離婚弁護士の相談の仕方は?依頼のタイミングはいつ?
離婚を考え始めたら、弁護士に相談すると多くのメリットがあります。
弁護士に頼むなんて大げさだと思っている方や、法律事務所は敷居が高いと感じている方も多いでしょう。しかし実際は、弁護士の法律相談は気軽に使ってよいものです。
この記事では、離婚を考えている方向けに、弁護士への相談の仕方や、弁護士に相談できる内容、相談に行く前にしておいた方がよい準備について解説します。
目次
離婚の弁護士相談の流れ
1.弁護士を探す
まずは、相談したい弁護士を探します。
弁護士の取扱業務は、離婚や刑事事件、借金、企業法務などさまざまで、中には離婚を取り扱っていない弁護士や、離婚事件の経験が少ない弁護士もいます。
離婚問題は、離婚を得意とする弁護士に相談するのが一番です。
インターネットで「お住まいの地域名+離婚+弁護士」などのキーワードで検索すると、お近くで離婚に力を入れている弁護士を見つけることができるでしょう。
また、弁護士会や法テラスなどを通して、弁護士を紹介してもらうこともできます。
弁護士を探す際は、相談時間や相談料も確認しましょう。多くの場合、法律相談の時間は30分~1時間程度です。相談料の相場は、無料または5,000~1万円程度です。
関連記事
2.相談の申し込み
基本的に法律相談は予約制ですので、相談したい弁護士が見つかったら相談の予約を取ります。
インターネットで見つけた弁護士であれば、ホームページ上に相談の申し込みフォームがあるか、電話番号やメールアドレスが記載されているはずですので、そこから相談を申し込みましょう。
法律相談の手段は、法律事務所に出向いての対面相談が主ですが、電話やビデオ通話で相談を行っている弁護士もいます。
対面であれば、証拠や資料を見ながらじっくりと話すことができます。来所が難しい方には、電話やビデオ通話が便利です。
また、メールやLINEで簡易的な相談を行っている弁護士もおり、こういった形であれば予約する必要がないため、より気軽に相談することができます。
自分に合った方法で相談できる弁護士を選ぶとよいでしょう。
3.法律相談
予約の日時が来たら、事務所に足を運んだり、電話を繋いだりして法律相談を受けます。
対面の場合は、証拠や資料を持っていくとより具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。
相談を利用したからといって、その弁護士に依頼しなければならないわけではありません。相談だけ利用して、弁護士への依頼はせずにご自身で離婚を進める方も多いです。
なお、初回相談の際に、弁護士費用の見積りを出してもらえます。他の弁護士の費用と比較してみるのもよいでしょう。
4.弁護活動の開始
もしその弁護士に依頼したいと思ったら、委任契約書を交わします。着手金が設定されている場合は、着手金を支払ってから弁護活動が始まります。
依頼開始時は、弁護士から相手方に受任通知を送ります。
受任通知には、弁護士の連絡先や今後は弁護士が窓口になる旨が記載してありますので、それ以降はご自身が相手と直接連絡を取る必要はなく、弁護士が交渉を進めてくれます。
離婚の弁護士相談のポイントは事前準備!
相談時間を有効に使うには準備が重要!
初回相談の時間は、30分~1時間程度と限られています。
その中で、事情や経緯を説明することに時間を使いすぎてしまうと、相談やアドバイスの部分に十分な時間を割けなくなってしまいます。
また、より具体的な見通しを聞くためには、夫婦の収入や財産のわかる資料などが必要になることがあります。
限られた時間を有効に使い、不安を解消するには、相談に行く前に準備をしておくのが望ましいです。
以下では、準備しておいた方がよいことを解説します。
経緯を時系列順に整理しておく
結婚から離婚を決意するに至るまでの経緯を説明するには、その場で思い出しながらでは時間がかかりますし、不正確になってしまう可能性もあります。
あらかじめ出来事を時系列順に整理し、可能であれば紙などに書いて見せられるようにするのがよいでしょう。
希望の離婚条件を考えておく
自分の目標やどんな条件で離婚したいのかを考えておくと、それに向けたアドバイスが受けられます。希望条件は、忘れないようにメモに書いておきましょう。
自分が離婚すべきか分からない、どんな条件を決めたらいいか分からないという場合は、それをそのまま弁護士に伝えればよいでしょう。
希望条件の例
- 慰謝料を〇〇〇万円受け取る
- 親権を獲得する
- 面会交流を月に〇回行う
- 養育費を高校(大学)卒業まで受け取る
- 財産分与を〇〇〇万円受け取る
- 自宅を売却せずに住み続ける
- 年金分割の按分割合を2分の1とする
夫婦の財産や収入がわかるものを持っていく
財産分与の請求額を決めるには、2人の財産を明らかにする必要があります。
いざ相談に行ってから「どちらの名義だっけ?」「いくらだったっけ?」となってしまうと、弁護士から具体的な見通しや分与方法を聞くことができないかもしれません。
そうならないように、可能であれば夫婦の財産がわかる資料を持っていくとよいでしょう。
また、婚姻費用や養育費の額は、夫婦の年収をもとに算出するのが一般的ですので、それぞれの収入のわかる資料があると理想的です。
資料を用意するのが難しくても、「何がいくらあるのか」を大まかに把握してから行くとスムーズです。
財産がわかるものの例
- 預貯金通帳
- 住宅ローン・自動車ローンの残高証明書
- 不動産登記事項証明書
- 固定資産評価証明書
- 保険証書・解約返戻金証明書
- 勤務先の退職金規定
- 有価証券の数や価格がわかるもの
- 年金分割のための情報通知書
収入がわかるものの例
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 課税証明書
離婚原因の証拠があれば持っていく
離婚原因の証拠があれば持っていきましょう。離婚原因とは、例えば不倫やDV、モラハラ、悪意の遺棄などです。
特に調停や裁判で離婚したい場合は、離婚原因を証明する証拠があるかどうかが非常に重要です。また、慰謝料を請求する場合も証拠が必須です。どれだけ証拠集めができたかで、慰謝料金額も変わってきます。
手元にある証拠を持っていけば、今ある証拠で離婚できるか、いくらくらいの慰謝料を見込めるかなどを聞くことができるでしょう。
証拠がまだなく、どのような証拠が必要か分からない場合は、弁護士に相談すれば必要な証拠や集め方を教えてもらえます。
離婚原因の証拠の例
- 配偶者と不倫相手が一緒に写っている写真・動画
- 不倫相手と2人でホテルに宿泊したことがわかる領収書
- モラハラ行為を記録した日記やメモ
- DVによって負った怪我の写真や診断書
- 相手が生活費を支払っていないことがわかる預金通帳
関連記事
離婚の弁護士相談で聞けること
離婚の手続きについて
弁護士から、離婚を成立させるためにはどのような手続きが必要か、どのような流れで離婚を進めればよいのかを教えてもらえます。
離婚調停や離婚裁判の見通し
話し合いや離婚調停で離婚に合意ができなかった場合は、離婚裁判を起こすことになりますが、裁判離婚が認められるには民法が定める離婚原因(法定離婚事由)が必要です。
そのため、裁判の中で証拠を提出して、法定離婚事由の存在を主張立証しなければなりません。
今の夫婦の状態が法定離婚事由にあたるのか、今ある証拠で法定離婚事由を証明できるかを聞いてみましょう。
裁判を起こしても勝てる可能性が低いのならば、話し合いや調停で離婚を成立させる方向で動いた方がよいと判断されるかもしれません。
反対に、裁判の勝ち目があるならば、強気で交渉に臨むことができるでしょう。
このように、離婚の具体的な見通しを聞くことができます。
慰謝料や養育費、婚姻費用の相場
離婚時に請求できる可能性のあるお金として、慰謝料や養育費、婚姻費用があります。
慰謝料は離婚をすれば必ずもらえるものではないため、慰謝料を請求できるケースなのか、慰謝料の相場はいくらかを弁護士に聞いてみましょう。
養育費や婚姻費用については、具体的な相場や、確実に回収するための手続きも教えてもらえるでしょう。
財産分与の見通し
夫婦が保有している財産すべてを財産分与できるというわけではなく、共有財産と呼ばれる部分が財産分与の対象になります。
夫婦の財産のうち、どれが財産分与の対象にできるのか、どのような方法で分け合えばよいかを聞くことができます。
財産についての資料を持っていけば、財産分与がどのくらいの額になるかの見込みも教えてもらえるでしょう。
弁護士費用の見積り
相談時には、弁護士費用の見積りを出してもらえます。
法律事務所のホームページでもおおまかな費用は確認できますが、弁護士に依頼する内容や依頼する段階によっても費用は変わります。
離婚の弁護士相談に行くタイミングはいつ?
離婚の弁護士相談に行くのは揉めてからでもいい?
「揉めてもいないのに弁護士に相談するなんて大げさだ」と思われるかもしれませんが、離婚問題を弁護士に相談するベストなタイミングは、離婚を切り出す前だと言われています。
離婚で望み通りの結果を得るには、相手に切り出す前の準備が非常に重要なため、相手に離婚の意思を悟られる前に相談すると大きなメリットがあります。
離婚を弁護士に依頼するタイミングはいつ?
事前に相談はしておいて、実際に弁護士に依頼するのは別居開始時というケースが多く見受けられます。
相手と同居しているのに「今後の連絡は弁護士を通してください」というのはかなり無理がありますし、家で嫌がらせをされるおそれもあるからです。
また、最初は弁護士のアドバイスをもとに自分で交渉や調停を行い、話し合いがうまく進まなくなったら弁護士を入れるというケースもあります。
離婚裁判を起こす段階になると、ほとんどの方が弁護士に依頼しています。
すぐに弁護士に依頼した方がよいのは、以下のような場合です。
- 相手が弁護士を立ててきた
- 相手から調停や裁判を申し立てられた
- 相手が話し合いに応じない
- DVやモラハラを受けている
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
弁護士に依頼すべきタイミングはケースバイケースなので、まずは相談に行って弁護士の意見を聞いてみるのがよいでしょう。