第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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公務員が暴行で逮捕された…懲戒処分は?失職する?
- 公務員が暴行で逮捕されたら懲戒処分される?
- 公務員が暴行で逮捕されたら失職する?
- 懲戒処分を軽減するポイントは?
公務員の方は私生活上の犯罪であっても、国家公務員法や地方公務員法の規定により処分が下されるおそれがあります。
今回は暴行事件を起こしてしまった公務員の方に向け、懲戒処分の内容や対処法について詳しくお伝えします。
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目次
公務員が暴行したら懲戒される?失職する?
公務員が暴行したら懲戒処分を受ける?
公務員が暴行事件を起こした場合、懲戒処分を受ける可能性があります。懲戒処分は、戒告、減給、停職、免職の4種類です。
国家公務員の場合、具体的な懲戒処分は、人事院が作成する「懲戒処分の指針について」という基準に従って決められます。同指針によると、公務員が暴行した場合の標準的な処分例は、以下のとおりです。
非違行為の内容 | 標準的な懲戒処分 |
---|---|
人の身体を傷害したとき | 停職または減給 |
暴行を加え、又はけんかをした職員が 人を傷害するに至らなかったとき | 減給または戒告 |
地方公務員の場合、各自治体が規定する懲戒処分の指針に従って判断されます。所属する地方自治体や職務によって標準的な懲戒処分は異なります。
例えば、東京都総務局の懲戒処分の指針によると、人の身体を傷害したときは「免職又は停職」、暴行を加え傷害するに至らなかったときは「停職又は減給」とする旨規定されています。
公務員の懲戒処分で考慮される事情は?
公務員の懲戒処分は、基本的に以下の事情を総合的に考慮して判断されます。
懲戒処分を決定する際の考慮事情
- 非違行為の動機、態様及び結果
- 故意・過失の程度
- 職員の職責、その職責と非違行為との関係
- 他の職員及び社会に与える影響
- 過去の非違行為の有無
- 勤務態度
- 非違行為後の対応 など
まず、暴行態様として、凶器を使用したケースは危険性が高く悪質と判断されます。また、同じ素手でも平手より手拳で殴る方が危険と評価されやすいです。
次に、暴行の結果、被害者が怪我を負った場合は懲戒処分が重くなります。刑事事件では、一般的に全治2週間以上の怪我は傷害結果が重いと判断されます。懲戒処分でも、刑事事件における基準は一つの目安にされるでしょう。
そして、暴行の動機として、相手の挑発行為がきっかけとなったのか、自分から暴行したのかといった点が考慮されます。
その他にも、逮捕された事実が報道されたか否かもポイントとなります。逮捕の報道があると市民の信用を失墜させることから、懲戒処分が重くなる可能性が高くなります。
懲戒処分を軽減するため事後的にできる対応として最も重要なのが、示談です。
暴行事件後、早期に被害者との間で示談を成立させ、かつ、被害者の許しを得られれば、懲戒処分を軽くする方向に考慮されます。
公務員が暴行したら失職する?
公務員が当然に失職するのは、「禁錮以上の刑」に処せられた場合です。「禁錮以上の刑」には、執行猶予付き判決も含まれます。
公務員としての資格が欠ける要件を規定した条項を「欠格条項」といいます。
禁錮以上の刑を科された人はこの欠格条項に引っかかり、地方公務員法や国家公務員法において公務員職になれないと規定されているので、当然に失職してしまうことになるのです。
公務員が暴行事件を起こした場合、逮捕・勾留されたことだけを理由に失職となることはありません。不起訴になった場合も同様です。
一方、暴行罪や傷害罪で起訴され、執行猶予付き懲役刑か実刑の判決が確定すると、「禁錮以上の刑」に処せられたことになるため、失職します。
公務員が暴行事件を起こした場合、欠格条項による失職を回避するには、不起訴処分の獲得が極めて重要です。
不起訴処分になれば、懲戒免職の可能性も低下します。
公務員が暴行したら刑事処分はどうなる?
暴行したら何罪が成立する?
暴行行為によって相手に怪我をさせなければ、暴行罪が成立します。暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。
一方、暴行行為によって相手に怪我をさせれば、傷害罪が成立します。傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
罰金、拘留、科料は「禁錮以上の刑」に当たりません。したがって、暴行行為を理由に罰金、拘留、科料の刑罰を科されたとしても、当然には失職しません。
ただし、前科がつくことに変わりはありません。また、示談など適切な被害者対応をしないまま放置していると、懲戒処分が重くなる可能性が高くなります。
前科回避や懲戒処分の軽減のためには、早期の示談成立が非常に重要です。
暴行事件の刑事処分に影響する事情は?
暴行事件の起訴・不起訴や量刑を決める際、主に以下の事情が重視されます。
暴行事件で重視される事情
- 暴行の態様(凶器の有無など)
- 暴行の部位
- 暴行の回数や執拗さ
- 暴行の動機(被害者の落ち度など)
- 傷害の軽重(傷害結果が全治2週間以上だと結果が重大だと評価されやすい)
- 示談の有無 など
暴行罪・傷害罪ともに、示談が成立していると不起訴処分の可能性が高まります。
特に、被害者の許しを得た宥恕付き示談が成立すると、不起訴の可能性が大きく高まります。宥恕付き示談は、懲戒処分を軽くする方向にも働きます。
仮に起訴されても、示談が成立していれば刑罰を軽くする事情として有利に考慮されます。
暴行事件を起こしてしまった公務員の方は、いち早く弁護士に相談して示談交渉を始めることをおすすめします。
公務員の暴行事件で逮捕後から釈放までの流れは?
暴行罪や傷害罪の容疑で逮捕される可能性は、それほど高くありません。逮捕は「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われる手続きで、軽微な犯罪では在宅事件になるケースも多いのです。
もっとも、被害者と加害者が同居している事例や現場から逃亡した事例などでは逮捕の可能性も高まるでしょう。
逮捕後は、検察官が起訴・不起訴を決めるまで最長23日間拘束されるおそれがあります。
暴行罪・傷害罪で逮捕された場合、早期釈放を実現するには勾留の回避が重要です。勾留されなければ、逮捕後3日以内に釈放されます。
勾留を阻止するためには、検察官や裁判官に対し「逃亡のおそれがないこと」「証拠隠滅のおそれがないこと」を主張し勾留決定を防ぐ必要があります。
逮捕されたら早期に弁護士に相談して、上記の弁護活動を依頼しましょう。弁護士は意見書を提出したり、検察官や裁判官と面談して早期釈放の実現を求めます。
勾留回避のポイントも示談です。示談が成立すれば、勾留要件である逃亡や証拠隠滅のおそれが少なくなるからです。
もし勾留が決定されても、示談が成立すれば準抗告が認められる可能性もあります。
準抗告が裁判官の決定に対する異議申立てであり、これが認められれば釈放されます。
公務員の暴行事件で重い懲戒処分を回避するには?
示談が成立すれば懲戒処分は軽くなる?
公務員が暴行事件を起こした場合、懲戒処分を軽減するために最も重要なのが示談です。
特に、被害者の許しを得た宥恕付き示談が成立すれば、それ以上加害者を懲罰する必要が低くなります。そのため、宥恕付き示談が成立すると懲戒処分が軽減される可能性が大きく高まります。
宥恕付き示談を成立させるポイントは、被害者に対し、真摯な謝罪をできる限り早急にお伝えすることです。
また、再犯防止策を具体的に行うことも有効です。例えば、被害者と加害者の生活環境を別々にしたり、加害者が専門のカウンセリングを受けるといった方法が考えられます。
不起訴処分や懲戒処分の軽減、そしてご本人の今後の人生のためにも示談は大切です。ぜひお早めに刑事弁護の経験豊富な弁護士にご相談ください。
逮捕を回避すれば懲戒処分が軽くなる?
公務員は、職務の公益性が高いため、逮捕されただけで実名報道されるケースが少なくありません。実名報道されると、刑事事件が職場に知られ懲戒処分を受ける可能性が高くなってしまいます。
刑事事件が職場に発覚するリスクを防ぐためには、逮捕の回避が有効です。
弁護士を通じ早期に示談を成立させれば、逮捕を回避できる可能性が高くなります。
警察が関与する前に示談を成立させ、被害届を出さない旨の同意も得ると、逮捕を回避できる可能性が高いです。
すでに被害届が提出されているケースでは、被害届を取り下げてもらうよう、弁護士が被害者と交渉します。示談成立と被害届の取下げによって、逮捕回避の可能性が高まります。
公務員の暴行事件における示談は弁護士に依頼すべき?
繰り返しになりますが、公務員が暴行事件を起こした場合、最も重要なのは早期の示談成立です。示談が成立すれば、不起訴処分の獲得だけなく、懲戒処分の軽減も期待できます。
示談は当事者同士の話し合いによって民事上の賠償責任を解消する手続きです。
示談交渉には、刑事弁護の経験豊富な弁護士の存在が不可欠です。
まず、弁護士に依頼しないと相手方の連絡先の入手すらままなりません。捜査機関は原則として加害者本人に連絡先を教えることはありません。
弁護士が第三者的な立場で介入し、加害者本人には連絡先を教えないという条件を提示してはじめて連絡先の入手の可能性が出てくるのです。
また示談では、被害者の心情に配慮しつつ、ご依頼者様の利益を最大限守るという難しい交渉が求められます。
これは刑事事件に専門性を持つ弁護士でないと非常に難しいです。
アトム法律事務所は、刑事弁護に注力する事務所として、公務員の方の刑事事件も多数解決してきました。暴行事件を起こしてしまい今後が不安な公務員の方・そのご家族は、アトム法律事務所にぜひご相談ください。
アトム法律事務所では警察沙汰になった事件について初回30分無料の対面相談を実施しています。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
懲戒処分は、戒告、減給、停職、免職の順に重くなります。
戒告は、公務員が不祥事を起こした場合、最初に検討される懲戒処分です。本人を戒める申し渡しをする処分であり、公務員の身分に影響はありません。
減給は給与を減額する懲戒処分です。
停職は、公務員としての身分を保有させつつ、一定期間職務に従事させない懲戒処分です。国家公務員の場合、停職期間は1年を超えない範囲とされています。また、原則として、停職期間中の給与は支給されません(国家公務員法83条)。
地方公務員の停職期間や給与の扱いについては、各地方自治体の条例が規定しています。
免職になると公務員としての身分を失います。また、退職金の全部又は一部が支給されない可能性があります。