空き家に相続税はかかる?計算方法や空き家特例による3000万円控除を解説

空き家でも、相続すれば相続税の対象となります。
誰も住んでいない・使う予定がないという事情だけで、相続税がかからなくなるわけではありません。空き家を含めた遺産額の合計が基礎控除を超えていれば、相続税がかかる可能性があります。
ただし、被相続人の死亡によって空き家になった自宅などでも、要件を満たせば小規模宅地等の特例を利用して土地の相続税評価額を減らせるケースがあります。
また、相続後に空き家を売却する場合は、「空き家特例」により譲渡所得から最高3,000万円を控除できる可能性があります。
本記事では、空き家にかかる相続税の計算方法や相続税を抑える方法、空き家特例の適用要件、相続後の対処法について確認していきましょう。
目次
空き家にかかる相続税の計算方法
(1)空き家の相続税評価額を計算する
まずは、空き家をいくらとして相続税を計算するのか、つまり空き家の相続税評価額を確認します。
空き家の相続税評価額は通常の住宅などと同じく、「家屋」と「家屋が建っている土地」にわけて算出します。
家屋の相続税評価額
まず家屋の相続税評価額は、以下の計算式で求めます。
家屋の相続税評価額
固定資産税評価額×1.0
計算式を見てわかる通り、家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま使用します。
固定資産税評価額は、固定資産税をはじめとするさまざまな税金を課税する際に基準とされる評価額のことです。
固定資産税評価額は、市町村役場から毎年春ごろに送付される固定資産税課税明細書で確認可能です。また、不動産所在地の市区町村役場で取得できる、固定資産評価証明書にも記載されています。
関連記事
土地の相続税評価額
次は土地の相続税評価額です。
土地の相続税評価額の算出方法は路線価方式と倍率方式の2種類があります。
路線価が設定されている市街地の土地は路線価方式で、路線価が設定されていない郊外や農村などの土地は倍率方式で計算します。
以下が、路線価方式と倍率方式の計算式です。
路線価方式
路線価 × 各種補正率 × 土地の面積(地積)
補正率は、土地の形がいびつであるなど特定の要件に当てはまる場合に用います。
どのような土地でどのくらい相続税評価額が変わるのかについては、関連記事『相続税における路線価の調べ方と計算方法【土地の評価額がわかる】』をお読みください。
倍率方式
固定資産税評価額 × 評価倍率
各地域の路線価や倍率は、「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」から調べられます。
財産評価基準書の見方や、路線価方式・倍率方式での評価方法について詳しくは、関連記事『財産評価基準書とは?読み方と土地の評価方法(路線価方式・倍率方式)を解説』をご覧ください。
(2)遺産額の合計が基礎控除を超えるか確認する
空き家を含めた遺産額の合計(正味の遺産額)が基礎控除額を超えている場合には、相続税が課されることになります。
基礎控除額の計算方法は以下の通りです。
相続税の基礎控除額
3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
- 相続放棄した人も、法定相続人の数に含められます
- 法定相続人の数に含められる養子は、原則として、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです
例えば、相続財産が8,000万円あり、相続人が2人だった場合は基礎控除額が4,200万円なので、「8,000万円-4,200万円=3,800万円」となり、3,800万円に対して相続税が課税されることになります。
基礎控除を引いた結果、相続税評価額がゼロになる場合は相続税はかかりません。
法定相続人の人数ごとの基礎控除額
| 法定相続人の人数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
(3)相続税を計算する
正味の遺産額が基礎控除を超える場合は、以下の流れで相続税を計算します。
- 課税遺産総額(正味の遺産額から基礎控除を引いた金額)を法定相続分に応じて取得したものと仮定する
- 各人の仮の相続税額を計算
- 相続税額の合計を計算
- 各人の課税価格の割合に応じて相続税の総額を割り振る
基礎控除の計算を含めた相続税額の計算の流れについては、関連記事『相続税がかかる金額はいくらから?基礎控除や特例、税額計算を解説』にて解説しています。
空き家の相続税対策に使える3つの特例・制度
(1)小規模宅地等の特例で評価額を最大80%減額
一定の要件を満たす土地について、評価額を軽減できる特例です。
例えば自宅の土地(特定居住用宅地等)について、一定の要件を満たしこの特例を適用すれば、相続税評価額を限度面積330㎡までの部分について最大80%減額できます。
空き家の相続で小規模宅地等の特例を使えるかどうかは、相続開始前から空き家だったのか、相続によって空き家になったのかによって異なります。
- 相続開始前からの空き家(もとから被相続人が住んでおらず、賃貸などにも利用していない):原則として特例は使えない
- 被相続人の死亡によって空き家になった:一定の条件のもと、特例を使える場合がある
なお、空き家を貸家として人に貸すことで小規模宅地等の特例を使えるようにする方法もあります。ただし、貸家にしても必ずしも小規模宅地等の特例を使えるとは限りません。
空き家の相続で小規模宅地等の特例が使えるケースについて、詳しく解説します。
重要
小規模宅地等の特例によって相続税が0円になったとしても、相続税申告は必須です。
また、原則として申告期限までに遺産分割が完了していることも必要です。
遺産分割が間に合わない場合の対応については、関連記事『遺産が未分割でも相続税の申告を|デメリットや申告書の書き方を解説』をご覧ください。
被相続人の死亡によって空き家になるケース
小規模宅地等の特例は、基本的には被相続人の配偶者(同居・別居を問わない)や同居家族が自宅を相続する場合に適用されます。
ただし、被相続人が1人暮らしで配偶者も同居家族もおらず、被相続人が亡くなると空き家になってしまうような場合でも、「家なき子特例」の要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。
「家なき子の特例」の具体的な要件は以下の通りです。
- 被相続人に配偶者・同居相続人がいない
- 相続人は、相続開始前3年以内に以下の持ち家に居住していない
- 相続人本人の持ち家
- 相続人本人の配偶者の持ち家
- 相続人の3親等以内の親族の持ち家
- 相続人本人と特別の関係がある法人の持ち家
- 相続人は、相続開始時に住んでいる家屋を過去に一度も所有したことがない
- 相続人は、相続した宅地を申告期限(10か月)まで保有する
被相続人と別居していた相続人でも、上記の要件を満たしたうえで被相続人の自宅を相続すれば、330㎡まで土地の相続税評価額を80%減額できます。
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貸家にして特例が使えるようにするときの注意点
被相続人が生前、家屋と宅地を第三者に貸し出しており、その貸付事業を親族が承継する場合は、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例を適用できます。
貸付事業用宅地等の場合は、宅地の200㎡までに対して、相続税評価額が50%減額されます。
ただし、貸付事業用宅地等として特例を適用するには、以下の要件を満たしている必要があります。
- この土地を取得した親族が申告期限まで貸付事業を継続し、かつ宅地を保有すること
- 原則として相続開始前3年より前から貸付事業の用に供されていること
つまり、相続開始前3年以内に貸付事業を始めても、原則として小規模宅地等の特例は使えないのです。
賃貸による相続税対策を考えている方は、なるべく早めに行動するようにしましょう。
貸家にすると具体的にどのくらい相続税評価額が減額できるか気になる方は、『貸家の相続税評価方法|計算式や空室、マンションについても解説』をお読みください。
(2)相続放棄・寄付で相続税発生を回避
空き家の相続税対策としては、相続放棄や寄付も挙げられます。
相続放棄
相続放棄をすると空き家の相続をしなくて済むため、相続放棄をした人に対しては相続税がかかりません。
ただし、みなし相続財産や遺贈による財産を除き、その他の相続財産も全て相続できなくなる点には注意が必要です。
相続放棄をしてもみなし相続財産や遺贈による財産は受け取れますが、受け取った分に対しては相続税がかかります。死亡保険金や死亡退職金といったみなし相続財産には非課税枠がありますが、相続放棄した人には適用されません。
相続放棄の期限は「自己のために相続があったことを知った日から3か月以内」です。
また、相続放棄によって残りの相続人の税負担が増減することもあるので、その点も考慮のうえ、相続放棄を検討しましょう。
詳しくは関連記事『相続放棄で相続税は払わなくていい?ほかの相続人への影響も解説』が参考になります。
寄付
空き家の寄付について、相続税の申告期限内に国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付するといった条件を満たしている場合には、その空き家にかかる相続税は発生しません。
寄付先や寄付の方法によっては税制上の優遇を受けられる場合があります。ただし、土地や建物を法人へ寄付すると譲渡所得税が生じる場合もあるため、事前に税務上の取扱いを確認することが重要です。
詳しくは関連記事『相続税の寄付で非課税になる要件と所得税の寄付金控除』をご覧ください。
(3)【生前売却】居住用財産の3,000万円控除で売却時の税負担を軽減
居住用財産の3,000万円控除は、空き家の相続税を減らす特例ではなく、空き家を売却した時の所得税を軽減する特例です。
「被相続人が住んでいるものの、相続開始後には空き家になる家」の相続税対策として、相続開始前に売却し、空き家を相続財産から外すという方法があります。
このように被相続人の生前に住宅を居住用財産として売却する場合、この特例を使えば譲渡所得から3,000万円までを控除することができ、所得税の軽減につながるのです。
この特例は、正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
特例を適用するための要件は、以下の5つです。
所得税控除の特例の適用要件
- 現在住んでいる家屋、または以前住んでいた家屋で住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るもの
- 売る年の前年、前々年にこの特例を使っていない
- 売る年、その前年、前々年にマイホームの買い替えや交換の特例を使っていない
- 家屋や土地の売却に関するほかの特例を使っていない
- 買い手が親子や配偶者ではない
災害で家屋が消滅し、その後はその敷地に住んでいない場合であっても、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば、特例を適用することが可能です。
また、家を売却する年の1月1日の時点で所有期間が10年を超える場合には、軽減税率も適用できます。
ただし、生前に家を売却した場合、相続ではその売却によって得た現金を相続人が取得することになります。
残っている現金が高額な場合、相続税の金額が高額なものになるおそれがある点に注意が必要です。
参考
- 3,000万円の控除について:国税庁|マイホームを売ったときの特例
- 所有期間10年を超える場合の軽減税率について:国税庁|マイホームを売ったときの軽減税率の特例
相続後の売却で所得税を減らす特例|空き家特例で3,000万円控除
空き家特例による3,000万円控除とは
相続した空き家を売却して利益が出ると、その利益(譲渡所得)に対して所得税・住民税がかかります。
ただし、一定の要件を満たす空き家を売却した場合は、「空き家特例」により譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
たとえば、空き家の譲渡所得が2,000万円であれば、空き家特例を適用することで課税対象となる譲渡所得を0円にできる可能性があります。
空き家特例の適用要件
この特例は、正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といい、適用要件は次のとおりです。
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例 適用要件
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している
- 売却価格が1億円以下
- 家屋が昭和56年5月31日以前に建築された
- 区分所有建物登記がされている建物でない
- 家屋に相続直前に被相続人以外が住んでいなかった
- 譲渡までに家屋が一定の耐震基準に適合しているか、取り壊されている(令和6年1月1日以降の譲渡については変更あり)
- 相続時から譲渡時まで事業用・貸付用・居住用として利用していない
- 買い手が、親子・配偶者・生計を一にする親族・内縁関係者・特殊な関係のある法人など「特別の関係がある人」でない
- これらの要件を達成している旨の「被相続人居住用家屋等確認書」を、売却した資産の所在地を管轄する市区町村の担当部署から発行してもらっている
被相続人が要介護認定を受けて特定の老人ホームに入居していた場合でも、要件を満たすこととされています。
この特例は、令和9年12月31日までに空き家を売却した場合に適用することが可能です。
また、令和6年1月1日以降の譲渡については、以下のような変更がなされています。
- 売却時点で建物が耐震基準を満たしていなくても、売主または買主が譲渡日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修や除去を完了していればよい
- 空き家やその敷地等を相続・遺贈により取得した相続人が3人以上の場合は、1人あたりの控除限度額が2,000万円となる
なおこの特例は、支払った相続税のうち、一定の金額を取得費に加算して譲渡所得を計算できる「相続税の取得費加算の特例」とは同一の譲渡において併用できません。
参考
居住用財産の3,000万円控除(生前売却)との違い
「空き家特例による3,000万円控除」と前述した「居住用財産の3,000万円控除」は、似ている名前ですが別の制度です。混同すると「使えると思っていたのに要件を満たしていなかった」という事態につながるため、違いを正確に把握しておきましょう。
2つの3,000万円控除の比較
| 空き家特例 | 居住用財産 | |
|---|---|---|
| 利用場面 | 相続した空き家の売却 | 居住者本人による自宅の売却 |
| 売却タイミング | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで | 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 対象建物 | 昭和56年5月31日以前に建築された建物 | 制限なし |
| 売却価格 | 1億円以下 | 制限なし |
| 取得した相続人が3人以上の場合 | 1人あたり2,000万円に減額 | 減額なし |
| 適用期限 | 令和9年12月31日まで | 恒久的な制度 |
※生前に居住用として使用していた家屋の売却
空き家特例は「昭和56年5月31日以前に建築された建物」、すなわち旧耐震基準の建物のみが対象です。それ以降に建てられた建物には適用できません。
また、同一の不動産について同じ年に両者の制度を併用することはできません。生前売却が間に合わなかった場合でも相続後に空き家特例を使えるケースがありますが、適用要件が異なるため、どちらを選択するかは個別の状況に応じて税理士に確認することをおすすめします。
空き家を放置するリスクとデメリット
空き家の維持のためにコストがかかる
空き家を相続すると、相続後に以下のような税金が生じます。
- 固定資産税:固定資産税評価額×1.4%(標準税率)
- 都市計画税:固定資産税評価額×0.3%(制限税率)
ただし、固定資産税と都市計画税には以下の軽減措置が適用される
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は、固定資産税が1/6に、都市計画税が1/3に軽減される
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分)は、固定資産税が1/3に、都市計画税が2/3に軽減される
このような税金だけでなく、空き家の手入れをするための手間や金銭的な負担も生じます。
空き家の管理が行き届かず、「管理不全空家等」や「特定空家等」として市区町村から勧告を受けると、敷地に適用されていた固定資産税と都市計画税の住宅用地特例が適用されなくなります。
その結果、固定資産税や都市計画税の負担が大きく増えるおそれがあります。
また、「特定空家等」について市区町村から命令を受けても従わない場合は、50万円以下の過料が科されることがあります。
近隣トラブルが生じる恐れがある|損害賠償責任も
相続した空き家を放置すると、屋根や外壁の崩落により近隣に損害を与えるトラブルが生じる恐れがあります。
空き家を放置したことで近隣住民に被害が生じるような事件・事故が起きた場合は、所有者である相続人が賠償責任を負う可能性があるのです。
近隣トラブルを避けるためにも、空き家の適切な管理が必要となります。
空き家を相続した後の対処法
空き家を売却する(空き家特例の活用)
空き家を相続した後の対処法として節税効果が高い選択肢が売却です。前述した空き家特例の適用要件を満たしていれば、売却益から最高3,000万円を控除でき、所得税の負担を大幅に抑えられます。
売却の流れは以下の通りです。
空き家売却の流れ
- 建築年を確認する(昭和56年5月31日以前かどうか)
- 耐震診断を受けるか解体して更地にする(令和6年1月以降の譲渡は、売主だけでなく買主が譲渡日の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを完了する場合も可)
- 市区町村の担当部署から「被相続人居住用家屋等確認書」を取得する
- 不動産会社に査定を依頼し、売却活動を開始する
- 売却後、確定申告で空き家特例を申請する
特に注意が必要なのは「売却期限」と「被相続人居住用家屋等確認書の取得」です。空き家特例は「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までに売却を完了させる必要があります。不動産の売却には数ヶ月から1年以上かかるケースもあるため、相続が発生したら早めに動き出すことが重要です。
また、被相続人居住用家屋等確認書は確定申告の際に提出が必要です。売却後、確定申告までに市区町村の担当部署から取得しておきましょう。
被相続人居住用家屋等確認書なしでは特例を申請できないため、売却手続きと並行して早めに準備してください。
なお、空き家特例の適用には「相続時から売却時まで事業用・貸付用・居住用として利用していないこと」という要件もあります。相続後に空き家を賃貸に出してしまうと特例が使えなくなるため、売却を検討している場合は賃貸活用との併用はできない点にも注意が必要です。
空き家を賃貸・活用する
空き家を売却せずに賃貸に出せば、毎月の家賃収入を得られるだけでなく、空き家を管理せずに放置したことによる固定資産税増加や近隣トラブルのリスクも回避できます。
賃貸など空き家の主な活用方法は、以下のとおりです。
空き家の主な活用方法
- 賃貸住宅として貸し出す
リフォームを行い、入居者を募集する。継続的な家賃収入が見込める - 民泊・シェアハウスとして活用する
観光地や交通の便が良い立地であれば、民泊や若者向けシェアハウスとして運用する方法もある - 駐車場・資材置き場として貸し出す
建物の老朽化が進んでいる場合は解体して更地にし、駐車場や資材置き場として活用する
ただし、賃貸に出した場合は空き家特例(3,000万円控除)の適用要件を満たさなくなる点に注意してください。空き家特例には「相続時から売却時まで貸付用として利用していないこと」という要件があるため、賃貸活用と売却時の特例適用は両立できません。
売却と賃貸のどちらが有利かは、物件の立地・状態・相続人の状況によって異なります。税金面も含めた総合的な判断が必要なため、早めに税理士や不動産の専門家に相談することをおすすめします。
空き家を解体する
空き家に資産価値がない場合は、建物を解体して更地するという方法も考えられます。
空き家の管理をする負担はなくなり、更地ならば様々な用途に使えるようになるため、売却できる可能性が高まるのです。
ただし、建物の解体には費用がかかり、解体すると固定資産税が増加するというリスクに注意が必要です。
国に引き取ってもらう(相続土地国庫帰属制度)
売却も賃貸活用も難しい場合の最終手段として、「相続土地国庫帰属制度」を利用して土地を国に引き取ってもらう方法があります。相続土地国庫帰属制度は、一定の要件を満たす土地について所有権を国庫に帰属させることができます。固定資産税の納税義務や管理責任から解放される点が最大のメリットです。
ただし、どのような土地でも無条件に引き取ってもらえる制度ではありません。以下のいずれかに該当する土地は申請が却下されます。
申請が却下される主な土地
- 建物が存在する土地(原則として建物を取り壊してから申請する必要がある)
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 土壌汚染がある土地
- 境界が不明瞭な土地・所有権に争いがある土地
申請には土地1筆につき14,000円の審査手数料がかかります。承認された場合はさらに土地の種類・面積・区域に応じた負担金の納付が必要です。
相続土地国庫帰属制度の利用に関する相談は、法務局で可能となっています。
空き家の相続税計算や相続税対策の相談は税理士へ
空き家を相続する場合は、相続税だけでなく、その後の管理や処分まで含めて考えることが重要です。
そのまま保有すれば固定資産税や管理費がかかり、放置すれば特定空家等に指定されるリスクもあります。一方で、売却・賃貸・解体・相続土地国庫帰属制度など、空き家の状況に応じて複数の選択肢があります。
また、売却を選ぶ場合でも、空き家特例を使えるかどうかで税負担が変わるため、売却時期や利用状況には注意が必要です。
空き家は「相続税をいくら払うか」だけで判断せず、今後その不動産をどうするかまで含めて検討するとよいでしょう。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士