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前科があると海外出張・海外旅行できない?パスポート・ビザ取得は可能?

- 前科があるけれど海外出張はできる?
- 前科がパスポートに与える影響は?
- パスポート、ビザ、ESTAの違いは?
前科・前歴がついてしまうと、海外出張・海外旅行ができるのかと不安になる方は多いのでしょうか。
また、そもそも前科とは何なのか、前歴との違いは何かなどの基礎的な意味についても知っておきたいところです。
この記事では、前科があっても海外出張に行けるのかどうか、海外出張や海外旅行に必要な手続きには何があるのかなどについて解説しています。
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目次
前科と海外出張の関係は?
前科とは?
「前科」とは、過去に刑事裁判で有罪判決を受けた経歴を指します。
たとえ「罰金刑」や、「執行猶予付きの判決」であっても、有罪であれば前科がつきます。
逆に、不起訴処分になった場合や、裁判で無罪となった場合には前科はつきません。これは、あくまで「有罪判決」が前科の条件となるためです。

前歴とは?
「前歴」とは、警察による捜査を受けた履歴のことを言います。
刑事事件は、まず警察による捜査から始まり、その後、検察官が「起訴するかどうか」を判断します。この起訴前の捜査段階での記録が「前歴」です。つまり、犯罪の疑いで捜査されたという事実そのものが前歴となります。
たとえ起訴されずに「不起訴処分」となった場合でも、捜査を受けた時点で前歴は残ります。ただし、この場合は有罪判決を受けていないため、前科はつきません。
海外出張に必要な手続きとは?前科があってもできる?(手続き編)
前科があってもパスポートは取得できる?
前科がある場合、パスポートの取得に影響する可能性があります。
海外出張や海外旅行には、まず「パスポート(旅券)」の取得が必要不可欠です。これは自国から出国するための公式な許可証であり、これがなければ原則として海外渡航はできません。
このパスポートの発給に関しては、「旅券法」という法律で一定の制限が定められています。
具体的には、一定の前科がある人(たとえば重大な犯罪で拘禁刑を受けたなど)の場合、旅券法に基づきパスポートの発給が制限されることがあります。そのため、前科の内容によっては、すぐにパスポートを取得できない可能性もあるのです。
ただし、前科があってもすべての場合で取得が制限されるわけではなく、どのような犯罪で、どのような判決が下されたかによって判断されます。
一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
二 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
三 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
(一部抜粋)
旅券法13条1項
1号は、渡航予定の国で犯罪をしたケースなどが該当します。
2号は、死刑・無期拘禁刑などが法定刑に含まれる重い罪で検察官に訴追されている者や、重い罪を犯した疑いで身体拘束を予定されている者が、海外に逃亡しないよう通報されているようなケースなどです。
3号は、拘禁刑以上の重い刑に処せられており、刑務所からまだ出所していない者や、執行猶予がついたがまだ猶予期間を満了していない状態の者のことをさしています。
上記で引用していない「4号」以降では、不正にパスポートを取得したことのある者や、旅券を偽造し、公文書偽造罪などの刑に処せられた者について制限しています。
これら旅券法13条1項に該当しない前科であれば、基本的にパスポート取得は可能です。
前科とビザ取得の関係は?
前科があると、ビザの取得や入国審査に影響を及ぼす可能性があります。
ビザとは、外国に入国する際にその国が「入国しても問題ない」と判断し、事前に発行する証明書のことです。通常、日本人は多くの国で短期滞在(90日以内)の場合、ビザが免除されることが多いですが、それでも入国審査は必ず行われます。
このとき問題になるのが「前科・前歴」の有無です。たとえビザが不要でも、渡航先の入国審査官が前科の有無を理由に入国を拒否する可能性があります。
特にアメリカやカナダ、オーストラリアなどは、入国審査が厳しく、前科があると入国できないケースもあるため注意が必要です。
また、国によってはビザの申請時に「犯罪歴の有無」についての申告が求められ、虚偽の申告をすると入国拒否や将来的な入国禁止につながることもあります。
海外出張や旅行を計画している場合は、渡航予定国の大使館に事前に確認することが非常に重要です。ビザの必要性だけでなく、前科による影響も含めた入国条件を確認しましょう。
渡米は注意が必要?
アメリカへの海外出張を予定している、前科・前歴のある方は注意が必要です。
アメリカはビザ取得を必須としている国ではありません。しかし、逮捕歴のある方は有罪判決の有無にかかわらずビザ取得が必要です。
大使館にて、渡米資格を確認されることになります。
ビザ申請の際には、前科のある方は、判決謄本や裁判記録を提出する必要が出てくるでしょう。また、逮捕歴のある方は、捜査関連書類を提出する必要が出てくるでしょう。
また、アメリカやカナダでは、薬物犯罪で前科や前歴のある人には厳しい判断がなされます。
審査には数週間から数か月かかることもあります。時間がかかるため、渡米の際は余裕をもって準備しましょう。
ESTA(エスタ)とは?前科があっても申請できる?
ESTA(エスタ)とは、アメリカに90日以内の短期滞在をする際に必要な電子渡航認証制度です。2009年から米国国土安全保障省により導入されました。
日本人の場合、ビザは免除されることが多いですが、ESTAの申請は必須です。ただし、前科や逮捕歴がある方は、ESTAでは入国できない可能性が高く、ビザ申請が必要となります。
以下のような犯罪歴があると、ESTAによる渡航が認められないことがあります。
ESTAの申請が制限される場合
- 殺人、過失致死、重大な暴行、誘拐、複数回におよぶ悪質な交通違反などをした場合
- 放火、強盗、盗難、詐欺など生命・身体・財産に危険を生じさせる犯罪をした場合
- 多額の脱税、贈収賄、偽証、薬物犯罪などをした場合
一方で、軽微なスピード違反や他人に危害を加えない違反は、ESTA申請制限の対象外となることもあります。
重要なのは、逮捕歴がある場合も正直に申請することです。虚偽の申請をすると、ESTAの拒否や将来の入国禁止措置につながるおそれがあります。
海外出張以外に前科がつくデメリット
海外出張以外でも、普段の生活において、前科がつくと今後の生活に制限が出ることがあります。
前科がもたらす不利益・影響について以下3つにまとめてみました。
前科がつくデメリット
- 仕事で前科が影響する可能性がある
- 国家資格や国家公務員試験で制限を受ける
- その他社会的な制裁を受ける可能性がある
(1)仕事で前科が影響する可能性がある
就職面接をする際、使用する履歴書に「賞罰」欄がない、もしくは申告を求められなかった場合は、基本的に前科を申告する必要はありません。
前科を記入する欄は賞罰の「罰」の部分です。
しかし、就職時には前科・前歴がなかったとしても、入社後に有罪判決を受けた場合、解雇事由に該当してしまうこともあり、海外出張以前に職を失う可能性があるのです。
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業所に、「就業規則」の作成・届け出義務が課されています。
就業規則の記載事項には「退職に関する事項」があり、そのなかには解雇に関する事由が含まれています。
補足
就業規則に、「有罪判決を受けた者」や「罰金刑以上の刑に処せられた者」は解雇事由にあたるとする旨、あらかじめ記載している事業所は多くあります。
そのため、せっかく入社した会社の職を失ってしまう可能性が考えられるでしょう。
(2)国家資格や国家公務員試験で制限を受ける
たとえば弁護士の場合、弁護士法7条に、拘禁刑以上の刑に処せられた者は弁護士資格をもたない旨の規定があります。
前歴は資格要件に引っかかりませんが、前科があると試験を受けても弁護士になることができない場合があります。
なお、同じ国家資格でも、すべてが同じ制限を受けるわけではありません。
拘禁刑以上の刑が確定後、刑の執行を終えるか、執行を受けることがなくなってから3年~5年を経過すれば資格を持てるものもあります。
また、公務員試験においても前科は影響を及ぼします。
国家公務員、地方公務員ともに、拘禁刑以上の前科は欠格事由となるのです。
ただし、刑の執行を終えてから、再度試験に合格した場合は資格取得が可能です。
(3)その他社会的な制裁を受けてしまう可能性がある?
有罪判決を受けた前科者は、インターネットのニュース記事や、他人のブログなどに実名が残ることがあります。
逮捕時にひとたびニュースになってしまった際は、長期間にわたって氏名などが掲載されることもあるでしょう。
有罪判決後、刑の執行を終えた後であっても、何かとネット上で話題にされることも珍しくありません。
前科と海外出張・旅行に関するよくある質問
Q. 前科があっても日本から出国できますか?
前科があっても、パスポートを所持していれば原則として日本を出国することは可能です。
ただし、出国先の国が入国条件として「前科の有無」を重視する場合があり、アメリカ・カナダ・オーストラリアなどでは前科を理由に入国を拒否されることもあります。
渡航前には各国の入国要件を十分に確認する必要があります。
Q.執行猶予付きの前科でパスポートは取得できますか?
執行猶予中はパスポートの取得が制限されており、原則として発給されません。しかし、執行猶予期間が終了して「刑の執行を受けることがなくなった」とみなされれば、パスポートの発給は可能になります。つまり、執行猶予が満了すれば、前科があってもパスポートを取得できるようになります。
Q.略式起訴で罰金刑になったら海外旅行はできる?
略式起訴による罰金刑が確定しても、パスポートの発行や更新には制限がかからないため、パスポート取得・海外旅行自体は可能です。
旅券法でパスポート発給が制限されるのは、実刑判決を受けて服役中、執行猶予中、または仮釈放中の場合などに限られ、罰金刑のみの場合は該当しません。
ただし、略式起訴でも「前科」がつくため、アメリカなど一部の国ではESTAが使えず、ビザ申請が必要となる場合があります。パスポートは取得できても、ビザの審査で不許可となる可能性がある点には、注意が必要です。
前科をつけたくない・海外出張のお悩みは弁護士相談?
弁護士だけができる前科をつけない活動は?
前科をつけないためには、検察官に起訴されないようにすることが必要です。
起訴されると99%以上の割合で有罪になってしまうため、不起訴を目指す活動は、被疑者にとって非常に重要なものとなります。
よって弁護士は、起訴されない、不起訴処分になりうる要素を検討し、検察官にアピールしていくのです。
不起訴に向けた活動は、検察官の終局処分前(起訴か、不起訴かが決められる前)に、速やかにおこなう必要があります。
身柄事件の場合は制限時間も発生するため、早期の準備が必要です。
被害者がいる事件では、示談が出来るかどうかの交渉期間も必要です。
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・刑事事件で示談をした場合・しない場合のメリットとデメリットは?
弁護士相談の予約ができる窓口は?
身柄事件の場合、検察官は勾留満期の数日前に処分を決めます。
よって、時間が限られている身柄事件では、特に刑事事件のスケジュールを把握することが重要です。
前科を付けたくない方は、まずは刑事事件に強い弁護士による法律相談を利用しましょう。
ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判
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(抜粋)アトム法律事務所様を選んだのはネットで見た情報から親切にお話を聞いていただけそうだと感じたからです。自分自身、非常に不安な心境でしたが、お会いいただいた際には丁寧に今後の事をお話しいただきました。以後のご連絡についても都度いただけたので不安な気持ちも少し落ち着きながら過ごすことができました。
スピードを要することを知らずギリギリの所で救って頂きました。

(抜粋)急を用する件でありましたが、早急に対応していただきありがとうございました。最善をつくした結果不起訴となり安心しております。今回の件はスピードが大事であることは知らずギリギリの所で救っていただき本当に感謝しております。信頼できる弁護士事務所、先生に出会うことが出来ました。本当に大変お世話になりました。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了