浮気の証拠でLINE(ライン)のトーク履歴や画像は使える?証拠として使うときの注意点は?

更新日:
LINEの履歴

「浮気の証拠としてLINEは使えるのか」
「浮気相手や夫のLINEの開示請求はできるのか」

配偶者のLINEの文面を見たことで浮気が発覚し、それを証拠として「離婚したい」「慰謝料を請求したい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

浮気の証拠として、LINEのトーク履歴を使うことは可能です。LINEが浮気の証拠にならないということはありません。

ただし、「配偶者と不倫相手が肉体関係をもっている」と推測できるような内容であることが必要になります。LINEの内容だけでは有効な証拠とならないおそれもあります。

今回は、LINEのトーク履歴が浮気の証拠として有効になるケースや、LINEを証拠として使うときの注意点について解説します。

LINEのトーク履歴は浮気の証拠になる

「LINEのトーク履歴は浮気の証拠にならないのではないか」と考える方もいらっしゃると思います。

LINEのトーク履歴は浮気の証拠として利用可能です。ただし、裁判離婚や慰謝料請求が認められるための「不貞行為」とは、異性と肉体関係をもつ行為を意味します。

そのため、「配偶者と不倫相手が肉体関係をもっているだろう」と考えることができるLINEが重要になります。

浮気の有効な証拠として使えるLINEのやりとり

有効な浮気の証拠として使えるLINEのやり取りとしては、以下のようなやり取りが挙げられます。

有効な浮気の証拠として使えるLINEのやり取り

  • 肉体関係が予想されるやり取り
  • 2人で旅行に行ったことがわかるやり取り
  • 同棲していることがわかるやり取り
  • 裸の写真や性交渉しているときの動画を送り合っているやり取り など

「明日は〇時にあのホテルで」や「週末行った旅行、絶対に秘密にしておいてね」といったような、配偶者と不倫相手が肉体関係をもっていると推測できるようなやり取りであれば、浮気の有効な証拠として使用することができます。

LINEだけだと浮気の証拠としては弱いおそれも

LINEの内容によっては、それだけで不貞行為があったことを示す証拠としては弱い場合があります。

たとえば、「昨日の食事おいしかったね」「またドライブしよう」といったような、肉体関係があることを思わせない日常的な内容だった場合、有効な証拠とはいえません。もちろん、食事やドライブの後に、実際には不貞行為に及んでいる可能性はゼロではありません。

「昨日はよかったね」といったような、直接的な表現でない文面の場合は、「これは浮気のことではない」と相手に反論されるおそれもあるでしょう。

また、不倫を表す隠語として、ハートマークや何らかのスタンプを送りあっているケースがあります。この場合でも、「肉体関係があることを思わせない」ようなLINEの証拠は有効ではないことを注意しておきましょう。

LINEを浮気の証拠として使うときの注意点

前後の流れや日付がわかるように撮影する

LINEを浮気の証拠として使うときは、会話の前後の流れや日付がわかるように撮影するようにしましょう。

前提として、提出された証拠を確認するのは、夫婦の実情を知らない赤の他人である裁判官です。

何も知らない他人が見てもわかるように、会話の流れや、いつのときの会話なのかを示すような証拠であることが重要といえます。

LINEの日付が書かれてある場面からスクショを撮ったり、会話が長い場合は動画として保存することも有効です。場合によっては、「どの部分が有効な証拠になるかわからない」といったこともあると思いますので、会話の流れを動画で撮影しておくことをおすすめします。

配偶者のスマホ本体も写るよう撮影する

LINEを浮気の証拠として使うときは、誰のスマホの画面かわかるように、スマホ本体も写るよう撮影しておくことも重要です。

たとえば、トーク画面だけをスクショして証拠とすると、配偶者から「本当に自分のスマホの内容なのか」と反論されるおそれがあります。

スマホのケースや形、機種がわかるように、自分のスマートフォンで相手のLINE履歴を撮影するようにしましょう。

LINEのトーク履歴はバックアップしておく

浮気の証拠としてLINEを使用するときは、LINEのトーク履歴をバックアップしておくようにしましょう。

LINEには送信取消やメッセージの削除といった機能がありますので、泳がせていると相手が不貞行為があったとわかるようなやり取りを削除するおそれがあります。

バックアップをしておけば、相手が不貞行為をしていたと推測できるような内容を復元することができます。もちろん、LINEの量が多すぎてスクショや動画を撮る時間がないというときにも有効な手段です。

テキストデータなどに変換せず、そのままの形を残す

浮気の証拠としてLINEを使用するときは、テキストデータなどに変換するのではなく、なるべくラインのトーク履歴の画面を証拠として提出するようにしましょう。

テキストデータに変換したものを証拠として提出すると、「トークを編集したのではないか」と反論されるおそれがあります。

そのため、証拠として提出する場合は、スクショや動画といった形がおすすめです。

LINEの盗み見は非推奨

LINEを浮気の証拠として利用したいときでも、相手のLINEを盗み見る行為はおすすめできません。

相手のLINEを勝手に見ることは、刑法上の犯罪にはあたりません。ただし、理論上は「プライバシーの侵害」に該当するため、かなりレアケースにはなりますが、配偶者から損害賠償を請求されるリスクがあります。損害賠償を請求されて、離婚慰謝料を相殺されてしまうリスクも否定できません。

なお、配偶者のLINEを勝手に見たからといって、実際に不貞行為を立証できるような証拠の効力が弱まってしまう、といったことはありません。

浮気の証拠として配偶者のLINEのトーク画面を見たいという場合は、盗み見るのではなく、ほかに有力な浮気の証拠を突きつけて、相手のほうからスマホを差し出させるようにしましょう。

ちなみに、「相手のスマホのホーム画面やポップアップの通知をたまたま見てしまった」という場合は、盗み見たことにはならないのでご安心ください。

LINEでIDやパスワードを勝手に使うと罪になる

LINEを浮気の証拠として利用したいときに、相手のIDやパスワードを勝手に使って自分のPCやスマホからログインしたり、アプリを開いたりすることは絶対にやめましょう。

不正アクセス禁止法違反に該当する行為とみなされ、3年以下の懲役または100万円以下の罰金という措置がとられるおそれがあります(不正アクセス禁止法11条)。

もちろん、同居している夫婦間での問題のため、実際に警察が介入するといった問題に発展することはないと考えられますが、リスクを考えるとおすすめはできません。

浮気の証拠とLINEに関するポイント

LINEだけの関係であれば浮気とはいえない

配偶者が怪しいそぶりを見せていても、「不貞行為はしていないと考えられるが、LINEをずっとしている」というだけでは、法的に不貞行為と立証することはできません。

つまり、「愛しているよ」といったような文言や、「ハートのスタンプを送り合っている」といったような内容があったとしても、配偶者と不倫相手が肉体関係をもっているということが推測できるような内容でなければ、浮気と立証することはできません。

ただし、慰謝料請求については、「継続的な肉体関係がなくとも、第三者の一方配偶者に対する行為が、他方配偶者の婚姻共同生活の平和を毀損するものであれば、違法性を有するというべきである」とした判例もあります(東京地判平22・12・21)。

そのため、肉体関係がなかったとしても、慰謝料請求が認められる可能性はゼロではありません。ですが、肉体関係がない場合は、慰謝料請求に必要な不法行為を立証することは実情としてかなり難しいことを覚えておきましょう。

関連記事

不貞行為がなくても慰謝料請求できる?精神的苦痛の慰謝料相場

LINEのトーク履歴は弁護士でも開示できない

「浮気の証拠を掴むために、LINEのトークを開示してほしい」と考える方もいらっしゃると思います。LINEのトーク履歴の開示を相手に頼んで拒否されたとしても、開示自体を法的に強制することはできません。

LINEの会社に開示請求をしたとしても、プライバシー保護の観点から、開示請求には応じることは原則としてありません。弁護士に依頼しても、開示請求をすることはできない点に注意が必要です。

(中略)その性質上、ユーザーのプライバシーは厳格に保護される必要があり、原則として本人の同意がない限り当社は第三者にユーザーの情報を提供することはありませんし、サービス提供に必要な範囲を超えた目的で取り扱うこともありません。また、外部からそのような要請があった場合も対応することはありませんし、意図しないプライバシー侵害を防止するためのあらゆるセキュリティ対策も施しています。

LINE|捜査機関への対応

浮気の証拠としてLINEを使用するときは、自力でトーク履歴などを入手しなければならないということを覚えておきましょう。

既婚とわかって浮気したかはステータスメッセージを見ればわかることも

いざ慰謝料を浮気相手にも請求したいと考えたとしても、「相手が既婚者と知らなかった」と反論されるおそれがあります。

その場合は、配偶者のラインのステータスメッセージを確認しましょう。ステータスメッセージから明らかに既婚者であることがわかる場合は、浮気相手が「既婚者と知りながら不貞行為をおこなっていた」ということを示す重要な証拠になります。

夫のステータスメッセージが変更される前に、こちらもスクショや動画で残しておきましょう。場合によっては、LINEのアイコンやホーム画面からも既婚者であるとわかる場合があるため、こちらも証拠として残しておくことをおすすめします。

LINE画像が偽造として扱われるおそれは小さい

「LINEは偽造とみなされて、証拠にならないのではないか」と不安になる方も多いと思います。

浮気の証拠として提出されたLINEの画像が、偽造か否かで争われることはレアケースです。もちろん、リスク回避のためにスクショや動画という形で証拠を残しておきましょう。

LINEの証拠を入手しても相手には見せない

ほかの証拠のときでも同様ですが、LINEの証拠を入手しても、相手には突きつけないようにしましょう。

証拠を見せつけると、相手が証拠隠滅を図るおそれがあるので注意が必要です。とくにLINEの場合はプロフィールを変更したり、メッセージを削除したりといったことが容易におこなえる点を忘れないようにしておきましょう。

浮気の証拠とLINEに関してよくある質問

Q.浮気の証拠として使えるLINEの文面の具体例は?

有効な浮気の証拠として使えるLINEのやり取りの具体例としては、以下のようなものがあげられます。

  • 肉体関係が予想されるやり取り……「昨日のホテルはよかったね」
  • 2人で旅行に行ったことがわかるやり取り……「あの旅行は秘密にしてね」
  • その他……「(不倫関係にあるから)妻と離婚して一緒になるよ」 など

上記の文面だけでなく、「関係がばれないようラインの履歴を消しておいて」といったような、やり取り自体を隠ぺいしようとする行為も証拠となる可能性があります。

また、日常的に「大好きだよ」といったLINEが残されているという場合は、ほかの証拠と組み合わせることで「不貞行為をしていた」と認定されることもありますので、文面をよくチェックしておきましょう。

Q.LINEと組み合わせることで有効な証拠は?

LINEのトーク履歴だけでは、不貞行為を立証するのに弱い場合があります。

そのため、不貞行為があったことを示すような、ほかの有効な証拠と組み合わせることが重要になります。LINE以外に不貞行為を示すのに重要となる証拠には、以下のようなものがあります。

LINE以外に浮気の証拠になるもの

  • 不貞行為を撮影した写真や動画
  • 浮気中の会話の録音データ
  • 浮気中に行ったお店の領収書
  • 身に覚えのない避妊具や性交渉に使う道具
  • 浮気相手の家に行っているという履歴がわかるもの
  • 浮気相手と関係のある手紙やプレゼント
  • 浮気をしたと認める自認書
  • 浮気についての第三者の証言
  • 探偵事務所の調査報告書 など

ほかの証拠と組み合わせることで効力を増すものもあるため、できるだけ多くの証拠を長期間集めておくことをおすすめします。

関連記事

離婚に有利な浮気の証拠とは?集め方とポイントを解説

Q.浮気の証拠がLINEのみでも慰謝料は取れる?

「配偶者と不倫相手が肉体関係をもっている」と推測できるLINEのトーク履歴は、浮気の証拠として有効であるとお伝えしました。そういったLINEの証拠があれば、ほかに証拠がなくても慰謝料請求が認められる可能性は十分にあります。

もちろん、LINEの証拠が不十分だったとしても、ほかの有効な証拠と組み合わせることで、慰謝料請求が認められる可能性もあります。

不貞行為で慰謝料を請求するときは、どれくらいの間不貞行為をおこなっていたか、どれくらいの頻度で不貞行為をおこなっていたかといったことが考慮され、不貞行為の期間・回数に関する証拠が重要になってきます。

浮気や不倫といった不貞行為での慰謝料請求についてくわしく知りたいという方は、『不倫 浮気の離婚慰謝料│相場は200万?不貞慰謝料とは違う?実例、条件は?』をご覧ください。

Q.浮気に関するLINEを見つけたらどうすればよいですか?

浮気に関するLINEを見つけた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、自分が入手したLINEの文面が、実際に離婚するうえで有効な証拠であるのかどうかを法的な観点から判断してもらえます。

慰謝料請求をするということになったときも、交渉を代理してもらうことが可能です。

無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了