第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。
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司法書士なら前科はダメ?就職で不利な資格制限とは?前科は消える?
- 前科があると司法書士になれない?
- 前科がつくと司法書士ができなくなる?復職するには?
- 執行猶予や罰金は前科?不起訴なら資格には影響ナシ?
- 司法書士「以外」の資格と前科の関係は?
- 前科をつけたくないときに相談できる弁護士は?
この記事は、刑事事件をおこしてしまった司法書士の方や、将来、司法書を目指している方などを対象としています。
特定の前科があると、司法書士は資格制限を受けることがあります。
ですが、前科があれば必ず資格制限になる、欠格になるというわけではありません。
また、刑の言渡しの効力が消える(≒「前科が消える」)ことで、復職がかなうケースもあります。
この記事では、司法書士など「前科による資格制限が問題になる職業」について取り上げています。
前科が資格・就職に及ぼす影響、「前科が消える」ケース、前科をつけないための対策などを解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
司法書士は前科でどうなる?
〇〇の前科があると司法書士の資格はく奪?
司法書士には、前科による資格制限があります。
司法書士の職業に就いている方が、禁錮以上の刑罰を受けた場合、司法書士の登録が取り消されます(司法書士法15条1項4号)。
司法書士法5条1号では、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しない者」については、司法書士となる資格を有しないと規定されています。そのため、少なくともその3年間については司法書士として働くことができません。
欠格になる資格 | 司法書士 |
欠格になる前科 | 「禁錮以上の刑」(禁錮・懲役・死刑) |
欠格になる期間 | 刑罰の執行が終了したとき、または執行されなくなった時から3年間 |
〇〇の前科があると司法書士になれない?
司法書士の勉強中で、将来、司法書士の職業につきたいと考えている方も同様です。
司法書士法5条1項の規定により、禁錮以上の刑に処せられた場合は、司法書士の資格試験に合格したとしてもすぐには司法書士にはなれないでしょう。
前科を回避するには?司法書士として働くためには?
そもそも「前科」とは?
前科とは、有罪の確定判決を言渡された事実のことです。
事実の有無は、あとから変えることはできません。
前科は、一度ついてしまえば、消えることはありません。
前科
- 前科とは「有罪の確定判決を言い渡された事実」のこと
- 前科は、消えない
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罰金や執行猶予も前科?
罰金や執行猶予も前科になります。
罰金や、執行猶予つきの懲役刑も、「有罪の確定判決を言い渡された事実」という前科の定義にあてはまるからです。
不起訴なら前科にならない?
不起訴になれば、刑事裁判は開かれないので、有罪判決を出されることもありません。
つまり、不起訴になれば前科はつきません。
不起訴を目指すことが、前科をつけないための一番の近道といえるでしょう。
不起訴を目指すには?
不起訴を目指す方法のひとつに、「示談」があります。
示談というのは、被害者の方に対して謝罪を申し入れ、被害の弁償をして、損害賠償に関する問題を解決する和解のことです。
示談が成立すると、刑事処分にも影響があり、不起訴になる可能性が高まります。
示談交渉は、多くの場合、加害者側は代理人をたてて、被害者に連絡をいれます。
まずは被害者の方への謝罪を尽くす必要があり、その後、示談の内容をつめていく流れとなります。
被害者側に謝罪の気持ちを伝えるには、多くの時間を要します。
弁護士に依頼するのは、早いに越したことはないでしょう。
前科は消える?就職の履歴書に書くべき?
「前科は消える」というのは本当?
「有罪の確定判決を言い渡された事実」自体は消えません。ですが、一定の条件を満たした場合に「刑の言渡しの効力」が消えることはあります。
刑の言渡しの効力が消える場合、法律上は職業の資格制限がなくなるといえるでしょう。
刑罰の言渡しの効力が消える条件については、以下のように整理できます。
執行猶予つきの判決が出された場合、(執行猶予が取り消されずに)執行猶予期間が満了すれば、刑の言渡しの効力が消えます(刑法27条)。
執行猶予がつかない実刑判決の場合でも、刑罰を受け終わったとき(刑務所からの出所、罰金の納付etc)や刑罰を免除されたとき(刑の時効の成立、恩赦etc)は、一定条件のもと、数年間経過すれば、刑の言渡しの効力が消えます(刑法34条の2第1項)。
前科 | 条件 | 効力 | |
---|---|---|---|
① | 禁錮以上 (禁錮・懲役・死刑) | ①刑罰の執行が終了、または刑罰の執行を免除されたときから、10年経過すること ②その10年間、罰金以上の刑罰を受けないこと | 「刑の言渡しの効力」が消える |
② | 罰金以下 (罰金・拘留・科料) | ①刑罰の執行が終了、または刑罰の執行を免除されたときから、5年経過すること ②その5年間、罰金以上の刑罰を受けないこと | 「刑の言渡しの効力」が消える |
③ | 執行猶予つき判決 | 執行猶予期間が満了すること | 「刑の言渡しの効力」が消える |
ご自身がおこした刑事事件と前科の関係について、具体的に相談したい場合は、弁護士に早めに相談しましょう。
前科をつけないためには、不起訴処分の獲得が一番の近道です。
弁護士に早めに相談することで、より多くの時間を不起訴の獲得のための弁護活動にあててもらうことができるでしょう。
「前科が消える」効果が生じた後の履歴書はどうする?
ケースバイケースではありますが、「刑の効力が消滅した場合に、前科の告知は義務ではない」と言及した裁判例があります。
ご職業の内容によっては、刑の効力が消滅した前科については、履歴書の賞罰欄への記載が義務にならないケースもあるようです。
既に刑の消滅した前科について使用者があれこれ詮策し、これを理由に労働の場の提供を拒絶するような取扱いを一般に是認するとすれば、それは更生を目指す労働者にとつて過酷(略)、既に刑の消滅した前科といえどもその存在が労働力の評価に重大な影響を及ぼさざるをえないといつた特段の事情のない限りは、労働者は使用者に対し既に刑の消滅をきたしている前科まで告知すべき信義則上の義務を負担するものではないと解するのが相当であり、使用者もこのような場合において、消滅した前科の不告知自体を理由に労働者を解雇することはできないというべきである。
仙台地方裁判所昭和60年9月19日判決 判例時報1169号34頁
司法書士「以外」の資格と前科の関係は?
警察官は?公務員は?
警察官などの公務員について、前科による職業の資格制限があります。
「禁錮以上の刑」に処せられたことがあり、その刑について服役中・執行猶予中といった場合は、公務員にはなれません。
欠格になる資格 (必要的欠格) | ・国家公務員 ・地方公務員 (例)警察官・裁判所事務官 |
欠格になる前科 | 「禁錮以上の刑」(禁錮・懲役・死刑)の言渡し |
欠格になる期間 | 「執行が終わるまで」(服役中) または 「執行を受けることがなくなるまで」(執行猶予中) |
裁判官・検察官・弁護士・学校の先生は?
法律家や教育者についても、前科による職業の資格制限があります。
禁錮・懲役・死刑といった刑に処せられた場合、その「『刑の言渡し』の効力」が消えるまで、必ず欠格になります。
欠格になる資格 (必要的欠格) | ・裁判官・検察官・弁護士 ・司法修習生(弁護士等になるための訓練を受けられる資格) ・保護司 ・学校の校長および教員 ・教育委員会の委員 |
欠格になる前科 | 「禁錮以上の刑」(禁錮・懲役・死刑)の言渡し |
欠格になる期間 | 刑の言渡しの効力が消えるまで |
たとえば、弁護士が死亡事故をおこして、執行猶予つきの判決がだされたようなケースがあったとします。この場合、執行猶予の期間満了をむかえるまで、弁護士として働くことができません。
また、受験勉強でストレスの溜まった司法試験受験生が、隣の家を放火して、刑務所に収容されたようなケースがあったとします。この場合、司法試験に合格したとしても、すぐには司法修習生にはなれません。司法修習生になれるのは、刑務所から出所した後、罰金以上の刑に問われずに10年経過したあとです。
また、刑罰を受けたことで教員免許をはく奪される等、資格をはく奪された場合でも、資格の再取得は可能なのでしょうか。法律上は、刑の執行終了から10年以上経過した場合、資格の再取得が可能となるでしょう。
裁判でも、前科のある方の資格の再取得について、言及しているものがあります。
刑の執行終了時より一〇年以上経過し、刑の言渡しの効力は喪失し(教育職員免許についても、刑の消滅により、再取得可能である。)
福岡地方裁判所平成28年10月7日決定 判例時報2331号67頁
医師・看護師・助産師・薬剤師などは?
医師などの医療に従事する人についても、前科による資格制限があります。
罰金、禁錮、懲役、死刑といった刑に処せられた場合、その「刑の言渡しの効力」が消えるまで、医師等はできません。
欠格になる資格 (裁量的欠格) | ・医師・歯科医師 ・薬剤師・保健師・助産師 ・看護師・准看護師 |
欠格になる前科 | 「罰金以上の刑」(罰金・禁錮・懲役・死刑)の言渡し |
欠格になる期間 | 刑の言渡しの効力が消えるまで |
宅建・建設業者は?
建築に関する資格についても、前科による資格制限があります。
禁錮・懲役・死刑といった刑に処せられた場合、その「執行が終了」したとき、または「執行されなくなったとき」から5年間、欠格になります。
欠格になる資格 | 宅地建物取引業者・建設業者 |
欠格になる前科 | 「禁錮以上の刑」(禁錮・懲役・死刑)の言渡し |
欠格になる期間 | 「刑罰の執行が終了」したとき、または「執行されなくなった時」から5年間 |
公認会計士・行政書士は?
公認会計士や行政書士についても、前科による資格制限があります。
禁錮・懲役・死刑といった刑に処せられた場合、その「執行が終了」したとき、または「執行されなくなったとき」から3年間、欠格になります。
欠格になる資格 | 公認会計士・行政書士 |
欠格になる前科 | 「禁錮以上の刑」(禁錮・懲役・死刑) |
欠格になる期間 | 「刑罰の執行が終了」したとき、または「執行されなくなった時」から3年間 |
前科があると選挙に立候補できない?
特定の前科がある場合、被選挙権が停止されます。
選挙への立候補の制限
公職選挙法252条による被選挙権の停止等の制限があります。
総務省のホームページには、被選挙権に関する資格制限(被選挙権を失う条件)について、以下のような条件があげられています。
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
- 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間(被選挙権は10年間)を経過しない者。または刑の執行猶予中の者
- 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者
- 公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者
- 政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、 被選挙権が停止されている者
※2018年10月20日現在の情報です。
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司法書士を職業としている方、司法書士の勉強中の方など、前科が職業の資格制限につながることがあります。
前科を回避するには、不起訴をめざす弁護活動を早期に開始する必要があります。
とくに被害者の方との示談については、①連絡先を聞き出し、②謝罪を申し入れ、③示談の内容をつめるという段階を踏む必要があります。①~③までの段階には、お相手の気持ちもあるため、時間がかかります。早期の弁護士相談が必須となるでしょう。
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現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
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