医師の夫との離婚|知っておきたい注意点を解説

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医師の夫との離婚を目指す際には、その職業の特殊性から、様々な問題が生じます。

特に、医師の夫に財産分与や養育費・婚姻費用、慰謝料などを請求する場合には、通常の計算方法や相場をあてはめると、本来受け取れたはずの財産を逃してしまうおそれがあります。

知らずに離婚して損をしてしまうのを防ぐために、医師との離婚の注意点を解説します。

医師は離婚が多い?

医師は離婚率が高いって本当?

「医者は離婚率が高い」とよくいわれますが、国内の医師の離婚率に関する明確な統計はありません。

しかし、医師は、高い収入や社会的地位を有する一方で、過酷な労働環境や責任の重さから、ストレスを抱えやすい職業です。そのため、夫婦関係に亀裂が生じやすい傾向にあると考えられます。

医師の離婚が多い理由

医師は離婚が多いと言われているのには、以下のような事情が関わっていると考えられます。

  • 職場内での浮気や不倫が多い
  • 多忙・激務で家庭を顧みない
  • 妻に求めるレベルが高い
  • 妻との間に収入格差や価値観の違いがある
  • 社会的地位やプライドが高い

もちろん全ての医師がこうではありませんが、一般的にこういったイメージがあるのは否定できません。

そして、こういった要素が、医師の離婚問題を複雑にしているというのは事実です。

医師との離婚の注意点①財産分与の問題

一般的に、医師は高収入であるため、財産分与をめぐって特有の争いが生じるおそれがあります。

財産分与の割合

財産分与の割合は、2分の1ずつというのが原則です。

ただし、どちらかが医師や弁護士など特別な資格を持っており、その努力や才能によって多大な財産を築いたような場合には、財産分与の割合の変更が認められるケースもあります。

医師の夫は、婚姻中に築いた財産は、自分の寄与によるものが大きいとして、2分の1ルールの修正を求めてくる可能性があります。

財産調査の困難性

医師は高収入であるため、預貯金や不動産などの財産だけでなく、株式や投資信託などの金融商品、美術品や骨董品などの貴重品、さらには医療法人の持分など、多種多様な財産を保有しているケースがあります。

これらの財産をすべて調査し、評価することは容易ではありません。

財産分与の対象

医師は専門職であるため、その職業に関連する財産を保有しているケースがあります。

例えば、医療法人の役員である場合、医療法人の持分は財産分与の対象となるのか、医療法人の役員としての報酬は財産分与の対象となるのか、といった問題が生じます。

また、開業医の場合は、病院の財産と自身の財産との明確な区別がないこともあり、財産分与の対象を決定するのが非常に困難です。

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医師との離婚の注意点②子どもに関する問題

養育費・婚姻費用の金額

医師の夫に養育費婚姻費用を請求する際、問題になるのがその額の決め方です。

養育費・婚姻費用は、夫婦で話し合って自由に額を決定することができますが、裁判所が公開している養育費・婚姻費用算定表(裁判所HP)もよく用いられています。

これは、夫婦それぞれの年収や子どもの人数などをもとに標準的な金額を算定する方法です。

しかし、この表の中では、給与所得者の場合は年収2,000万円、自営業者の場合は年収1,567万円が上限となっています。

したがって、これ以上の収入がある場合は、上限で計算した額をそのまま採用するか、この算定表のもととなっている計算式を用いて、自分で計算することになります。

夫にとっては、算定表上の上限値を採用した方が支払う額は少なくなりますので、どちらを採用するかで争いが生じるおそれがあります。

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養育費・婚姻費用算定表の見方と計算方法を解説!

養育費の支払い期間

医師との離婚は、養育費の支払い期間や学費の支払いについても、話し合いが難航する可能性があります。

養育費は、子どもが20歳になるまで支払うのが一般的です。とはいえ、大学に進学する見込みがある場合には、大学卒業までと取り決めることもあります。

問題は、子どもが医学部や歯学部、薬学部などに進学する場合です。6年制であるだけでなく、浪人・留年の可能性も十分にありますので、子どもが経済的に自立するのが4年制大学よりもさらに遅くなります。

子どもを養育する側としては、卒業までしっかりと養育費を払ってもらわなければ困ります。

しかし、支払う側が大学卒業までの養育費の支払いを拒否する可能性があります。

子どもの学費

養育費の取り決めをする際に、子どもの大学進学などの事情があった場合には、月々の養育費の支払いに加えて、学費を負担する旨の約束をするケースがよく見られます。

しかし、私立大学の医学部や歯学部、薬学部に進学する場合は、非常に高額な学費がかかります。夫がその支払いに簡単に応じるとは限らないため、子どもの学費の支払いをめぐって争いが生じる可能性があります。

子どもの親権に関する問題

多くの開業医は、自分の子どもに跡継ぎとなってくれることを期待しています。しかし、離婚して妻に親権を取られてしまっては、跡継ぎにすることができません。

このように、親権をめぐって争いになり、なかなか離婚できないという事態が考えられます。

医師との離婚は弁護士に相談!

弁護士が適正金額を算出します

医師との離婚は、その職業の特殊性から、財産分与や慰謝料、養育費、婚姻費用の金額の算定において、通常の基準や相場を適用せず、ケースごとに判断することが多くあります。

しかし、それは会計や法律の専門知識がなければ非常に困難です。弁護士に任せて、適正な金額を主張していくのがよいでしょう。

医師との離婚は弁護士にご相談ください

このように、医師との離婚は、交渉が難航する可能性が非常に高いため、注意が必要です。

夫の収入によって築いた財産であっても、それは妻の貢献がなければ得られなかったものです。その貢献を離婚時に正当に評価し、妻が最大限の経済的利益を得ることが公平であるといえます。

弁護士はこのような活動であなたの利益を守ります。

  • 財産の調査や評価
  • 相手方との離婚交渉の代理
  • 離婚手続きの代行
  • 離婚協議書・公正証書の作成サポート
  • 離婚調停・離婚裁判のサポート
岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

医師の夫との離婚を有利に戦いたいとお考えの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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