兄弟と配偶者で自動車を相続するときに知っておきたいこと

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兄弟と配偶者による自動車の相続

故人が所有していた自動車は、相続税の対象となる財産です。自動車を相続するには、名義変更や保険の手続き、相続税の評価方法などについて理解しておく必要があります。相続に関する知識を身につけておくことで、スムーズな手続きにつながるでしょう。なお、故人が子なしの既婚者で親が他界している場合は、故人の兄弟と配偶者で相続します。

この記事では、兄弟と配偶者で自動車を相続するときの基礎知識についてわかりやすく解説します。

『兄弟と配偶者による自動車の相続』に関する基本事項

法定相続分による相続割合【兄弟と配偶者で相続する場合】

相続人の間で遺産分割協議を行う際に、法律上の分け方の目安となるのが法定相続分です。

兄弟と配偶者の相続割合は、兄弟が4分の1で配偶者が4分の3です。兄弟が複数人いる場合は、4分の1を人数分で均等に分割します。

【相続割合】

法定相続人相続割合
兄弟1人+配偶者兄弟:1/4
配偶者:3/4
兄弟2人+配偶者兄弟:1人あたり1/8
配偶者:3/4
兄弟3人+配偶者兄弟:1人あたり1/12
配偶者:3/4

被相続人が亡くなって1億2,000万円の相続が発生し、兄弟2人と配偶者が相続人となった場合、兄弟の法定相続分は1,500万円ずつで配偶者の法定相続分は9,000万円となります。

ただし、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割することも可能です。それぞれの相続割合によって相続税の総額が変わることがあるので、税負担も考慮した遺産分割を行う必要があります。

自動車を相続するときの手続きの流れ

自動車を相続する場合は、以下のような流れで手続きを進めます。

1.遺言書の有無を確認する

被相続人が遺言書を作成していた場合は、遺言書の内容に従って相続手続きを行います。遺言書がない場合は、遺産分割協議などを行って相続手続きを進めます。

2.相続人を確認する

相続人となるのは被相続人の配偶者、子供、父母、兄弟姉妹などです。このとき相続人調査を行い、誰が相続人になるのかを確認する場合もあります。

3.自動車の名義人を確認する

自動車の名義人を確認します。名義人は、必ずしも被相続人になっているとは限りません。たとえばローンで購入した自動車の場合、ローンを組んだ信販会社やディーラーの名義になっていることもあります。

また、残債がある場合は、相続人が債務の残金を一括で支払うのが一般的です。一括清算が難しい場合は、新しい所有者(相続人)名義でローン審査を行い、組みなおしをします。

4.相続財産を確認する

相続財産調査を行い、自動車のほかに不動産や預貯金など、どのような財産があるのか、評価額はいくらなのかを確認します。

5.遺産分割協議を行う(遺言書がない場合)

遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産をどのように分割するかを決めます。遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てます。

6.必要に応じて相続税の申告・納税を行う

相続財産の評価額の合計が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要です。また、相続税額が発生した場合は納税も行います。

7.必要に応じて車庫証明の申請をする

相続した自動車を別の住所で使用する場合などは、車庫証明が必要です。申請は、駐車場の所在地域を管轄する警察署で行います。

8.自動車の名義変更をする

自動車の使用地域を管轄する運輸支局で、自動車の名義変更手続きをします。

9.保険の引継ぎを行う

加入している自賠責保険や任意保険の引継ぎを行います。このとき、必要に応じて保険の見直しなども行います。

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自動車の相続税評価額を計算する方法

相続税における自動車の評価方法は、大きく3つあります。

精通者意見価格による評価

車種、年式、走行距離などが類似する中古車の買取価格から算定する方法です。中古車買取業者や鑑定士などの意見を参考に、自動車の評価額を算定します。

売却査定価格による評価

中古車販売店の売却査定価格を参考に、自動車の評価額を算定します。

減価償却による評価

売却査定価格や精通者意見価格による評価が難しい場合に用いる方法です。新車当時の価格から経年劣化などの減価償却相当分を差し引き、評価額を算定します。減価償却率は、自動車の種類によって異なり、所得税法などで決められています。

相続税における基礎控除の概要と計算方法

相続税は遺産のすべてに対して課税されるわけではなく、課税対象となる遺産の総額が基礎控除額を上回る場合に申告の義務が発生します。また、場合によっては相続税額が発生することもあります。

相続税の基礎控除額の計算方法は、以下のとおりです。

【基礎控除額の計算方法】
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

【相続人数別の基礎控除額】

法定相続人基礎控除額
2人(兄弟1人+配偶者)4,200万円
3人(兄弟2人+配偶者)4,800万円
4人(兄弟3人+配偶者)5,400万円

たとえば、法定相続人が兄弟1人と配偶者の場合は4,200万円、兄弟2人と配偶者の場合は4,800万円が基礎控除として遺産総額から差し引かれます。遺産の総額が基礎控除額を下回る場合は相続税は発生せず、申告の必要もありません。

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配偶者控除で配偶者分の相続税負担を軽減

相続人に配偶者が含まれる場合は、配偶者控除(配偶者の税額軽減)が適用できます。

相続税における配偶者控除とは、被相続人の配偶者が取得した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額までは相続税が課税されない制度です。

配偶者控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 被相続人と法律上の結婚関係にある
  • 遺産分割が完了している
  • 相続税の申告期限までに相続税の申告書を提出する

たとえば、被相続人の兄弟と配偶者で1億2,000万円の遺産を相続する場合、配偶者の法定相続分は9,000万円ですが、配偶者控除を適用することで、配偶者分の相続税は0円になります。

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相続税の申告方法と申告期限

遺産の総額が基礎控除額を超える場合は、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告します。申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内です。

相続税の申告書は、税務署の窓口でもらえるほか国税庁のホームページからもダウンロードできます。申告書の提出方法は、持参または郵送のほかe-Tax(電子申告)でも可能です。

相続税の申告書作成は自分で行うこともできますが、専門的な知識を要するため、税理士に依頼することをおすすめします。

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自動車の名義変更に必要な書類と費用相場

普通自動車を相続し、名義変更をするには車庫証明が必要です。車庫証明の取得と名義変更に必要な書類と費用は、それぞれ以下のとおりです。

車庫証明の申請に必要な書類と費用

  • 自動車保管場所届出書
  • 保管場所標章交付申請書
  • 権原書面
  • 保管場所使用権原疎明書面(自認書)または駐車場の契約書
  • 所在図及び配置図

車庫証明の申請手続きには、2,500円程度の費用がかかります。

名義変更の申請に必要な書類と費用

  • 自動車検査証
  • 車庫証明書(住所が変わらない場合は不要)
  • 被相続人の除籍謄本または戸籍謄本(被相続人が死亡したことが確認できるもの)
  • 相続人全員が確認できる戸籍謄本
  • 相続人(新しい所有者)の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(自動車の評価額が100万円以下の場合は、評価額を証明できる資料や遺産分割協議成立申立書でも可能)

このほか、申請を代理人に依頼する場合には委任状が必要です。

名義変更申請を自分で行う場合は手数料として500円、管轄地域が変わる場合はナンバープレート代として1,500円程度かかります。

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『兄弟と配偶者による自動車の相続』に関するよくある質問

車は相続せずに放置してもいい?

自動車を相続する場合は名義変更が必要です。名義変更をしない限り、売却や廃棄処分はできません。

兄弟と妻の相続割合は?

法定相続分による兄弟と配偶者の相続割合は、兄弟が4分の1で配偶者が4分の3です。兄弟が複数人いる場合は、4分の1をさらに人数分で均等分割します。

自動車の相続で必要な手続きは?

自動車の相続手続きは、以下の流れで進めます。

1.相続人を確認する

2.自動車の名義人を確認する

3.自動車の相続税評価額を確認する

4.遺産の総額が基礎控除額を上回る場合は相続税の申告を行う

5.自動車の車庫証明申請や名義変更を行う

6.自動車保険の引継ぎを行う

自動車の相続税評価額はいくら?

自動車の相続税評価は、以下3つのうちいずれかで算定します。

・精通者意見価格:車種、年式、走行距離などが似ている中古車の買取価格から中古車買取業者などの意見を参考に評価

・売却査定価格:中古車販売店の売却査定価格を参考に評価

・減価償却:新車当時の価格から経年劣化などの減価償却相当分を差し引いて評価

相続した車の自動車税は誰が払うの?

自動車税は、自動車の所有者に納税義務が課されます。そのため、自動車を相続した人が自動車税を支払います。

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他にもおさえておきたい相続の基本

いざというときに備えて、相続対策や相続手続きについて理解しておくことは大切です。ほかの記事でも相続の基礎知識について詳しく解説しておりますので、ぜひお役立てください。

≫相続税を計算する

≫相続税の節税対策をする

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≫相続税について税理士に相談する

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監修者情報

アトムグループ 協力税理士

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