離婚調停にかかる期間は何か月?何回で終わる?
離婚調停は、3か月~1年程度で終わる場合が多いですが、中には1〜2年以上かかってしまうものもあります。
調停がスムーズに終わるか長引いてしまうかはケースによります。
この記事では、離婚調停の平均期間や回数、調停終了までの流れについて解説します。
離婚調停にかかる期間は?何回で終わる?
離婚調停の期間は3か月~1年が多い!
令和4年度司法統計年報 家事編から、夫婦関係に関する調停がどのくらいの期間で終わったかのデータを見てみます。
調停が終了するまでの期間は、最短で1か月以内、長いと2年以上かかるものもありますが、約6割が3か月~1年で終了しています。
したがって、離婚調停には3か月~1年かかる場合が多いと想定しておくとよいでしょう。
次に、調停がどのような結果で終わったかの割合を見てみます。
3か月以内の短期間の調停では取下げの割合が高いですが、それ以外は期間が長くても短くても成立・不成立の割合は大きくは変化しないことが分かります。
なお、その他の項目には却下、調停をしない、調停に代わる審判などが含まれます。
離婚調停の回数は2回前後が多い!
同じく司法統計年報から、調停終了までに行われた調停期日の回数を見てみると、調停終了までに開かれた期日の回数は2回が最も多く、次いで6~10回、3回が多くなっています。
次に、期日の回数ごとに、調停がどのように終わったかの割合を見てみます。
以下のグラフの通り、調停を何回行っても、調停成立の割合は大きく変わらないことが分かります。したがって、調停を多く行ったからといって、離婚できる可能性が高まるとは言えません。
離婚調停の流れ
離婚調停とは?
離婚調停とは、正式名称を「夫婦関係調整調停(離婚)」といい、夫婦間の話し合いでは離婚について決まらない場合や、そもそも話し合いが難しい場合に利用できる家庭裁判所の手続きです。
裁判官と男女ひとりずつの調停委員で構成される調停委員会が、夫婦の話し合いを仲裁します。
離婚調停の流れと期間
離婚調停は、以下のような流れで行われます。
- 家庭裁判所に申立書を提出
- 裁判所から呼出状が届く
- 第1回の調停期日が開かれる
- 調停を何度か繰り返す
- 調停終了
1.家庭裁判所に申立書を提出
離婚調停を申し立てる場合は、まず離婚調停申立書や事情説明書などいくつかの書類を揃え、管轄の家庭裁判所に提出します。
関連記事
2.2週間程度で呼出状が届く
申立書類が受理されると、裁判所の中で担当する裁判官・調停委員や1回目の調停期日が決められます。
裁判所の混み具合にもよりますが、おおむね10日~2週間程度で双方に調停の期日を知らせる呼出状が送付されます。
3.第1回の調停期日までは約1か月
調停の第1回期日は、多くの場合申し立ての1〜2か月後に設定されます。したがって、調停が始まるまで、早くても1か月程度はかかると思っておいたほうがよいでしょう。
第1回の日程は申立人と裁判所との間で決めるため、相手方が1回目の調停に出席できないことはままあります。その場合は、裁判所・相手方・申立人の間で次回のスケジュールを調整します。
調停期日には、夫婦の双方が家庭裁判所に出向き、調停委員と交互に面談を行います。調停委員は夫婦の意見を調整し、時には説得したりして、夫婦間の合意を促します。
1回目の調停で離婚の合意が成立すれば、調停は1回のみで終わります。
4.月に1回程度の調停期日を繰り返す
調停が終了するまでの間、1か月に1回程度のペースで調停期日が繰り返されます。
次回の期日までの間に、証拠資料や主張書面などの提出が求められることもあります。
調停を重ねる中で夫婦が離婚することに合意すれば、離婚調停は成立します。
5.調停終了
調停が成立・不成立になるか、取り下げられるなどすると、調停が終了します。
成立となった場合は、最後の期日に夫婦が同席のうえで調停調書を作成するのが通常です。
離婚自体は調停成立と同時に成立しますが、その後10日以内に調停調書の謄本とともに離婚届を提出する必要があります。
調停が不成立となった場合も、不成立調書が作成されます。調停後に裁判を提起する場合には、不成立調書の謄本の提出が求められます。
関連記事
離婚調停はどうしたら終わる?
離婚調停の終わり方
離婚調停は、成立、不成立、取下げなどの理由によって終了します。
離婚することや離婚の条件に夫婦が合意できたら、調停は成立となり、離婚も成立します。
一方、話し合いがまとまりそうにない場合や、当事者が調停に出席しない場合などには、調停委員会の判断で調停が不成立になります。
調停期間中に夫婦が協議離婚した場合や、離婚しないことにした場合などには、当事者が調停を取り下げることもあります。取下げに特に条件はなく、いつでも取り下げることができます。
調停の一部成立について
離婚調停では、婚姻費用や養育費、面会交流などについて併せて話し合われることがよくあります。条件が合わずになかなか調停が成立しない場合には、一部分だけを先に成立させる場合もあります。
例えば、母子と父親とが別居した状態で離婚調停を行っているケースでは、離婚調停中も子どもと父親が会えるように、面会交流の部分だけを先に合意することもできます。
また、親権者さえ決まっていれば離婚の手続き自体はできるため、離婚の成立を優先させてそれ以外の話し合いを後回しにすることも可能です。
その場合は、先に離婚調停を成立させ、養育費や面会交流、財産分与請求などについては別途調停を申し立てる必要があります。
さらに、調停の一部分のみを取り下げることも可能です。
調停が不成立になったら
離婚調停が不成立になったら、再度夫婦で協議を行うか、離婚裁判を起こします。
日本の制度上、離婚裁判を起こすためには、先に調停を行って不成立になっている必要があります。これを調停前置主義といいます。
離婚裁判は、終結までに平均で1~2年程度、長ければ3年以上かかることもあります。裁判で離婚を成立させるためには、裁判の期間に加えて離婚調停の分の期間もかかる点に注意が必要です。
また、夫婦がおおむね合意できているにもかかわらず、些細な条件の違いなどで離婚調停が成立しない場合などには、調停委員会の判断で審判の手続きに移行することもあります。
調停に代わる審判とは、調停の内容を踏まえて家庭裁判所が判断を下す手続きです。
審判が行われれば、当事者の合意がなくても離婚することは可能です。ただし、2週間以内であれば即時抗告(不服申し立て)ができるため、審判の結果は簡単に覆すことができてしまいます。
即時抗告が認められると、高等裁判所で審理が行われます。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了