が出る点で更年期障害とは異なるでしょう。
更年期障害と離婚の関係や、離婚を考える前に確認しておきたいポイントについては、『更年期障害が離婚の原因になるケースと離婚前に知るべきこと』で詳しく解説しています。
また、夫が定年を迎えて在宅時間が増えたことをきっかけに、症状が現れるケースもあります。
厚生労働省の「令和7(2025)年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、同居期間20年以上のいわゆる熟年離婚は全体の約22.3%を占め、離婚する夫婦の5組に1組以上にあたります。
夫が60〜64歳の有配偶離婚率は、昭和60年(1985年)の0.54から令和2年(2020年)には1.97へと約3.6倍に上昇しました。こうしたことから、熟年層を中心に離婚は増加傾向にあるといえます。
旦那がストレスでしかないと感じる原因
夫源病を引き起こしやすい夫の特徴
夫源病を引き起こしやすい夫には、以下のような特徴があります。
- 妻に対して感謝や労いの言葉がない
- 自分の価値観を押しつけてくる
- 家事や育児に非協力的、評価しない
- 妻の話に興味を示さない、無視する
夫のこういった言動は程度によっては精神的DVやモラルハラスメント(モラハラ)にあたるケースもあり、夫婦関係に重大な悪影響を与える行為です。
また、国立社会保障・人口問題研究所の全国家庭動向調査(第7回・2022年)によると、夫の家事に不満を感じている妻は全体の42.6%に上り、50代では48.1%と約半数に達しています。年齢が上がるにつれて不満の割合が高くなる傾向があり、40代では45.4%となっています。
夫源病になりやすい妻の特徴
一方、夫源病になりやすい妻には、以下のような特徴があります。
- 真面目で我慢強く、弱音を吐かない
- 完璧主義で几帳面、家事や育児に手抜きができない
- 「いい妻」「いい母」でいたいという気持ちが強い
- 些細な問題を深刻に受け止めやすい
「妻とはこうあるべき」という考え方の強い人ほど、夫が努力を認めてくれないことに対し強いストレスを感じやすいのではないでしょうか。
夫源病で離婚できるケースはどんな場合か
協議離婚や調停離婚では同意があれば離婚可能
相手が離婚に合意している場合は、協議離婚というかたちで、夫源病を理由に離婚することができます。
協議離婚とは、夫婦間の話し合いによって、離婚をするかどうか、どんな条件で離婚をするかを決める方法です。夫婦が合意して離婚届を提出すれば、離婚は成立します。
話し合いがまとまらず離婚調停に進んだ場合でも、双方が合意できればどのような理由でも離婚することができます。
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裁判離婚には法定離婚事由が必要
夫婦間の話し合いや離婚調停を行っても夫が離婚に同意しない場合は、離婚裁判を起こして裁判官に離婚を認めてもらう必要があります。
夫源病そのものは法定離婚事由ではない
裁判で離婚を認めさせるためには、民法770条に定められる4つの法定離婚事由のうち少なくとも一つが存在していなければなりません。
(裁判上の離婚)
民法 第七百七十条
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
なお、かつては「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という事由も定められていましたが、2026年4月1日施行の民法改正によってすでに削除されています。
夫源病そのものが理由で裁判離婚が認められることはありませんが、夫源病のもとになった夫の行動が法定離婚事由にあたるのならば、裁判で離婚が認められるでしょう。
過去の裁判では、妻が夫の自己中心的な行動や義父母との関係などのストレスから不眠・抑うつ・皮膚症状を発症して治療を要する状態となった事案があります(東京家判平29・2・28)。裁判所は、夫の不貞行為等によって婚姻関係が破綻し修復の見込みがないとして、法定離婚事由(婚姻を継続し難い重大な事由)を認めました。なお、控訴審でも離婚を認めた判決は維持されています(東京高判平29・9・7)。
夫源病で離婚できないケースの対処法
夫が離婚に応じず、法定離婚事由もない場合、夫源病を理由に離婚することは難しいといえます。
そのような場合は、以下の対処法が考えられます。
- 弁護士などの第三者を挟んで交渉する
- 別居する
当事者同士の話し合いで離婚に合意できないときは、弁護士に依頼する、知人や親を交えて話し合う、または家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚)」を申し立てて調停委員を介した話し合いの場を設けるといった方法があります。
調停は裁判と異なり、勝ち負けを決める手続きではなく、第三者(調停委員)が間に入って双方の合意を目指すものです。弁護士を立てなくても自分で申し立てられる点も、利用しやすい理由のひとつです。
それも難しい場合は、別居という手段があります。
別居のメリットは夫と距離を置けることだけではありません。夫婦が長期間にわたり別居を続けている場合、婚姻関係が破綻しているとして裁判離婚が認められる可能性が高まります。
なお、別居中も夫婦には互いに生活を支え合う義務があるため、収入の少ない側は相手に対して婚姻費用(生活費)を請求できます。夫が支払いに応じない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てることも可能です。
裁判実務では、別居期間が長期に及ぶと婚姻関係の破綻が認定されやすい傾向があります。一方、同居中にDVやモラハラがあった場合は、別居期間が短くても離婚事由として認められるケースがあります。
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夫源病で離婚する前にすべき3つの準備
離婚を決意しても、すぐに切り出すのは避けた方がよい場合があります。しっかりと準備を整えてから話し合いを始めることで、より有利に交渉を進めやすくなります。
1. 医師の診断を受ける
まずは症状に合わせて心療内科や内科、婦人科などを受診しましょう。その際、「夫が原因で心身に不調がある」と医師に伝えることが大切です。
診断書やカルテの記録は、DVやモラハラによって精神的苦痛を受けていた事実を客観的に示す証拠として、調停や裁判でも活用できます。
2. 夫の言動の記録や証拠を残す
調停や裁判で夫の言動を証明するには、日々の記録が力を発揮します。後から証拠として使えるよう、以下のようなものを残しておくとよいでしょう。
・体調や出来事を記録した日記・メモ・カレンダーへの書き込み
・夫の発言を記録した録音・動画
・LINEやメールなどのやり取り
これらの証拠があると、慰謝料請求の根拠としても活用しやすくなります。
3. 財産分与や養育費の交渉に備える
離婚を切り出す前に、夫婦の財産と相手の収入を把握しておきましょう。財産分与や養育費の額は、双方の財産・収入をもとに判断されるため、相手の資産状況を正確に確認できなければ、本来受け取れるべき額を取りこぼすリスクがあります。
特に注意したいのが、別居後は相手が財産資料の開示を拒むケースがあるという点です。預金通帳の写し・源泉徴収票・保険証券などは、同居中に確認・保存しておくことが望ましいといえます。
また、養育費などの取り決めは口約束や協議書だけにとどめず、公正証書(執行証書)に残しておくと、支払いが滞った際に給与や預金の差し押さえといった強制執行の手続きをスムーズに進められます。
長年専業主婦だった方やパート・アルバイトとして働いてきた方は、離婚後の生活費・住居・仕事に不安を感じるのは自然なことです。財産分与や養育費を正当な額で受け取ることが、離婚後の生活を安定させる土台になります。どの程度の財産分与が見込めるか確認したい方や、できる限り有利な条件で交渉したい方は、弁護士に相談することをおすすめします。
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夫源病で悩んでいるとき、離婚以外の選択肢はある?
夫源病の解決策は離婚だけではありません。婚姻関係を維持しながら症状を改善するために、次のような方法も検討してみてください。
病院で治療を受ける
身体に不調を感じているなら、まずは医療機関を受診することをおすすめします。
夫源病そのものを治療することはできませんが、身体的・精神的な症状は薬などで和らげることができる場合があります。
夫婦間のコミュニケーションを工夫する
夫源病を克服し夫婦関係を再構築するには、双方のコミュニケーション方法を見直してみることが有効です。 妻側でできる工夫の例としては、次のようなものがあります。
妻のできる工夫
- 要求を「Iメッセージ」で伝える
「あなたは家事を手伝わない」と伝えるのではなく、「家事を分担してくれると、私のストレスが減るの」と、自分の感情を主語にして伝えることで、相手への攻撃性を抑えられる - 不満はため込まずその場で伝える
イラっとした瞬間に「今の発言は傷ついた」とその場で伝える - 具体的な要求に落とし込む
「ゴミ出しを週3回やってほしい」「子どもの送迎を分担したい」など、数値化できる形でお願いする
夫側でできる工夫の例は次の通りです。
夫のできる工夫
- まず聞くことを徹底する
妻の話を途中で遮らず、「それで?」「なるほど」と相槌を打ちながら、最低3分は否定せずに聞くことを心がける - 行動改善の目標を具体化する
「週2回は夕食の後片付けをする」「子どもの習い事の送迎を月4回担当する」など、測定できる約束を具体的に決める - 気づきを言葉にする
「こんなに家事をしているとは気づかなかった」と認識の変化を素直に伝え、謝罪と感謝をセットで言葉にする
夫源病の克服には、夫婦双方の協力が欠かせません。こうしたコミュニケーションの工夫を、夫にも一緒に試してもらえるよう依頼してみるとよいでしょう。
一時的に別居する
一時的に別居して互いに冷静になるという方法もあります。新たな住居を用意する必要はなく、数日間実家に帰ったり、旅行で家を離れたりするだけでもリフレッシュ効果が期待できます。
夫と距離を置くことで心身を休められるだけでなく、夫への接し方や物事の捉え方を見直すきっかけにもなります。夫にとっても、妻がいない生活を経験することで、改めて妻の存在のありがたみに気づく機会になるかもしれません。
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夫婦カウンセリングを受ける
第三者の立場からアドバイスをもらえる夫婦カウンセリングも、有効な選択肢のひとつです。夫婦関係を専門に扱うカウンセラーは多く存在しており、一人で受けることも、夫婦で受けることもできます。
二人でカウンセリングに参加すれば、カウンセラーが話し合いを取り持ってくれるため、感情的になりにくく、建設的な対話がしやすくなるでしょう。
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夫源病での離婚に関するよくある質問
Q. 夫源病で離婚できるのはどんなケース?
夫源病を理由に離婚できるかは、まず夫が同意するかどうかによって変わります。双方が合意すれば、理由を問わず協議離婚や調停離婚が成立します。
一方、夫が同意しない場合は、民法で定められた法定離婚事由への該当が必要です。夫源病そのものは法定離婚事由には含まれませんが、その原因となったDVやモラハラが「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると認められれば、裁判で離婚が認められる可能性があります。
Q. 旦那がストレスでしかない場合、離婚以外の選択肢はある?
離婚以外にも、関係改善や負担軽減を図る方法があります。夫婦カウンセリングの利用やコミュニケーションの見直し、一時的な別居などが選択肢として挙げられます。
別居は心身の回復につながるだけでなく、長期間に及んだ場合には婚姻関係の破綻を示す事情として裁判の判断材料になることもあります。
Q. 旦那がストレスで離婚したいが診断書は必要?
診断書は必須ではありませんが、調停や裁判では有力な証拠になります。受診の際に「夫が原因で心身に不調がある」と医師に伝えておくと、精神的苦痛の客観的な裏付けとして活用しやすくなります。
あわせて、体調の変化を記録した日記・メモや、夫の発言を録音した音声データなども残しておくと、いざというときに役立ちます。
Q. 夫源病で離婚したいが夫が応じないときは?
夫が離婚に応じない場合、まず家庭裁判所への離婚調停の申立てに進みます。日本では、裁判を起こす前に原則として調停を経なければならないと法律で定められています(調停前置主義)。調停でも合意できなければ、最終的には離婚裁判へ移行します。
なお、別居が長期間に及ぶと婚姻関係の破綻が認定されやすくなる傾向があり、裁判での離婚が認められやすくなります。
夫源病から抜け出すには?
夫婦間のコミュニケーション改善や一時的な別居、夫婦カウンセリングなどを試みることで、状況が改善するケースもあります。
それでも状況が変わらず、心身への影響が続いているなら、ご自身の健康と生活を守るために離婚という選択肢を検討する時期かもしれません。
離婚を視野に入れる場合、夫の行為が法定離婚事由に該当するかどうかが重要なポイントになります。また、財産分与や養育費、離婚後の生活設計など、専門的な判断が必要な問題も多く絡んできます。
- 夫源病で離婚は可能?
- 夫が離婚に応じてくれなかったらどうすればいい?
- どのような条件で離婚できる?
こうした疑問をお持ちの方は、離婚に強い弁護士にご相談ください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
