両親からそれぞれ贈与されたら贈与税はかかる?複数人・家族間の贈与を解説

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贈与税はかかる?

両親から贈与を受けた場合であっても、受け取った贈与額によっては贈与税がかかります。

贈与税の課税方式には、暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。相続時精算課税を選択しない限り暦年課税が適用され、贈与者(あげる人)ごとに受贈者(もらう人)が相続時精算課税を選択することができます。

暦年課税には年間110万円の基礎控除が設けられていますが、この基礎控除は受け取る人ごとに設けられているため、両親2名から受け取った場合も110万円までしか使えません。合計額が110万円を超えた分に贈与税がかかります。

相続時精算課税は受け取る人ごとに年110万円の基礎控除までは課税されません。また、基礎控除を超えた部分は、贈与者毎に累計2,500万円までであれば贈与税はかからず、将来の相続財産に持ち戻されます。2,500万円を超えた分には、贈与税が課税されます。

※本記事の情報は2026年9月時点の税制をもとに作成しています。税法は改正される場合があるため、実際の申告にあたっては税理士などの専門家にご相談ください。

暦年課税方式での贈与税額

暦年課税とは

暦年課税は、毎年1月1日から12月31日までの贈与について、贈与を受けた人(受贈者)に課税する方式です。親子間の贈与も対象になります。基礎控除は受贈者ごとに年110万円で、複数の人から贈与を受けた場合はその合計額で判定します。基礎控除の範囲内であれば贈与税はかからず、申告も不要です。

暦年課税は贈与税の基本となる課税方式です。相続時精算課税を選択しない限り、暦年課税が適用されます。

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贈与税の税率(速算表)

特例税率

父母・祖父母などの直系尊属から、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子・孫などへの贈与に適用されます。

課税価格(基礎控除後)税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1000万円以下30%90万円
1500万円以下40%190万円
3000万円以下45%265万円
4500万円以下50%415万円
4500万円超55%640万円

一般税率

特例税率の要件に当てはまらない場合に適用されます(兄弟間、夫婦間、18歳未満の子への贈与など)。

課税価格(基礎控除後)税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1500万円以下45%175万円
3000万円以下50%250万円
3000万円超55%400万円

両親から100万円ずつ贈与された場合の贈与税額

贈与年の1月1日時点で18歳以上の子が、父・母からそれぞれ100万円ずつ、合計200万円の贈与を受けた場合の贈与税を計算します。

前述のとおり、贈与税は受贈者ごとに課税されます。そのため、受けた贈与合計200万円に対して基礎控除を適用します。

贈与額200万円 - 基礎控除110万円 = 課税価格90万円

今回のケースでは、贈与者が直系尊属(父母)、受贈者が18歳以上のため、特例税率が適用されます。課税価格90万円は、速算表の「200万円以下」の区分にあたり、税率10%・控除額なしとなります。

90万円 × 10% = 9万円

となり、贈与税額は9万円で、受贈者が負担します。

両親から1000万円ずつ贈与された場合の贈与税額

贈与年の1月1日時点で18歳以上の子が、父・母からそれぞれ1,000万円ずつ、合計2,000万円の贈与を受けた場合の贈与税を計算します。

贈与額2,000万円 - 基礎控除110万円 = 課税価格1,890万円

贈与者が直系尊属(父母)、受贈者が18歳以上のため、特例税率が適用されます。課税価格1,890万円は、速算表の「3,000万円以下」の区分にあたり、特例税率45%・控除額265万円です。

1,890万円 × 45% - 265万円 = 585.5万円

このケースでは、贈与税額は585.5万円になります。

相続時精算課税制度を使った場合の贈与税額

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、原則として、贈与年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母などから、同日時点で18歳以上の子や孫などへ贈与する場合に選択できる制度です。この制度を初めて選択する場合は、原則として贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。

適用すると、贈与者ごとに通算2,500万円までの特別控除を受けられます。特別控除を受けた財産には、贈与税が課税されず、代わりに相続財産に持ち戻され相続税の対象になります。この特別控除を利用する場合は、期限内の贈与税申告も必要です。

2024年(令和6年)1月以降の贈与からは、この特別控除とは別に、贈与を受けた人ごとに年110万円の基礎控除も設けられており、基礎控除の範囲内であれば相続財産への持ち戻しも不要です。

特別控除(2,500万円)を使い切った後は、超えた分に一律20%の税率で贈与税が課せられます。

暦年課税とは異なり、贈与者ごとに選択できますので、父からの贈与は相続時精算課税制度、母からの贈与は暦年課税という使い方も可能です。

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父から2,500万円、母から110万円贈与された場合

父・母で異なる課税方式を選ぶこともできます。ここでは父に相続時精算課税制度、母に暦年課税(110万円控除)を使うケースを考えます。

父からの贈与:

贈与額2,500万円-110万円(基礎控除)=2,390万円

→特別控除2,500万円の範囲内のため贈与税0円

母からの贈与:

贈与額110万円-110万円(基礎控除)=0円

→贈与税0円

いずれも贈与税はかかりません。ただし父からの2,390万円分は、将来父の相続時に相続財産へ加算されます。

参考までに、相続時精算課税制度を使わず両親からの贈与(合計2,610万円)をすべて暦年課税で受けた場合は、贈与税額は860万円になります。

両親から2500万円ずつ贈与された場合の贈与税額

ここでは父・母ともに相続時精算課税制度を使うケースを考えます。年110万円の基礎控除は父母合わせて110万円までで、贈与額の割合に応じて振り分けられます。今回は同額なので、55万円ずつです。

父からの贈与:

贈与額2,500万円-55万円(基礎控除)=2,445万円

→特別控除2,500万円の範囲内のため贈与税0円

母からの贈与:

贈与額2,500万円-55万円(基礎控除)=2,445万円

→特別控除2,500万円の範囲内のため贈与税0円

いずれも贈与税はかかりません。ただし合計4,890万円分(父2,445万円+母2,445万円)は、それぞれの相続時に相続財産へ加算されます。

両親から5000万円ずつ贈与された場合の贈与税額

父母からの贈与額が5000万円ずつのケースを見ていきましょう。ここでも父母合わせて110万円の基礎控除を、今回は同額なので55万円ずつ使います。

父からの贈与:

贈与額5,000万円-基礎控除55万円-特別控除2,500万円=2,445万円

2,445万円 × 20% = 489万円

→贈与税489万円。相続財産には基礎控除後の4,945万円が加算され、支払った贈与税489万円は相続税額から控除される。

母からの贈与:

贈与額5,000万円-基礎控除55万円-特別控除2,500万円=2,445万円

2,445万円 × 20% = 489万円 

→贈与税489万円。相続財産には基礎控除後の4,945万円が加算され、支払った贈与税489万円は相続税額から控除される。

つまり、合計1億円の贈与について、贈与税額は合計978万円になります。支払った贈与税は相続税から控除されます。

親子間では贈与税がかからないこともある

親子間では、一部贈与税がかからないケースや非課税特例が設けられています。

生活費や教育費としての贈与

生活費や教育費として、通常必要とされる範囲で贈与された資金は非課税です。治療費や養育費、仕送り、学費・教材費などが対象になります。

ただし、生活費や教育費として受け取った資金でも、必要な都度使わずに預金したり、他の目的に使ったりすると贈与税の対象になります。たとえば、1,000万円をまとめて贈与し、少しずつ使うケースでは預金に贈与税がかかります。

お年玉やお祝い金などの贈与

香典や年末年始の贈答のための贈与で、常識の範囲内であれば、贈与税はかかりません。クリスマスプレゼントやお年玉などを渡す行為は、一般的に非課税で行われています。

ただし、「社会通念上相当と認められるもの」に限られますので、高額な金品の贈与は課税対象となります。

両親からの贈与で使える2つの特例

両親や祖父母などの直系尊属からの贈与であれば、贈与税が非課税になる特例があります。

教育資金の一括贈与の特例は、2026年3月31日で新規の適用が終了しました(拠出済みの資金は契約が続く限り対象です)。この特例の適用以外に孫の教育費を援助する方法は『孫への教育資金の贈与は非課税?一括贈与制度終了後でもできる贈与のやり方と注意点』をご確認ください。

①住宅取得等資金贈与の特例

住宅の購入や新築、増改築にあてる資金を贈与できる特例で、非課税枠は省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円です。

贈与者は受贈者の直系尊属、受贈者は贈与年の1月1日時点で18歳以上かつ合計所得金額2,000万円以下(床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)である必要があります。

また、贈与税額が0円になる場合でも、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告をしなければ適用を受けられません。この特例は令和8年(2026年)12月31日までの贈与が対象です(延長の可能性あり)。

対象となる住宅の要件や手続きの詳細は『住宅購入資金に贈与税はかかる?非課税にする方法や親からの贈与について解説』の記事が参考になります。

②結婚・子育て資金の一括贈与の特例

結婚や子育てにかかる資金をまとめて贈与できる特例で、非課税枠は1,000万円(うち結婚関連費用は300万円まで)です。

贈与者は受贈者の直系尊属、受贈者は18歳以上50歳未満かつ合計所得金額1,000万円以下である必要があります。

適用には、金融機関で専用口座を開設し、金融機関経由で「結婚・子育て資金非課税申告書」を税務署に提出する必要があります。

また、この特例は令和9年(2027年)3月31日までの時限措置です(延長の可能性あり)。

詳しい要件や手続きの流れは『結婚・子育て資金の贈与は1,000万円まで非課税|条件や注意点、手続きは?』の記事で解説しています。

まとめ

両親からそれぞれ贈与を受ける場合、暦年課税では110万円の基礎控除を父母合わせて判定するため、各々の贈与額が少額でも合算すると贈与税がかかることがあります。

まとまった金額を贈与したいときは、相続時精算課税を使えば贈与者ごとに累計2,500万円まで贈与税をかけずに済みます。しかし、その分は将来の相続財産に加算されるため、税負担がなくなるわけではありません。

また、住宅取得等資金や結婚・子育て資金など、目的が決まっている贈与には別枠の非課税特例もあります。どの組み合わせが有利かは、贈与財産の内容や将来の相続財産の規模によって変わるため、実際に贈与を行う前に確認しておきましょう。

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