贈与税の税率表と計算方法|非課税になる特例や注意点も解説

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贈与税は、贈与された金額や贈与する人・受け取る人の関係によって適用される税率が異なります。そのため、「自分には何%の税率が適用されるのか」「贈与税はいくらかかるのか分からない」と悩む方も少なくありません。

この記事では、贈与税の一般税率・特例税率の速算表を掲載するとともに、実際の計算例を交えながら贈与税額の求め方をわかりやすく解説します。

あわせて、相続時精算課税制度の税率や計算方法、住宅取得等資金の非課税特例など、贈与税を抑えられる制度や利用時の注意点についても紹介しますので、贈与税の計算や生前贈与を検討する際の参考にしてください。

贈与税の税率早見表(暦年課税)

贈与は、特に手続きをしなければ暦年課税という課税制度が適用されます。

暦年課税の贈与税の税率は10%から55%の超過累進課税率ですが、贈与者と受贈者の関係により、特例贈与財産用の税率(特例税率)と一般贈与財産用の税率(一般税率)に分けられます。

  • 特例税率
    贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者が、直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた場合に適用される税率
  • 一般税率
    特例税率が適用できるケース以外の場合に適用される税率

なお、贈与税は、贈与した財産すべてにかかるわけではありません。
暦年課税の場合、年間110万円の基礎控除までは贈与税がかからず、それを超える部分に税率をかけて計算をします。

贈与税の特例税率の速算表

特例税率とは、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者が、直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた場合に適用される税率です。

父母から18歳以上の子への贈与・祖父母から18歳以上の孫への贈与が該当します。

【贈与税の特例税率 速算表】

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

贈与税の一般税率の速算表

一般税率とは、特例税率が適用できるケース以外の場合に適用される税率です。

夫婦間の贈与・兄弟間の贈与・父母から18歳未満の子への贈与・祖父母から18歳未満の孫への贈与などが該当します。

【贈与税の一般税率 速算表】

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

税率を使った贈与税の計算方法

暦年課税の贈与税は、贈与額にそのまま税率をかければよいというわけではありません。
具体的な計算方法を見ていきましょう。

暦年課税の贈与税の計算式

暦年課税の場合、贈与税は以下のように計算します。

  1. 1月1日~12月31日までの贈与額から基礎控除を引く
    課税価格-基礎控除額110万円=基礎控除後の課税価格
  2. 基礎控除後の課税価格に税率をかけて贈与税を算出する
    基礎控除後の課税価格×税率-控除額=贈与税額

計算例①父が25歳の子に600万円を贈与した場合(特例税率)

父が25歳の子に600万円を贈与した場合は、特例税率が適用されます。

  1. 600万円-110万円(基礎控除額)=490万円(基礎控除後の課税価格)
  2. 490万円×20%(税率)-30万円(控除額)=68万円(贈与税)

※税率と控除額は、特例税率の贈与税の速算表を参照します。

計算例②祖父が12歳の孫に600万円を贈与した場合(一般税率)

祖父が12歳の孫に600万円を贈与した場合は、一般税率が適用されます。

  1. 600万円-110万円(基礎控除額)=490万円(基礎控除後の課税価格)
  2. 490万円×30%(税率)-65万円(控除額)=82万円(贈与税)

※税率と控除額は、一般税率の贈与税の速算表を参照します。

計算例③夫(一般税率)と父(特例税率)から贈与された場合

30歳の妻が、夫から200万円、自分の父から300万円の贈与を受けた場合です。

この場合、夫からの贈与200万円は一般贈与財産、父からの贈与300万円は特例贈与財産に当たります。

このようなケースでは、以下の順序で贈与税額を計算します。

  1. すべての贈与財産を「一般贈与財産」として計算する。
  2. その税額のうち、実際に取得した一般贈与財産の割合に応じた贈与税額を計算する。
  3. すべての贈与財産を「特例贈与財産」として計算する。
  4. その税額のうち、実際に取得した特例贈与財産の割合に応じた贈与税額を計算する。
  5. 上記②と④の税額を合計して、最終的な贈与税額を算出する。

それでは、上記【具体例】の贈与税額がいくらになるか計算してみましょう。

  1. すべての贈与財産を一般贈与財産として計算する
    (200万円+300万円)-110万円=390万円
    390万円×20%-25万円=53万円(【贈与税の一般税率 速算表】参照)
  2. 実際に取得した一般贈与財産の割合に応じた贈与税額を計算する
    53万円×{200万円÷(200万円+300万円)}=21.2万円
  3. すべての贈与財産を特例贈与財産として計算する
    (200万円+300万円)-110万円=390万円
    390万円×15%-10万円=48.5万円(【贈与税の特例税率 速算表】参照)
  4. 実際に取得した特例贈与財産の割合に応じた贈与税額を計算する
    48.5万円×{300万円÷(200万円+300万円)}=29.1万円
  5. それぞれを合計する
    21.2万円+29.1万円=50.3万円

よって、贈与税額は50.3万円です。

相続時精算課税の贈与税率は一律20%

贈与には、暦年課税のほかに相続時精算課税という課税制度もあります。

相続時精算課税とは、毎年110万円の基礎控除(2024年1月1日以降の贈与から適用)と、累計2,500万円の特別控除までは贈与税がかからないというものです。

ただし、相続時には、年間110万円の基礎控除を超えた部分が相続財産に加算されます。なお、2,500万円の特別控除を利用した部分も相続財産に加算されます。

その際、すでに支払った贈与税があれば精算されます。

相続時精算課税の贈与税の計算式

相続時精算課税で贈与税が発生する場合、税率は一律20%です。

受贈者ごとに以下の計算式で金額を算出し、その合計額が贈与税額になります。

すでに特別控除を適用した場合、その残額を計算式にあてはめます。

{(1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額-110万円)-特別控除額2,500万円}×20%

※特別控除額:過去に相続時精算課税制度で控除を受けている場合は、その利用額を差し引いた利用可能な特別控除残額をいいます。

なお、相続時精算課税制度の特別控除額は、贈与者ごとに適用できます。
たとえば父と母から贈与を受けた場合、父からの贈与分と母からの贈与分それぞれに対して特別控除を適用可能です。

一方、基礎控除は受贈者ごとの適用になるため、何人から贈与を受けても、その合計に対して年間110万円しか控除できません。

相続時精算課税の計算例

Aさん(23歳)は2024年1月1日から同年12月31日までの間に、相続時精算課税で以下の贈与を受けました。

贈与者贈与財産額選択した制度
3,000万円相続時精算課税制度
1,000万円相続時精算課税制度

相続時精算課税の基礎控除は受贈者ごとの適用なので、Aさんが何人から贈与を受けても、控除額は年間110万円までです。複数人からの贈与がある場合は、以下のように計算します。

  1. 贈与財産の総額に基礎控除を適用する
    (3,000万円+1,000万円)−110万円=3,890万円
  2. 基礎控除を適用した後の金額を、それぞれからの贈与の割合で分ける
    父:3,890万円×(3,000万円÷4,000万円)=2,917万5,000円
    母:3,890万円×(1,000万円÷4,000万円)=972万5,000円

続いて、特別控除を適用して贈与税を算出します。
特別控除は贈与者ごとに適用できるので、父と母からの贈与分それぞれに対して適用できます。

  • 父からの贈与
    2,917万5,000円−2,500万円=417万5,000円
    417万5,000円×20%=83万5,000円
  • 母からの贈与について
    972万5,000円は母に係る特別控除額(累計2,500万円)の範囲内であるため、贈与税は発生しません。
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贈与税が非課税になる特例とは?

贈与税には、一定額の贈与が非課税になる特例があります。ここでは、主なものを3つ紹介します。

住宅取得等資金の贈与

父母や祖父母などの直系尊属が、18歳以上の子や孫に対し、マイホームの新築、取得または増改築等を行うための資金を贈与する場合、一定額まで非課税になります。

【非課税限度額】

種類非課税限度額
省エネ等住宅1,000万円
上記以外の住宅500万円

省エネ住宅等の要件は以下の通りです。

  • 省エネルギー性能
    • 新築住宅・未入居住宅
      断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(ZEH水準)
    • 中古住宅・増改築
      断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 耐震性能
    耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、または免震建築物
  • バリアフリー性能
    高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

【適用期限】

令和8年(2026年)12月31日

【他の制度との併用について】

  • 住宅等取得資金の贈与を適用する場合でも、暦年課税の基礎控除(年110万円)との併用が可能です。この場合、最大で「1,000万円+110万円=1,100万円」まで贈与税がかかりません。
  • 住宅取得等資金の贈与は、相続時精算課税制度との併用が可能です。この場合、最大で「1,000万円+2,500万円+110万円(2024年1月1日以降の贈与)=3,610万円」まで贈与税がかかりません。
    ただし、相続時精算課税での贈与分は、相続財産に加算される点にご注意ください。

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結婚・子育て資金の一括贈与

父母や祖父母などの直系尊属が、18歳以上50歳未満の子や孫に対し、結婚や子育てで使う資金を贈与する場合、一定額が非課税になります。

【非課税限度額】

 1,000万円(結婚費用はそのうち300万円まで)

【適用期限】

 令和9年(2027年)3月31日

【契約終了時の残額の扱い】

 受贈者が50歳に達するなどの理由により契約が終了した場合、残額に対し贈与税がかかります。

【贈与者が死亡した場合の扱い】

 贈与者が死亡すると、残額に相続税がかかります。孫が受贈者の場合、2割加算の対象です。

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子育て・結婚資金は1,000万円まで非課税|条件や注意点、手続きは?

教育資金の都度贈与

父母や祖父母など扶養義務者からの教育資金の贈与は、必要な時にその都度、必要な分だけ贈与するのであれば基本的に非課税となります。

一度に必要以上の贈与をして預貯金として残しておくと、贈与税がかかるため注意が必要です。

教育資金の一括贈与の制度は終了

以前は教育資金の一括贈与という制度がありましたが、こちらは令和8年(2026年)3月31日をもって新規の受付を停止しています。

終了前に契約し、現在も継続しているものについては、引き続き非課税での払い出しが可能です。

ただし、受贈者が30歳に達するなどの理由により契約が終了したときや、贈与者が死亡したときに一定の残額がある場合、残高が贈与税や相続税の対象になることがあります。

詳しくは関連記事『孫への教育資金の贈与は非課税?一括贈与制度終了後でもできる贈与のやり方と注意点』をご覧ください。

贈与税に関する注意点

定期贈与と判断されると基礎控除以内でも贈与税がかかる

贈与税には毎年110万円の基礎控除があります。
しかし、たとえば当初から10年間にわたり毎年100万円を贈与する契約をしていたと認定される場合には、契約時点で総額1,000万円の贈与として課税される可能性があります。

このようにして贈与が定期贈与と判断されると、1,000万円を一括で贈与したのと同じように贈与税が課されてしまうリスクがあるので、毎年贈与契約書を作成する、贈与額や時期を変えるなどの対策をしましょう。

名義預金と判断されると相続税がかかる

たとえば親から子への贈与では、親が子名義の口座に預金を入れるものの、管理は親がしているケースがあります。この場合、名義が子であるだけで実質的にその預金は親のものであり、贈与は成立していないとみなされることがあります。

これが名義預金です。

名義預金と認定されると、贈与は成立していないものとして、預金は親の相続財産に含まれ、相続税の課税対象となる可能性があります。

名義預金について詳しく知りたい方は、関連記事『名義預金は贈与税・相続税がかかる?名義預金の認定の回避策も解説』をお読みください。

贈与税の申告・納税には期限がある

贈与税の申告・納税期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。

基礎控除額を超える贈与を受けた場合や、住宅取得等資金の非課税特例などを適用する場合は、期限内に申告を行う必要があります。

また、相続時精算課税を適用する最初の年は、たとえ贈与額が基礎控除以下でも相続時精算課税選択届出書を出さなければなりません。

期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があるため、早めに準備を進めましょう。

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贈与税・相続税のお悩みは税理士へ

生前贈与を活用すれば、贈与税と相続税の両方を減税または非課税にできる可能性があります。

最適な生前贈与を実現するには、複数の案をシミュレーションし、贈与税額と相続税額がいくらになるか具体的に検討するのがおすすめです。

ご自分に合った生前贈与の方法をお知りになりたい方は、相続専門の税理士への相談も検討してみてください。

高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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